今年の Dreamforce で話題の中心となるのは「エージェント」です。Slack と Salesforce は「仕事の中から仕事をなくす」ことで、人々の働き方を変えようとしています。具体的には、デジタルエージェントと、目的に特化した AI を、世界をリードする会話型のビジネスの基本システムである Slack に導入することで、それを実現しようとしています。
エージェントとともに働く時代に成功を収めるには、ビジネスの基本システム、つまり、人、データ、アプリ、エージェントを 1 つの専用スペースにまとめた会話型のプラットフォームが必要です。Dreamforce では、エージェントとのコラボレーションの方法、AI を使って生産性を高める方法、そして包括的なビジネスの基本システムである Slack に Salesforce CRM を自動的に組み込む方法をご紹介します。
「Slack はエージェントを活用したビジネスの基本システムとして、“スマートな働き方”を再定義しようとしています」と Slack の CEO、Denise Dresser は話します。「時代はすでに、従来のコラボレーションの枠を超えた領域に突入しています。毎日、何百万ものチームが目的に特化した AI を利用して、顧客データを処理したり自動化を実現したりしています。そして今、エージェントが業務フローにシームレスに統合されようとしています。複雑さを増す今日の仕事環境で真の生産性を発揮するには、未来の働き方に対応できるビジネスの基本システムが必要です。つまりそれが Slack なのです」
Dreamforce では、このようなエージェントの時代に、よりシンプルに、快適に、有意義に仕事を進めるのに役立つイノベーションを発表します。その一部をここでご紹介しましょう。

「単に仕事をこなせるだけでは不十分です。新たなレベルの生産性を切り拓き、あらゆるチームや部門が成果を上げてビジネスをさらに推進できるようになること。それこそが重要なのです」
Slack は、人間とエージェントが協力して仕事をするための会話型インターフェイス
例えば、あなたが CRM に話しかけて、取引先データの更新や問い合わせへの返信ができるとしたらどうでしょう?Agentforce によって、それが現実になろうとしています。Agentforce は、Customer 360 全体のエージェントのスイートであり、エージェントを作成・カスタマイズできる Salesforce のツールセットでもあります。
Slack は、アプリから自律的な AI エージェントまで、あらゆるエンタープライズツールと連携できるビジネスの基本システムです。そのためチームは Slack 内で Agentforce エージェントとも簡単にコラボレーションして、仕事をスピーディーに進めることができます。ユーザーは Slack の専用ユーザーインターフェイス(UI)で、これらのエージェントの力を借りながら、商談の推進、キャンペーンの作成、カスタマーサービス案件の管理などを行えます。エージェントには自然言語を使って簡単に質問や指示ができます。
Agentforce in Slack により、Slack 内で直接 Agentforce に質問して、Salesforce の CRM データと Slack の会話データに基づいた信頼できる回答を受け取ることができます。Agentforce は商談についての最新情報を提供してくれるほか、次のステップの提案、メールの下書き、アクションプランの作成にも対応します。得られた情報は、そのまま Slack のチャンネルやメッセージですぐに共有できます。
どの Agentforce エージェントも Slack 内で推論を行い、タスクを調整して、チームにパーソナライズされた体験をもたらします。例えば、Agentforce Sales Coach は、コンテキストに沿った案件のロールプレイを促し、営業スキルの向上に役立つ客観的なフィードバックを個別に提供してくれます。
ビジネスの基本システムである Slack は、サードパーティーのエージェントやアシスタントにも対応しています。ユーザーはサードパーティーのエージェントやアシスタントと Slack の専用 UI を使ってやり取りし、コンテンツのドラフト作成や、市場調査の結果の抽出、ファイルの収集や要約を手伝ってもらえます。
