トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果や実践方法を解説

トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果や実践方法を解説

トランスフォーメーショナルリーダーシップが近年注目されています。トランスフォーメーショナルリーダーシップの定義や重要性、効果、具体的なリーダーの育成方法を解説します。

Slack チーム一同作成2024年5月27日

トランスフォーメーショナルリーダーシップ(変革型リーダーシップ)は、近年注目されているリーダーシップのひとつです。
今回は、トランスフォーメーショナルリーダーシップの定義や重要性、もたらされる効果についてわかりやすく解説します。トランスフォーメーショナルリーダーシップを実践する方法や、具体的なリーダーの育成方法にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

自分やメンバーを高いレベルに引き上げるトランスフォーメーショナルリーダーシップ

トランスフォーメーショナルリーダーシップは、「変革型リーダーシップ」と訳されるとおり、自分自身やメンバーに変革を促し、より高いレベルへと引き上げるリーダーシップのスタイルです。
組織が掲げているビジョンを部下に自分ごととしてとらえるように伝え、役割を果たすことが自分自身の成長にもつながるのだと理解してもらうよう、チームを指導します。

トランスフォーメーショナルリーダーシップの特徴

トランスフォーメーショナルリーダーには、現在の職場や部門、ポジションで能力を最大限に発揮することが自己成長につながり、その自己成長が組織の成長を促すという考え方を浸透させる役割があります。こうしたスタイルのリーダーシップには、下記のような特徴があります。

トランスフォーメーショナルリーダーシップが重要視される背景

トランスフォーメーショナルリーダーシップが重要視されている背景には、長年に続いてきた組織のローカルルールや前例を重視する上意下達のリーダーシップでは対応できない局面が増えている現状があります。また、従業員が個々の能力を発揮できれば、必ず組織としての成長を遂げられるとも限りません。

こうした現状では、組織と人材の関係性を最適化する役割を担う人材が求められます。トランスフォーメーショナルリーダーシップは、変化の激しい時代にも対応可能な組織と人材を育んでいけるリーダーシップと言えるでしょう。

そのほかのリーダーシップの種類

リーダーシップはこれまでにも、時代の移り変わりとともにさまざまな形が提唱されてきました。リーダーシップには多種多様なスタイルがあるものの、最適解が見つかっているわけではありません。主なリーダーシップの種類として、下記のようなものが挙げられます。

■リーダーシップの種類と特徴

リーダーシップの種類 特徴
ビジョン型 目標やビジョンをメンバーに示し、詳細なプロセスは各自に委ねるリーダーシップ。リーダーが信頼されていることが前提となる。
コーチ型 メンバーとの細やかな関係性を構築し、各自の目標達成をサポートするタイプのリーダーシップ。大人数には対応しにくいことが難点。
関係重視型 メンバーとの信頼関係を重視し、チームの人間関係を良好な状態に維持することを目指すリーダーシップ。責任の所在が曖昧になりやすい。
民主型 メンバー各自の意見や提案がチームの方向性に反映されるリーダーシップ。意思統一が難しいケースも少なくない。
ペースセッター型 自分自身が手本となり、メンバーを率いるリーダーシップ。リーダーとメンバーとの実力差が著しい場合には機能しない。
強制型 リーダーがすべての決定権を握り、メンバーに指示するリーダーシップ。メンバーの反発を招く可能性がある。
トランザクショナルリーダーシップ メンバーとの心理的な取引や交換関係を重視するリーダーシップ。メンバーの主体性を引き出したい場合に効果的。
サーバントリーダーシップ メンバーを支えるサポート役に徹するリーダーシップ。メンバーの自律性を高めたい場合に効果的。
オーセンティックリーダーシップ リーダー自身の価値観を重視し、メンバーに本心から語りかけることで信頼獲得や求心力を目指すリーダーシップ。
変革型リーダーシップ ビジョンを重視し、変革を志向するリーダーシップ。トランスフォーメーショナルリーダーシップと同義とされることもある。

トランスフォーメーショナルリーダーシップの重要性

トランスフォーメーショナルリーダーシップが、ビジネスシーンでなぜ重要なのでしょうか。ここでは、トランスフォーメーショナルリーダーシップの重要性が高い理由を、3 つご紹介します。

