小規模ビジネス(従業員が 1~9 人)では管理業務に毎週 15 時間を費やしていると知っていましたか?これは Starling Bank の「2020 Make Business Simple」レポートからの情報です。個人企業家になるとその時間はさらに長く、1 週間の 31% の時間が財務整理に使われています。ビジネスオーナーやマネージャーならおわかりかと思いますが、やらなければならない重要な仕事はたくさんあり、管理業務や財務整理などの事務処理はその 1 つにすぎません。これは時間管理がいかに重要であるかということを明確に示しています。
仕事の時間をうまく管理する方法
時間管理とは、仕事を最大限に効率化するために、時間を有効に使い、意識的にコントロールする方法を考えることです。つまり、より短い時間で、より多くのことを行えるようにします。ほかにも次のようなメリットがあります。
- 仕事の質が上がる
- ストレスが減る
- 戦略的またはクリエイティブなプロジェクトに取り組む時間をさらに確保できる
- 先延ばしが少なくなる
- 自信がつく
この記事では、時間をうまく管理する方法を一緒に見ていきましょう。
1. 今の時間の使い方を把握する
ある一定の期間におけるアウトプットで生産性が評価される場合、時間を有効活用しない状態はお金を無駄にするようなものです。予算を立てるのと同じように、実際どのようなことに時間を使っているかを追跡し、目標達成を妨げている領域や習慣を明らかにする必要があります。
そこでまず確認すべきは、今の時間の使い方です。RescueTime などの時間追跡ツールを使用すると、設定したカテゴリーに基づいて、1 日のうち何時間を生産的の高い仕事に費やしているか、また何時間を仕事とは関係のないアクティビティ、例えばソーシャルメディアの閲覧やショッピングに使っているかがわかります。
2. 1 日のスケジュールを守る
これは「8 時間で XYZ を行う」といった大まかなものではありません。 1 日のスケジュールを作成し、それぞれのタスクに時間枠を割り当てます。そのスケジュールを守ることが、成功の秘訣です。
- 現実的なタイムラインにする。人が自分の仕事の能力を過大評価すること(研究者からは「計画ミス」と呼ばれます)により、納期の見積もりが甘くなるケースはよくあります。1 つのタスクが時間どおりに運ばなくても、全体的なスケジュールが変わらないように、タスクとタスクの間には時間的な余裕を持たせましょう。
- 集中する。勤務時間中に仕事とは関係のないサイトや用事をこっそり見たり行ったりするのはやめましょう。ブラウザで「あとで見る」ために取っておいたタブはすべて閉じ、スマホは休憩時間になるまで電源を切るか、手の届かないところにしまってください。ここでもやはり、自己管理が最も大切です。
3. 優先順位をつける
仕事を効率化するうえで非常に役立つのが To-do リストです。しかし気をつけないとリストが大きくなりすぎて、どこから手をつければいいのかわからなくなります。Eisenhower Matrix というツールは、重要性と緊急性に従って優先順位をつけるうえで役立ちます。この決定マトリックスを使えば、リストを次の項目ごとに分類できます。
- 今すぐ実行 : 締め切りが決まっている重要なタスク、または長い間先延ばしにしていたため期限が過ぎてしまったタスク
- あとで実行 : 締め切りが決まっていない重要なタスク
- 委任 : ほかの人に任せられるタスク
- 削除 : 目標またはミッションの達成にはそれほど重要でないため削除できるタスク
4. 特に大変なタスクにまず取り組む
電話、同僚からの頼まれ事、山積みの汚れたお皿などによって気が散ることはよくあります。そして気がつくと、1 日が終わっているのです。そこで今こそ、「カエルを食べる」時です。
リーダーシップのエキスパート Brian Tracy 氏が考案した、仕事を効率化するための「カエルを食べる」手法は、物事を先延ばしにしがちな人や、すぐに気が散ってしまう人には効果的です。この手法では、特に大きく、特に困難で、特に重要なタスクから先に取り組むことを勧めています。そうしたタスクは通常あと回しにしがちです。まずは「カエルを食べて」から、別のことに進んでください。
5. 似たようなタスクを一括処理する
