従業員エンゲージメントは、採算性や収益から顧客体験や企業文化に至るまで、ビジネスのほとんどすべての分野に影響を与える要素です。Harvard Business Review の最近の調査によれば、経営者たちのなんと 92% が、エンゲージメントの高い従業員の方が全体として職場でのパフォーマンスに優れている、と考えています。同じ調査によれば、回答者のうち 56% は従業員エンゲージメントにリソースを割くことでプラスの ROI を達成しています。
では、従業員エンゲージメントはどのように向上させることができるのでしょうか。このガイドがお手伝いします。
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントは、従業員が組織、チーム、仕事内容についてどう感じているかを測定するものです。Quantum Workplace は、従業員エンゲージメントに 4 つのコアレベルがあるとしています。
- エンゲージメント高。このレベルの従業員は自社を熱心に支持し、仕事にとても強いつながりを感じています。長期的に自社にとどまろうと思っており、離職リスクはありません。
- エンゲージメント中。このレベルの従業員は仕事を気に入っていますが、向上のチャンスがあることを理解しています。何らかの理由で、100% のエンゲージメントには達していません。離職のリスクは低いものの、新たな機会があれば気持ちが揺らいで自社を離れる可能性もあります。
- エンゲージメント弱。このレベルの従業員は自社に興味を持たず、仕事では必要最低限のことしかやりません。離職のリスクが高いグループです。
- エンゲージメントなし。このレベルの従業員は自社に対してマイナスの見方をしており、自社の目標、使命、価値観は自分と関係ないと思っています。離職のリスクが最も高いだけでなく、自社に対するネガティブな気持ちが一緒に仕事をする人にも広がり、その人たちの意見に影響する可能性があります。
従業員エンゲージメントがかつてなく重要である理由
社会が新型コロナウイルスによるパンデミックから回復するなかで、リモートやハイブリッドスケジュールのような柔軟な働き方を続けられないのであれば、離職や引退さえする人も出てきています。新たな機会を見つけて現在の仕事を離れたり、引退してしまったりする現象は、まとめて「大量離職時代」と呼ばれるようになりました。米国労働統計局によると、2021 年に仕事を辞めた人の比率は過去 20 年で最も高いものでした。
従業員エンゲージメントはこの点にどう関わっているのでしょうか。従業員エンゲージメントが高い会社では従業員の離職率が低い傾向が見られました。従業員が経営陣、職種、同僚に満足していて、自社の文化や使命にも共感しているなら、そもそもほかの仕事を探す必要がないため、これは当然といえるでしょう。
従業員エンゲージメントはビジネスにどう影響するか
従業員エンゲージメントを改善すると、コストのかかる離職が減り、トップレベル人材が競合企業に転職するのを防止できるだけでなく、ほかにもさまざまな点でビジネスに好影響をもたらします。
顧客体験の向上。エンゲージメントの高い従業員はやる気と熱意にあふれ、それは顧客にも伝わります。2021 年に Harvard Business Review が実施した調査によれば、経営陣の 72% が、従業員のエンゲージメントが高い会社では顧客の満足感も高いという点に強く同意しました。顧客体験と顧客満足度スコアが向上すると、ビジネスの収益が上がり、既存顧客を長期間つなぎとめることができます。
欠勤の減少。エンゲージメントの高い従業員は、欠勤する傾向が低いとわかっています。Gallup が 2017 年に実施した調査によれば、エンゲージメントの高い職場では、欠勤率が 41% 低くなりました。さらに、エンゲージメントの高い従業員は主体的に仕事に関わり、高い生産性を発揮します。同じ調査によれば、同じ職場でエンゲージメントの低い人に比べると、生産性は 17% 高いと報告されています。
利益の増大。従業員が主体的に仕事に関わり、生産性が高まれば、利益も向上します。エンゲージメントの高い従業員の仕事は、質も量も優れています。従業員エンゲージメントのレベルが高い会社では、平均で 21% 高い収益を示しています。
イノベーションの増加。エンゲージメントの高い従業員は、全体として高いレベルのパフォーマンスを示し、責任感を抱いて仕事に取り組みます。熱意やモチベーションは、イノベーションにつながります。イノベーションによって事業を業界内のトップレベルに維持しながら社内のプロセスを改善することで、顧客に優れた製品やサービスを提供できます。
従業員エンゲージメントを高めるベストプラクティス