変化への適応

変化の激しい時代に適応する必要性が高まっていることは、トランスフォーメーショナルリーダーシップが重要とされる要因のひとつです。環境が大きく変化した際にも組織のビジョンを中心に据え、柔軟に対処できる人材が求められているのです。企業が競争力を維持していくうえで、変化への対応力・適応力は不可欠な要素と言えます。

持続可能な組織の成長

持続可能な組織の成長が求められていることも、トランスフォーメーショナルリーダーシップが重要と考えられている理由のひとつです。持続可能な成長を実現するには、従業員の成長と組織全体の成長が矛盾することなく両立している必要があります。従業員の自己成長が組織の成長につながるというトランスフォーメーショナルリーダーの信念は、持続可能な組織の成長を促す原動力となるでしょう。

エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントの向上が求められていることが、トランスフォーメーショナルリーダーシップが重要とされる理由のひとつです。生産年齢人口が減少しつつあるなか、優秀な人材を獲得する難度は今後高まっていくことが予想されます。従業員の離職をできるだけ防ぎ、やりがいや誇りを持って働いてもらうことが大切です。
従業員エンゲージメントを向上させていくためには、従業員の成長が組織の成長と矛盾なく両立する環境づくりができるトランスフォーメーショナルリーダーシップが必要と言えます。

トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果

トランスフォーメーショナルリーダーシップは、組織にどのような効果がもたらすのでしょうか。トランスフォーメーショナルリーダーシップの主な効果について解説します。

モチベーション向上

トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果として、従業員のモチベーションが向上するメリットがあります。従業員の自己成長と組織全体の成長が一致していると、仕事のやりがいや自己肯定感が高まり、組織に貢献している実感がわくからです。

業績の向上

従業員の努力が組織の成長に直結するものであれば、業績が向上していく可能性も高まります。従業員各自が能力を存分に発揮し、現状に満足することなくさらなる高みを目指すことにより、組織としての総合力が底上げされていくからです。自身が業績向上に貢献できていると実感し、さらに貢献したいという意欲を引き出せることも、トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果と言えるでしょう。

組織の成長を促進

トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果で、自己成長が組織の成長へつながり、組織の成長が従業員のやりがいをさらに高める好ましいサイクルが確立されると、組織の成長がさらに促進されます。組織が成長すれば競争力が高まっていき、競合他社に負けない企業へと成長していけるでしょう。

専門能力の開発

トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果で従業員が自発的に学ぶようになると、自身の強みや得意分野をさらに伸ばしたいと考えるようになります。結果として、専門能力の開発や伸長へとつながっていくでしょう。
高度な専門性を備えた人材を社内で育成できるようになれば、新たな事業へと挑戦するための土台が築かれていくはずです。

ビジョンとビジネス環境の整合性をとる

トランスフォーメーショナルリーダーは、組織が掲げるビジョンと変化したビジネス環境の整合性をとっていく役割も担っています。事業領域や仕事の進め方に変化や変更がもたらされた際にも、組織としてのビジョンを軸に判断・行動していくため、変化に対して適切に対応できます。

コラボレーション

従業員各自の成長と組織としての成長を見据えるトランスフォーメーショナルリーダーシップは、既存の枠組みにとらわれないコラボレーションを生み出す効果もあります。社内のコラボレーションはもちろんのこと、社外パートナーとのアライアンスも含めたコラボレーションの可能性を探る可能性も十分にあります。

トランスフォーメーショナルリーダーシップを実践する方法

トランスフォーメーショナルリーダーシップを実践する方法について解説します。トランスフォーメーショナルリーダーシップの概念を理解したうえで、具体的な行動レベルに落とし込んで実践していくことが大切です。

組織のビジョンを伝える

トランスフォーメーショナルリーダーシップの軸となるのが「ビジョン」です。組織としてどのようなビジョンを掲げているのかをメンバーに伝え、正確な理解を促す必要があります。そのためには、まず自分自身が所属する組織のビジョンを十分に理解していなければなりません。売上や利益といった数値目標にとどまらず、その背後にある目的や理念を深く理解しておくことが重要です。そのうえで、表層的な言葉としてビジョンを伝えるのではなく、情熱を持って組織のビジョンを達成すべき理由を説きましょう。

