KPI を設定するメリットは?設定の手順やコツと併せて解説
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KPIとは?KGI、KFS、OKRとの違い、設定手順や設定例を紹介

KPI の設定は、企業の目標達成に重要や役割を果たします。 KPI を設定する必要性や、 KGI 、 KFS などとの違いのほか、設定するメリットや設定のコツについて解説します。

Slack チーム一同作成2023年4月5日

企業が目標達成を目指す際、KPI を設定するケースは少なくありません。新規顧客の獲得や顧客満足度など、さまざまなシーンで KPI を設定し、達成するために尽力した経験がある方も多いのではないしょうか。

今回は、そもそもなぜ KPI を設定する必要があるのか、根本的な理由に立ち返って解説します。 KPI の設定例や設定する際の基本的な手順にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

なぜ KPI を設定する必要があるのか?

KPI は Key Performance Indicator の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。

事業では中長期計画を立て、中長期計画を達成するための目標を年間計画に落とし込むのが一般的です。年間の目標を「売上対前年比 20% 増」に定めた場合、一年を通じて目標を達成するには、いつまでにどの程度の売上が必要なのかを、月次・週次などの単位で計算し、目標を立てます。その目標を着実に達成していくことで、大きな目標の達成を実現させることができます。

このように大きな目標を切り分け、より細かい単位で達成度を管理していくことが KPI を設定する主な理由といえます。目標達成をより確実にするために、 KPI による進捗管理が必要とされているのです。

KPI と OKR・KGI・KFS との違い

KPI は、目標までの達成度を計測・管理するために用いられます。そのため、大きな目標を達成するために複数の KPI が設定されるのが一般的です。 KPI 自体が最終的な目標ではなく、 KPI の先により大きな目的・目標がある点に注意してください。 KPI を理解するには、 KGI や KFS・OKR といったほかの指標との関わりを押さえておく必要があります。

KPI と OKR ・ KGI ・ KFS との違いについて、詳しく見ていきましょう。

KPI と OKR との違い

OKR は Objective and Key Result の略で、「目標と主要な結果」と訳されます。高い目標を達成するために、個人・チーム・企業全体といった単位で目標管理を行うための指標です。 KPI が必達目標として掲げられるのに対して、 OKR は全力で取り組んだとしても 100 %の達成は難しい水準に設定されます。

KPI の目的は目標達成に向けた進捗管理です。一方、 OKR はより高い成果を目指すための目標の共有化やコミュニケーション促進のために用いられます。

KPI と KGI との違い

KGI は Key Goal Indicator の略で、「重要目標達成指標」と訳されます。 KGI が最終的な目標・ゴールを表すのに対して、 KPI は KGI を達成するために必要なプロセスの目標数値といえるでしょう。

したがって、 KPI を設定する前に、まず KGI を設定する必要があります。そして、その KGI をプロセスに分解し、プロセスごとに計測可能な数値目標に落とし込んでいきます。こうして各プロセスに設定されるのが KPI です。

KPI と KFS との違い

KFS は Key Factor for Success の略で、「重要成功要因」と訳されます。目標を達成するために欠かせない要因を挙げる際に用いられる概念です。 KGI や KPI が指標であるのに対して、 KFS は要因を示している点が大きく異なります。

たとえ KPI を着実に達成しても、肝心なプロセスが抜け落ちていれば KGI は達成できなくなってしまいます。成功に向けて不可欠な要素に抜け漏れがないか確認するのが KFS の役割であり、各プロセスを数値目標化したものが KPI と捉えましょう。

KPI を設定するメリット

KPI を設定することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な 5 つのメリットについて解説します。

チームメンバーの意思を統一し、すべきアクションを明確にできる

チームで目標を達成するにあたって、メンバーの意思を統一しておくことは非常に重要です。達成すべき指標が明らかになっていれば、各自が果たすべき役割もクリアになります。KPI を設定することで、各々のメンバーがとるべきアクションが明確になり、目標達成に向けた努力の方向性を誤るリスクを低減することにもつながります。

目標を達成するまでのプロセスを可視化できる

KPI は目標達成に向けて必要な指標を数値化したものです。別の見方をすると、 KPI の達成を目指していけば、最終的な目標達成に向けて着実に近づいていくことができます。最終的な目標を達成するには具体的に何をすれば良いのか、プロセスを可視化したものが KPI なのです。 KPI を設定することでプロセスを可視化し、メンバーが何をするべきなのかを明示する効果が期待できます。

評価の基準が統一される

KPI は、チームやメンバーの評価基準を統一することにも寄与します。いつまでに何をどこまで達成するべきなのかが可視化されるため、実際の達成度を計測することで公平な評価をしやすくなるのです。

