ビジネスチャットツールを導入する企業が増えています。ですが、ビジネスチャットを導入予定の事業者さまにとって、導入後に現場が混乱したり、不満が噴出したりしないか心配かもしれません。
今回は、ビジネスチャットの利用時に必要とされるマナーについて、マナー違反の例を挙げながらわかりやすく解説します。ビジネスチャットを導入する際に策定しておきたいルールも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ビジネスチャットとはビジネス特化したチャットツールのこと
ビジネスチャットとは、ビジネス用途に特化されたチャットツールを指します。チャットは、会話を交わすような気軽なコミュニケーションに活用できるツールです。ビジネスチャットは、社内外の関係者とチャット形式でコミュニケーションをとり合えるほか、ファイル共有やタスク管理など、ビジネスで求められる機能を備えています。
ビジネスチャットでは、1 対 1 のやりとりのほか、グループ単位でのやりとりも可能です。部署単位・プロジェクト単位・タスク単位など、さまざまなグループを作成し、関係者に必要な情報の共有に活用できます。
ビジネスチャットとビジネスメールのマナーの違い
ビジネスメールが「手紙」の延長線上にあるツールだとすれば、ビジネスチャットは「会話」の延長線上にあるツールです。手紙に頭語と結語をしたためるように、ビジネスメールでは「お世話になっております」「よろしくお願いいたします」といった定型的な表現が用いられます。
ですが、会話においては、用件のみ簡潔に伝えるケースがほとんどです。定型文を用いるかどうかが、ビジネスメールマナーとビジネスチャットマナーの大きな違いです。
ビジネスチャットのマナー
続いては、ビジネスチャットの一般的なマナーを紹介します。ビジネスチャットはプライベートで使用するチャットツールとは、マナーが異なる点に注意が必要です。
敬語を使用
ビジネスチャットは、仕事上のやりとりをするためのツールです。よって、言葉遣いは「敬語(丁寧語)」が基本となります。会話がしやすいからといって、友人と話すカジュアルな口調は避けましょう。
素早い返信
ビジネスチャットのメリットとして、リアルタイムのやりとりがしやすい点があります。電子メールの場合、24時間以内に返信するのが一般的なビジネスマナーですが、ビジネスチャットの場合はできるだけ素早く返信したほうがいいでしょう。
定型文は使わない
簡潔で素早いやりとりが、ビジネスチャットのメリットです。ですから、ビジネスメールに特有の「お世話になっております」などの定型文を使う必要はありません。用件を簡潔に記載し、わかりやすく伝えることを重視しましょう。
絵文字やスタンプを使用
ビジネスチャットでは、絵文字やスタンプといった機能を活用できます。文字によるやりとりではニュアンスが伝わりにくいケースも少なくありません。笑顔の絵文字やスタンプを文末に添えるだけでも、受け取る側の印象を大きく変えられます。
簡潔な文章
ビジネスチャットでは、できるだけ簡潔な文章を心掛けることが大切です。例えば「◯◯の件ですが、◯◯だったため、◯◯と考えまして、つきましては◯◯を…」といった長文は、チャットでは読みづらく感じられます。一文をなるべく短く区切って、簡潔な文章でやりとりするのがマナーです。
メンションをつけて発信・返信
複数名が参加するグループチャットの場合、メッセージを届けたい相手に「メンション(@+相手のユーザー名)」をつけて発信・返信するのがマナーです。
グループ内の誰に向けて話しかけているのかが一目でわかりますし、直接関わりのないメンバーには通知が届かない形で発信できます。
情報漏洩に注意
グループチャット内での情報漏洩には注意が必要です。例えば、人事情報など、ごく個人的な内容をメンバー全員が閲覧できるグループチャットに発信すれば、その情報を知るはずのない相手に情報が漏れてしまいます。
また、社外関係者が参加しているグループチャットで社外秘の情報を共有してしまうミスにも、十分に気をつけてください。
業務時間外に利用しない
ビジネスチャットは気軽にやりとりができるうえ、スマートフォンやタブレットでも利用できるツールがほとんどです。そのため、つい業務時間外にも業務上のやりとりをしてしまうことがあります。あくまでも仕事用のツールであることを念頭に置き、業務時間外に利用しないのが基本です。
返信と反応を使い分ける
ビジネスチャットでは、返信以外にも「いいね」などの反応を返すことができます。例えば、「承知しました」と一言返信するのであれば、「了解」マークの反応を返すだけで意図を伝えられるでしょう。やりとりをできるだけ簡潔かつスピーディに行うためにも、返信と反応を使い分けることが大切です。
緊急性を伝える
ビジネスチャットで緊急の用件を伝える際には、相手に緊急性が伝わるように記載する必要があります。特に多くのグループチャットを作成している場合、次々と新たな会話を受信することでメッセージが埋もれてしまいがちです。例えば、「至急」「緊急です」といった一言を冒頭に加えることで、急ぎの用件であることが伝わりやすくなります。
相手を尊重する
ビジネスチャットがカジュアルなやりとりに向いているとはいえ、相手をねぎらう一言を添えることはマナー上、重要なポイントです。
例えば、「お手数ですが」といったクッション言葉を添えることで、相手を尊重していることが伝わります。
他ツールと使い分ける
