どんな仕事でも、「もっとよい方法があるはずだ」と思えるような定型タスクがあるものです。Slack の営業チームにとっては、ユーザー企業の皆さま向けのスライド資料の作成が特にそうです。その資料は多くのデータを詰め込んだもので、ミスの出やすいプロセスだと言えます。
アカウントエグゼクティブとカスタマーサクセスマネージャーは、ユーザー企業における Slack の定着度を把握するのに、何時間もかけて複雑なダッシュボードを整理していました。ダッシュボードが整理されて初めて、チームはそれらの指標を実用的なインサイトやおすすめが詰まったストーリーのあるプレゼンテーションに変えていくのです。
Slack 社内には、Slack on Slack という、Slack プラットフォームで構築する新しい社内ツールのアイデアを共有するプログラムがあります。営業アナリティクスチームはこのプログラムを通じて、「このプロセスを数分に短縮できたとしたら?」と問いかけました。そしてそれから数か月後、今までと同じようにデータが詰まったプレゼンテーションを作成できるカスタムアプリ Midas Touch が社内でリリースされたのです。
Midas Touch のおかげで営業担当者は何百時間も節約できるようになりました。これは、Slack のカスタムインテグレーションを使って、ビジネステクノロジー(BizTech)チームが従業員体験を高めた一例にすぎません。Slack でコラボレーションしている組織の IT チームでも同じことができます。この記事では、Slack プラットフォームでの構築についてより理解できるよう、Midas Touch がどのようにして作られたかをお伝えしていきたいと思います。
Midas Touch の構築 : 仕組み
Midas Touch のようなアプリを構築するプロセスは、ワイヤーフレームや Figma ファイルの作成のずっと前から始まります。まず、BizTech チームがセールスパートナーと話し合ってワークフローを観察し、問題の本質を突き止め、Slack がどのように役立つか考えます。この時、実際にプレゼンテーションを作ってみることもあります。その際、私たちは問題に対して 3 つの目標を決めました。
- 営業プレゼンテーションの作成にかかる時間を減らす(明らかに求められているため)
- 週間アクティブ使用時間、アップロードされたファイルやインストールされているサードパーティ製アプリの数など、Slack の価値を最もよく示すデータポイントを特定する(データに最も精通しているメンバーでも、ダッシュボードを複雑に感じることがあるため)
- ブランドに沿って一貫したビジュアルを作成する(営業担当者はデザイナーではないため)
これらの目標を達成するため、Salesforce、Looker、Google スライドなど主要なインテグレーションを活用した体験を設計し始めました。これらのツールを連携できる開発者用プラットフォームはいくつかありますが、技術的な詳細についてはプラットフォームブログを参照してください。ここで Slack の営業担当者の視点から見たアプリの動作を解説します。
- 担当者が Slack の /midas スラッシュコマンドでワークフローを開始します。
- Midas Touch は担当者のデータアクセス権限を確認するために、Salesforce にクエリを実行します。権限が確認されたあと、担当者はアカウントを検索して選択します。
- Midas Touch がアカウントに関連するデータを Looker からバックグラウンドでダウンロードし、資料を Google スライドテンプレートのフォーマットにします。
- 新しい Google スライドファイルがユーザーに送信され、Slack でアプリを構築するための Block Kit UI フレームワークによって充実したプレビューが表示されます。
作成されたスライド資料には集計データだけでなく、用意されたポイントや、テンプレート化されたトークの流れおよびビジュアルも含まれています。さらに自由にカスタマイズすることも可能で、各担当者は各ユーザー企業の課題や業種などに合わせてストーリーを調整することもできます。
10,000 時間以上の削減に成功
2019 年 10 月のリリース以降、営業チームがこのアプリを 5,000 回以上使って削減できた時間は、マニュアル作業での 10,000 時間分を超えました。そしてその時間を、Slack のユーザー企業の皆さまのために使えるようになったのです。
これはすばらしいエンゲージメントですが、どんなに見事なアプリでも、導入を促進するキャンペーンがないと誰も使ってくれません。私たちは当然ながら Slack で始めました。まずはグローバルの #sales-通知
チャンネルで Midas Touch のリリースを発表し、詳細やトレーニング資料へのリンクが必要なチームや地域のチャンネルでも周知しました。
最初のリリース以降、営業チームは定期的なトレーニングを受け、新入社員は研修で Midas Touch について学び、私たちは改善を繰り返すためのフィードバックを定期的に集めています。そのための主な方法が、専用の #feedback-midas-touch
チャンネルです。そのチャンネルでは、ワークフロービルダーで作られた標準化されたフィードバックフォームを活用しています。
Slack の営業チームはアプリができることを広げるための方法を新たに見つけています。その 1 つがユーザー企業のライフサイクル内での重要なポイントに合ったより詳しいデータやストーリーなどです。将来、Slack App ディレクトリから一般利用可能にする予定もあります。
Midas Touch を使ってみたくなりましたか?または Slack のカスタムアプリでチームのビジネスライフをよりシンプルに、より快適に、より有意義にすることに興味がありますか?Slack プラットフォームでの構築について詳しくは、次のリソースを参照してください。