「生産性をいかに高めるか」という課題は、政府主導の「働き方改革」に加えてコロナ禍でもますます注目を集めています。しかし「生産性向上」と言っても具体的に何をすればいいのか、漠然としたイメージしか描けない場合も少なくないのではないでしょうか。
日本オラクルが 11 か国を対象に行った調査では、コロナ禍によるリモートワークで「生産性が上がった」と回答した人の割合は日本では 15% で、対象国のなかで一番少ないことがわかりました。その一方「生産性が下がった」と回答した人の割合は 46% にも上っています。新しい働き方への対応やコロナ禍などさまざまな変化のなかで、生産性を高めることは企業にとってより難しい課題になっているのかもしれません。
では変化の激しい環境でも「生産性向上」を具体的に考え、取るべきアクションを明確にするにはどうすればよいのでしょうか。その方法の第一歩としておすすめなのが生産性を計算式で計り、数字で把握してみることです。ここでは、その計算方法とメリットについて解説していきます。
生産性を計算式で計る方法とメリット
生産性の計算式とは
生産性の計算式としてシンプルなのは「成果を労働時間で割る」というもの。「目的とする価値を生み出すために、どれだけの時間がかかっているか」を割り出すのです。
チームの生産性を計算式で出した数値で把握しておけば、各業務に必要な時間を見積もりやすくなるというメリットがあります。加えて、生産性の定点観測が可能になり目標値も具体的に設定しやすいため、改善案の効果測定もしやすくなります。
生産性の計算式では「成果」を明確にすること
この生産性の計算式を使う際に大事なのが「何をもって成果とするか」を明確にすることです。例えば、営業チームなら 1 か月の売上金額、カスタマーサポートチームなら 1 日あたりの対応件数、またマーケティングチームならキャンペーン期間中の集客数や新規顧客数など、チームのミッションによりその内容は大きく異なります。具体的に「成果」を設定し生産性の計算式に当てはめることで、より細かく生産性を考え、分析することができるでしょう。
各タスクにかかる時間を把握していることも重要
生産性の計算式を使うためにもう 1 つ欠かせないのが、メンバーがそれぞれのタスクに使っている時間を把握することです。
タスクの締切は共有されていても、メンバーがそれぞれのタスクにどれくらいの時間を使っているかを把握していないリーダーは多いのではないでしょうか。まずはメンバーに、各タスクにかかる時間をきちんと測ってもらうようにしましょう。チームとして生産性を意識するには、時間管理用のツールを導入してみるのも一案です。予想外に時間がかかっているタスクがある場合や、同じタスクでも人によりばらつきがある場合などの発見が得られるかもしれません。また作業にかかる時間を意識することは、メンバーのモチベーションやタスク管理能力の向上にもつながるでしょう。
生産性向上に欠かせない環境整備
現時点でのチームの生産性が把握できたら、次に行いたいのは生産性を高める環境を整えること。ここでは特に押さえておきたいポイントを 2 つご紹介します。
リーダーが目標を常に発信し、方向性を揃える
働き方の多様化が進み、さまざまな環境で働くメンバーがチームとして生産性を高めるには、離れていてもチームが目指す目標を常に意識し、その認識や温度感がずれないようにする必要があります。チームで同じ目標を描けているからこそ、生産性の計算式の「成果」を生み出すための工夫や業務改善についても同じ目線で考え、協力することができるからです。
そのために大事なことの 1 つが、オープンな場でリーダーが目標について継続的に発信すること。オフィスであれば朝会などで触れるのも一案ですし、リモートワークの場合にはツール上で伝えるのも良いでしょう。同じ話を繰り返すようでも、メンバーの状況や立場など、その時その時で受け取るメッセージは変わるはずです。メッセージを発し続け、常にチームの軸がぶれないようにしましょう。
また、従業員がリーダーに気軽に質問をできる場があることも大切です。組織階層の壁をなくし、気軽に質問し考えをすり合わせることができれば、経営層と現場の方向性にずれが生じることも避けられます。リーダーが従業員 1 人ひとりと直接話すことは難しくても、ツール上で専用の場を作っておけば、勤務時間帯や場所を問わず簡単にコミュニケーションがとれるようになります。従業員が随時その場に聞きたいことを書き込んでおけば、リーダーは都合の良いタイミングで返信でき、チームとしての方向性を効率的に揃えることができるでしょう。
オープンな情報共有&コミュニケーション
メンバー個人としての生産性を上げて各自が効率よく仕事を進めるには、情報をオープンに共有するのがおすすめです。作業に必要なデータや自由に使える素材、また前任者が作成した資料など、従業員が広く情報にアクセスできる環境があれば、ほかのメンバーに頼らずとも、効率よく仕事を進めることができます。
一方チームとしての生産性向上を考えた時に大事なのは、メンバー同士の連携がしやすい環境です。そのためには、ツールなどを使ってコミュニケーションもオープンにするのがおすすめです。プロジェクトごとに場を分けて関係者でやりとりを進めつつも、会話を公開しておくことでほかのメンバーも自由に進捗確認ができるようになります。また誰に聞いたらいいかわからない質問でもツール上で投げかけておくことで、担当者につなげてもらうこともでくるかもしれません。面識の有無に関わらず、目標を意識しながらメンバーが連携できれば、チームとしてより効率よく仕事が進められるはずです。そういう意味でメールでの閉じたコミュニケーションはおすすめできません。
生産性向上のための取り組みは、生産性の計算式で現時点でのチームの生産性を数字で出し、基準を設けることから始まります。自分たちの現状を把握し、明確に目標設定ができれば、チームでの連携もしやすく、発揮できる力も自ずと強まっていくでしょう。
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