世界的なロックダウンから 2 年以上が経過するなかで、未来の働き方は進化を続けています。2021 年に PwC が実施した調査によれば、リモートワークの大部分は成功を収めており、雇用主の半数以上が長期的にリモートワークを選べるよう計画していると回答しています。とはいえ、リモートチームとハイブリッドチームの円滑な運営について、あとからわかってきたことも多くあります。特に多くの人が実感しているのは、会議が大きな時間のムダになる場合があるということです。
従業員の働く場所がリモートでも、オフィスでも、その両方であっても、会議が必要になることはあります。最大限の効果を上げるため、フォーマルな会議とカジュアルな会議の違いと、どのような場合にどちらを選ぶかを知っておくことが役立ちます。
カジュアルな会議とフォーマルな会議の比較
会議といえば、まず思い浮かぶのがフォーマルな会議です。議題が設定され、進行方法はしっかり決まっています。通常、1 人の人が話し合いをリードします。発言者や発言時間についてのルールが定められているかもしれません。指定された記録者が、決まった構成に従い、きちんとした文体で議事録を作成します。
通常、フォーマルな会議では時間がいくつかのブロックに区分され、スケジュールを事前に配布してあります。例えば、まず主な発言者たちが 30 分ずつ発言したあと、小さなグループのブレイクアウトセッションに分かれて検討し、その結果を再び全員で集まって話し合うといった具合です。
このような構成はいくらか古臭く思えるかもしれませんが、今のフォーマルな会議のほとんどは最新の電子コミュニケーションツールに大きく依存しています。
フォーマルな会議には、次のようなものがあります(これらに限定されません)。
- 取締役会
- チームや部署の会議
- 四半期レビュー
- 委員会の会議
- 政治討論会
カジュアルな会議は、伝統的な会議とはまったく異なります。多くの場合、はるかにリラックスした柔軟なものです。会議室やビデオ会議通話よりも、休憩室や執務フロア内で行われることが多く、地元のバーやレストランの場合さえあります。具体的な進行方法のルールはほとんどありませんが、グループとして口頭採決のような慣習に同意する場合もあります。
カジュアルな会議にざっくりしたプランはあるかもしれませんが、多くの場合、「プランから逸れる」ほうが参加者はより気楽に感じます。発言したい時には自由に発言でき、ブレストになることもしばしばです。カジュアルな会議は通常決まった時間枠のなかで行われますが、進行の状況によって長くなる場合も短くなる場合もあります。
カジュアルな会議には、次のようなものがあります(これらに限定されません)。
- トレーニングセッション
- 問題解決のための会議
- フォーマルな会議後の話し合い
- 予定されている変更についての会話
基本的に、フォーマルな会議はスケジュールと議題がしっかり決められており、進行のルールや正式な記録者も設定されています。一方、カジュアルな会議の議題はそこまで厳密なものでなく、進行方法の決まりもそれほどありません。一般的に、フォーマルな会議では 1 人または数人の主な発言者が注目され、ほかの参加者の役割は受動的なものです。カジュアルな会議は、多くの場合もっと多くの人がコラボレーションする話し合いであり、全員に順にスポットライトがあたります。
なお、プロジェクト定例のような週次のチームミーティングなどは、フォーマルな場合もあればカジュアルな場合もあります。ほとんどの場合、カジュアルな方法で行うとうまくいきます。一方、フォーマルな構成の会議は、主にプレゼンテーションを中心とした会議に最適です。例えば、開発チームが完成したウェブサイトのレイアウトのプレゼンテーションをする場合、脇道に逸れないためにはフォーマルなやり方が最善かもしれません。
各タイプの会議の長所と短所
各タイプの会議にふさわしい用途があるとはいえ、両者を入れ替えることはできません。
フォーマルな会議
長所 :
- 構成がある
- 予測しやすい
- 議事録がある
短所 :
- 柔軟性に欠ける
- 創造性を押さえつける
- 方向転換できない
カジュアルな会議
長所 :
- 創造性を発揮できる
- ブレストを実施する
- 柔軟性がある
短所 :
- 構成がしっかりしない
- 予測できない
