SEEK の強みは、人と人をつなげる「マッチメイキング」ビジネスにあります。といっても、オーストラリア国外の人が思い浮かべるような「お見合い」ではありません。メルボルンを本拠地とする同社は、オーストラリア首位の採用マーケットプレイスとして、雇用者と求職者の双方がニーズにぴったりと合った相手を見つけられるようサポートを提供しています。
1997 年創業の SEEK は、国内市場の独占を達成したのち、そのジョブマッチングの専門知識を新たな分野へ活用することへと目を向けました。アジアパシフィック地域と米州での数々の戦略的買収を経て、同社の営業範囲は 18 か国へと広がり、事業領域も雇用、教育、営利、ボランティア事業へと拡大しました。
こうした急成長に伴い、新たな課題が出現しました。その中でも大きな課題が、多様な事業ポートフォリオにまたがるリソースの活用とチーム文化の浸透でした。従業員間での意義あるつながりを作り出すため、アジャイルなコラボレーションを実現するツールを探していた中、コミュニケーションをシンプルに変え、国際色豊かな SEEK 従業員の間にコミュニティを築くためのソリューションとして注目を得たのが Slack でした。
チャンネルでコラボレーションとコミュニケーションを効率化
SEEK 本社の DevOps チームですでに導入されていた Slack は、まず同社オーストラリア事業部門で Skype for Business にとって代わり、主要コミュニケーションツールとして段階的に浸透していきました。「あっという間に、社の半数が Slack を利用している状態になりました。Slack へ移行することのメリットは明白なものでした」と語るのは、SEEK のワークプレイステクノロジーマネージャーを務める Mark Sweeney さん。
チームがアイデアを共有し、意思決定を行い、仕事を進めることができるデジタルスペース、Slack チャンネルもチームメンバーにとって大きなセールスポイントでした。SEEK が新たな買収を目する局面で、ナレッジの共有にチャンネルが特に大きな役割を果たしました。Sweeney さんはこう説明します。「当社では、アジアパシフィック地域、オーストラリア、南米に南アメリカに複数のブランドを擁していますが、そのそれぞれが、独自のモバイルアプリと検索プラットフォームを構築していました。分散したチームがバラバラの作業を行うのではなく、アプリやプラットフォーム構築を一元化して、その後グローバルに配布する形としたいと考えていました。
幸いにも、SEEK とその買収先にはすでに、共通のプラットフォームとなる Slack がありました。「こうした企業の多くですでに、製品開発や戦略チームを中心に Slack が使われていました」と、Sweeney さんは話します。「これらのチームが集まって共通の製品に取り組み、国境を越えてコラボレーションするための手段が必要でした。チャンネルと Zoom を連携させて使うことで、日常的な会話もプロジェクトの企画もスムーズに進むようになりました。複数のチームを 1 つにまとめるうえで、チャンネルが大きな役割を果たしたと考えています」。
社内のさまざまな部署のチームが、24 時間体制で問題の解決に取り組むためにチャンネルを愛用しています。「問題が発生すると、チャンネルがにわかに活気づきます」。Sweeney さんは続けます。「メンバーが集まって意見を交わし、会話が進み、関係者にも進捗状況が簡単に確認できます」。
SEEK のデフォルト通話・ビデオ会議アプリ、Zoom インテグレーションを使えば、チームメンバーが Slack を離れることなく通話を開始し、詳細を確認することができます。「問題の発生を確認したメンバーから報告があると、すぐに Zoom 通話に参加してリモートでサポートを提供できます」と Sweeney さん。「緊密な連携を可能にしてくれるインテグレーションです」。
複数の買収先企業にまたがって一つのチーム文化を構築するうえでも、チャンネルが役立っています。「チーム文化を醸成する基盤となっているのが Slack です」と、Sweeney さんは説明します。「DevOps 関連からランチは済んだかどうか、ペットの猫の写真の共有まで、あらゆる話題に関する [teams] コラボレーションとコミュニケーションの場として機能しています。仕事だけでなく、誰かと知り合うためのツールとしても Slack が活用されています」。
グローバルなつながりと文化の強化を目指して SEEK が Slack への移行を進めるにつれ、メールの件数は大幅に減少しました。SEEK で活用されている主要 Slack ワークスペースでは、週次アクティブユーザー数が今や 1,000 人を超えています。これらのユーザーが日々送信するメッセージの件数は 25,000 件を超えます。こうした絶え間ない情報の流れにより、さらに緊密なコラボレーションが実現し、社内の専門知識をこれまで以上に活用できるようになりました。
「これらのチームが集まって共通の製品に取り組み、国境を越えてコラボレーションするための手段が必要でした。複数のチームを 1 つにまとめるうえで、チャンネルが大きな役割を果たしたと考えています」
Finbot が財務オペレーションチームのサービスをスピードアップ
