2021 年の SuperOffice による調査では、顧客の 46% が、カスタマーサービスには 4 時間以内に対応してほしいと考えていることがわかりました。また 12% の人は 15 分以内の対応を期待していますが、実際のところ対応までの平均所要時間は 12 時間を超えています。
2020 年に実施された Project.co のアンケート結果は次のとおりです。
- 92% の顧客が複数の担当者に情報を繰り返し伝えた経験がある
- 85% は情報を繰り返し伝えるのが煩わしいと感じている
こうした状況を大きく変えるのがデジタルコミュニケーションです。
デジタルコミュニケーションの種類
デジタルコミュニケーションとは、コンピューター、電話、メール、ビデオなどのデジタルメディアを使って発信、送信、保存、閲覧されるコミュニケーションで、あらゆる形式があります。ここからは、それぞれに適した用途とシナリオを見ていきましょう。
1. メール
調査企業の Radicati が 2021~2025 年のメール統計を分析・予測したレポートによると、企業と顧客が 1 日に送受信するメールの総数は 2021 年末までに 3190 億通を超える見込みです。これだけのメールが送受信されるなか、その内容に明確な優先順位がなければ重要情報を失うリスクも上がります。
メールは職場コミュニケーション手段として効率的とは言えません。特にコラボレーションが活発な職場環境ではなおさらです。しかし、メールは今でも次の目的に使われています。
- 指示、データ、リンクをオンラインソースに提供
- 進捗や最新状況を共有
- ファイルを添付し送信
- メーリングリストにメールマガジンを毎週配信するなど、情報をタイムリーに提供
メールを整理するための効果的な戦略がないと、受信トレイのなかを探し回ったり、重要メールと迷惑メールを分けたり、メールのやり取りから会話を探したりしているうちに貴重な時間が無駄になってしまうでしょう。
2. インスタントメッセージとライブチャット
インスタントメッセージ(IM)とは、インターネットや社内ネットワークまたはサーバーを介して行うリアルタイムまたは即時のやり取りです。
電話やメールのやり取りは不必要に時間がかかりますが、Slack や Facebook Messenger などの IM ツールを使うとそれらが減るどころか、なくなることもよくあります。また、ほかの手段では数日~数週間も気づかれずに放置されるような問題も、IM ならすぐに共有して対処することが可能です。
ライブチャットは、参加者がお互いにリアルタイムでメッセージを送れる点で IM と似ていますが、異なる点もあります。まず、IM では一般的に両方の参加者がお互いを「友達」または「つながり」リストに登録する必要がありますが、ライブチャットでは相手と友達にならなくてもやり取りが可能です。これは、ウェブサイト上のライブチャットアプリで顧客とサービス担当者がやり取りするのと似ています。またライブチャットは柔軟な IM チャットとは違ってセッションベースです。そのため、次のセッションを開始するには最初のセッションを終了しなければなりません。
3. ウェブサイトとブログ
オンライン統計ポータル Statista が発表した 2021 年の記事によると、現存するウェブサイトの数は 18 億 8,000 万に上ります。また e コマースプラットフォーム Oberlo の調査では、そのうち約 6 億件にブログがあることがわかりました。さらに、Top Design Firms の調査によると、アメリカの中小企業の 28% にはウェブサイトがありません。
一般的には、ウェブサイトがないと見込み客にビジネスを認知してもらえません(あなたのブランドの知名度が高い場合は別です)。今やほとんどの人が、店に行ったり購入したりする前に企業や製品について調べます。そして取引の場として選ばれるのはたいていオンラインです。実際に、市場調査企業の eMarketer は 2021 年に食料品のネットショッピングが 1,000 億ドルを超えると予想しています。
ホームページがなくても、ブログを使って業界のエキスパートとしての評判を固めるという手もあります。顧客層が抱える課題の解決につながるインサイトをコツコツ公開するとよいでしょう。
4. SMS やテキストメッセージ
最近公開された Pew Research の調査によると、アメリカ人の 97% が「現在何らかの携帯電話を持っている」そうです。 今や、85% のアメリカ人がスマートフォンを所有しています。ちなみに 2011 年に Pew が初めてスマートフォンの所有状況を調査した時の所有率はわずか 35% でした。Statista の調査では、2021 年のスマートフォンの有効契約数は世界全体で 60 億件以上であり、2026 年には 75 億件を超える見込みです。
つまり、ショートメッセージサービス(SMS)やテキストメッセージを活用して顧客とコミュニケーションしている企業にとっては、状況がこのままよい方向に向かっていくと考えられます。その理由は次のとおりです。
- 利便性 : 多くの顧客が使える
- 簡単 : SMS プラットフォームのほとんどが、オプトインの確認、注文や問題解決の確認、予約のリマインダー、配送通知など、定型タスクのテンプレートに対応している
- 速度 : わずか数秒で多くの人にメッセージが届く
5. 電話と留守番電話
ほとんどのビジネスコミュニケーションを、モバイルまたはデスクトップアプリ、あるいはクラウドベースのプラットフォームで行う今、従来の電話システムについては忘れがちです。顧客の行動はテクノロジーに対応して進化しているなかで、依然として人間らしいやり取りも求められています。
また留守番電話システムもずいぶん進化しました。最近の留守番電話サービスでは、届いたメッセージがテキストやメールで送信されます。
