「チームビルディング活動」という言葉を聞くと、何かアクティビティを楽しむことを強要されているようで、居心地悪く感じる人もいるかもしれません。かといって、メンバーを週末の旅行に追い立てるだけでは、リフレッシュにはなるものの、チームワークの向上につながるとは限りません。
ポイントは、具体的な目標を明確にすることです。そうした上でのチームビルディング活動やオフサイトミーティングは、個人のスキルを伸ばすだけでなく、組織にメリットをもたらします。Gallup の調査によると、メンバーの強みや能力を伸ばすことで、チームの生産性が 8% 向上し、メンバーの離職の可能性を 15% 減らせることがわかっています。
場の雰囲気を和ませる「アイスブレイク」が苦手だというメンバーもいるかもしれませんが、それは緊密なコラボレーションをしたくないという意味ではないでしょう。そこで今回は、伸ばしたいスキルやチームの規模、使える時間や労力に応じて実践できる、チームビルディング活動のアイデアを紹介します!
1.ボードゲーム大会
目的 : チームの融和とコラボレーションを促進する
チームの規模 : 10 人以下
実施・参加のハードル : 中くらい
実際の仕事でのコラボレーションを始める前に、気楽に共同作業する機会を持つことで、お互いの考えがわかる効果があります。ソフトウェア企業 ClearCompany の人事担当 CEO である Andre Lavoie 氏は、ボードゲームにより、簡単なコラボレーションを実践できると述べています。ボードゲームの参加者は、共通の目標に向かってチームで考える必要に迫られる中で、お互いが持つ動機や優先順位をより深く理解できるようになります。
このタイプのチームビルディング活動は、従業員どうしの友情関係を深めることにもつながり、最終的に従業員の業績向上を導きます。Fortune 500 企業のアドバイザーである Annie McKee 氏は、自身の著書『How to Be Happy at Work :The Power of Purpose, Hope, and Friendship』の中で「友情関係があれば、絶好のチャンスでも、難しい課題でも、危機でも、どんなことが起こっても対処できる感情的・精神的な強さが得られます」と述べています。
ボードゲーム大会を開く際には、働き方が異なる従業員でチームを組むとよいでしょう。部署の違うメンバーで職務横断的なチームを作るのもいいかもしれません。
ヒント : 使える時間に応じて、みんなで協力できるタイプのゲームを選びましょう。例えば、時間が 1~2 時間程度しかないなら、ジェスチャーゲームや脳に刺激を与える Trivial Pursuit(雑学クイズゲーム)など。
時間がたっぷりあるなら、推理ミステリーゲームの Clue や、世界征服を目指す戦略ゲーム Risk などもよいでしょう。スマートフォンを使ってデジタルゲームをするなら、SpaceTeam や JackBox のパーティパックをチェックしてみてください。
2.ムーンショット計画のブレインストーミング
目的 : 革新的な考え方を促し、創造性を刺激する
チームの規模 : 十数人まで
実施・参加のハードル : 中くらい
チームにムーンショット計画、つまり、月面着陸のような、難しいけれども実現すれば大きな影響をもたらすような壮大な計画を立ててみる機会を設けます。これは Google の研究部門 Google X も採用しているアプローチで、まったく新しいレベルの創造的思考で「突拍子もない解決策」を見つける方法です。
時間、資金、手段の制約を無視してプランを考えてみるようチームに伝えましょう。これによりメンバーは、否定論者や上司に邪魔されず、自由な発想でアイデアを生み出せます。
ヒント : ハードな戦略セッション以外に、アートプロジェクトやグループでの瞑想といった小規模なチームビルディング活動でも、同じように思考や発想を解き放つ効果が得られます。
3.ランチミーティング
目的 : リラックスした環境で信頼関係を築く
チームの規模 : 10~20 人(またはそれ以上)
実施・参加のハードル : 中くらい~高め(準備とスピーチが必要なため)
マーケティングソフトウェア企業 HubSpot の寄稿者である Swetha Amaresan 氏は、従業員が日々の仕事に関するあれこれを話し合う機会として、ランチミーティングをすすめています。
Amaresan 氏の記事には、次のように書かれています。「これは集中的なトレーニングでも、相手を言い負かす時間でもありません。忙しい毎日の中では、なかなか触れられない、ちょっとしたトピックについて話すのです。ランチミーティングが終わった後に、午後の仕事に向けて気分がリフレッシュされ、意欲が高まっていれば大成功です」。