同社の財務オペレーションチームは日々、営業チームとカスタマーサービスチームからの質問の繰り返しに悩まされていました。「1 日あたりの未回答のクエリ件数が 250~300 件に達する状況でした」と、SEEK の財務オペレーションマネージャーを務める Mathieu Longin さんは説明します。こうした日々の積み残しが重なり、問い合わせへの回答には数時間から数日を要することもありました。「寄せられる質問はいつも同じで、『取引明細書をもらえますか?経費報告書をもらえますか?請求書の写しをもらえますか?』というもの。 そのたびに自分の仕事から手を離さねばならなくなるので、あまり対応したくない類の問い合わせですね。どうしてこのプロセスが自動化できないのか、疑問に思っていました」。
解決策を見つけるため、SEEK の企業・行政与信管理担当者の Emily Purcell さんと社内サポート与信チームリーダーの Bradley Bramham さんは 4 年にわたる調査を開始しました。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も検討しましたが、使用する関係者の数が多すぎ、複雑すぎるように感じられました。「2 年前に全社的に Slack を導入し、次第に Slack でできることがわかり始めていました」と、Longin さん。「これこそが求めていたツールだということが判明し、さらに効果的な活用方法を探り始めました」。
こうしたひらめきを経て DevOps チームに相談したところ、3 日間のハッカソン開催でこの課題に取り組もうという流れとなりました。その結果生まれたソリューション「Finbot」がハッカソンでユーザー投票 1 位に輝きました。
Finbot は、Slack で日常的なクエリの収集を行います。関係者は、Slack で簡単なコマンドを入力するだけでアカウントの詳細を取得でき、Slack 内から直接、アカウントの残高確認や明細書のメール送信などができます。Finbot にはよくある質問(FAQ)も内蔵されています。これはイントラネットソフトウェアソリューションの Jive にリンクされており、SEEK の従業員はそこで質問への回答を検索することができます。これまで数時間、場合によっては数日かかっていた作業が数秒で完了するようになりました。「Slack の活用で、24 時間 365 日体制でクエリに対応できるようになり、かつての摩擦はなくなりました」と、Longin さんは語ります。「それぞれのポートフォリオが管理しやすくなり、クライアントへのサービス向上に役立つツールをメンバーに提供することに成功しました」。
Finbot の活用で、財務オペレーションチームへの問い合わせ件数は大幅に減少し、次に Finbot へ追加したい機能など、付加価値を生むほかの取り組みに集中できる体制が生まれました。
「Slack の活用で、24 時間 365 日体制でクエリに対応できるようになり、かつての摩擦はなくなりました」
Slack でコンピューターのヘルスチェックを簡単に実行
グローバルな SEEK の事業拡大に伴い、オフィスに加えてテクノロジーの統合も必要となりました。このタスクを担ったのが SEEK のシニア Apple システム管理者、Tania Dastres さんです。その最優先事項は、全社の Mac コンピューターをスムーズに動作させ、すべてのセキュリティプロトコルが最新である状態を保つことです。
SEEK がアジアに進出した時、Dastres さんは、新しく加わった従業員をすばやく業務になじませ、新しいマシンの両方を迅速に立ち上げるという 2 つの課題に直面しました。「スキルレベルがバラバラのできたばかりのチームや、あらゆる種類のさまざまな状態の Mac に対処するため、ある特定のマシンに関する情報をいつでも見つけ出せるような方法を何通りも確立して、レベルの異なる現地の技術担当者が特定のマシンに関する情報を簡単に見つけられるようにする必要がありました。そうするうえで、Slack がとても役立ちました」。
Dastres さんは、エンタープライズ IT 管理ソフトウェア Jamf 用の Slackbot を開発。これにより、サポート技術者は Slack のスラッシュコマンドを使って任意のマシンで簡単に「ヘルスチェック」を実行し、コマンドで Jamf Pro から Slack に関連データをプルできるようになりました。「従来であれば、経験ある担当者が Jamf Pro コンソールで時間をかけて行う必要があるアクションが Slack で数回クリックするだけで完了するというのは最高だと思います」と、彼女は話します。
Jamf ボットを使えば、技術者は、シリアル番号、資産タグ、ユーザー名、IP アドレスや Mac アドレスの入力、果てはワイルドカード検索で空白を埋めて、特定のコンピューターを見つけ出すことができます。「こうした結果から「詳細情報」ボタンをクリックすれば、マシンの状態がサマリー表示されます」。Dastres さんはそう説明します。 ボットが絵文字でアクションアイテムにフラグを設定するため、技術者には優先順位がすぐにわかります。「警告の絵文字があれば、その Mac に問題があり、調査が必要なことがひと目でわかります」。 ボットの活用で解決までの時間が短縮しただけでなく、SEEK の拡大に合わせて積極的なサポートが展開できるようになりました。
SEEK の使命は、世界中の求職者と採用担当者を結び付けることにあります。同社は、Slack を活用して定型的なタスクの自動化、ナレッジの共有、社内コラボレーションの実現を実現してきました。こうした効率化により時間的な余地が生まれ、2.15 億人(さらに増加中!)もの就職・転職希望者のキャリアアップのサポートなど、より重要な取り組みにこれまで以上に集中できるようになりました。