リスクヘッジとは?企業が行うリスクヘッジの種類や対策などを紹介
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リスクヘッジとは?企業が行うリスクヘッジの種類や対策などを紹介

リスクヘッジという金融用語は、一般的なビジネスでも利用されるようになりました。企業が行っているリスクヘッジや、リスクヘッジを行う際のポイントなどを解説します。

Slack チーム一同作成2022年12月7日

元々、金融用語であったリスクヘッジという言葉は、さまざまな業種の企業やビジネスシーンで使われるようになっています。

では、ビジネスシーンにおけるリスクヘッジとは、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、企業が行っているリスクヘッジの種類や対策、リスクヘッジを行う際のポイントなどについて解説します。

リスクヘッジとは未来の危険に対する事前の備え

ビジネスシーンで使われるリスクヘッジを解説する前に、まずは一般的な「リスクヘッジ」という言葉について紹介しましょう。

リスクヘッジとは、危険なことが発生する確率や内容を予測し、それを回避または損害を最小限にとどめる対策を立て、備えておくことを意味します。簡単にいえば、未来の危険に対する事前の備えや対策です。

リスクヘッジは元々金融用語で、資産運用で投資先を複数設定して危険を分散することなどを指す言葉でした。

リスク( risk )は、直訳すれば「危険」のことですが、「予想どおりにうまくいかない可能性」「失敗や損をする危険性」などの意味もあります。また、「危険なこと」だけではなく、「どうなるかわからない」という、「不確実性」を意味する言葉でもあります。

ヘッジ( hedge )は、「回避策や防止策、打開策を用意しておくこと」を意味します。また、金融用語のヘッジでは、資産運用でリスクを回避するために行う投資の意味です。

リスクマネジメントやリスクテイクとの違い

リスクヘッジによく似たものとして、「リスクマネジメント」と「リスクテイク」という言葉があります。リスクヘッジと、それぞれの言葉の違いについてご説明します。

  • リスクマネジメント

リスクマネジメントは日本語で「リスク管理」と訳され、リスクに対して適切な対策を立て、行動するための戦略を立てたり体制を整えたりすることを意味します。

つまり、リスクヘッジのように対策を立てて備えるだけでなく、リスクが現実になった場合にどうするのかを準備するという違いがあります。

  • リスクテイク

リスクテイクは、リスクを受け入れて行動することを意味する言葉です。リスクを完全に回避することは非常に難しいので、リスクが生じることも計算に入れたうえで行動(例えば投資)し、リターンを得ることを指します。

つまり、リスクヘッジのように対策を立てて備えるのではなく、リスクを受け入れた行動がリスクテイクになります。なお、「積極的なリスクテイクをする」といえば、危険を承知でハイリターンを狙うことを意味します。

企業が行っているリスクヘッジ

企業が直面するおそれのあるリスクには、環境リスク(災害、テロ、戦争など)、財務リスク(資金調達問題、負債など)、法務リスク(訴訟など)、人事リスク(人材流出など)、 IT リスク(情報漏洩など)といった種類があります。これらのリスクが重なると、企業そのものの存続を危うくする経営リスクが生じます。

このようなリスクに対して、企業はどのようなリスクヘッジを行っているのかご紹介しましょう。

資産運用におけるリスク軽減のリスクヘッジ

金融業界では、資産運用の手法としてよくリスクヘッジが用いられてきました。株式投資で手持ちの資産をすべて同じ銘柄に投資すると、その会社の株価が下落するだけで大きな損失が生じます。ですが、投資先を複数の銘柄に分散しておけば、もし 1 つの会社の株価が下がっても、ほかの株価が上がる可能性があるので、損失をカバーできます。これが、資産運用におけるリスクヘッジです。

情報漏洩防止のリスクヘッジ

現在、企業にとって最も大きな課題となっているのが、自社が保有する機密情報や個人情報の漏洩に関するリスクヘッジです。他企業の機密保持に関する情報や顧客情報、個人情報などの漏洩は、企業の経営に直接的なダメージをもたらします。

万一、情報漏洩事故が起きると、多額の損害賠償金や事後対応費用が発生するでしょう。また、被害の拡大を防ぐために業務停止をすれば、機会損失の可能性も考えられます。さらに、ずさんな情報管理が明らかになれば、刑事上、民事上の責任も問われかねませんし、大規模な情報漏洩は企業としての社会的信用を失墜させる可能性もあります。

情報漏洩の原因は、外部からのサイバー攻撃によるもの、従業員のヒューマンエラーによるもの、内部不正によるもの、管理ミスによるものなどさまざまです。それぞれのケースに応じたセキュリティ対策を講じることが、情報漏洩に対するリスクヘッジとなります。

人材流出回避のリスクヘッジ

終身雇用が崩壊し、人材の流動化が進んでいる現在では、人材流出回避のリスクヘッジも大きなテーマとなっています。

人材流出は、辞めた社員に費やした採用コストや教育コストといった金銭的損失をもたらします。また、人材と同時に知識やノウハウが失われることもあるでしょう。

ほかにも、退職者が多くなれば残った従業員の業務負担が増えますし、モチベーションの低下や不安感の増大などで、連鎖的に人材流出が続くこともあります。

人材流出を避けるには、人事評価システムの見直しや、リモートワークなどを含む働き方改革の推進が有効とされています。従業員と組織との心的つながりであるエンゲージメントやロイヤルティ向上のための施策も求められます。

