カスタマーエクスペリエンス(CE)チームのメンバーは、経験豊富な図書館員のようなものです。メンバー達は、さまざまなトピックについて全体像と細部の両方の観点で豊富な知識を備えており、何か答えを知らないことがあっても、少なくとも答えの探し方を知っていて、将来参照できるようにその答えを記録します。
もちろん、この役割を果たすには、製品に関する深い知識と、部門の枠を越えた強力な関係が必要です。以前は、サポート担当者が一人前になるまでには、情報が古くなったドキュメントや長ったらしい Wiki を読み、「fwd:fwd:【質問】~の件」というメールの送信、転送を繰り返すというやり方で学んでいました。社員研修は一朝一夕にできるものではありませんが(できるように取り組んではいます)、Slack を使って担当者を素早く一人前にする方法がいくつかあります。
ここでは、Slack 社内の CE チームが担当者に対して迅速に研修を行う方法を特別にご紹介します。新しい担当者が全社的な知識やエキスパートを見つけられる検索機能を活用すれば、部門の枠を越えた関係を構築でき、チャンネルでの自己学習が促進されます。もし皆さまの組織が Slack を使っているのであれば、以下のお役立ち情報をサポートチームにご紹介ください。
1. チャンネルで即座にコミュニティを作る
同僚に紹介され、知り合いになることは、研修プロセスの自然な最初のステップです。Slack 社内の担当者は、Slack チャンネルで段階的に情報に触れ、同僚に紹介されます。新入社員はまずチームチャンネルでチームメンバーに会い、すぐにつながりを形成できます。
「リモート研修では、実際に人に会うことができませんでした」と、2020 年 8 月に Slack に入社した CE チームの Amanda Garza は言います。「チームチャンネルへの参加は、紹介してもらうのに最高の方法だったと思います。みんなすぐに歓迎してくれて、助けてくれました」
CE 担当者の専門性によっては、製品分野に特化したチャンネルにも追加されます。ユーザーの問題を解決するために、ほかのチームとつながり、すぐに質問できる安全な空間が提供されるのです。また、新しい担当者には、自分の役割に関連する特定のチャンネルと、各チャンネルの目的について簡単に説明された研修用ガイドが渡されます。
2. Slack で知識を検索&発見して自己学習する
新しい仕事を始めるには必ず学習曲線が伴いますが、リモートワークの環境ではその障害はさらに大きくなります。Harvard Business Review によると、リモートワーカーにとって、十分な情報を得られないことがコミュニケーションにおける最大の障壁の 1 つとなっており、簡単な質問の答えを得ることや、意思決定の際に背景を知ることを難しくしているといいます。新人の CE 担当者にとって、ユーザーのトラブル解決に必要なすべてのメッセージ、ファイル、ハウツー、チケットにアクセスできることは、仕事において非常に重要です。
Slack は検索可能な知識のリポジトリであり、自己学習をシンプルかつアクセスしやすくします。例えば、入社したばかりの CE 担当者が、製品特化戦略の一環として、ある機能について学びたいと考えているとしましょう。この CE 担当者は、検索と結果のフィルタリングにより、プロジェクト開始時に行われた会話の正確な内容と、すべての決定がどのように行われたかを知ることができます。
製品に関する各決定につながった会話を即座に確認できる
Slack の CE マネージャーである Lina Saravia は、「ある機能のアイデアから実現に至る過程のすべての情報、背景、履歴を検索できます。Slack で行われた意思決定のすべての履歴を理解できるので、とても効果的です」と言います。 決定やそのプロセスを完全に可視化することで、社内でチームがどのように連携しているか、CE 担当者は深く理解できるようになりました。例えば、ある機能のリリースに関する情報を検索してもとのプロジェクトチャンネルを見つければ、CE 担当者はチャンネルを最初の部分までスクロールして、途中で起きた障害も含めプロジェクトのライフサイクル全体を把握できます。