適切なサポートを提供する

メンバーに対して適切なサポートを提供し、各自が担う役割を十分に遂行できる環境を整えましょう。コーチ型リーダーシップやサーバントリーダーシップと大きく異なるのは、サポートする目的が「従業員自身の成長」と「組織のビジョン達成」の双方にある点です。メンバーが自身の役割をより高いレベルで遂行できれば、組織としての総合力がいっそう向上します。

フィードバックでモチベーションを向上させる

適切なタイミングでメンバーへフィードバックを実施し、モチベーションを向上させていくことが大切です。フィードバックの意図は、組織のビジョンを実現するうえで貢献できていることを伝えることに加え、改善を図ることによっていっそう成果が見込める点を伝えることにあります。リーダー自身の個人的な解釈や私見を述べるのではなく、組織として掲げるビジョンを評価軸として伝えましょう。

権限を委譲し人材を育てる

トランスフォーメーショナルリーダーシップを発揮できる人材を育成することも大切です。積極的に権限を委譲してメンバーにより高いレベルを目指してもらい、将来的にリーダーシップを発揮できる人材に育てていきましょう。

トランスフォーメーショナルリーダーシップを発揮できる人材の育成方法

トランスフォーメーショナルリーダーシップを発揮できる人材を育成していくには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。具体的な取り組みを紹介します。

リーダーシップ研修を実施

従業員全員を対象としたリーダーシップ研修を実施することにより、トランスフォーメーショナルリーダーシップを実現するための土台を築くことができます。リーダーシップ研修と聞くと、近い将来リーダー級のポジションで活躍してほしい人材が参加する研修というイメージを抱く方も多いでしょう。
しかし、トランスフォーメーショナルリーダーシップは、一朝一夕に実践できるものではありません。自己認識やコミュニケーションなど、基礎的な能力を少しずつ培っていくためにも、全員参加の研修を実施することをおすすめします。

メンタリング制度を導入

メンタリング制度を導入し、実体験を通してトランスフォーメーショナルリーダーシップを学んでもらうのも有効な方法です。メンティーへのサポートやフィードバックを通じて、メンターは自身の自己認識やコミュニケーションの在り方を振り返る機会を得られます。成功体験だけでなく小さな失敗を積み重ねていくことが、トランスフォーメーショナルリーダーシップの実現に向けたステップとなっていくでしょう。

定期的な評価とフィードバックを提供

従業員への定期的な評価とフィードバックの機会を設けることも、トランスフォーメーショナルリーダーシップを育くむうえで重要です。自社のビジョンに対する理解度や、ビジョンを体現するための行動として適切かどうかを客観的に評価されることで、メンバーは自身の現在位置を把握しやすくなります。

社内コミュニケーションを促進

トランスフォーメーショナルリーダーシップを育むためには、対面でのコミュニケーションだけでなく、離れた場所で働くメンバーとも気軽に対話ができる仕組みを整えていくことが大切です。ほかのメンバーとの間で共有される考え方や事例が、各自の経験値となっていくからです。こうしたコミュニケーションを促進するためには、業務連絡だけでなく各自の言葉で物事を伝え合う風土を築いていく必要があります。

Slack をトランスフォーメーショナルリーダーシップに活用しよう

トランスフォーメーショナルリーダーシップの実践と育成には、多角的な対策が必要です。その一環として、インテリジェント プロダクティビティプラットフォームの「Slack」を活用できます。Slack の各種機能を活用することにより、トランスフォーメーショナルリーダーシップの実践および育成に欠かせないコミュニケーションを円滑化できるでしょう。

業務に関係する報告や共有は、チャンネル投稿やクリップで行う

業務に関係する報告や共有事項は、Slack のチャンネル投稿やクリップを活用してやりとりすることで、場所や時間帯を問わずスムーズに情報共有を図れます。チャンネル投稿は非同期通信のため、対面や電話によるコミュニケーションのように相手と場所や時間を合わせる必要がありません。また、クリップを活用すればボタンひとつで手軽に録音・録画ができるため、文字では伝えにくい情報もスムーズにやり取りできます。細かなニュアンスを伝えたいなど、コミュニケーションの目的や内容に応じて適した情報共有の手段を選べる点が大きなメリットです。