不祥事発生後のリスクヘッジ

リスクヘッジは事前の対策が多いですが、事後におけるリスク対策が必要な場合もあります。

例えば、下記のような不祥事が起きたとき「企業としてどのように対応するのか」を誤れば、大きな批判や炎上を招くことになります。

そこで、不祥事発生時のリスクヘッジとして、「素早く、正直に、誠実に」対応するという心構えで情報発信やメディア対策を考えていくことになります。また、冷静に対処するためのマニュアルも必要です。

リスクヘッジを行う際に注意すべきポイント

実際にリスクヘッジを行う場合は、何をすることが大切なのでしょうか。ここでは、リスクヘッジを行う際に注意すべき 4 つのポイントをご紹介します。

論理的思考によりリスクを予測する

現状を分析し、将来起こりうるリスクを予測するには、必ず論理的思考を用います。

「たぶん大丈夫だろう」「何とか乗り切れるだろう」といった根拠のない考えにもとづいた油断は禁物です。まずは、論理的思考でリスクを予測するのがリスクヘッジの基本です。

現状を客観的に捉える

論理的思考をするには、現状について客観的かつ正しい情報を得ることも不可欠です。情報漏洩のリスクヘッジであれば、どのような情報をどのように管理しているのかといった、管理状況把握を確実にしておく必要があります。このような状況を把握する調査を行う場合、担当者の先入観や固定観念を取り払うために、外部のセキュリティサービス会社に依頼する方法もあります。

他社の事例研究をする

リスク対策を考える際に役立つのが、他社の事例研究です。過去にどのようなリスクが生じて、それに対してどのような対策をとったのかを研究すれば、自社に合ったリスクヘッジの参考になります。また、リスクは時代によって変化していきますので、常に同業他社の動向に注意を払っておくといいでしょう。

リスクと対策についての情報を共有する

自社における顕在的なリスクと対策を決めたら、対策マニュアルを作り社内に共有します。また、その際に、リスクヘッジしないとどのような損失が生じるのかという危機意識を、従業員それぞれに持ってもらうことで、リスクに対する意識改革を行いましょう。

Slack におけるリスクヘッジ

最後に、情報漏洩などのITリスクとして、さらに具体的にビジネスチャットにおけるリスクヘッジをご紹介します。ビジネスチャットとしても知られる Slack では、下記のようなリスクヘッジのためのセキュリティ対策を講じています。

投稿権限管理、プライベートチャンネルの設定

Slack では、チャンネルにメッセージを投稿できる人を指定するために、「投稿権限」を与える機能が備わっています。チャンネルに投稿できるメンバーを管理することで、特定チャンネルに関係のない投稿がされるのを防ぎます。

また、限られたメンバーのみが参加し、投稿・閲覧できる「プライベートチャンネル」も設定できます。誰でも閲覧できる「パブリックチャンネル」を、好きなタイミングでプライベートチャンネルに切り替えることも可能です。

2 要素認証

Slack では、 2 要素認証を設定可能です。設定すると、ログイン時にメールアドレスとパスワードだけではなく、携帯電話の SMS に送られてくる確認コードの入力も求められるようになります。また、 Google Authenticator などの認証アプリで認証をすることも可能です。

ファイル共有における暗号化

プライベートチャンネルやメッセージで共有されたファイルは、限られたメンバーだけが閲覧・検索できます。また、 Slack のシステム内に保存されるすべてのデータは、データ伝送中には強力な暗号化プロトコル( FIPS 140-2 に準拠した暗号化標準)で暗号化されます。

Slack コネクト、ファイルの外部共有ポリシー

Slack を、外部のパートナーとの連携・共同作業のために利用している企業も多く存在します。そこで、社外パートナーとのやりとりを安全・円滑に行うために用意したのが、「 Slack コネクト」という機能です。

また、「ファイルの外部共有ポリシー」を調整すれば、メンバーが Slack の外部でファイルを共有できるかどうかを管理できます。これらにより、ファイルの外部漏洩・流出を防ぐことができるでしょう。

強力なセキュリティ機能を持つツールを選ぼう

リスクヘッジは、企業が順調かつ健全に事業を続けていくうえで欠かせないものです。特に昨今では、情報漏洩や流出に関するリスクに万全な対策が求められています。

情報漏洩に対するリスクヘッジのために最も効果的なのは、強力なセキュリティ機能を持つツールを選んで使用することです。ビジネスコミュニケーションツールであれば、常に最新のセキュリティ対策を施すようアップデートを続けている、 Slack のご利用をおすすめします。

よくある質問

企業が直面するおそれのあるリスクには、環境リスク(災害、テロ、戦争など)、財務リスク(資金調達問題、負債など)、法務リスク(訴訟など)、人事リスク(人材流出など)、 IT リスク(情報漏洩など)といった種類があります。これらのリスクが重なると、企業そのものの存続を危うくする経営リスクが生じます。企業は、資産運用におけるリスク軽減、情報漏洩防止、人材流出の回避といった、事前対策としてのリスクヘッジのほか、不祥事が発生したときのような事後対策としてのリスクヘッジも必要です。
現状を分析し、将来起こりうるリスクを予測するには、必ず論理的思考を用います。「たぶん大丈夫だろう」「何とか乗り切れるだろう」といった根拠のない考えにもとづいた油断は禁物です。まずは、論理的思考でリスクを予測するのがリスクヘッジの基本です。また、論理的思考をするには、現状について客観的かつ正しい情報を得ることも不可欠でしょう。リスクへの対策を講じるには、他社の事例を研究したり、自社のリスクと対策についての情報を共有したりすることも重要なポイントといえます。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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