[この記事は、Slack の CEO であるスチュワート・バターフィールドが第 3 四半期の沈黙期間の終了直後に書いたものです]
共有チャンネルはすばらしい機能です。なぜなら、受信トレイベースのコミュニケーションからチャンネルベースのコミュニケーションへの移行によって生まれるあらゆるメリットが得られるからです。透明性やアラインメントは向上し、プロジェクトへの参加時期にかかわらず全員が共有済みの情報にアクセスできるようになります。組織の枠を越えて共に働くすべてのチームが、これらのメリットを活用できるようになるのです。
共有チャンネルを使うと、営業チームはこれまでよりも早く取引を成立させることができ、弁護士はクライアントにより質の高いサービスを提供できるようになります。マーケティング担当者は外部の制作会社ともっと効率よくやり取りできるようになるでしょう。カスタマーサポートチームはより良いサービスを提供し、コンサルタントはプロジェクトをより速く仕上げ、調達チームは複雑なサプライチェーンでつながる多くのベンダーとのやり取りにおいて生産性を上げられるようになります。ここに挙げたものに留まらず、共有チャンネルのメリットはまだまだ増え続けています。
実際、共有チャンネルはものすごく大きなヒットとなりました。2019 年 10 月 31 日の時点で、2 万 6 千を超える企業が合計 7 万以上の共有チャンネルを作っています。下の図は、そのすべてのつながりを表したネットワークマップです。
なかなか複雑ですよね(でも美しいと思いませんか?)。 今週も、世界 138 か国にまたがる共有チャンネルの広大なネットワークで、数百万件のメッセージが数十万人のユーザーによって投稿されます。もちろん、これらの数字だけですべてを語ることはできません。もう少し詳しく見ていきましょう。
まず、ネットワークには 2 つのパートがあります。内側にあるのが「内部メガネットワーク」(良いネーミングを募集中) です。このグループ内のすべての企業は、共有チャンネルのチェーンによって互いにつながっています。それはとても密度が高く、次の図のようなイメージです。
一方、外側の輪には、ミニネットワークからなる膨大な「星座」が浮かんでいます。これらは、内部メガネットワークのどの組織ともまだつながっていません。イメージは次の図のような感じです。
これらのミニネットワークは、夜空に浮かぶ星座のように独特の形状をしています (「三つ又」「スコップ」「芋虫」「小枝」「車輪」などいくらでも名前を付けられそうですね)。ここでは 1 時間ごとに新しいペアが作られ、新しい星座が生まれています。新しい組織が共有チャンネルを使い始めると、星座はまた別の形へと進化していきます。
また、毎時間、内側と外側の組織間でつながりが作られると、外側の輪にあるミニネットワークが内部のメガネットワークに引き込まれます。そこから生まれるのがプロトネットワークの渦巻く海です。その中心にあるのは複雑につながりあったチームのネットワークで、常に拡大を続けています。
もちろん、このネットワークマップは単に、個々の企業の連携の仕方、そして究極的には業界全体でのチームのコラボレーションの方法や働き方における大規模な変革をビジュアルで表したものにすぎません。とはいえ、この図はやはり美しいと思います。ここで過去の図を見ながら、このネットワークがどのように成長してきたのか振り返ってみましょう。
まず、ごく初期に共有チャンネルを試していた「パイオニア」を見てみましょう。わずか 2 年ほど前の話です。
共有チャンネルを使っている 4,175 の組織とそのつながり (2017 年 12 月 31 日)。わかりやすいように、現在もアクティブな共有チャンネルとその組織のみを示しています(以下同じ)。
6 か月後、公式のベータ版プログラムの提供が始まりました。それまでよりも多くのチームが参加できるようになり、ユーザーのコアグループとしてのメガネットワークが現れ始めました。そこではユーザー同士の結びつきがより密接になり始めていました。
共有チャンネルを使っている 9,845 の組織とそのつながり (2018 年 6 月 30 日)。
2018 年末までに、ネットワーク内の企業の数はほぼ 2 倍に増えました。チームの約 4 分の 1 がメガネットワークの一部となり、ネットワークマップは現在の形に近づいていきます。
共有チャンネルを使っている 15,093 の組織とそのつながり (2018 年 12 月 31 日)。
2019 年の初め、私たちは共有チャンネルの設定プロセスを簡単にし、より多くの組織に対して導入を働きかけるようになりました (ただしこの時点では、Enterprise Grid のユーザーはまだベータ版を利用できませんでした)。
共有チャンネルを使っている 19,359 の組織とそのつながり (2019 年 4 月 30 日)。
2019 年 7 月 31 日までには、チームの 3 分の 2 以上がこのネットワークに参加していました。また、Enterprise Grid のユーザーも共有チャンネルを試すことができるようになっていました。この時点で、一般提供開始、つまりベータ版でない機能の正式リリースまで残すところ約 10 週間です。
共有チャンネルを使っている 2 万以上の組織とそのつながり (2019 年 7 月 31 日)。
そして、一般提供開始から 6 週間が経ったタイミングの第 3 四半期末には利用率が爆発的に増え始め、最初に紹介したネットワークマップのような状況になったのです。
共有チャンネルを使っている 2 万 6,000 以上の組織とそのつながり (2019 年 10 月 31 日)。
ズームインしてみると、さまざまな興味深い特徴が見えてきます。メガネットワークから右に突き出ている大きな枝は何だと思いますか?実は日本のユーザーです。日本国内における共有チャンネルの使用率は、北米やヨーロッパよりも高くなっています。外側にあるいくつもの「車輪」は、いったんメガネットワークに引き込まれたもので、その後中央から突き出たくさびのような形になります。また、企業同士のつながりの数は共有チャンネルを使う企業の数よりも速いペースで増えています。それはユーザーが共有チャンネルに新たな用途を見いだし始めたからだと言えるでしょう。
とはいえ、ネットワークマップだけですべてを語ることはできません。個々の企業間のつながりのなかにはそれぞれ興味深いストーリーがあります。ほんの一例として、この画像の中央にある「車輪」を見てください。
輪の中央にある、すべてのスポークとつながっているハブは、Smartcare という聴覚ソフトウェアの会社です。
Smartcare では、顧客対応を共有チャンネルを使うやり方に変えたところ、顧客から好評を得られるようになりました。その結果にとても満足した同社は、すべての新規顧客との間で Slack を使うようになりました。なんと、顧客の Slack 使用料まで負担しているのです!