突発的な対応や簡易な相談は、ハドルミーティングを使ってクイックに対応する

メールや電話で相談するほどではないものの、できれば今すぐに確認したい事項が出てくるケースは少なくありません。Slack のハドルミーティングを活用すれば、こうした突発的な対応や簡易な相談が必要な際に効果的に活用できます。ハドルミーティングはチャンネルやダイレクトメッセージから直接移行することもできるため、やりとりのなかで詳細に確認したい事項が発生した場合などに便利です。相手と話せるタイミングを待つまでもなく、クイックに対応できる点が大きなメリットと言えます。

ハドルミーティングを活用し、社員とのリアルタイムなフィードバックを実現する

Slack のハドルミーティングは、社員とのフィードバックにも活用できます。従来はお互いの日程を調整し、会議室を予約したうえで実施していたフィードバックを、必要なタイミングで即時実践できる点がメリットです。フィードバックの内容によっては、タイミングを逃さずその場で伝えたほうが効果的なケースもあるでしょう。こうしたニーズに応えられる機能として、Slack のハドルミーティングを活用してみてはいかがでしょうか。

トランスフォーメーショナルリーダーシップを発揮できる人材を育成しよう

トランスフォーメーショナルリーダーシップとは、変化の激しい昨今のビジネス環境に適したリーダーシップの在り方と言えます。しかし、トランスフォーメーショナルリーダーシップを実践していくには、その定義を十分に理解したうえで、必要とされる能力を着実に身に付けていくことが重要です。
今回ご紹介したトランスフォーメーショナルリーダーシップの実践方法や育成方法を、ぜひ参考にしてください。

よくある質問

トランスフォーメーショナルリーダーシップには「自己認識」「インスパイア」「コミュニケーション能力」「組織全体の学習と成長を促進」という 4 つの特徴があります。自分自身を客観視し、他者の声に耳を傾けることで自身の強みや弱みを理解することが大切です。また、各メンバーが能力を最大限に活かせるように動機付けし、目標を共有することが求められます。傾聴と対話を重視し、相互理解を深めて信頼関係を構築することも重要なポイントです。各自のスキル向上を促進し、組織としての競争力を高められることが、トランスフォーメーショナルリーダーシップの特徴と言えます。
トランスフォーメーショナルリーダーシップを発揮することにより、「モチベーション向上」「業績の向上」「組織の成長を促進」「専門能力の開発」「ビジョンとビジネス環境の整合性をとる」「コラボレーション」といった効果が期待できます。トンラスフォーメーショナルリーダーシップは、組織として掲げているビジョンと、個々の従業員の能力・スキルアップがリンクしています。外的環境の変化に左右されることなく、自社のビジョンへの深い理解を自身やメンバーの成長へと直接的に活かせるトランスフォーメーショナルリーダーシップは、変化の激しい時代だからこそ求められるリーダーシップの在り方と言えるでしょう。

HOME > Slack 日本語ブログTOP > 変革 > トランスフォーメーショナルリーダーシップの効果や実践方法を解説

この記事はお役に立ちましたか?

0/600

助かります!

ご意見ありがとうございました!

了解です!

ご意見ありがとうございました!

うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

読み進める

生産性

会社組織図の基本と押さえておきたい知識

会社組織図とは、組織を隅々まで把握して戦略的な判断を下すうえで活用できる情報の宝庫です。この記事では、それらのインサイトを活用するための手立てを紹介します。

コラボレーション

ビジネスの生産性を高めるためのトップ戦略

オフィスそして自宅の従業員のやる気を引き出すプランをカスタマイズしましょう。

コラボレーション

心理的安全性の高い組織を作る方法

職場の心理的安全性を高めて、失敗を恐れず挑戦できるチームを構築

コラボレーション

プロセスの文書化が必要な理由と、その具体的方法

ビジネスプロセスを文書化する手順を最新化して、全社的な説明責任と業績を向上