評価の透明性が高まり、その評価をメンバーに納得してもらえることも KPI を設定するメリットといえるでしょう。

メンバーのモチベーションやパフォーマンスアップに貢献する

KPI を設定し公表することは、メンバーに対して企業が「どのようなパフォーマンスを期待しているのか」を伝えることを意味します。メンバーは自分たちが果たすべき役割を把握するとともに、各自の担当業務が組織全体に役立っていることを実感するでしょう。

自分たちが組織に貢献できているという思いを強めることは、モチベーションアップやパフォーマンスアップにもつながるはずです。

企業力のアップにつながる

KPI を設定することで目標達成までのプロセスが可視化され、各自の果たすべき役割が明確化されます。実務で浮かび上がってきた課題や問題点を共有し、共通の目標を達成するために改善を図りやすくなるでしょう。結果として仕事の精度が向上し、企業力のアップにもつながる可能性があります。

部門別 KPI の設定例

KPI の設定方法について、部門別に具体例を紹介します。部門ごとに掲げる目標は異なるため、KGI を達成する上で必要な要素を抽出し、各要素に対して適切な KPI を設定しましょう。

営業部門の KPI

営業部門においては、売上目標を達成するために必要なアクションを設定し、アクションごとに目標数値を設定するといいでしょう。 KPI の設定例としては、次の要素が挙げられます。

新規顧客へのアプローチだけでなく、既存顧客へのフォロー状況や進行中の商談の進捗状況を判断するための指標も KPI に含めることが大切です。

マーケティング部門の KPI

マーケティング部門では顧客獲得のためのアクション内容と、各アクションに対する目標数値を定めるといいでしょう。具体的には次のような要素が想定されます。

マーケティング施策に対する費用対効果を客観的に計測できるよう、定量的に計測可能な数値を KPI に設定する必要があります。

技術開発部門の KPI

製造開発部門においては、製品が完成するまでのアクション(工程)内容に対する定量的な目標数値を設定しましょう。開発の質とスピードをバランス良く評価するための KPI を設定することが大切です。

技術開発部門の場合、商品化まで長期間を要するケースも少なくありません。中長期的な視点を持ちつつ、現場のモチベーションアップにつながるような KPI を設定することが重要です。

製造工場の KPI

製造工場では、生産量や品質目標達成のためのアクション内容と、定量的な目標数値を設定しましょう。具体的には、次のような指標が想定されます。

設定する KPI が偏っていると、品質管理・原価管理・納期管理のバランスが崩れる原因にもなりかねません。速く・安く・安全に必要量を製造するためにも、 3 要素をバランス良く評価することがポイントです。

KPI を設定する手順

KPI を設定する際には、 KGI 、 KFS 、 KPI の順に決定していくのが基本です。手順に沿ってそれぞれの設定方法について見ていきましょう。

KGI の設定方法

KGI は、年次・半期・四半期といった中長期の目標として定めます。ただし、漠然とした目標ではなく「いつまでに」「どれだけの数値を」達成するのかを具体的に決めることが大切です。

また、掲げる目標が達成可能であることも重要なポイントといえます。明らかに達成不可能な KGI を設定すると、結果として KPI も実現が困難なものになりかねません。 KGI を設定する際には、現実的なレベルの目標であるかどうかも考慮しましょう。

KFS の設定方法

次に、 KGI を達成するために必要な KFS を設定します。 KFS を抜け漏れなく抽出するには、次の手順を押さえておくことが大切です。

KPI の設定方法

選択した KFS の数値から、 KPI として適切なものを選出しましょう。 KPI に適切な指標かどうかは、 SMART の法則にあてはまっているかどうかで判断できます。

KPI 設定のコツ

KPI の設定は、高すぎても低すぎても、設定する効果がありません。ここでは、 KPI を設定する際に押さえておきたいコツを紹介します。効果的な KPI を設定するために、下記の 3 点を意識しましょう。

SMART の法則を意識する

KPI の設定に失敗するパターンの多くは、 SMART の法則から逸脱しています。下記のような KPI 設定になっていないか、指標を定めた際に必ずチェックすることが大切です。

KPI の設計は単純にする

KPI を設定する際には、達成すべき指標と必要なアクションが 1 対 1 で結びついていることが大切です。単純な設計になっていることで、具体的に何に取り組み、何を達成するべきかが明らかになります。

例えば、「アポイント件数を月平均 5 件増やすことにより、有効訪問件数を 1 件以上確保する」のように、複数の要素が含まれていると KPI に対する評価基準が複雑化します。この例では、アポイント件数と有効訪問数は別の指標に分けることで、 KPI の設計をより単純化する必要があるでしょう。