ヒント : このようなイベントを、企業の上層部と従業員が話す貴重な機会にすることもできます。会社での地位を超えて、同じ部屋で同じ時間を過ごすことは、チームワークの妨げとなる階層間の障壁を壊すのに役立つでしょう。
4.プロジェクト管理のコール&レスポンス
目的 : プロジェクト管理のスキルを伸ばし、コラボレーションを強化する
チームの規模 : 25 人程度
実施・参加のハードル : 中くらい
メンバーを複数のグループに分け、各グループでスピーカーを 1 人を選びます。特定のメンバーのスキルを伸ばしたい場合は、マネージャーがその人をスピーカーに指名してもいいでしょう。
そして、あらかじめ用意しておいた構造物を、スピーカーだけに見せます(構造物に触れてはなりません)。構造物は、レゴやペーパークラフトなど、何でもかまいません。スピーカーは自分のグループに指示を出して、その構造物を再現してもらいます。
スピーカーには、メンバーに効果的な指示を与えてタスクを完遂してもらうための、戦略的思考とコミュニケーション力が求められます。一方、チームのほかのメンバーは、プロジェクト管理のよい実習になるでしょう。
ヒント : 時間制限を設けて、イベントを盛り上げましょう。
5.創造性の福袋
目的 : 創造的な問題解決と、協力を推進する
チームの規模 : 25 人程度
実施・参加のハードル : 低め
最近の Gallup の調査によれば、「自分は職場で創造的な新しいことに挑戦するよう求められている」と考えている従業員は、わずか 29% であることがわかりました。その傾向を打ち破るための演習です。まず、テレビのリモコン、鉛筆、テニスボール、ドライバー、グローブなど、日用品(またはその写真)が詰まった「福袋」を用意します。
3~5 人の小グループに分かれ、グループごとに袋からアイテムを 2 つずつ取り出してもらいます。そして、一見、関連のないようにみえるその 2 つのアイテムを組み合わせて何ができるかをチームで考え、アイデアをリストアップします。チームメンバーが固定観念を解きほぐして、創造力を働かせる練習になります。
ヒント : 最もクリエイティブな案を考えついたチームに賞を与えましょう。
6.チームでのボランティア活動
目的 : チームメンバーどうしで、本物の人間関係を築く
チームの規模 : 何人でも
実施・参加のハードル : 高め
数時間の、または継続的なボランティア活動を企画しましょう。ボランティアは、立派な目的に向かってチームをまとめるのに最適な方法で、数人で行う場合でも、全社的に取り組む場合でも、効果があります。
同じ目標に向かって共同作業することで、共通の経験が生まれ、仲間どうしの絆が深まります。また、お互いが相手の立場になって考えられるようになることで、チームメンバー間の融和に役立ちます。
ヒント : チームの特性に合い、チームの力を活かせるような活動をしましょう。
7.ミニハッカソン
目的 : 創造性を促し、現実の問題を解決する
チームの規模 : 何人でも
実施・参加のハードル : 中くらい~高め
人材・人事サービス企業 Hays の CTO である Mohit Talwar 氏は、ブレインストーミングなどで解決策を探る前に、問題の根本原因を見極める必要があるとして、「多くの場合、問題を解決できないのは、問題そのものを本気で理解しようとしていないことが原因です」と述べています。
このアクティビティでは、自社がしばしば直面する、シンプルな問題の例をチームに提示します。そして、「実際に何が問題なのか」「問題の根本原因は何か」をまず特定してから、解決策をブレインストーミングするよう伝えます。
解決策は 1 つではなく、複数考えてもらいましょう。1 つの問いをさまざまな視点で捉えることが重要です。
ヒント : 提示する問題はシンプルなものにすること。問題のスケールが大きくなると、ムーンショット計画(No. 2 を参照)に近くなります。
自社にあったチームビルディング活動を見つけましょう
スカベンジャーハントやペイントボールといった従来型のチームビルディング活動も、無意味ではありません。ただ、そのようなイベントでは、チームのダイナミクスに有意義な影響を与える信頼やコラボレーションを、十分に育めない可能性があります。
次にイベントを企画する時は、チームの特性に合った活動を考えましょう。何がチームをワクワクさせるのか、と考えることが、そのヒントになります。笑い、心を開き、お互いに助け合える環境をメンバーに提供することで、職場に本物の友情関係が芽生え、結果として日々の仕事のパフォーマンスも向上していくはずです。