共有チャンネルは、トレーニングからトラブルシューティング、カスタマーサポートから製品に関する最新情報の提供まで、取引先とのあらゆる関係性を作る基地となります。すべてのコミュニケーションは共有チャンネル上で行われます。そこにメールや電話は必要ありません。
Smartcare のカスタマーサクセスチームは小さいながらも、Slack を活用することでスピーディな対応ができるようになり、顧客から高く評価されています。「Slack は当社にとって非常に重要であり、顧客に代わりに使用料を払ってでも使いたいものです。私たちは Slack のおかげで管理タスクを効率よく片付け、業界のパイオニアとしての仕事に集中することができるのです」と、Smartcare の共同創業者兼製品責任者でもある Travis Topham 氏は話します。
ほかにもたくさんのユーザー企業の皆さまによる共有チャンネル活用事例をウェブサイトで紹介しています。Zendesk、Seek、Deliveroo、Iress、Fastly (記事冒頭でもリンクされています) が、共有チャンネルを使って顧客やパートナーなどとのコミュニケーションをどのように改善したか、ぜひチェックしてみてください。彼らが実践する大きな変革こそが、共有チャンネルが爆発的に広がっている理由です。次はどんな企業がどんな活用をするのか、それを見るのが待ちきれません。
さて、ここまでネットワークマップから、共有チャンネルの広がりや企業間の関係を見てきましたが、最後に世界地図と重ねて見てみると、さらに興味深いものが見えてきます。
こうして見るとネットワークの全体数はわかりづらくなりますが (なぜなら同じ都市のユーザー企業間で多くのチャンネルが共有されているため)、とても美しい形をしています。これはSlack の共有チャンネルを通して見られるグローバルな流通を表しています。
さらにおまけとして、共有チャンネルがベータ版期間と一般提供開始後の数週間に世界中でどう成長してきたかがわかる動画もご紹介しておきます。
最後にひとつお伝えしたいことがあります。私は過去 20 年間、ネットワークベースのソフトウェアを作ることを生業としてきました。その間、多くのすばらしいプロジェクトに直接携わってきました。また社内では、投資家、取締役会のメンバー、あるいは 1 人の友人として、さらにたくさんのプロジェクトを見てきました。しかし、製品そのものやそのマーケットフィットに関して、共有チャンネルほど興奮するものはありません。
ベータ版の期間中、共有チャンネルを使うことは割れたガラスの上を歩くぐらい「恐る恐る」なものだったと思います。一方、私は皆さんに招待メールを送るため、まずはほとんど知られていなかった「ワークスペースの URL」を見つけなくてはなりませんでした。それでも利用率は上がり続け、ユーザーの皆さまは新しく役立つ用途を次々と考え出したのです。
共有チャンネルの広がりは本当にあっという間でした。最初はベンダーやパートナーの紹介で共有チャンネルに参加した企業が、今度は自らが顧客やサービスプロバイダーに招待を送るようになり、その人たちがさらに多くの人を招待し…という形で広まったのです。それはチームに絶対必要なものだと考えられるようになり、なかには共有チャンネル機能が追加されるまでは予定していた Enterprise Grid のアップグレードを遅らせたチームもあったほどです。このように多くのユーザー企業の皆さまから非常に高い満足度やお薦めをいただけるようになった共有チャンネルですが、まだまだ始まったばかり。正直、私自身もこのような経験は初めてです。
だから、共有チャンネルはすごいのです。
– Stewart
共有チャンネルを最大限活用する方法について詳しくは、以下の資料をご覧ください。