デジタルワークプレイスとは?導入のメリットやデメリットなどを紹介
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デジタルワークプレイスとは?導入のメリットやデメリットなどを紹介

デジタルワークプレイス(DWP)が注目を集めています。デジタルワークプレイスの概要や導入するメリット・デメリット、デジタルワークプレイスを導入する際のポイントを解説します。

Slack チーム一同作成2024年5月26日

デジタルワークプレイス(DWP)は、場所を問わず働く環境を構築できることで、注目を集めています。これは、リモートワーク(テレワーク)が身近な働き方のひとつになりつつある、働き方の多様化が進む中では当然の流れと言えるでしょう。

今回はデジタルワークプレイスの概要や導入するメリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。デジタルワークプレイスを導入する際のポイントもまとめていますので、ぜひ役立ててください。

デジタルワークプレイスとはデジタル空間の仕事環境のこと

デジタルワークプレイスとは、デジタル空間に構築された仕事環境のことを指します。すべての業務をデジタル空間内で完結できることが、デジタルワークプレイスの大きな特徴です。デジタルワークプレイスが注目されている背景や、構築するうえで必要とされる要素について確認しておきましょう。

デジタルワークプレイスの概要

デジタルワークプレイスは、クラウドサービスをはじめさまざまなソリューションの組み合わせによって構築されます。例えば、クラウドストレージやビジネスチャット、ビデオ会議システム、ワークフローシステムといった、複合的なツールの活用によって構築される仕組みのことです。

デジタルワークプレイスは、単に労働環境をデジタル化することを指すのではありません。デジタル技術を活用し、業務効率や生産性を高め、ひいては従業員の満足度向上にも寄与する役割も果たしています。

デジタルワークプレイスが注目される背景

近年、デジタルワークプレイスが注目されている背景には、「デジタル技術の進歩」と「働き方改革の推進」という 2 つの側面があります。

デジタル技術の進歩により、業務に必要な仕組みをデジタル空間に構築できるようになりました。単にデータのやりとりをデジタルツールで行うだけでなく、コミュニケーションや進捗管理、勤怠管理などに必要な機能をデジタル空間へ集約できるようになったのです。
こうした環境の構築が技術的に可能になったことが、デジタルワークプレイスが注目されている背景といえます。また、国が働き方改革を推進していることも、デジタルワークプレイスが注目されている理由のひとつです。

デジタルワークプレイスを実現する「5Any」

デジタルワークプレイスを実現するには「5Any」の条件を満たす必要があります。5Any とは、「Anytime(いつでも)」「Anywhere(どこでも)」「Anybody(誰でも)」「Any Device(どのデバイスでも)」「Any Application(どのアプリケーションでも)」のことです。
現実的には、上記のすべての条件を一度にすべて満たすのは困難なケースもあるでしょう。しかし、5Any の実現に向けて足りない条件を補っていくことが、デジタルワークプレイスを構築する際の指標となります。

この 5Any を満たすにはパソコンやスマートフォン、タブレットといった IT 機器と、場所を問わず必要な情報にアクセスするためのクラウドサービスが必要です。また、クラウドサービスで不正アクセスやマルウェアなどの侵入を防ぐための、セキュリティソリューションも必須になります。

デジタルワークプレイス導入のメリット

デジタルワークプレイスを導入することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。企業側からの視点と従業員側の視点から見ていきましょう。

従業員のパフォーマンス向上

業務に必要な仕組みがデジタル空間に集約されることで、従業員のパフォーマンスが向上する可能性があります。デジタルワークプレイス上であらゆる情報にアクセスし、業務を完結できるからです。従業員のパフォーマンス向上は、組織全体の業績伸長にも寄与します。

従業員の連携と意思疎通の強化

ビジネスチャットや社内 SNS といったコミュニケーションツールを最大限に活用できることも、デジタルワークプレイスの大きなメリットです。充実したコミュニケーションは従業員の連携を強め、豊かな意思疎通を実現するでしょう。

