RBC Wealth Management-U.S. の中心にあり、クライアントに提供する金融ソリューションの基盤となるもの、それはイノベーションです。そのため、同社は技術部門とサポート部門を革新するための戦略的プラットフォームとして、Slack を選びました。
ファイナンシャルアドバイザーが、画面の切り替えや、バックエンドの管理・書類業務に費やす時間を削減できれば、それだけ新しい見込み客の発掘や既存のクライアントとの関係強化に時間を充てることができます。RBC Wealth Management のチームは、Slack を導入することで、アプリケーションの開発スピードの向上、問題解決までの時間の短縮、技術的なエラーの削減を実現。こうした改善の積み重ねが全体的な効率アップにつながり、従業員は収益向上に貢献する価値の高い仕事に注力できるようになっています。
Dreamforce 2023 にて、RBC Wealth Management-U.S. の Head of Technology を務める Greg Beltzer 氏から、Slack でどのようにチームの働き方を変革したのか、そして今最も注目している Slack の新機能は何かなどについてお話をうかがいました。ここではその内容をお伝えします。
Slack で効率アップを大規模に
顧客基盤の拡大とロイヤルティ向上のため、RBC Wealth Management のチームはこれまでに Salesforce の Financial Services Cloud に多くの投資をしてきました。そのうえで同チームは、複雑な課題や急を要する問題に対処できるようなプロダクティビティツールを求めていました。つまり、すでにある Salesforce のシステムと簡単に接続でき、自動化によって広範な顧客データをさらに効果的に活用できるようなツールを探していたのです。
「当社には膨大なデータがあります。しかも、多くの自動化機能を Financial Services Cloud に組み込んでいるため、これを Salesforce 以外のプラットフォームに拡張するとなると多大なコストがかかってしまいます」と Beltzer 氏は話します。
「Slack は簡単に Financial Services Cloud に接続できるため、従業員はいま仕事をしている場所からすぐにデータを確認して活用できます」
このような要件をクリアするのにぴったりだったのが Slack です。Slack により、同社のファイナンシャルアドバイザーは複数のツールを切り替えることなく、1 つのプラットフォームで業務を行えます。必要な機能や情報がすべて集まっているため、同じ場所にいたままで、最初から最後まで案件への対応ができるのです。
これまで同社にとってコラボレーションが課題でした。バックオフィスから最前線のアドバイザーまで、関係者間でのやり取りをメールに頼らざるを得ない環境だったからです。それが今では Slack のチャンネルにより、トピックを絞ってわかりやすくコミュニケーションができるようになっています。チャンネルを使うことで、チームメンバーは経緯や背景情報を共有でき、場所や時間を問わずに連絡を取り合えます。
なかでも効果を発揮しているのが、通知とアラートの機能です。以前は、取引の実行、マージンコール、口座振替、承認など、緊急性の高い事象について、オペレーションチームがアドバイザーにメールで知らせていました。今ではそうした事象が発生すると、Slack 内の Salesforce 通知センターアプリ からアドバイザーに自動的に通知が送られ、重要なクライアントの動きにいち早く対応できるようになっています。
Slack で見込み客をクライアントに変える
RBC Wealth Management のチームは、あらゆる営業活動に Slack を取り入れたいと考えています。ファイナンシャルアドバイザーにとって重要な仕事の 1 つは、見込み客や紹介者の動きを継続的に把握し、どこに時間をかけて取り組むべきかを見極めることです。ただ、これまではそれが簡単ではありませんでした。複数の画面を切り替えて作業したり、会議などを通じてさまざまな知見を寄せ集めたりしなければならなかったからです。
それが現在では、Salesforce の整理された見込み客データに Slack のチャンネルから直接アクセスできるようになりました。ボタンをクリックするだけで見込み客の情報を取得したり、業務の進捗に応じて CRM を自動更新したりできます。これにより、さまざまなツールを切り替えていた従来の方法と比べて、大幅な時間の節約が可能になりました。
アドバイザーはまた、Slack 内にある専用の営業用ホームページで、主な指標や重要な通知を確認することもできます。なにより便利なのは、Slack を離れることなく Salesforceの データを直接変更できるという点です。
また、見込み客の絞り込みに関するメモなど、顧客との関係構築に役立つ情報を canvas にまとめておけるのも便利です。たとえば、顧客別のプレゼン資料、製品のデモ動画、主なユースケース、顧客のペルソナ(意思決定者やエンドユーザーのプロフィールなど)、競合他社の情報、自社のポジショニングに役立つ知見などです。見込み客に電話をかける際に役立つメモなども、直接ドキュメントに追加できます。
見込み客への売り込みが成功したら、アドバイザーはその顧客をクライアントとして営業部門に引き継ぎます。これまではこの作業が複雑で時間のかかるプロセスでした。しかし今では、Slack と Salesforce のシームレスな連携により、アドバイザーはワークフローによる自動化を活用して、canvas 内からワンクリックで引き継ぎができるようになっています。
そのクライアントを引き継ぐのは、ウェルスマネジメントの営業リーダーです。顧客への訪問などで外出が多い営業リーダーにとって、これまで商談に関する情報を把握することは一苦労でした。それが Slack によって、どこからでも Salesforce の信頼できる唯一の情報源にアクセスできるようになり、営業の動きを把握しやすくなります。KPI の達成状況のほか、ファイナンシャルアドバイザーから引き継いだ商談の経緯や背景もすべて確認できることで、営業活動の計画を立てやすくなり、目標達成を促進できます。
Slack AI の活用を見据えて
Beltzer 氏は、来年早々にリリース予定の Slack AI による生産性アップにも期待を寄せています。具体的には、チームの働き方を変える次の 3 つの強力な新機能に注目しています。
- チャンネルの要約 : チャンネルのハイライトを自動生成するこの機能により、チームは重要なポイントをすぐに把握できるようになります。たとえば、クライアント別のチャンネルから重要な投資基準の情報をすばやく抽出する、といったことが可能になるかもしれません。新しい知見にすばやく簡単にアクセスできるようになることが、十分な情報に基づいた、顧客中心の意思決定に役立つでしょう。
- スレッドの要約 : どの会話の内容もワンクリックでまとめてくれる機能です。たとえば、複数ページにわたるポリシーを要約することで、アドバイザーやサポートスタッフは簡単に最新情報を確認して効率的に問題を解決できるようになるでしょう。商談への理解が深まるだけでなく、成約までの時間短縮にも役立つはずです。
- AI による回答の検索 : 質問を入力すると、関連する Slack メッセージの情報に基づいた簡潔な回答が得られるようになります。たとえば、ファイナンシャルアドバイザーが新しいクライアントについて知りたい場合に、この機能を使えば、そのクライアントの目標や投資履歴などをすばやく把握できます。
このような AI 機能により、RBC Wealth Management のアドバイザーチームはさらに簡単に情報の要点をつかめるようになるでしょう。それが貴重な時間の節約とスピーディーな商談成立につながっていくはずです。
「当社にとって、自動化と AI は大きな転換点になるでしょう」と Beltzer 氏。「まさに魔法ですね。ファイナンシャルアドバイザーが時間のかかる日々のタスクから解放され、よりクライアントに専念できるようになるのですから」