コロナ禍が始まった頃、ロンドンを拠点とする料理配達プラットフォームの Deliveroo は新たな目標を掲げました。最前線で働く医療従事者に 50 万食の食事を無償で提供することにしたのです。同社では Slack をプロダクティビティプラットフォームとすることで、結果的にロンドン各地の病院で働く医療従事者にこの目標を大きく上回る 100 万食以上の食事を無償提供しました。
Slack チャンネルでアイデアを育てて実行
Deliveroo で在宅勤務が始まった時、メンバーが集まる場になったのが Slack チャンネルです。チャンネルとは、共通の目標、プロジェクト、施策に対して連携できる専用スペースです。そこではあらゆる仕事の記録が整理され、すぐにアクセスできる状態になるため、Deliveroo のような企業では日々のコラボレーションをよりシンプルに、より快適に、より有意義に進めることができます。
当時作成したチャンネルの 1 つが #feedingthefrontline(現場への食事提供)
です。ここでメンバーはコミュニティをサポートするアイデアをブレストし、医療従事者を支援する企画を素早くまとめて、レストランパートナーや医療機関に連絡する段取りを立てました。
「当時私はチームに加わったばかりで、しかも Slack を使ったことがありませんでした」と振り返るのは、Deliveroo で Director of Global Enterprise Account Management を務める Craig Foster 氏です。「そこでとりあえず、『はじめまして。突然ですが、医師や看護師に食事を届けるのを手伝ってもらえませんか?』というメッセージを送りました。 プログラムをその場で構築し、医療機関に食事を無償提供するためのリソースをすぐに集めなくてはならなかったからです。Slack のおかげで、必要な人をチャンネルに素早く集めて、すぐに実務を始めてもらうことができました」。
コラボレーションを変革し、共通の目標に向かって連携
この企画は成功し、ほどなくしてボランティアを志願するメンバーはどんどん増えていきました。そして規模の拡大とともに、詳細や手順、注文情報、物流について議論できる安定したシステムが欠かせなくなったのです。
Slack チャンネルなら、手間をかけずに情報を整理することができます。ピン機能で重要なメッセージをピン留めしたり、主なファイルやチャンネルの関連情報を関連ページに追加したりすることで、新しいメンバーがこれまでの経緯を参照するのも簡単でした。これにより、Deliveroo チームは健康と安全に関する手順を厳密に遵守しながら、ロンドン全体でレストラン、配送員、医療機関を調整し、24 時間体制で働く医師や看護師に温かい食事を提供することができました。
「チャンネルの作成から数週間経ったあとでも、新メンバーはボランティアを始める時に必要な情報をすべて手に入れることができました」と、フォスター氏は話します。「誰かが一から説明する必要はありません。新人ボランティアが自分で情報を得られたからです」。
プロダクティビティプラットフォームでコミュニティと人間関係を構築
Deliveroo の取り組みは、難局の最前線で働く医療従事者を支えただけではありません。このプロジェクトによって、コロナ禍でなによりも必要とされていたチームの士気を高めることができたのです。プロジェクトが始まってすぐに、#feedingthefrontline
チャンネルは医療従事者からの感謝のメッセージや写真、動画、さらには子どもたちの絵であふれるようになりました。
「当時は長く、大変な日々でしたが、「『配達完了!看護師さんたちが感謝してくださいました!』というメッセージとともに写真や動画をチャンネルに投稿できたことで、プロジェクトの効果をリアルタイムで感じられました」と、Foster 氏は続けます。「そしてそれにより、チームの士気も上がったのです」
Deliveroo は 2020 年 3 月から 2021 年の初めにかけて、英国の国民保健サービスと連携して最前線の医療従事者に 100 万食以上の食事を提供しました。