バッチ処理または一括処理とは、似たようなタスクをグループ化して、まとめて処理することです。目的や機能に基づいてタスクをグループ化してください。
次に例を示します。
- 水曜日と木曜日に顧客ミーティングを実施
- 午前 10 時から 11 時の間にのみメールに対応
- 朝一番にレポートを作成し配信
6. 妥当な期限を設定する
パーキンソンの法則とは、「仕事は、完成までに利用可能な時間をすべて満たすように拡大していく」というものです。
3 時間で済むはずの 2 つの仕事でも、その仕事に 1 日かけてもよいのであれば、多くの場合、丸 1 日使ってその 2 つの仕事を完了させることになります。時間枠を小さくすれば、もっと早い締め切りに間に合うかもしれません。
7. 断るタイミングを知る
1 日のエネルギーには限界があり、時間とともに消耗します。仕事が中途半端にならないように、自分の限界を知り、無理な時は断りましょう。自分の強みと弱みを認識してください。自分の得意なことにフォーカスし、ほかの人の方がうまく短時間で行えることは、可能であればその人に任せます。
8. マルチタスクを避ける
マルチタスクについて科学的に明らかなのは、効率が落ち、危険でさえもある、ということです。アメリカ心理学会によると、複数の仕事をやりくりする時の気持ちの切り替えには「スイッチングコスト」が伴い、生産性を低下させます。タスクを切り替えるコストは 1 回あたりわずか数秒です。しかし、頻繁に行われれば、そのコストは増えていきます。さらにミスが発生するリスクも急激に高まります。
9. 物事が整理されている状態を保つ
次のいずれかに心当たりがある場合は、整理のしかたを変える必要があるかもしれません。
- 自分が進行するミーティングに遅れたことがある
- プレゼンテーションに必要なレポートを上司のために印刷するのを忘れたことがある
- ユーザー名とパスワードを IT 部門に何回も問い合わせたことがある
でも心配はいりません。整理のスキルは学んで身につけることができます。まずは基本から始めましょう。
- 作業デスクをきれいに保つ。「ナショナルジオグラフィック」誌によると、心理学者や神経科学者の研究によって散らかった状態が認知力、精神衛生、行動に影響することが明らかになっているようです。散らかった状態を目にすると、ストレスレベルが上がって不安が増し、闘争・逃走反応を引き起こします。よりよい意思決定を行うために、シュレッダーやリサイクルに回せる書類はすべて処分してください。不要なものは片づけ、毎日使うものは手の届くところに置いておきましょう。
- 自分のコンピューターのファイルや共有ドライブを整理する。デジタルファイルを整理するには、ファイルの名前が大事です。命名規則を決めて、自分と同僚がすばやく簡単に目的のファイルを見つけられるようにしてください。
- カレンダーを使用する。カレンダーを、「プライベート」「仕事」「決意」などのカテゴリーで整理します。 カテゴリーや緊急性をすばやく区別できるように、色分けしてみてください。
10. 時間管理ツールを使用する
仕事を大幅に効率化できる、仕事効率化ツールや自動化ツールを活用しましょう。例えば次のようなものがあります。
- Slack を使用すると、チームのコミュニケーションを 1 か所でチャンネルごとに整理できます。果てしなく続くメールスレッドからプロジェクトの詳細を発掘する必要はもうありません。
- Dropbox または OneDrive は、ファイルの保存、共有、バックアップに利用できます。権限を持つチームメンバーは、クラウドに保存されたファイルに、24 時間 365 日アクセスできます。
- Google カレンダーと Outlook の予定表では、毎日、毎週、毎月のスケジュールを把握・管理できます。Slack と連携させると、関連するチャンネルに自動アラートやリマインダーが直接届きます。
- Canva と Lucidchartは、デザインや作図のためのツールです。デザインが苦手な人でも、プロ並のテンプレートを作成できます。
時間をうまく管理して大幅な効率化を実現
パフォーマンスの高いチームのほとんどが、時間を最大限に活用する方法を把握しています。このような時間管理のベストプラクティスによって、時間を取り戻し、仕事を効率化して、ストレスレベルを下げましょう。