あらゆる連絡や情報共有をビジネスチャットで完結させる必要はありません。文章が長くなりそうならメールをしたり、細かなニュアンスを含めて伝えたい場合には電話やビデオ会議を活用したりするのが得策です。
ビジネスチャットにおけるマナー違反
ビジネスチャットには、一般的にあまり好ましくないとされる使い方もあります。チャットというツールの特性がデメリットとならないよう、下記のようなマナー違反には十分注意してください。
長文を一方的に送る
ビジネスチャットは、短文のやりとりをするのが基本的な使い方です。メールと同じような感覚で長文を一方的に送ってしまうと読みづらくなるだけでなく、相手に威圧感を与える原因にもなりかねません。
文章が長くなりそうな場合は文書ファイルを添付したり、メールに切り替えたりすることをおすすめします。
必要以上に迅速な返信を求める
ビジネスチャットはリアルタイムのやりとりができるとはいえ、必要以上に迅速な返信を求めるのはマナー違反です。
例えば、「10分以内にご返信ください」といった送り方をしてしまうと、一方的な印象を与えます。相手がどのような状況かわからないことを念頭に置き、過度に返信を急かすことのないよう、注意する必要があります。
メッセージを無視する
自分宛にメッセージが届いているにもかかわらず、返信も反応もなく放置するのは相手に対して失礼です。明確に「返信は不要です」などと記載されていない限り、何らかの返信や反応をしましょう。
ツールによっては「既読」が表示されないケースも多いため、反応を送ることでメッセージを読んだことを相手に伝えられます。
無駄話をする
ビジネスチャットは、比較的カジュアルなやりとりをしやすいとはいえ、業務と関係のない無駄話をするのは避けましょう。あくまでも仕事用のツールのため、個人的な話をするのであれば雑談用のチャットを別途作成するなど、ルールを決めておくことが大切です。
感情的にならない
ビジネスチャットで感情的なやりとりをするのは避けましょう。文字によるやりとりでは、誤解や行き違いが発生することも想定されます。
例えば、疑問を抱いて「どういうことですか?」と返信したところ、不満があるように受け取られてしまうケースも想定されます。相手の意図を自分がくみ取れていない可能性を考え、疑問点があれば質問するなど、冷静な対応を心掛けるのがポイントです。
ビジネスチャットで策定すべきルール
ビジネスチャットを導入するにあたって、基本的なルールを策定しておくことをおすすめします。下記に挙げるようなルールを設けておくことで、ビジネスチャットのマナーに関するトラブルや不満を回避しやすくなるでしょう。
チャットの利用時間を明確に
チャットを利用する時間帯を明確にルール化しておくことで、勤務時間外の利用を避けられます。例えば、緊急の場合を除き、業務時間外はチャットの送受信を原則禁止するといったルールです。
特に出勤日や時間帯が従業員によって異なる場合は、誤って休日の従業員にチャットを送信することのないよう、勤務シフトを確認する必要があります。
また、グループチャットの場合は、必ずメンションをつけることで、休日の従業員宛のチャットではないことがわかるようにしましょう。
プロフィール設定を規定
ビジネスチャットのプロフィール設定方法をルール化する方法もおすすめです。社内外の関係者にわかりやすいよう、ユーザー名にはフルネームを使用することや、有給休暇を取得する際には「◯月◯日お休み」「◯月◯日午後は返信できません」と名前の後ろに追記することなど、社内で統一ルールを決めておきましょう。
グループチャット作成のルール
グループチャットを作成する際のルールを決めておくことも大切なポイントです。グループチャットを誰でも自由に作成できることにしてしまうと、グループが増えすぎて管理しにくくなってしまいます。
グループチャットの最小単位を「チームまでとする」としたり、グループ作成の権限を管理者のみに付与したりするといったルールで、グループチャットの乱立を防ぎましょう。
利用権限の設定
ビジネスチャットの利用権限を適切に設定することも大切です。利用権限を適切に設定することで、情報を共有するべき相手のみ、やりとりを閲覧できる仕組みを構築できます。
情報漏洩や誤送信を防ぐためにも、利用権限を十分に確認したうえで間違いなく設定することが大切です。一例として、下記のような設定が想定されます。
通知設定
通知設定に関する基本的なルールを決めておくのも大切です。新着メッセージの通知が届く設定にすることで、タイムラグの少ないやりとりが可能になります。
ですが、あまりにも通知が多く届くと常にチャットを確認しなければならず、本来の業務に集中できなくなります。重要なグループについては通知をオンにしておくなど、大まかなルールを決めておくことをおすすめします。
ビジネスチャットを活用して、業務効率化やコミュニケーション活性化を実現しよう
ビジネスチャットは対面での会話とメールの間に位置する、スピーディで手軽なやりとりが可能なツールです。メールとは異なるルールを理解したうえでビジネスチャットを活用していくことで、よりスムーズなコミュニケーションが実現しやすくなるでしょう。
今回ご紹介したビジネスチャットの基本的なマナーや注意点を参考に、ぜひビジネスチャットを効果的に活用してください。なお、Slack では絵文字をはじめ、ビジネスチャットのマナーに最適な機能が多数そろっています。ぜひ、導入を検討してください。
よくある質問
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