また、目的別の API を使用してカスタムエージェントを作成したり、Slack Marketplace からサードパーティーエージェントを選んでインストールしたりすることも可能です。Slack アプリ、エージェント、AI アシスタントのハブである Slack Marketplace には、AI 活用型のアプリケーションが続々と追加されています。現在利用可能なアプリケーションには Adobe Express、Cohere、Writer などがあり、近日中に Anthropic の Claude や Perplexity なども利用できるようになる予定です。
これらすべてのエージェントをビジネスの基本システムである Slack に組み込めば、どのチームもエージェントを簡単に日々の仕事に活用できるようになります。その効率化の結果、顧客との関係強化や収益拡大につながる価値の高い仕事に、より多くの時間を使えるようになるでしょう。
サードパーティーエージェントは現在 Slack Marketplace で提供されています。利用可能なエージェントは今後さらに増える予定です。Agentforce については、2024 年 10 月に Slack にてベータ版が利用可能になる予定です。
シンプルかつ強力な AI で、スマートに働き、時間を節約
AI によって、私たちの働き方は根本的に変わろうとしています。実際、AI を使っているデスクワーカーの 80% が AI によって生産性が向上していると回答しています。内部データによると、Slack AI のリリース以降、これまで 6 億件以上のメッセージが要約され、ユーザー全体で合計 110 万時間が節約されています。こうした数字に、AI を活用したビジネスの基本システムがもたらす生産性向上の効果が現れています。そして Slack は、仕事をもっとスマートに、スピーディーにする、さらなる生成 AI 機能の開発を続けています。
その最新機能の 1 つが、Slack ハドルミーティング議事録です。AI がハドルミーティングの要点や実施項目を抽出してくれることで、ユーザーは重要な仕事や次のステップに集中できるようになります。仕組みはこうです。ハドルミーティングに導入された Slack AI によって、Slack canvas 内に要約と議事録が作成されます。これには引用、実施項目、共有されたファイル、会話の音声トラックの文字起こしと共有されたメッセージが含まれます。チャンネルに参加している全員が、この議事録にアクセスできます。
コーディング不要のワークフロー構築ツールであるワークフロービルダーも、さらに簡単に使えるようになります。ユーザーは会話形式のプロンプトで、自動化を簡単にセットアップして、効率化を実現できます。例えば「毎週月曜日の午前 9 時にチームメンバーに進捗報告を依頼するリマインダーを設定して」と指示すると、ほんの数秒で、Slack AI とワークフロービルダーがワークフローを生成してくれます。そのワークフローを公開する前に、改良や編集を加えることも可能です。
最後に、Slack AI の検索機能も強化されました。これにより、ユーザーは質問に対して、より具体的で関連性の高い回答が得られるようになります。メッセージやチャンネル内の会話を検索するだけでなく、アップロードされたドキュメント、canvas、クリップの文字起こし、Slack でアクセスできるその他のファイルやアプリからも、回答を見つけられるようになります。
Slack AI は現在、Slack のすべての有料プランにて、有料アドオンとして提供されています。
Salesforce のデータを Slack に取り込んで、ビジネス成果を向上
今、何百万もの人々が日々 Slack を使って仕事をし、さまざまなチームが Slack で顧客に関する重要な会話を交わしています。ただ、高まる顧客の期待にこれからも応え続けるには、チーム間でさらに効率的に連携し、会話や CRM のデータをもとに顧客をしっかりと理解して、全員で認識を共有していく必要があるでしょう。その点で、Salesforce の CRM データをビジネスの基本システムである Slack に取り込むことは、より良い連携と速やかな意思決定を導く強力なアプローチとなります。
そこで Salesforce チャンネルの登場です。この新しいタイプの Slack チャンネルでは、Salesforce レコードの CRM データ(商談、ケース、カスタムオブジェクトなど)が Slack に取り込まれます。これにより、レコードに関連づけたディスカッションや意思決定が可能になり、チームは十分なデータに基づいた決定を速やかに下せるようになります。例えば、営業チームはこのチャンネルを使って、担当する顧客の概要を把握し、複雑な課題に対処するための戦略を練り、法務部門や財務部門と連携して依頼や承認をより効率的に管理できるでしょう。
