毎日、障がいのあるたくさんの人が、キーボードやスクリーンリーダー、およびその他の支援技術を使い、Digital HQ(会社を動かすデジタル中枢)で仕事を進めています。そのため、当社は Slack のアクセシビリティの向上に継続的に取り組んでおり、ユーザーが能力や環境にかかわらず、最大限に満足のいく仕事を行えるようにしたいと思っています。
このたび Slack では、ユーザーリサーチとフィードバックをもとに、障がいのあるユーザーを含むすべてのユーザーにとって Slack を使った仕事がいっそう容易で、直感的で、効率的なものになる、新たな機能強化を実施しました。
キーボード操作の改善
支援技術を利用しているユーザーからマウスやトラックパッドを好まないユーザーまで、一部のユーザーは主にキーボードを使って Slack で仕事を進めています。そのようなユーザーのために、キーボードを使った Slack の操作性を向上し、スピード、一貫性、信頼性を改善しました。
F6 と Tab を使った確実な操作
ユーザーがワークスペース内を迅速に移動できるよう、Slack には数十種類のキーボードショートカットが用意されています。Slack ユーザーの中には、視覚障がいや弱視があるためにキーボードによってスクリーンリーダーを操作しながら Slack を使用する方も多くおられ、これを Slack の中でもっとうまく操作できればよいのに、という声が届いていました。そこで、操作のスピードアップと一貫性を実現できる新しいナビゲーションモデルを導入します。このモデルには、F6 および Tab を使った新しい機能が含まれます。
このモデルでは、フォーカスを Slack 内のさまざまなセクション間で移動させるために F6 キーを使います。そして Tab キーは、各セクション内のフォーカス移動に使います。この新しいシステムによって、チャンネルヘッダーエリアやブックマークバーといった、Slack のインターフェイスのうちキーボード操作ではこれまで到達しにくかった部分にも移動しやすくなります。タッチバーを使っている Mac ユーザーは、Command + Control + 左/右キーで同じように機能させることができます。

「世界各地の人と一緒に働くようになってから、同僚との日常のコラボレーションには Slack が欠かせません。効率的かつ効果的に使えることが大切です。今回の Slack のアクセシビリティ向上は、私にとって大きな一歩です」
チャンネル、DM、スレッドの最上部へのスクロール
チャンネルと DM は Slack の真髄であり、ユーザーがメッセージを読み、チームとやり取りする場所です。この重要な部分のキーボードを使った操作が、さらに確実で一貫性のあるものになりました。ユーザーは、すでにメッセージの作成を開始していた場合でも、上キーを押してメッセージフィールドからメッセージリストに移動できるようになりました。また、上キーを押した時の動作が、チャンネル、DM、スレッドで共通の動作になりました。
おなじみのショートカットでツールバーを利用
Slack 内のツールバーの一貫性が向上し、わかりやすくなりました。ツールバー内は矢印キーで移動でき、Home や End といった、すでによく利用しているキーボードショートカットも使えます。
仕事でフォーカスを持続させる
また、キーボードを使っているユーザーが Slack を安心して確実に操作できるよう、フォーカスの扱いも改善しました。新しいワークスペースに切り替えた時や、読み込みにわずかな時間がかかるビューを開く時でも、フォーカスが失われることはありません。

「支援技術利用者を含め、あらゆるユーザーに対する操作性の向上にユーザビリティのテストがどのように貢献できるのかという点で、Slack は優れたモデルです。アクセシビリティチームの創造力、共感力、忍耐力に驚かされました」
スクリーンリーダー使用時の操作性向上
スクリーンリーダーを使用するユーザーによる Slack の利用を効率化するため、デザインにいくつかの変更を加えました。
重要な情報をすばやく発見
Slack のインターフェイスは、見直しによってさらにシンプルで整理されたものになりました。ユーザーがワークスペースを移動する時に、追加情報がスクリーンリーダーによって朗読されることもなくなりました。これによって混乱を減らすことができ、画面上で起こっていることをすばやく把握し、必要な情報を見つけることが容易になりました。
情報の階層化とラベリングの改善
視覚障がいや弱視のあるユーザーが Slack を使いこなすには、正確な説明ラベルが必要不可欠です。私たちは、スクリーンリーダーの利用中に Slack をもっと直感的に使えるようにするため、次のような点でインターフェイスの構成とラベルを総合的に再設計しました。
- 内容がわかりやすいインターフェイス名への変更と、情報の階層構造の改善。Slack レイアウトの各セクションのラベルを、「トップナビゲーション」のような視覚的表現から、内容や機能を反映したもっとわかりやすい名前に変更しました。また、新しい名称には、ほかのセクションと比べた場合の各セクションの重要度、関連性、順序が含まれるようになりました。例えば、「トップナビゲーション」は「ワークスペースのプライマリアクション」に変更されました。
- コンポーネント間の関連の明確化。視覚障がいのあるユーザーが全体的なレイアウトを把握しやすいよう、メインペインにメッセージとアクティビティが表示される「プライマリビュー」という概念を導入しました。そして「セカンダリビュー」では、スレッドやユーザープロフィールなどについての、さらに詳細な情報を確認できます。
ニーズに合わせて Slack をカスタマイズ
ニーズはユーザーによって違います。スクリーンリーダーを利用する Slack ユーザーが操作をもっと細かくコントロールできるよう、環境設定に新しい項目を追加しました。例えば、視覚障がいのあるユーザーであれば、サイドバーを常時拡張状態にしておくことで、一貫した操作を実現できるようになりました。また、スクリーンリーダーのユーザーが会話を読んでいく時には、メッセージのメタデータが読まれる順序を選択できます。

「新しい働き方の時代にあって、私たちは支援技術を活用するユーザーと協力し、彼らのニーズに合ったツールを構築してきました。これらの機能強化にはこの成果が反映されており、さまざまなギャップが埋められたことで、どんな人でも Slack をもっと楽しく、生産的に、同じように使えるようになっています」
ギャップを埋めるための継続的な取り組み
インクルーシブなデザインの恩恵を受けるのは、なんらかの障がいのある世界各地の 10 億人にとどまりません。より優れた製品となることで、すべての人がその効果を実感できます。最新のアップデートによって、Slack はこれまで以上に使いやすくなり、直感的で効率的な操作が実現されます。あらゆるユーザーが、より快適な操作感によって生産性を高められるでしょう。
本日発表した機能強化は 8 月 10 日以降、順次すべての Slack ユーザーが使えるようになります。そして、アクセシビリティを高め、インクルーシブな環境を目指す取り組みが、これで終わるわけではありません。新しい働き方の時代へと進んでいく中で、障がいのあるユーザーを私たちのパートナーとして、彼らと私たちすべてにとって役立つツールを一緒に作っていくことを楽しみにしています。
もっと詳しく知るには、アクセシビリティのページとヘルプセンターをご覧ください。