現代の職場では、オフィス内の別の場所にいる人と同じほど、国内の別の場所(または世界の別の場所)にいる人と仕事をすることが多くあります。そのため、リモート会議を行う方法や、リモート会議が効果的な理由、さらに自分のチームで効果的なリモート会議を行う方法についてしっかり理解しておくことは大切です。
オンライン会議は、チームの日常的なワークフローの一部かもしれませんが、その効率をどのように最大限に高めるかは難題となる可能性があります。最適なデジタル会議ツールをどのように選べばよいでしょうか?会議が終了する前に、話し合う必要のある内容すべてを扱えたことをどのように確認しますか?デジタル会議を上手に行うことに不安があるとしても心配いりません。メンバーの分散するチームで効果的なリモート会議を行うためのポイントをすべて紹介します。
自分のリモートチーム会議に合ったオンライン会議ツールの選択
オンライン会議を簡単に手早く行い、コラボレーションを促進するためのテクノロジーは数多くあります。大切なのは、自分のチームにとって最適化なツールを見つけることです。
リモート会議ツールを選択するときに、以下の点を考えてみましょう。
このリモートチーム会議の成功に必要な主要機能は?
新製品についてのアイデアを共有するときに、全員の反応が見えるようにしたいですか?ビデオ会議ソフトウェアを試してみましょう。プレスリリースのために全員が共同で作業する必要がありますか?Google ドキュメントのようなツールを使うことができるでしょう。全員がプレゼンテーションやデモをリアルタイムで見る必要がありますか?それなら、画面共有ソフトウェアは必須です。
重要なのは、「適切な」ツールはチームのニーズに応じて異なるということです。チームはそれぞれさまざまですが、少なくともビデオと音声の両方の機能を持つオンライン会議ツールは、どのチームにとっても役立ちます。調査によれば、コミュニケーションの 55% はボディーランゲージで、38% は声の調子で伝わります。どちらの点も、バーチャル会議で協調的な雰囲気を作り出すのに必要です。
リモート会議に参加する必要がある人数は?
1 対 1 のデジタルチャットに最も効果的なツールが、異なるタイムゾーンにいる 20 人のリモートワーカーとの会議に最も効果的なツールであるとは限りません。大勢のメンバーがスムーズに会議に参加できるようなソフトウェアを選びましょう。
テクノロジーによってオンライン会議の効率を高めるには?
職場のテクノロジーは、プロセスを円滑にし、チームとチームメンバーが情報にアクセスしやすくなるように使用します。また、重要な内容にフォーカスできるようにします。それで、オンライン会議用ツールを評価するときには、画面共有や録画機能など、役立つ付加的な機能があるかを確認しましょう。こうした機能によって、会議後に会議の内容をメンバーと共有できるだけでなく、会議中にメモ取りに必死で集中できないということも避けられます。
効果的なデジタル会議の基盤を築く
対面のチームで仕事をする場合は、手を止め、雑談をし、関わりを持つ機会が 1 日の中でたくさんあります。そのようなちょっとした会話やつながりによって一体感が築かれると、会議の雰囲気にも影響します。メンバーは自分も関わっているという実感が得られ、安心して意見を述べたり、建設的なフィードバックを提供したりできるようになります。ある調査によれば、自分の笑い場話や失敗談をチームに話した社員は、そうしなかった社員に比べ、ブレインストーミングセッションでアイデアを出す確率が 26% も高くなりました。職場の仲間と仲良くなると良い影響があることも、十分証明されています。
しかし、リモートチームメンバーにはそうした機会があるとは限りません。そのため、リーダーとマネージャーは積極的にそうした機会を作り出す必要があります。チームメンバーのほとんどが話したり、会ったりしたことのない場合、皆の前で発言や議論をしづらいものです。それで、定期的なデジタル会議をチームのワークフローに組み入れる前に、皆が気軽にコミュニケーションを取り合えるようにすることが重要です。
そのためにはどうすればいいでしょうか?「デジタル井戸端会議」の場を作ることです。決められた会議外とは別に、チームメンバーがお互いに知り合い関わり合うことができるオンラインの共有スペースです。分散したチームにオンラインで関わりを持つための共有スペースを提供するなら、次のようなメリットが得られます。
- 直接顔を合わせたことがない人と、デジタルチャンネルを通じて気軽に(少なくとも、気まずさを軽減して)コミュニケーションを取れるようになる
- チームメンバーや、その専門知識を知ることができる
- 地理的な場所に関係なく、メンバーと対等で、チームに不可欠な一員であると感じられる
- 会議の前に、コミュニケーションスタイルや異なる見方について生じかねない問題を見極められる
デジタル井戸端会議は、特定の場所(Slack チャンネルなど)か、定例イベント(毎日のビデオチェックインや毎週のデジタルハッピーアワーなど)で行うことができます。会議の前にチームがつながり知り合うことができれば、効果的なオンライン会議の基礎を築くのに役立ちます。
スケジュールを調整してリモートチーム会議を設定する
リモートスタートアップの組織戦略およびデジタル職場文化の拡大に特化した、コーチングコンサルティング企業 CollabsHQ の、CEO 兼共同創業者である Bryant Galindo 氏は、「リモート会議は、誰もが自分の置かれた状況の中でいるべき場所から参加できます」と語っています。とはいえ、会議の場に全員を集める方法を探すのは簡単でないかもしれません。特に、複数のタイムゾーンにまたがるリモートチームと会議を行う場合はそう言えます。