通話したい場合でも、電話システムは必須ではありません。音声コミュニケーションがクラウドで行われるケースが増えているからです。実際に、Slack にも音声通話機能が備わっています。また Slack では、組織外の連携相手(請負業者、ベンダー、顧客、インターン)とやり取りするために、自社のワークスペースにゲストのメンバー種別を追加することも可能です。
6. ビデオ
解説ビデオとは、製品またはサービスの機能を紹介する短いビデオのことです。これらは製品について調べている見込み客や、製品がどのように機能するかを理解したい既存顧客にとっては特に便利です。また、解説ビデオはオンライン広告にも活用できます。
ビデオ会議プラットフォームは、会議の手配や実施のほか、次の場面で役立ちます。
- 求職者の面接や新人研修など、人事および採用施策
- オンデマンドのトレーニングや講師がライブで講義するコース
- 従業員エンゲージメント向上のための、バーチャルハッピーアワーや推測ゲームなどのリモートチームビルディング活動
デジタルコミュニケーションのメリットとデメリット
メリット : コミュニケーションにかかる時間が減少
メールの場合、返信が数分で来ることもあれば、数日あるいは数週間かかる場合もあります。リアルタイムでのやり取りが必要な場合は、ビデオ会議ソフトウェア(または電話あるいはソフトフォン)を使いましょう。または Slack アプリで、インスタントメッセージを送信したりビデオチャットを起動したりしてもよいでしょう。
メリット : あらゆる方向のやり取りが可能
- 下方向 : リーダーまたはマネージャーがメンバーと情報を共有するなど、下向きに流れるコミュニケーションフロー。このなかには、社内通知、メモ、企業ハンドブック、取扱説明書など、返信が不要なものもあります。
- 上方向 : CEO がプロジェクトマネージャーに提案書を作成するよう指示するのは下向きのコミュニケーションですが、それに対してメンバーが返信する場合が上向きのコミュニケーションフローです。ほかにも進捗報告、プロジェクトに関する質問や苦情などがあります。
- 水平方向 : これは同じレベルの同僚間のコミュニケーションです。ブランドメッセージ改善に向けた営業マネージャーとマーケティングマネージャーの連携、コラボレーション促進のための従業員同士の情報共有などが当てはまります。
- 斜め方向 : マトリックス型またはフラット型の階層構造の組織では、組織内の階層が異なる従業員間で斜め方向のコミュニケーションが発生します。例えば、下位の従業員と上位の従業員間のメールのやり取りなどです。
- 外方向 : 最初の 4 つは組織内で発生するコミュニケーションの種類です。外部コミュニケーションとは、法務部や広報部など部門外とのやり取りを指します。「外部」が完全に社外の組織を意味することもあります。
デメリット : 非言語シグナルの欠如
顔を合わせたコミュニケーションでは、非言語のシグナルによって情報が追加されます。肩をすくめる動作は、決断できない状態を表します。しかめ面は不支持の意思表示です。そして、沈黙はさらなる説明を求めている可能性があります。
こうした非言語コミュニケーションによって、私たちは空気を読んだり、必要に応じて方針を変えたりします。しかしメールの場合、メッセージの解釈は人によって変わります。テキストのみのコミュニケーションでは、絵文字のない皮肉などはなかなか伝わらないでしょう。
デメリット : サーバーの停止またはデジタル機能の不具合による障害の可能性
メールやソフトフォンなどのデジタルコミュニケーション方法だけに頼って仕事を進めている組織では、停電は致命的でコストもかかります。アトラシアンが集計したデータによると、大規模な IT ダウンタイムは、1 分あたり 137~9,000 ドル、1 時間あたり 100 万ドルもの損害を企業にもたらす可能性があるそうです。
デジタルコミュニケーションのベストプラクティス
ここからは、デジタルコミュニケーションの効果を最大化するコツを紹介します。
1. 適切なコミュニケーション手段を判断する
どんなメッセージを誰に伝えようとしていますか?消費者に何かを伝えたい場合は、ウェブサイトでの通知やプレスリリースがベストでしょう。リモートワークですぐに返信がほしい場合は、Slack のようなメッセージプラットフォームが最適です。
2. 相手を知る
メッセージのトーンは相手に合わせましょう。上司または CEO に伝えるメッセージは、プロフェッショナルに徹することが重要です。気さくに話せる同僚にはカジュアルなトーンで話せば、より働きやすい職場環境につながります。
3. 件名から内容がわかるようにする
「ひと目で注意を引く」、これはメールマーケティングの基本の 1 つです。
4. 簡潔に
テキストメッセージやチャットは簡潔に書くよう心がけください。メールを送る場合、内容はできるだけ 1 つのテーマに絞り、すぐに要点に入りましょう。
5. 文法、句読点、誤字脱字をチェックする
送信ボタンを押す前に、誤りがないかをチェックします。誤字脱字または句読点や文法の間違いが多く、表現が拙いメッセージやメールは、プロフェッショナルな印象を与えません。送信を取り消す機能もありますが、通常それができるのは送信後わずか数秒間です。
6. 丁寧に
どんな媒体でも、人を不愉快にさせる言葉は使わないでください。デジタルメッセージは記録に残り、送信内容がほかの人に見られる可能性もあります。誰かに見られたくないものは、書かないようにしましょう。
効果的なコミュニケーションを重視
ビジネス目標を常に達成するのに欠かせない第一歩は、全員が共通の理解を持つことです。今ある豊富なデジタルコミュニケーションチャネルをかしこく活用しましょう。特に Slack のようなオールインワンプラットフォームならよく使うツールを連携できるため、コミュニケーションを効率よく管理できます。戦略的に整理された Slack のチャンネル、効率的なリアルタイム(およびオフライン)チャット、クラウドベースのドキュメント管理、簡単な自動化ツールの力を活用して業務フローを大幅に効率化して、生産性を高めましょう。