「千里の道も一歩から」。仕事でもよく実感することわざです。Slack 社には 1,000 人を超える従業員がいるため、全員が社内外の事情や企業文化、Slack の使い方を把握するまでには時間がかかります。
その分新入社員を教育する機会はたくさんあり、結果的にオンボーディングに磨きをかけてこられました。今回は、新入社員の入社前と入社後に Slack を使ってオンボーディングする方法を紹介します。チームの規模が数十人であれ数千人であれ、実際に効果のある方法です。
オンボーディングプロセスの早い段階で新入社員向けのスペースを作る
Slack 社内では、内定者が新入社員専用の Slack ワークスペースにひと足早く(入社日の 2 週間前から)アクセスできるようにして、やり取りや質問はすべてメールではなく Slack で行うよう推奨しています。
新入社員はまず、#new-hires-08-20-18(#新規採用-08-20-18)といった入社日ごとのチャンネルに参加し、そこで挨拶したり、役立つチャンネルやドキュメントを確認したりします。また、IT ヘルプや福利厚生に関するチャンネルもあります。ワークスペースに参加するとすぐに、事前に設定されたダイレクトメッセージが届きます。内容は、人事システムへの登録、プロフィール写真のアップロード、自己紹介チャンネルへの紹介文投稿のリマインドです。
入社日の数日前には、オフィスへの道順、サンフランシスコのガイド、おすすめのランチスポット、質問用チャンネルなどが共有されます。また、ナレッジベースアプリの Guru も役立ちます。入社前に参照資料リストを共有しておけば、会社について知ってもらえるからです。
新入社員は 1 か所で臆することなく何でも質問したり、ほかの新入社員からの質問を見たり、人事から 1 対 1 のサポートを受けたりすることができます。また、Slack を安全かつ自由に試せるため、忙しい既存メンバーの手を煩わせることがありません。
このプロセスをインターンにも適用し、インターンシップ期間の数か月前に参加してもらったところ、早々に効果が表れました。Slack でのやり取りを通じて自然とグループができ、職場にスムーズに慣れてもらえたのです(一緒に住む場所を探すなんてこともありました)。
新入社員は入社日にメインの Slack ワークスペースにアクセスできるようになり、オンボーディングの最初の 1 週間で、チーム全体で Slack を使いこなす方法に関するセッションを受けます。とはいえ入社日までの 2 週間で新入社員向けワークスペースを通して Slack になじんでいるため、ゼロから始める必要はありません。またわからないことがあれば、その後 2 か月間は専用ワークスペースで疑問を解消することもできます。
従業員が 1,000 人を超える企業では、別のワークスペースを作り、新入社員に安心して Slack に慣れてもらえるようにするとよいでしょう。中小企業では、新入社員全員を #new-hires(新規採用)チャンネルのシングルチャンネルゲストにすれば、同じような空間を小規模で実現できます。そこで自己紹介や福利厚生に関するやり取り、役立つ情報の共有などを行ってから、入社日にほかのチャンネルに参加してもらいましょう。
オンボーディングを段階的に実施する
新たに大企業に入社すると、最初の 1 週間はあわただしいものです。そのため、初日から多くを詰め込むのは避けましょう。Slack 社内では、最初の 1 週間は 1 日に 1 回、その後最初の 1 か月間は数日に 1 回のペースでリマインダーを設定しています。こうすれば、新入社員は初日からたくさんの書類作業に追われることなく、自分のペースで 1 つずつタスクを片づけられます。
また、営業、エンジニアリング、カスタマーエクスペリエンスなど、各チームに特化したオンボーディングコースも用意しています。入社 2 週目からは、それぞれの仕事に欠かせない専門的なタスクやツール、情報などを学ぶトレーニングセッションを行います。
私たちは、Donut のオンボーディングボットを活用し、Slack でこのプロセスすべてを自動化しています。例えば人事チームは Donut で特定の日に特定のメッセージが送信されるよう設定できるほか、投票を実施して、研修オンボーディングの雰囲気や効果を測ることも可能です。
初日に何もかも決める必要はありません。初日の 8 時間にすべてを詰め込むのではなく、1 か月かけて少しずつ理解してもらいましょう。
今回紹介したオンボーディング計画には以下のようなメリットがあります。
- 新入社員が「本番」を迎える前に Slack の使い方を学ぶ場を提供できる
- メインの Slack ワークスペースにある機密情報の漏えいを心配することなく、入社日の数週間前に新入社員を招待できる
- 新入社員は参加する「多対多」のチャンネルで同僚から出た質問とその回答を確認できるため、人事担当者が同じ質問に何度も答える必要がない
- 入社日別のチャンネルでの共通体験を通してすぐに絆ができ、入社前にお互いを知ってもらうことができる
大企業の場合は、新入社員にオーガナイゼーションに慣れてもらえるよう個別のワークスペースの作成を検討しましょう。中小企業の場合は Slack のゲスト機能を活用して新入社員専用のチャンネルを作成できます。どちらのケースでも、新メンバーが早く Slack に慣れるほど、仕事で成果を出す日が近づくでしょう。
Slack 社で新入社員がすぐに慣れるためのヒントを Matt Haughey がまとめました(高度な検索テクニックも密かに学べます)。