この記事は、働き方の変化やその背景、それに対して会社やチームのリーダーができることを考える全 5 回シリーズの第 3 回です。この記事が皆さまの組織にとって新しいアイデアが生まれるきっかけになると幸いです。生まれたアイデアはぜひ Slack Twitter フィード(@SlackHQ)で共有してください。
ほとんどの国で現在行われている働き方は、産業革命から続く伝統的なトップダウン式のビジネス文化をもとにしたものです。
- 意思決定は、上級管理職だけが密室で行う
- 情報へのアクセスは厳しく管理され、公開には非常に慎重。また高度に専門化したタスクをこなす従業員には背景情報など必要がないと見なされる
- 新規採用者研修は、ミーティングや通話などコストのかかる方法で行う
メールはこうした仕事のスタイルを自然と受け継いだことで、この働き方は定着していました。1 対 1 のメッセージや閉じたスレッドは、情報を厳しく管理して従業員に意思決定に関わらせないようにするにはよい方法だったのです。
しかし現在、多くの国でボトムアップの企業文化が登場し、パンデミックによってその傾向が加速しています。そこでは、オープンであることが基本です。意思決定が公開の場で行われることが増え、メールが選ばれることはほとんどなくなりました。
優れた顧客体験がますます求められていることも、この新しいオープンな企業文化が拡大している主な要因です。カスタマーサービス担当者が顧客への返金に 5 段階の承認を得なければならないとしたら、顧客は離れていくでしょう。オープンで透明性のある文化を大規模に実現した事例が HubSpot です。その成功の理由は、顧客を中心に文化を築いたことです。
「皆が働きたくなるような文化を作るうえで常に目指してきたのは、透明性と自律性を重視することです」
詳しくは、『働き方の大転換を生き抜くには』を参照してください。
ニューノーマル : 仕事にもっとアジリティを
従業員の関与とエンパワメントを求めるトレンドは、避けられない流れでしょう。それらの効果は絶大です。
- 十分な情報を得た従業員による質の高い意思決定
- 従業員が自社のミッションの一端を担っていると感じられ、エンゲージメントが向上
- 全員が自社戦略とチームの優先事項を把握し、目指す方向が一致
- 顧客や市場の変化を受けた素早い方向転換が可能に
- 関連する会話をすべて集約できるため、新メンバーの研修が効率化しコストが減少
- 仕事を妨げるデータ・ナレッジ・プロセスのサイロ化がなくなり、部門や会社間のコラボレーションが円滑化
昔ながらの指揮統制型リーダーシップは、この先もしばらくは続くでしょう。環境によっては(海底油田掘削プロジェクトなど)、それが必須の場合もあるかもしれません。しかしここでも、トレンドはオープンでインクルーシブな方向へと加速しています。
Slack コネクトで仕事をもっとスムーズに
価値が 1 つの企業体ではなくエコシステムとして提供される「拡張された企業体」モデルが登場したことで、パートナー、サプライヤー、ベンダー、顧客の各組織間の安全なコラボレーションが必要になっています。Slack コネクトなら簡単にそれが実現します。すでに 52,000 の世界的組織で採用され、その数は今も増加中です。
そうした企業では、次のような効果が出ています。
- 営業チームの商談サイクルが 4 倍に加速
- カスタマーサポートチームのバックログチケット数が 64% 減少
- 事業開発チームの企業買収スピードが 2 倍に
決済処理プラットフォーム Stripe は、最も早く Slack コネクトを導入した企業の 1 社であり、パンデミック下でさらに活発に利用しています。それにより、営業担当が商談をまとめるまでの時間が減少しただけでなく、契約締結前から手続き中、締結後まで、商談相手の関与がある「Stripe 独自の」営業プロセスが生まれました。詳しくはこちらから。
「人々をつなぎ、スピーディに動き、エンゲージメントを高めたいと考えるなら、会話をオープンにしてください。メールに閉じ込めていてはいけません」
次に必要なこと : 社内の風通しをよくする
Slack の ナレッジワーカー意識調査 では、全体像の把握はもはや経営幹部だけの領域ではないことが明らかになりました。また、企業戦略が定期的に共有されていることと、従業員が自社を「優れている」と評価することには直接的な相関関係が見られました。その項目は昇進、コラボレーション、コミュニケーション、テクノロジーの効果的な利用、生産性、士気、研修、ワークライフバランス、文化、フィードバックに対するオープンさなど多岐にわたります。
世間から評価の高い企業の多くでは、経営幹部は従業員が自分たちのために働くものだとは考えていません。経営幹部が従業員のために働いているからです。Robert K. Greenleaf 氏が提唱した「サーバントリーダーシップや、 Simon Sinek 氏によるベストセラー『リーダーは最後に食べなさい!: 最強チームをつくる絶対法則』は、どちらもこの考え方に基づいています。
従業員への奉仕は、まず従業員が仕事をするために必要な情報を提供すること、そしてナレッジの共有を推進するオープンな職場環境を作ることから始まります。
- たまたま本社で働いている人だけを特別扱いするのではなく、働いている場所に関わらず誰でも参加できるようにする
- 社内コミュニケーションを見直す。コラボレーションに使うツールで、仕事自体の形も必然的に決まります
- 全員参加型のコミュニケーションを増やし、将来参照できるように内容を保存しておく(Twitter が Slack を活用して 4,900 人以上の従業員をリモート移行し、グローバルな全社ミーティングを実現した方法はこちらから)。
- 双方向にオープンになる。「聞く」を「話す」と同じくらい簡単にしましょう
「経営幹部と現場の従業員との間に物理的な壁はありません。あえてそうしています。当社では、文字どおり従業員が CTO や共同創業者に直接連絡し、自分が進めているプロジェクトについてさくっと質問することができるのです」
長年使われてきたメールは、ある種のコミュニケーションには今後も役立つでしょう。しかし現在行われているような部門の垣根を越えた素早いコラボレーションにぴったりのツールとは言えません。
オープンでインクルーシブな文化を目指す企業ではメールに代わり、Slack が実現するチャンネルベースのメッセージが急速に広まっています。Slack の CEO 兼共同創業者の Stewart Butterfield は、こう表現します。「すべてのコミュニケーションがチャンネルに移行すれば、誰に質問すればよいか、どこで最新情報を報告すべきか、あとから参加した人がどこで情報を得られるか、誰にでもわかるようになります。その効果は絶大です」。
シリーズの次回記事 :息切れを迎えたアナログ業務