これまで長い間、ユーザーではなくドキュメントがサービスの中心に置かれてきました。ナレッジマネジメントは単なる検索用のライブラリとして扱われ、働く人と積極的に関わり合う生きたシステムとは捉えられてきませんでした。かつては有効だったそのようなアプローチが、今では意思決定を遅らせ、生産性を低下させ、価値あるナレッジを閉じ込めてしまうボトルネックとなっています。
考えてみてください。チームは大量のデータの流れに晒されており、重複したツールを行き来し、分散したワークフローに苦労しています。構造化された社内データベースと、構造化されていないメールやドキュメント、リアルタイムの分析結果、顧客とのやり取り、市場情報、自動生成されたインサイトを取り扱いながら仕事を進めなければなりません。このような環境によって、作業者は圧倒され意欲を失ってしまいます。
働く人々が整理された環境を求めていることは明らかです。世界中のユーザー企業の皆さまからもそのような声が直に届いています。Slack が構築した強力なソリューションなら、ユーザーはワークスペースを離れて情報を探し回る必要がありません。今コラボレーションを行っているその場所で、AI から適切なタイミングで適切なインサイトを得られるのです。
どうして仕事がこれほど困難になったのか?
いまだにナレッジへのアクセスが困難なのはどうしてでしょうか。その理由を知るために、組織がかかえる障壁について考えてみましょう。多くの企業で、次のような障壁が組織全体の生産性の低下を引き起こしています。
- ナレッジの断片化 : 部門、ツール、システム間で情報が分散しているために非効率が生じ、シームレスなコラボレーションが妨げられています。
- 認知的な負荷の増大 : 膨大な量の非構造化データを扱うために、働く人はつねにツールを切り替える必要に迫られており、それが精神的な疲労や明瞭性の低下につながっています。
- 対応スピードの低下 : ナレッジの検索に時間がかかることで、意思決定が遅れ、業務フローが中断され、重要なビジネスニーズへの対応力が低下します。真に革新的なテクノロジーは、人々の仕事を妨げるものであってはなりません。
さまざまな調査を確認したところ、その結果に驚かされました。デスクワーカーは、情報の検索、重複したメール返信、大量の書類の整理といった、生み出す価値の少ないタスクに仕事時間の 3 分の 1 を費やしています。世界中の組織で、膨大な時間が無駄になっているのです。
朗報もあります。スタンフォード大学の研究から、生成 AI によって、ナレッジの取得とワークフローの自動化にかかる時間を最大 60% 短縮できることが明らかになりました。一方で、得られるインサイトが日々増えるなか、Slack の Workforce Lab の調査によれば、デスクワーカーのうち AI を効果的に使用するためのトレーニングを受けたと認識している人はわずか 15% です。ユーザー企業の皆さまと話をするなかでも、そのようなトレーニングの不足が依然として続いていることがうかがわれます。未来に向けて新しい働き方を築いていくには、皆で力を合わせてこの課題に取り組む必要があります。
とくに注目に値するのは、明確な AI ポリシーを掲げている企業の従業員は、AI を使ってみる可能性が 6 倍も高いというデータです。つまり、リーダーが主導して実用最小限の AI プロダクトを従業員に提供し、従業員が実際にそれを使って、課題に対する新しい解決策を見出せるよう促すことが大切です。
AI が真に普及するには、それが人々の仕事を自然な形で補う存在になる必要があります。タスクを完了させるためにユーザーが別の場所に移動しなければならないようなものではなく、実際の仕事の流れのなかで、チームメイトとして自然に機能する必要があるのです。
ユーザー企業の皆さまとの会話のなかでも、従業員が複数のツールを切り替えながら、仕事に必要な情報を手作業で集めているという現状が聞かれます。このような非効率な環境により、あらゆる人が本来の力を十分に発揮できない状態になっているのです。
ナレッジを「検索する」から「獲得する」へ
