本日、Slack と Aspen Institute は Rework Reentry という新たな取り組みを発表しました。今後両社はともに、元受刑者がテクノロジー分野でキャリアを築けるようサポートします。この取り組みが目指すのは、全米で Next Chapter(Slack が創設した社会復帰者のためのエンジニアリング実習プログラム)への参加企業を増やすことです。
社会復帰する元受刑者は構造的な壁に阻まれ、スキルを要する高収入の職になかなか就くことができません。私たちは Slack for Good と Aspen Digital、さらに Aspen Institute の Criminal Justice Reform Initiative による革新的なコラボレーションを通して、テクノロジー分野におけるそうした壁を壊し、Next Chapter のような実績ある雇用モデルが広く定着するよう働きかけていきます。Rework Reentry が目指すのは、元受刑者がキャリアを築く機会を増やすとともに、文化における大規模な変化を生み出すことです。具体的には、包括的なリサーチ、主な関係者との直接のやり取り、ドキュメンタリーを活用したストーリー共有を進めていきます。
Aspen Institute の President and CEO である Dan Porterfield 氏は次のように話します。「社会復帰した元受刑者には大きな壁が立ちはだかります。収入の高い安定した職に就くとなればなおさらです。Next Chapter と Slack for Good の活動が、この大きな問題に対処するための新たなアプローチをテクノロジー分野から切り拓いたこと、そして、Aspen Institute がこの取り組みの一翼を担えることを大変嬉しく思います」。
また、Slack の CEO 兼共同創業者である Stewart Butterfield は、「この取り組みの土台にあるのは、これまで私たちが長きにわたり元受刑者を擁護し、テクノロジー分野の多様性、公平性、帰属意識を高めてきたという経緯です。こうした取り組みをさらに進めて、描いてきた構想を新たな雇用パートナー企業に広げるうえで Aspen Institute と連携できることを光栄に思います」と述べています。
本日は Rework Reentry の立ち上げのほか、Next Chapter の雇用パートナーが 14 社に増え、PayPal、Asana、Stash が新たに加わったことも併せて発表しました。さらに、Slack for Good が Next Chapter、FREEAMERICA、Equal Justice Initiative とともに制作した短編ドキュメンタリー映画シリーズ『Home/Free』の予告編も公開しています。
Next Chapter がテック分野で元受刑者にスキルを要する高収入の職に就く機会を提供
現在、アメリカの刑務所には約 200 万人が収容されており、その 95% がいずれ出所する予定です。また総じて推計 1,900 万人もの人々が、重い有罪判決の副次的な影響に苦しんでいます。特にこの影響を受けるのが有色人種です。というのも、アメリカの刑事司法制度には明らかな人種的不平等が存在しているからです。
出所した元受刑者は、たいてい長期でキャリアアップする機会に乏しい低賃金の職にしか就けません。調査によると、安定した職に就いていないと再犯の可能性が大きく上がることがわかっています。こうした背景から、無職であることが犯罪の常習性を予測する最大要因になっているのです。このような出所と貧困の悪循環は、本人とその家族やコミュニティだけでなく、雇用者、納税者を含めて誰の得にもなりません。
この悪循環を断ち切るべく、Slack は 2018 年に非営利パートナー The Last Mile、W.K. Kellogg Foundation、FREEAMERICA とともに Next Chapter を創設しました。これは、元受刑者がテクノロジー分野でスキルを要する職に就き、高い収入を得られるようサポートするプログラムです。選ばれた参加者は 8 か月間、有給のソフトウェアエンジニアリング集中訓練プログラムを受け、その後 Next Chapter の雇用パートナーで実習します。Next Chapter のモデルでは、プログラムの非営利パートナーネットワークとの連携を通して、実習生と雇用パートナー双方に対する包括的なサポートを提供します。プログラムに参加する実習生は専門的・技術的なメンターシップや各個人に合わせた再就職支援サービスを受けられます。一方で、雇用パートナーは元受刑者にとって公平で協力的な職場環境を築く方法についての助言を得ることができます。