業務の効率化

あらゆる場所から業務が可能になることは、業務の効率化にも寄与します。対面で話す機会を設けることなく報告・連絡・相談を行い、スピード感のある意思決定ができるからです。
会議や打ち合わせに関しても、会議室の予約や紙の資料配付といった工程を省略できます。このように、業務が効率化して生産性が向上することは、デジタルワークプレイスを導入する大きなメリットといえるでしょう。

リモートワークの推進

デジタルワークプレイスが構築されれば、リモートワークを推進しやすくなるメリットがあります。デジタルワークプレイスが従来のオフィスに代わる拠点となり、デジタル空間で業務を完結できるからです。従業員側のメリットとしても、在宅勤務など任意の場所で就業可能となり、働き方の選択肢がいっそう広がります。

ペーパーレス化

ペーパーレス化の推進を後押しすることも、デジタルワークプレイスのメリットのひとつです。業務上やりとりする書類は、デジタル空間においては必然的にデータ化しなくてはなりません。ペーパーレスへと移行することは、社内の手続きを電子帳簿保存法に則したものにする側面もあります。

DXの推進

デジタルワークプレイスの導入は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも寄与します。DX 推進の障害は、従業員の意識や企業体質などいくつかあります。そこで、DX 導入の第一歩としてデジタルワークプレイスを導入し、オフィスからデジタル空間へと業務の拠点を移すことで発生するメリットを認識すれば、その後の展開もスムーズになるでしょう。

営業手法のアップデート

デジタルワークプレイスの導入に伴い、営業手法のアップデートが促される点もメリットです。非対面での営業手法であるインサイドセールスはデジタルワークプレイスと親和性が高く、従来のフィールドセールスに代わる営業手法として機能する可能性があります。結果として、従業員 1 人あたりの担当可能な顧客数が増えたり、移動時間を削減したりすることにもつながるでしょう。

就業場所が自由

デジタルワークプレイスは、場所を問わずアクセスできる点も大きなメリットです。就業場所の制約を受けないので、従業員の通勤時間や移動時間を削減できるほか、転勤によって生じるさまざまな負担を強いる必要もありません。地方や国外など、あらゆる場所で従業員が就業可能となるだけではなく、居住地にとらわれずに多彩な人材を採用できます。

プライベートの充実

従業員のプライベートが充実することも、デジタルワークプレイスの大きなメリットといえます。デジタル空間であらゆる業務が完結するため、通勤時間が不要となるからです。
空いた時間を勉強の時間にあてたり、趣味に費やしたり、家族や友人と過ごす時間を確保したりすれば、従業員のスキル向上やメンタルヘルスの改善にも寄与するでしょう。

デジタルワークプレイス導入のデメリット

デジタルワークプレイスには多数のメリットがありますが、さまざまな課題点があることも知っておく必要があります。想定されるデメリットは下記のとおりです。

コミュニケーションが不足する

対面で直接話す頻度が下がることで、コミュニケーション不足が発生します。結果として相互理解が低下したり、人間関係が希薄化したりする可能性も否定できません。組織への帰属意識や従業員エンゲージメントといった意識面に影響を及ぼすことも想定されます。

デジタルワークプレイスを導入する際には、業務上必要な連絡だけでなく、日常の雑談なども含めたコミュニケーションを充実させることが重要です。ビジネスチャットなどを積極的に活用し、意識的にコミュニケーションの機会を増やしていく必要があるでしょう。

勤怠管理・人事評価が難しい

非対面の就業環境で課題になりやすいのが、「勤怠管理」と「人事評価」です。勤怠管理システムを導入することで出勤・退勤の申請・承認は可能になるものの、休憩時間や「中抜け」の時間をどう管理するのか、十分検討しておかなくてはなりません。
また、労働時間によって人事評価が決まるのではなく、アウトプットとプロセスの両面から評価する人事評価制度を整える必要もあります。