- 正式な議事録がない
生産性か、イノベーションか
どのタイプの会議にするかを決めるには、会議の目標を考えてみましょう。一般に、フォーマルな会議は次のような目的に適しています。
- 情報を周知する
- 記名投票を行う
- ゲストスピーカーを招く
カジュアルな会議は次のような目的に適しています。
- ブレストを実施する
- 問題を解決する
- 創造性を刺激する
- フィードバックを受ける
でも、生産性やイノベーションという点ではどうでしょうか。どちらかの会議の方が優れているということがあるでしょうか。人生ではよくあることですが、答えは場合によりけりです。
フォーマルな会議の方が、決められたプランに従うので生産性が高いといえるかもしれません。カジュアルな会議の方が、相互作用や創造性の余地があるのでイノベーションに有利なことが多いかもしれません。しかし、適切なツールを使い、各タイプの会議のベストプラクティスに従わなければ、どちらもあっという間に脱線してしまいます。同様に、どちらの方法であっても、可能性を最大限に引き出すことで生産性とイノベーションを実現させることができます。
各タイプに適したベストプラクティスとツール
では、各タイプの会議にどのようなツールを使えばよいのでしょうか。また、どのようなベストプラクティスがあるでしょうか。見てみましょう。
フォーマルな会議
いくつかのベストプラクティスに従うことで、フォーマルな会議の効果は最大限に高まります。
- 事前に全参加者へ議題を送り、話し合う内容を理解しておいてもらう
- 発言できる時間の長さや投票の記録方法など、会議の情報や進行方法を決めておく
- 正式な議事録を上手に作成できる、経験豊富な記録者を起用する
- 会議から数日以内に、議事録の写しと関連文書を参加者全員に送付する
実際のニーズにもよりますが、次のようなツールがよく使用されます。
- ビデオ会議ソフトウェア(必ず事前にテストしておく)
- メモ帳とペン、またはノート作成ソフトウェア
- 画面共有ソフトウェア
- ストップウォッチまたはタイマー
カジュアルな会議
厳密なルールがないとはいっても、カジュアルな会議で脱線を起こさず効率的なものにするためには、ベストプラクティスに従うことが重要です。
- 大まかな議題。会議を開く理由や話し合う内容(会議の冒頭に一緒に決める形でもよい)といった基本事項を決めておきます。
- モデレーター、ファシリテーター、タイムキーパー。カジュアルな会議であっても、複数の参加者と多数の議題がある場合は、話し合いをコントロールする人を 1 人指定しておくのが賢明です。例えば、各人に発言時間として 5 分を割り当て、制限時間が近づいたらタイムキーパーが発言者に注意を促すことができます。
- ルールのすり合わせ。投票や採決を計画している場合は、実施方法について最初に合意しておくようにします。挙手で採決しますか、それとも書面や投票機能を使いますか。単純多数決で決定しますか、それとも拒否権を持つ人がいますか。数分を取って合意しておけば、争いを避けられるでしょう。
- 内容の記録。カジュアルな会議に正式な議事録は不要ですが、記録を残してはならないわけでもありません。全員があとで参照できる文書としてメモを残しておくことができます。メモを取る人を指定しておくことができますし、カジュアルな会議を録画可能なビデオ通話やチャットで実施するならもっと確実です。
カジュアルな会議の目的によって必要なツールは異なります。しかし、一般的には次のようなものが必要になります。
- ビデオ会議ソフトウェア(事前にテストする)
- メモ作成ソフトウェア、または紙とペン
- コラボレーションソフトウェア(タスク共有プラットフォームなど)
- ドキュメント共有ツール(全員が同じ場所にいるのであれば印刷したドキュメントも可)
すべてを 1 つにまとめる
会議の回数を減らすことが現在のトレンドであるとはいえ、会議を完全になくすことはできません。しかし、異なるタイプの会議があることを知り、各タイプの用途やベストプラクティスを把握しておけば、非常に効率的かつ生産的な会議を実施するのに大いに役立つでしょう。両方のタイプの会議を最大限に活用するため、Slack のように自由にカスタマイズしやすいコラボレーションプラットフォームを利用することを、ぜひ検討してみてください。