また、Salesforce チャンネルにより、Slack 内から直接顧客データにアクセスしたり、データを更新したりすることが可能になるため、Slack と Salesforce を行き来する必要がなくなります。さらに、Slack AI の要約機能を使えば、Salesforce チャンネルで行われた顧客に関するディスカッションから最新のハイライトを簡単に確認できます。まもなくこのチャンネルは Salesforce の UI でも利用可能となる予定で、それによりメンバーがどこで作業をしていても、同じ認識を共有しながら連携できるようになります。
中小規模の企業の皆さまは、今後数か月のうちに Starter Suite にて、Salesforce チャンネルをご利用いただけるようになります。このスイートには、成長中の企業ならではのニーズに合わせて設計された、構築済みのテンプレートやすぐに使える Salesforce CRM ツールも含まれています。これらのソリューションは、ビジネスの基本システムである Slack にシームレスに統合できるため、スモールビジネスを営む皆さまも簡単にデータを整理し、顧客関係を管理して、ビジネスに貢献する有益なインサイトが得られるようになります。
Salesforce チャンネルは現在、Slack Sales Elevate をご利用のユーザー企業の皆さまに提供されています。今後数か月のうちに Salesforce Starter Suite でも利用可能となる予定です。
「顧客データに基づいて会話し、チーム間で効率的に連携できることは、当社にとって画期的で、ビジネスに大きなメリットをもたらします。顧客について常に共通の認識をもてることで、チームはより多くの価値を顧客に提供できるようになるでしょう」
プロジェクトの立ち上げ・拡張に役立つ「Slack テンプレート」
Slack を全社的に導入する場合でも、まずは少数のチームで小さく始める場合でも、スピーディーな導入と長期的な成功のカギとなるのは、いかにプロセスを標準化するかです。そこで生まれたのが Slack テンプレートです。これにより、すぐに Slack を活用したプロジェクトを始められます。
まもなくリリースされるこのテンプレートにより、プロジェクトの管理やヘルプリクエストの優先順位づけなど、チームはあらゆるタイプの業務を迅速に行えるようになります。テンプレートはユースケースごとに用意され、業務のニーズに応じてチャンネル、canvas、リスト、ワークフローが事前設定されています。日々の仕事の枠組みに合わせて簡単にセットアップできるすぐに使えるソリューションにより、円滑にプロジェクトを開始できます。
誰もがワンクリックで、仕事の内容に合った構造化されたチャンネルを作成できます。このチャンネルはフォーマットに一貫性があり、関連するリストや canvas に詳細情報があらかじめ入力されていて、ワークフローも作成されています。例えば、ウェブサイトをリニューアルするプロジェクトを立ち上げるとしましょう。その場合、プロジェクト専用のチャンネル、プロジェクトの概要、一元化された進捗確認リスト、週次の更新サマリー、ステータスアラートなど、開始するにあたって必要なものすべてにアクセスできます。このチャンネルに AI やアプリ、データも組み込めば、チームはもてる能力をフルに発揮して、さらに生産的に業務を進められるようになるでしょう。
Slack テンプレートは 2024 年 10 月に提供を開始する予定です。
Dreamforce に参加できない方は、ぜひ LinkedIn ライブで Slack の基調講演をご覧ください。さまざまなデモのほか、ユーザーの皆さまが Slack をどのように活用して最高の仕事を成し遂げているのかを紹介する事例や、今後登場予定のイノベーションについて、詳しくご確認いただけます。この基調講演は後日 Salesforce+ でもご覧いただけます。
上記の内容は情報提供のみを目的としています。購入の判断をされる場合にこちらの情報のみを根拠とすることは推奨されません。製品や機能の開発およびリリース、またその時期は、Slack の単独の裁量に委ねられ、変更される可能性があります。