セキュリティが煩雑になるおそれもある

デジタルワークプレイスにおいては、パソコンとスマートフォン、タブレットなど、従業員が複数のデバイスを使い分けることが想定されます。組織として管理すべき端末が増えると同時に、すべての端末にセキュリティ対策を施さなくてはならないため、管理が煩雑になることは十分に考えられるでしょう。

そこで、アクセス権限の設定やユーザー認証の厳格化など、不正アクセスやマルウェア侵入を防ぐ仕組みを整えたり、私物デバイスの使用ルールを定めたりしておくことが大切です。

ペーパーレスへの対応

デジタルワークプレイスでは物理的な書類ではなく、データでのやりとりが基本となります。必然的にペーパーレス化を推進する必要に迫られるでしょう。会議資料や各種報告書などの社内文書をはじめ、契約書・請求書・見積書・受領書といった社外とやりとりする文書も含めて、電子化を検討する必要があります。

ですが、取引先によっては、データによる文書の授受に対応していない可能性もあります。デジタルワークプレイスを導入する際には、取引先のペーパーレス対応状況についても確認しておくことが大切です。

デジタルワークプレイス導入のポイント

デジタルワークプレイスを導入するにあたって、押さえておきたいポイントをご紹介します。デジタルワークプレイスのメリットを最大限に引き出すためにも、下記のポイントを実践していくことが大切です。

業務に適したツールを利用

デジタルワークプレイスを導入する場合、さまざまなツールを複合的に組み合わせるため、各ツールの選定が重要です。自社の業務実態に合ったツールを選定することはもちろん、必要な機能などを十分に考慮しておく必要があるでしょう。

ツールは多機能であれば使いやすいとは限りません。機能が多すぎることで、かえって操作が複雑になる場合もあるからです。トライアル期間などを活用して、現場での使い勝手を確認したうえで導入すべきツールを選ぶことをおすすめします。

就業規則の再設定

対面での就業環境からデジタルワークプレイス環境へと移行することにより、これまで運用してきた就業規則では対応できないケースが発生する可能性があります。
例えば、在宅勤務にすることで、仕事とプライベートとの垣根が低くなることが想定されるでしょう。いわゆる中抜け時間を休憩として扱うのかなど、検討しておくべき点は多々あります。既存の就業規則のうち、デジタルワークプレイスでの就業実態に見合わないものをピックアップし、再設定しておくことが大切です。

セキュリティの対策

デジタルワークプレイスを実現するには、インターネットへの常時接続が必須です。従来のように社内と社外を隔てる「壁」を設けるという発想では、適切なセキュリティ対策を講じられません。不正アクセスやマルウェア侵入の脅威をどのようにして防ぐのか、対策を検討しておく必要があるでしょう。

具体的には、社内ネットワークへの侵入を防ぐという境界防御の考え方から、端末ごとにセキュリティ対策を講じるエンドポイントセキュリティやゼロトラストセキュリティの考え方へとシフトすることが求められます。

ネットワーク環境の改善

デジタルワークプレイスにおいて快適な業務環境を実現するには、ネットワーク環境の改善が求められます。多数の従業員が同時にアクセスすることを前提に、通信速度や通信の安定性を確保できるよう、実際に発生しうるデータ量やサーバーの負荷を想定しておく必要があります。現状の回線速度に不安があるようなら、ネットワーク環境のリプレイスも含めて検討するべきでしょう。

デジタルワークプレイスとして Slack を活用する

デジタルワークプレイスでのコミュニケーションを充実させるには、インテリジェント プロダクティビティプラットフォームの Slack を活用することをおすすめします。非対面の就業環境において効果を発揮する Slack の機能は下記のとおりです。