このように、従業員エンゲージメントの重要性は明らかです。では、どうすれば向上できるのでしょうか。組織内で従業員エンゲージメントを重視するためのベストプラクティスをいくつかご紹介します。
チームが適切なコラボレーションツールを使えるようにする。従業員エンゲージメントを向上させる最も簡単な方法の 1 つは、従業員が仕事に合ったコラボレーションツールを使えるようにすることです。Slack のようなツールを導入することで、同僚や上司との間にリアルタイムコミュニケーションの経路が開かれます。信頼でき、機能が充実した便利なコミュニケーションハブをチームで使えば、ブレスト、信頼関係の醸成、プロジェクトでの方向性の統一を容易に実現できます。
フィードバックを提供する。従業員に対するフィードバックの量は、従業員エンゲージメントに直接影響します。The Predictive Index が 2018 年に実施した調査によれば、直属の部下に対するフィードバックが多すぎる上司でも、少なすぎる上司よりもチームから高く評価されていました。従業員には、直接の上司と 1 対 1 で話し合う機会が必要です。またチームは定期的に振り返りの場を設け、進行中の取り組みについて評価し、従業員のエンゲージメントや士気を把握すべきです。こうすることは、問題が起きるまで待つのではなく、起きてしまう前に問題を特定するのに役立ちます。
優れた仕事をした従業員を認める。課題について期待されている以上の成果を上げた従業員や、会社のコアバリューを体現した従業員の努力を認めて称賛すれば、従業員は自分が正当に評価されていると感じ、エンゲージメントがさらに高まります。
Bonusly が 2019 年に実施したアンケートによると、直近で特に仕事をがんばった時のことを認められた人の割合は、エンゲージメントの高い従業員では 84% に達したのに対し、エンゲージメントの低い従業員ではわずか 25% にとどまりました。Slack なら、プラットフォーム上で従業員の成果を認められるだけでなく、報いることも簡単です。そのようなメッセージのために、#kudos(称賛)や #teamwins(チームの成果)といった専用チャンネルを作成してもよいでしょう。さらに、Slack ワークスペースを Bonusly や Disco のアカウントと連携させ、従業員が特定の目標を達成した時や従業員を称賛する時に特典を贈ることもできます。
透明性を確保する。従業員エンゲージメントを高めるためには、自社の目標、使命、価値観について透明性を確保することが不可欠です。従業員が自社の目標や使命や価値観を重視し、日常業務のなかで実践していくためには、まずそれらを意識し、理解することが必要です。Harvard Business Review の調査によれば、仕事をする人の 70% は、上級管理職がオープンにコミュニケーションしていると感じられると、仕事に対するエンゲージメントが高まると答えています。
ワークライフバランスを重視する。Deloitte が最近実施したアンケートでは、働く人の 77% が、職務において従業員の燃え尽きを経験したと答えています。従業員が燃え尽きてしまうと、やる気とエンゲージメントを保つことはほとんど不可能です。この場合、オフィスに瞑想用の静かなスペースを用意すること、職場でのウェルネスプランを提供すること、リモートワークを許可すること、従業員の仕事の負荷やストレスレベルについて定期的にチェックすることなどが有効な方法になるでしょう。
従業員エンゲージメントを測定する方法
従業員エンゲージメントのレベルを測定し、改善方法を把握するための 1 つの方法は、従業員エンゲージメントについてのアンケートを実施することです。自由回答と選択回答の質問を両方組み合わせて定量データと定性データを収集すると、従業員の仕事に対するエンゲージメントを高めるために何ができるかについて、貴重なインサイトが得られます。
さらに、従業員の欠勤率と離職率の傾向がわかると、従業員エンゲージメントの状況を把握するのに役立ちます。企業が目指すべき年間の従業員離職率は 10% 以下です。離職率がこの平均よりも大幅に高いようであれば、従業員エンゲージメント戦略を改善する必要があることを示すサインかもしれません。
Slack で従業員エンゲージメントを向上
最新のテクノロジーのおかげで、チームのメンバーをつなぎ、職場での人間関係を構築するためのツールやアプリは多数あります。従業員のやる気とエンゲージメントを高めるうえで、これは大きな助けになります。Slack のようなコラボレーションプラットフォームを活用し、エンゲージメントを自動化し促進することで、効果的な従業員を利益に結びつけることが容易になるでしょう。