全員が同じスケジュールに集合するには、全員のタイムゾーンに合った時間枠を探します(例えば、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスにチームメンバーがいる場合、会議を設定する理想的な時間はロサンゼルス時間の午前 9 時です。ニューヨークでは午後 12 時、ロンドンでは午後 4 時になるからです)。分散するチームに最適な時間枠を選択するのに役立つツールはたくさんあります。
- Every Time Zone では、便利なスライダーを使って、異なるタイムゾーンの時刻を確認することができます。
- Timeanddate.com の World Clock Meeting Planner では、チームメンバーの各場所を入力すると、会議時間を提案する表が作成されます。
- Worldtimebuddy では、自分とチームメンバーの場所を追加すると、それぞれの場所の時刻を示す表が作成されます。
可能な場合、いつでも十分前もって会議のスケジュールを決定しましょう。連絡がしっかり行き渡れば、スケジュールが重なることは少なくなるでしょう。それでも、ぎりぎりになって会議を開く場合、チーム全員が重なる時間帯を空けておくようにします。そうすることで、会議を開く必要がある場合に、何千マイル離れていても同じ(デジタル)スペースに集まることができます。
アジェンダを設定して、リモート会議のガイドラインをまとめる
予定したリモート会議を効率的、また効果的に行うには、アジェンダを作成する必要があります。
Galindo 氏は、次のように述べています。「成功しているリモート会議には、前もってアジェンダが設定されていて、出席者は何を話し合うかがわかっています。アジェンダがなければ、何を行おうとしているかを把握するだけで 15 分から 20 分過ぎてしまうでしょう」
どんなデジタル会議でも、次の内容を含む、明確な会議アジェンダを作成することが重要です。
- 主なテーマ
- 会議の流れ(例えば、各テーマをいつ、どのくらい話し合う予定か)
- 出席予定のチームメンバーやチーム
- 各チームメンバーや各チームが会議のために準備しておくこと
- 関連ドキュメント、ファイルまたは調査結果
会議のアジェンダと同じほど重要なのは、会議のガイドラインです。これは、チームがデジタル会議にどのように貢献することが期待されているかに関する、ルールと期待値です。
Galindo 氏は、「あなたは、全員が期待値に関する明確な指針を持って会議に参加し、何をするかまたデジタルスペースを管理する方法を知っていて欲しいと思うことでしょう」と述べています。
例えば、皆が自由に発言できるのでしょうか、それともチームリーダーが発言する人を指名するのでしょうか?常に全員がカメラに映る必要がありますか、それともプレゼンテーションを行う人だけでいいでしょうか?他の人が発言している間、電話をミュートにするべきですか?
明確な会議のアジェンダとガイドラインを設定する(そして、それを最低でも 24 時間前にチームに送信する)ことは、デジタル会議を開く前に全員が同じ認識を持つ助けになります。
オンライン会議のエチケット
会議によって「ルール」は異なるとはいえ、スムーズにオンライン会議を行うために皆が守るべき基本的なエチケットがあります。
次のようなルールは、オンライン会議エチケットの基本項目と考えましょう。
- 会議で全員を紹介して、全員が関われるようにする
- 他の人がプレゼンテーションを行っている最中に携帯電話を見ない
- 他の人が発言しているときに遮らない(または割り込もうとしない)
- 会議の前にすべてのテクノロジー(カメラ/ビデオ、Wi-Fi、画面共有など)をテストしておく
- アジェンダを読んでおき、準備して出席する
- デジタル会議中に他のタスク(メールチェックなど)を行わない
- すべての通知をオフにし、携帯電話がサイレントモードになっていることを確認する
- すべてのチームメンバーが、不必要に気を散らされない静かな場所にいることを確認する
迷ったときは、とにかく礼儀を示すようにしましょう。オンライン会議では他の場合と同じように、誰もが聞いてほしい、見てほしい、尊重してほしいと思っているのです。
オンライン会議でリモートチームメンバーの積極的な参加を促す
スケジューリングからアジェンダの設定、適切なエチケットまで、ここまでで取り上げた点すべては、デジタル会議を始め、進める上で重要です。それでも、実際の会議中にチームが積極的に関与していないなら、こうしたことはすべて無駄になってしまいます。
そこで、チーム全体が初めから終わりまでリモート会議に積極的に参加できるようにするためのヒントを紹介します。
気さくに会話をする時間を取る
会議を始める前に数分間、気兼ねないやり取りをすることで、会議を効果的に行うために必要な親近感を築くことができます。ビジネス上の話し合いに移ってからも、チームが関わりやすくなります。
Galindo 氏はこう言います。「バーチャル環境では、顔を合わせたやり取りがありません。それで、信頼や親近感を生み出すために倍の努力が必要になります。バーチャル環境では、信頼や親近感を生み出すことを強く意識する必要があります」
会議の最初の数分を使って、全員とチェックインを行ったり、情報を伝えたり、オフィスの様子について話したりしましょう。これはエンゲージメントを高めるだけではなく、文化を強化し、チームとの関係を深めることができます。
全員に自己紹介してもらう
会議の出席者が多い場合、一人ひとりを把握するのが難しくなるかもしれません。開始時点(特に誰かが発言やプレゼンテーションをする前)で全員に自己紹介してもらうなら、皆が他のチームメンバーを把握し、会議にどう貢献しているかを知ることができます。
全員に仕事を与える
会議に出席して、なぜ自分がそこにいたのかわからなかったという経験がありますか?