ワークフロービルダーで連絡窓口を標準化する
ワークフロービルダーというビジュアルツールを使うと、Slack ユーザーなら誰でも、日常的なプロセスを自動化するカスタムワークフローを構築できます。Slack 社内の CE チームは、ワークフロービルダーでリクエストの作成や収集方法を標準化しています。#ce-ポリシー
や #ce-アクセス
など、適切なチャンネルをスクロールしていくことで、新人メンバーはリクエストの出し方を学び、入ってくるリクエストに対応する担当者を確認できます。特定分野に詳しい専任の担当者は提出用チャンネルをモニタリングし、スレッドでリクエスト送信者と連携して追加の質問などのフォローアップを行い、解決策を一緒に探ります。
「このようなリクエストに一貫性を持たせるフォーラムがあれば、何が必要なのか、何が必要でないのかも意識合せができ、あとでフォローアップできます」と Garza は言います。
また、Saravia は、「『誰に問い合わせればいいのか?今、聞いても大丈夫か?』というようなことを気にする必要がなくなります」と言い添えます。
完了した仕事から学ぶ
「チャンネルでは、実際どれだけのコラボレーションが行われているのかだけでなく、チケットの進捗具合や現在のバグの状況などを包括的に把握することができます」と Garza は言います。
新人の CE 担当者が、アカウントにサインインできなくなったユーザーをサポートする必要がある場合、ほかの担当者が過去に同じ問題を解決しているかもしれません。Slack で検索することで、CE 担当者はユーザーのさまざまな問題に対する過去の解決策を見つけることができ、その過程で、回答を作成する際の適切な表現を学ぶことができます。
「Slack で検索すれば、ユーザーと連携する時のベストプラクティスやコミュニケーション方法を学ぶことができます。そのおかげで効率よく仕事ができます」と Saravia は言います。
3. 部門の枠を越えたパートナーとの関係を構築する
難しい問題のチケットが届きましたか?あるいは機能のアイデアやバグに関するユーザーからのフィードバックを誰に共有するか考え中でしょうか?さまざまな問題を解決するために、CE 担当者は社内の製品スペシャリスト、エンジニア、製品マネージャーやほかの特定分野に詳しい担当者と緊密なパートナーシップを築いています。しかし、まだ部門の枠を越えた関係を構築していない新入社員にとって、これは難しいことかもしれません。
検索を利用して特定分野に詳しい担当者を見つける
Slack では、特定の意思決定やプロセスに関わるすべての背景情報を検索して見つけられますが、それには別のメリットがあります。CE 担当者は、質問がある場合、誰に問い合わせればよいかも知ることができるのです。例えば、新機能でバグが表面化した場合、CE 担当者は Slack でその機能専用の製品チャンネルを検索し、製品マネージャーを確認して DM を送り、サポートを求めることができます。
「バグによってユーザーの問題が起こった時、過去のチャンネルに同じバグの情報を見つけ、同じようにエスカレーションを行いました。誰に聞けばよいか、そして誰が対応の経緯を知っているかがわかったのです。そのおかげで問題をすばやく解決できました」と Garza は言います。
もちろん、新人研修を成功させる最も重要な要素は、新入社員が学ぶことができ、歓迎されていると感じられる安全な環境を作ることです。
「Slack 社では、すぐにチームの一員になれたような感覚になります。Slack を使うだけで、そういう気持ちになるのです。さまざまな人に連絡することができます。Stewart(Slack の共同創業者兼 CEO の Stewart Butterfield)に連絡しようと思えばできるのです」とも Garza は述べています。
CEO に直接メッセージを送ることを奨励しているわけではありませんが、新入社員が既存のプロセス、決定事項、プロジェクトなどについて質問できるような文化を築くことはお勧めします。新入社員が製品や組織の仕組みに早く慣れれば慣れるほど、早くユーザーに役立つ情報を提供できるようになるからです。