報告や共有はチャンネル投稿やクリップで行う

報告事項や共有事項を Slack のチャンネル内でやりとりすることで、メールよりもスピーディな対応が可能となります。複数の関係者をワークスペースに招待することにより、チームやプロジェクト単位でのコミュニケーションも可能です。非対面の就業環境下であっても、対面に近いやりとりができるでしょう。

また、Slack には音声や動画を共有できる「クリップ」機能が備わっています。テキストでは伝えにくい内容をクリップで共有すれば、よりスムーズな伝達が可能です。字幕表示にも対応しているため、外出先など音を出せない環境下でも共有された内容を確認できます。

ワークフローやアプリ連携を活用して定例会議や定型業務をSlackに置き換える

Slack のワークフロー機能やアプリ連携を活用すれば、定例会議を Slack 上で置き換えることが可能です。例えば、事前にチャンネルやワークスペースにて資料を共有したうえで、Slack のビデオ通話機能を活用してオンライン会議を開催することもできます。

また、Slack のワークフローを活用することで、さまざまな定型業務を自動化できます。外部アプリとも連携できるため、既存のツールを Slack に集約して定型処理を自動化すれば、業務効率化や生産性向上を実現しやすくなるでしょう。

突発的な対応や簡易な相談は、ハドルミーティングを使ってクイックに対応する

非対面の就業環境においては「電話やメールで確認するほどではないものの、可能であれば相談しておきたい」といったケースもあるでしょう。Slack のハドルミーティングを活用することで、チャンネルやダイレクトメッセージから音声通話やビデオ通話が可能です。突発的な対応や簡易な相談に関しては、ハドルミーティングを活用することで、より迅速な対応がしやすくなるでしょう。

働く場所や時間帯が異なるメンバーであっても円滑にコミュニケーションをとる

デジタルワークスペースは、働く場所や時間帯を柔軟に選択可能です。裏を返せば、働く場所や時間帯が異なるメンバーが混在することになります。Slack のクリップやテキスト投稿は非同期通信ですから、各自が都合の良いタイミングで確認・対応できます。このような多彩な情報共有の手段が用意されている点も、デジタルワークプレイスで Slack を活用するメリットなのです。

議事録やリソースなどは canvas に集約し、社内のナレッジとして蓄積する

オンラインで実施した会議の議事録や資料類は、ナレッジ共有スペース canvasに集約・蓄積していくことをおすすめします。canvas には文書はじめ、画像や動画などさまざまな形式のファイルの埋め込みが可能です。canvas に蓄積された社内ナレッジは、Slack 内を検索することで簡単に見つけられますので、人材育成のためのツールとしても活用できるでしょう。

デジタルワークプレイスの導入効果を最大限に引き出そう

デジタル空間に仕事環境を構築するデジタルワークプレイスは、デジタル技術の進歩や働き方改革の推進に後押しされ、いっそう浸透していく可能性があります。
ですが、デジタルワークプレイスを導入する際には、対面での働き方とは異なる仕組みや注意点が求められます。今回紹介したポイントを参考に、デジタルワークプレイスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

デジタルワークプレイスの導入によって、「従業員のパフォーマンス向上」「従業員の連携と意思疎通の強化」「業務の効率化」「テレワークの推進」「ペーパーレス化」「DXの推進」「営業手法のアップデート」「就業場所が自由になる」「プライベートの充実」といった多数のメリットを得られます。業務に必要な仕組みがデジタル空間に集約されることで、業務の質を向上させることも可能です。
デジタルワークプレイスは、さまざまなツールを複合的に組み合わせて実現される仕組みのため、自社の業務実態に合ったツールを選定することが大切です。インターネットへの常時接続が前提となるため、不正アクセスやマルウェア侵入を防ぐためのセキュリティ対策も求められるでしょう。また、快適な業務環境を実現するために、ネットワーク環境を改善しておくことも重要なポイントです。ほかにも、就業規則に関してもデジタルワークプレイスでの就業実態に見合うよう、再設定しておく必要があります。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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