各出席者に明確な目的が与えられていないなら、チームのエンゲージメントは簡単に損なわれてしまいます。会議の前に、チーム全員に仕事が割り当てられていることを確認します。例えば、チームメンバーの 1 人にはブレインストーミングで挙がる質問を書き出してもらい、別のメンバーには話し合いの要点をメモしてもらい、さらに別のメンバーにはプレゼンテーション中のスライドの進行を管理してもらうことができるでしょう。
会議の際にリモート社員の関与を促す最善のタスクとは、次のようなものです。
- インタラクティブ。一人ひとりがリアルタイムに貢献し、会議や他のチームメンバーと関わり合う必要のあるタスクです。
- 簡潔。仕事が複雑すぎると、チームは会議に実際に参加することよりも、行うタスクを理解することに時間が奪われてしまいます。
- 頻繁。各チームメンバーのタスクは、会議中に行い続けなければならないものが理想的です。そうすることで、「一度やったら終わり」という任務を割り当てられるよりも、最初から最後まで関与し続けることができます。
全員に仕事を与えるなら、メンバーは会議で積極的に役割を果たすことができ、アクションの一部に加わっていると感じられます。受け身の聞き手になるだけでは、ご想像のとおり、退屈でつまらない時間になってしまいます。
リモート会議で内向的な人を取り込む
積極的に発言するタイプでない人も含め、チームメンバーすべてがリモート会議に関与できるようにすることは大切です。
「進行者の役目は、全員を励まして自信を持たせることだけでなく、発言の苦手な人に安心感を与えるスペースを作ることでもあります」と、Galindo 氏は言います。
会議で発言の苦手なメンバーがいる場合、意見を述べる平等な機会が全員に与えられるような形で会議を行うことができます。例えば、ラウンドロビン式で、議題についての見解や経験を全員が 5 分ずつ発表するといった方法です。
チームの誰かが発言しようとしているものの、外交的なチームメンバーに埋もれてしまっていることに気付いた場合、発言する時間を取り分けます(そして、チームの他のメンバーが耳を傾けるようにします)。それでもデジタル会議で発言したがらないチームメンバーもいることでしょう。1 対 1 の話し合いの時間を作り、リモート会議を参加しやすい場とするにはどうしたら良いか、その人の意見を尋ねることができます。さらに良いのは、会議の後にアイデア、意見、提案を書き込むことのできる、オンラインの共有スペースやドキュメントを作成することです。
オンライン会議で、内向的な人の声も他の人と同じように価値があるものの、それを引き出すには進行役の側にいくらか努力が必要かもしれません。
オンライン会議のフォローアップ
会議を効果的なものとするには、会議が終わったときに全員が明確な目標を持っている必要があります。皆が次の点を知っている必要があります。
- 提出物と次のステップ
- 各項目やタスクをフォローアップする責任者
- 提出物の期限
- 次回の会議やチェックインの日程
主催者であるなら、会議がどれほどうまくいったかについて出席者にチェックインを行うことは、フォローアップの重要な部分であることを忘れないようにしましょう。形式ばらない 1 対 1 の会話を通して行うことも、簡単な匿名のフィードバック調査を送ることもできます。出席者の意見を聞くことで、今後の会議を皆にとって参加しやすい効率的なものとする方法について幅広いアイデアを得ることができます。
分散したチームとのデジタル会議のプロになる
デジタル会議を効果的に行うことは、とても難しく思えるかもしれませんが、心配はいりません。このステップバイステップガイドに従えば、2 人チームでも 10 人チームでも、チームメンバーが 5 マイル先にいても 5000 マイル先にいても関係ありません。紹介した情報を活用するなら、自信を持って、生産的なリモート会議を行えるはずです。