分断された検索機能を超えて、AI がもたらすナレッジを業務に直接組み込み、適切な場面で適切なインサイトを得られるようにする必要があります。この変化を受け入れる組織は競争優位性を得られる一方、時代に合わなくなった検索モデルに固執する組織は、後れを取ることになるでしょう。
データでもそれが示されています。
- 世界経済フォーラムによると、雇用主の 86% は AI と情報処理テクノロジーによって自社のビジネスが 2030 年までに変革されると予測しています。
- Harvard Business School の最近の調査によると、AI を仕事で使っている人はタスクの完了スピードが 25% 速くなり、成果物の質が 40% 高くなっています。
- 92% の企業が今後 3 年間で AI への投資を増やす計画を立てています。一方で McKinsey によると、AI の導入が現時点で成熟していると考えているリーダーはわずか 1% です。
多くの人はいったん Slack を利用し始めると、その使いやすさを実感し、利用を継続します。Slack はそのような消費者グレードのアプリケーションでありながら、企業を牽引する大きな力をもっています。現在登場している AI は単に技術的なアップデートをもたらすだけでなく、ナレッジを利用する組織の文化を変革するものです。そのため、適切なデザインを通じて従業員を未来へと導くことが大切です。それにより、煩雑な変更管理を行う必要もなくなります。人々の働き方には改善の余地がまだ多くありますが、Slack はその改革の先陣を切っているのです。
Slack で会社全体にインテリジェンスを
このようなナレッジの危機に対応するため、Slack は「エンタープライズ検索」機能を発表しました。これはチームが今仕事をしている Slack 上で、あらゆる会話やファイル、サードパーティ製の連携アプリから、必要な情報を必要なタイミングで入手できる強力なソリューションです。これにより、情報を探すのにわざわざアプリケーションを切り替える必要がなくなります。
Slack が真に優れているのは、生データを実用的なインサイトに変換して、「会社の英知」を生み出せる点です。つまり、働く人は仕事に必要なナレッジを、その活用方法が簡単かつ正確にわかる形で得られるのです。
AI を活用した Slack のエンタープライズ検索では、その人のタスク、目標、背景に基づいた結果を提示。自分の役割やプロジェクトに合わせてパーソナライズされた情報が手に入ります。働く人同士がコミュニケーションを深め、情報を共有する機会が増えるほど、会社全体のナレッジも豊かになります。
あらゆるデータソースが相互に接続されていれば、Slack の検索バーに日常会話で使う言葉で質問を入力するだけで、探している情報が正確に見つかります。インデックス化やデータ保存の必要なく、いつでも最新の情報が手に入るのです。
これは単に AI を活用してナレッジを検索するだけでなく、AI で新たなナレッジを獲得するということです。つまり、人と AI がリアルタイムでコラボレーションし、より速くスマートに仕事を成し遂げ、さらに大きな結果をもたらす、インテリジェントなチームワークの新時代が訪れようとしています。
Google Drive、GitHub、Asana、Salesforce など、さまざまなシステムを接続することで、Slack は組織の集合知に 1 か所でアクセスできる、スマートなゲートウェイになります。自分の役割やプロジェクト、目標に合わせてパーソナライズされた情報を、Slack での仕事の流れの中で得られるのです。
Slack のエンタープライズ検索でできること
- AI を搭載したハブで、組織の集合知を一元管理する
- 頻繁に使うアプリやデータソースとシームレスに連携する
- 自分の権限に応じた回答をリアルタイムに取得する
- AI が単なる支援ツールではなくエージェントとして自律的に行動するための基盤を得る
このように Slack のエンタープライズ検索を活用すれば、誰かにたずねるまでもなく、必要な情報がすぐに直接手に入るのです。
Enterprise Grid プランをご利用で Slack AI のライセンスをお持ちのユーザー企業の皆さまは、正式リリースに先立ってエンタープライズ検索の試用をリクエストいただけます。ぜひ今すぐお試しいただき、チームの生産性向上への効果をご確認ください。