Slack がこの取り組みを試験的に始めて以降、Next Chapter に参加する雇用パートナーの数は 14 社に増えました。これまでに 3 グループ、合わせて 30 人以上の実習生がプログラムの受講を終えています。そして修了後はどの実習生も、アメリカ有数の急成長テクノロジー企業でフルタイムの職に就き、キャリアの階段を上り始めています。Next Chapter は現在 Tides Center から資金を支援されており、この実績をもとに全米で参加企業の数をさらに増やしていく予定です。
「このプログラムは、実習生のみならず参加企業にとっても画期的です。参加企業は忠実で有能なエンジニアを確保できるだけでなく、このプログラムへの投資を通じて公平性やインクルージョンの価値観を真剣に実践している姿勢を示しています」と話すのは、Slack for Good 担当エグゼクティブディレクターの Deepti Rohatgi です。
また、Next Chapter で Executive Director を務める Kenyatta Leal 氏は次のように語ります。「私たちは成功の土台を築きました。あとは、刑期を終えて、人生を変えるために必要なものを備えた人が 1 人でも多くアメリカンドリームを実現できるようにするために、このモデルをどう拡大できるかです」。
Next Chapter の実績を土台に、元受刑者のキャリア構築機会を広げる Rework Reentry
テクノロジー分野全体に Next Chapter を浸透させるには、さまざまな課題が残っています。例えば、企業内における法務・人事面でのハードル、元受刑者に対するリーチ&テクノロジー分野でのキャリア構築機会に対する認知喚起、重罪判決を受けた人と一緒に働くことに抵抗がある従業員などです。こうした複雑な問題のあらゆる面に対処できるよう、Rework Reentry では主に次の 3 つの分野に注力しています。
- テクノロジー企業向けに包括的な調査に基づくプレイブックを作成 : Rework Reentry では、Next Chapter パートナー、社会復帰支援者、元受刑者への幅広いインタビューや独自の調査をもとに、テクノロジー企業を啓蒙するための戦略的プレイブックを作成中です。その内容では、社会復帰者を職場に迎えるうえで、他組織が直面した課題や、そうしたハードルを乗り越えるための具体的な戦略を網羅しています。このプレイブックは 2022 年秋に公開予定です。
- テクノロジー分野および司法のエコシステムの関係者と直接連携 : また、服役経験のある人材のインクルージョンというテーマについて、アクションにつながる突っ込んだ会話を行うために、テクノロジー分野のリーダー、コミュニティパートナー、司法改革の提唱者を集めたバーチャルおよび対面イベントを今後数か月の間に多数開催します。
- 服役と再就職に関するドキュメンタリーを通したストーリー共有を推進 : さらに Rework Reentry のオンラインラーニングスペース(reworkreentry.org)では、短編ドキュメンタリー映画シリーズ『Home/Free』の予告編を公開しました。このシリーズでは、シンガーソングライター、プロデューサー、活動家、そして FREEAMERICA 創設者でもある John Legend 氏がナレーションを担当し、元受刑者たちが自らのストーリーや、出所後に誰もが直面した壁、本当の意味で自由の身になれない経験を語っています。
支援するには
Rework Reentry の詳しい情報や社会復帰者のキャリア構築をサポートする方法を知りたい人は、オンラインラーニングスペース(reworkreentry.org)または nextchapterproject.org にアクセスしてください。
7月には、Aspen Institute の Criminal Justice Reform Initiative により『New Job Pathways for Returning Citizens』というウェビナーが公開されます。このウェビナーでは、元受刑者に対する雇用機会の創出に取り組む企業の経営幹部や支援者の話をお伝えする予定です。今後のバーチャルおよび対面イベントについて、詳しくは reworkreentry.org を参照してください。
Next Chapter への参加に関心のある組織の皆さま、また実習への申し込みを希望する皆さまは、Next Chapter(info@nextchapterproject.org)、または Slack for Good(slackforgood@slack.com)までお問い合わせください。
さらにテクノロジー企業のシニアエグゼクティブ層で、この課題を取り上げる特別な会合に興味のある皆さまは、ぜひ aspendigital@aspeninstitute.org までご連絡ください。