CRM や SFA などのビジネスツールを活用する

KPI の設定には、数値の裏付けが欠かせません。過去の顧客データや売上データを元に目標値を設定することで、具体的かつ現実的な指標を設定しやすくなります。

具体的には CRM (顧客関係管理/例:Service Cloud)ツールや SFA (営業支援/例:Sales Cloud)ツールを活用し、実際の顧客データや売上データにもとづいてKPIを設定しましょう。 CRM や SFA は KPI の進捗管理や PDCA サイクルの実践にも役立ちます。定量的な数値管理を無理なく実践していくためにも、ビジネスツールの活用をおすすめします。

自社独自の KPI 設定方法を確立する

KPI の設定は、従業員の成長のみならず、企業の成長に欠かせません。そのため、自社のビジョンに沿って、独自の KPI 設定方法を確立している企業もあります。

例えば、Salesforce では、経営陣を含む従業員が、それぞれ「V2MOM」という管理手法をもとに1年を通して目標、アイデア、機会を明文化し共有します。

設定した V2MOM は、全社に公表されます。すべての従業員がお互いに V2MOM を閲覧し合うことで、企業の成長にどのように関わっていきたいのかを確認することもできます。

 

企業規模が大きくなると、経営陣の声を従業員一人ひとりに届けることが難しくなることもあります。しかし、V2MOM のような、自社のビジョンに即した KPI の設定方法を確立することで、従業員は自社への理解を深め、業務に対するモチベーションを上げることにもつながります。より効率的に目標を達成することができるだけではなく、従業員エンゲージメントの向上にも貢献できるしょう。

ビジネスツールと Slack との連携でさらに効率アップ

KPI の設定や、それに関連する指標を策定するには、先述のようにさまざまなデータが必要です。 CRM や SFA など複数のツールを利用している場合、 Slack と連携させることでデータのやりとりをスムーズに進めることができます。

例えば、 MA ツールを活用して見込み顧客に配信したメールマガジンの開封率やクリック率、 SFA を活用して計測した営業データの分析結果など、 KPI の策定に必要なデータはツールによって異なります。

そこで、これら複数のツールを Slack で一元管理すれば、データを取得するために、毎回、各ツールを起動させる必要がないため、効率的に KPI を策定できるでしょう。

さらに、Slack は、コミュニケーションツールとして、複数人での情報共有に適しているため、策定した KPI も迅速な共有が可能です。

状況に応じた共有方法

Slack は、複数人で情報共有ができるグループチャットや、 1 対 1 でやりとりができるダイレクトメッセージのほか、音声でやりとりできるハドルミーティング、顔を見ながら話せるビデオ会議といった機能を備えています。データを確認しながらハドルミーティングやビデオ会議で議論をすることも可能です。

高いセキュリティ性で安心・安全

Slack のセキュリティはグローバルスタンダードです。 KPI や KPI を設定するために必要なデータの共有には、機密情報のためセキュリティ性の高いツールを利用することが大切です。特定の業界における規制やセキュリティ基準も満たしている Slack なら、データを安全にやりとりできます。

Slack が基準を満たしているセキュリティおよびプライバシー基準には、下記のようなものがあります。

適切な KPI の設定が企業の生産力向上につながる

事業やプロジェクトの目標を着実に達成していくには、 KPI の設定と達成度の管理が欠かせません。目標達成までのプロセスを可視化し、取り組むべきアクションを明確化するためにも、適切な KPI を設定しましょう。

今回ご紹介したポイントを参考に、自社での KGI ・ KFS ・ KPI の設定に取り組んでみてください。目標達成に向けた進捗管理がしやすくなるだけでなく、メンバーのモチベーションアップや企業力アップなど、数多くのメリットを得られるはずです。

よくある質問

KPI は「重要業績評価指標」のことで、中長期計画の達成に向けて、年次・月次・週次などの単位で、目標までの達成度を計測・管理するために設定するものです。それに対して OKR は「目標と主要な結果」を意味し、高い目標を達成するために、個人・チーム・企業全体といった単位で目標管理を行う指標のことです。KGI は「重要目標達成指標」で、最終的な目標・ゴールを表します。一般的に KGI を設定し、プロセスに分解した後で、プロセスごとに計測可能な数値目標を立てますが、このプロセスごとに設定されるのが KPI です。 KFS は「重要成功要因」を意味し、KGI、KPI を達成するために必要な要因を示すものとなります。
KPI を設定することで、チームメンバーそれぞれがとるべきアクションが明確になるため、目標達成に向けた努力の方向性を定めることにつながります。また、KPI を達成していけば最終的な目標達成に着実に近づいていけるため、目標達成までのプロセスを可視化できることも KPI を設定するメリットといえるでしょう。ほかにも、評価の基準を統一できる、メンバーのモチベーションやパフォーマンスの向上に貢献できることもメリットに挙げられます。これらの結果、仕事の精度も上がり、企業力のアップにつながることも期待できます。

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ご意見ありがとうございました!

うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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