コロナ禍によって世界中のオフィスの業務が停止するという前代未聞の事態が発生してから 2 年以上が経ち、リモート従業員もここにきて定着してきています。このまま完全リモートを続ける職場も、ハイブリッド勤務モデルにシフトする職場もあると思います。しかし、PwC が実施した 2021 年の調査では、雇用主と従業員の両方がリモートへの移行が成功だったと回答しており(雇用主 : 83%、従業員 : 71%)、雇用主の半数以上が、ゆくゆくはリモートワークを拡大すると述べています。
言うまでもなく、完璧な物事など存在しません。全体的に見ればリモートワークへの移行は成功しました。しかし一筋縄ではいかないのが、リモートワーカーとそれ以外のチームメンバーの連携なのです。マネージャーの皆さまは、リモート従業員のエンゲージメントについて既成概念にとらわれずに考える必要があります。
エンゲージメントの高いチームとは
従業員エンゲージメントとは、大まかに定義すれば、チームの一員であると感じることです。これには自社に対する当事者意識、情熱、コミットメントも含まれます。エンゲージメントの高いチームは生産性が高くコラボレーションに積極的で、雇用主や仕事自体に対して全体的によい印象を持っています。
オフィスでは、従業員エンゲージメントに気を配ることはそんなに難しくありません。オフィス内をあちこち歩き回りながら、各従業員のデスクに立ち寄って話ができますし、従業員の業務内容を確認しながら、リアルタイムでフィードバックを得ることもできます。
しかし、リモート従業員のエンゲージメントは評価が大変で、こうはいきません。生産性に気を配ることはできます。しかし、チームメンバーの気持ちを知るには、こちらから積極的に声をかけながらフィードバックを得る必要があります。手間はかかりますが、エンゲージメントの高い従業員は忠誠心が高く、効率もよいため、そうするだけの価値はあります。
リモートワーカーのエンゲージメントを向上させる方法
エンゲージメントを最大限に高めるには、戦術とテクノロジーが必要になるでしょう。そのいくつかおすすめを紹介します。
- コラボレーションツールを活用 : Slack などほかのサービスと連携できるプラットフォームや、チャット、動画をはじめとした非同期型コミュニケーションツールによって、物理的に離れた場所にいるチームが連携しやすくなります。
- バーチャル井戸端会議の場を設ける : 従来のオフィスには井戸端会議を気軽に楽しめる場所があり、人が集まり交流しています。リモートワーカーもこのように集まって、気軽に雑談したり個人的なつながりを築いたりする必要があります。従業員の息抜きを目的としたビデオ会議を任意参加の形で開くこともできます。
- 人間としてリモートワーカーのことを知る : 一緒に仕事をする人といつも画面上の文字や 5 分程度の動画クリップでしかやり取りしていないと、その人が 1 人の人間であることをつい忘れてしまいがちです。リモートのチームメンバーに対して人として知る努力をしましょう。誕生日や記念日などの節目をお祝いしてください。リモートのチームメンバーの得意なこと、夢中になっていることを知り、それらを考慮しながらプロジェクトを割り当てます。また、従業員がプライベートで抱えている問題について知り、マネージャーの皆さまの側で柔軟に対応できることがあれば、実行しましょう。
- 共有しすぎるぐらいの気持ちで : 何か重要なことが隠されていると、従業員がそれを見抜いてしまうのは不思議なものです。コミュニケーション不足は、オフィス内でうわさ話が飛び交う発端となりかねませんが、オフィス内の変化に気づけるだけの情報源を持たないリモートワーカーにとっては、より深刻な問題です。会社やチーム内で発生する重要な出来事はすべてオープンにして、透明性を確保してください。リモート従業員に提供する情報は、少なすぎるよりも多すぎる方がよいでしょう。
- フィードバックを集める : リモートワーカーのオフィスに少し寄って立ち話する、というわけにはいかないので、フィードバックを定期的に得るために積極的に行動してください。
- チャットでつながる : 進行中のプロジェクトの最新情報を得てください。マネージャーと直接コミュニケーションできる環境を整えて、リモートチームのメンバー全員が問題を報告したり支援を依頼したりできるようにしましょう。
- 皆の前で褒める : オフィスにいれば、会議中に従業員の大きな功績について発表することは簡単です。週間最優秀社員賞のように、優秀な従業員を皆の前で褒めるプログラムが用意されていることもあります。リモートワーカーにとっても、皆の前で認められることは非常に重要です。Slack で全社向けにメッセージを配信しましょう。その人への感謝のメッセージを録画して短い動画クリップを作成し、関連する Slack チャンネルに投稿するのも、従業員に感謝するためのグループチャットを始めるのもよいでしょう。皆の前で褒めることができるのであれば、手段は何でもかまいません。
リモート従業員のエンゲージメントを高める簡単な方法
コロナ禍を発端とするリモートワークへのシフトはおおむね成功しましたが、リモートワーカーのエンゲージメントを維持するには、ちょっとした配慮が必要です。幸いなことに、計画を立てる、個人レベルでつながる、クリエイティブな方法でコミュニケーションを維持するなどの方法は、すべて簡単に実行できます。