日々生成されるデータの量は、250京バイトに上ります。これは、およそ265,788年間 Netflix を連続ストリーミングするに足りる数値です。その大半が人間の生成したデータですが、飛行機、信号機や医療機器などの機械もまた、それぞれデジタルデータを残しています。これらのすべてが企業にとって宝の山となるはずのデータですが、実際にはその多大なデータに足をすくわれている企業も少なくありません。
そうしたデータを高度な技術で解釈するのがソフトウェア企業、Splunk です。マシンデータを利用&アクセス可能な形に変換するのが同社の業務内容です。Splunk では、セールスエンジニア (SE) が90社以上のフォーチュン100企業を始めとする顧客向けの解析者として活躍しています。可能な限り迅速に、通常は顧客のオフィスで複雑な内容を解読するのが彼らの役割です。
Splunk 創業当時、SE たちが使用していたのはメールでしたが、チームの数が大幅に増え、世界中にオフィスを29か所に抱えるようになった現在、メールでのコミュニケーションでは不十分となりました。「当社の製品ポートフォリオは拡大を続けており、業界の変化も非常に激しいため、SE には最新の、最も優れたコンテンツを確実に提供することが欠かせません。」Splunk のセールスエンジニアリング、戦略及びオペレーション部門シニアマネージャーの Mike Dupuis さんはこう語ります。Slack を使ってすばやく情報を共有しながらリアルタイムでコラボレーションし、国境を超えて可視性を確保することで、SE コミュニティのもつ規模的なメリットを競争優位性に変えることができました。
「Slack の導入で、さまざまなプラットフォームすべてをひとつの検索可能なエンジンへ統合することができました。そういったアセットを通して従業員がやり取りし、チーム内で共有する中で、エンジンはさらに進化を続けています。」
Slack で SE のナレッジベースを構築
世界に分散する SE たちは、日々顧客と密接に協業し、Splunk のバリューを伝えています。その反面、これは孤独感を感じやすい環境にもなりかねません。「客先に常駐していると、結局は一人きりなので、本当に難しい状況に陥ったときにコミュニケーションを取り、ベストプラクティスを共有するのは難しいものです。」SE の Kelly Kitagawa さんはこう説明します。
Slack は、そうしたコミュニケーションの隙間を埋める役割を果たしています。数百人の SE が集まり、一緒に問題を解決し、サポートを提供し、無駄を省くためのスペースとして Slack が機能しています。「他の製品とのインテグレーションでも、ユースケースでも、過去に対応した例がすぐに見つかるようになりました。」Dupuis さんはこう語ります。最近、リモート勤務のある SE が #se チャンネルで Tableau インテグレーションを探していたときには、「あちこちからメンバーが集まって、ベストプラクティスが披露されました。今後誰かが同じ質問をしたくなったときでも、今回の内容を検索して見つけられるでしょう。」彼はそう語ります。
Kitagawa さんは、Slack でナレッジベースがどう拡大したかをこう語ります。「600人分の脳と、そこに格納されている情報が利用できるとしたら、SE としての能力もかなり強力なものになります。」これに付け加えて、Dupuis さんは、SE が Splunk の理解度を深めるほど「当社のビジョンをよりよく伝えられるようになり、顧客へのアドバイスの質も向上する」と説明します。検索可能なナレッジベースを駆使すれば、SE は必要な情報をすばやく見つけ出すことができます。
「お客様への対応も大幅にスピードアップし、結果として成約までの時間も短縮しました。」と Kitagawa さん。同僚や上司からの返答を数日間待つこともなく、問題をスピーディに処理することができるようになり、「生産性向上が効率アップにつながりました。」と彼女は説明します。
Slack の導入は、グローバル企業の命題である透明性の向上にも貢献しています。Splunk の SE は通常、パーソナライズされたダッシュボードからアカウントポートフォリオの管理を行います。その一方で、管理職には現状を把握するために役立つ方法が必要となります。Splunk チームでは、管理職がスラッシュコマンド /splunkcapture を使って各 SE のダッシュボードの内容を Slack に読み出せる Slack アプリを開発しました。こうして現状を概観することで、対象の SE の抱える潜在顧客や注意すべき点などがすぐに把握できます。「ホテルや空港など、外出中からでも、コマンドを使って情報を共有できるようになりました。」Dupuis さんはこう説明します。
リモート勤務の場合には SE の業務処理がスピードダウンしてしまうリスクも多いものですが、同社では、Slack のモバイルアプリを活用して顧客に対してすばやく対応し、共通のナレッジベースを使うことで処理速度をアップ。あらゆる場所から Splunk のバリューを顧客へ届けています。
「Slack の導入により、お客様とこれまでとは違った形でつながれるようになりました。社内のメンバーと同じように気軽にいつでも質問していただけるようになったので、コミュニケーションも非常にスムーズです。お客様が必要としているソリューションを迅速に届けられるようになりました。」
Slack で従業員の参加意欲を高め、リーダーを育てる
Splunk の従業員数は年々増え続けています。新入社員の数が多いため、従業員体験のクォリティ維持も簡単ではありません。同社の学習・開発担当副社長、Fred McAmis さんは、従業員のライフサイクルと成長に注力する中で、専門能力を高めるために明確な方向性を示すことが、従業員のモチベーション維持につながると考えています。「Splunk 従業員の一人ひとりに最高の成功体験を味わってほしいと思っています。当社で勤務する中で社員それぞれに自らの成長を実感してほしい、そしてそんな成長のための場を可能な限り提供していきたいという思いがあります。」
Splunk では、あらゆるレベルの従業員を対象にリーダーシップコースを提供しています。コースのすべてに専用の Slack チャンネルが用意されています。McAmis さんは、メインイベントである研修に対し、学習は補強的な役割を果たすと考えています。「学んだ内容を折りにふれて振り返り、思い出すための手段として、研修の補足的な役割で Slack チャンネルを活用しています。」彼はそう説明します。
学びというのは、構造化されたコースの枠外で起こるものだと McAmis さんは強調します。「必要な内容を必要なタイミングで、やる気があるときに学べるからこそ、学んだ内容を活かして実践することができるのです。」Splunk は、こうしてベストタイミングで知識を提供するために Slack を活用しています。「Slack はこうした用途に理想的なツールですね。デジタルメッセージがどこかに消えてしまうことがなく、きちんとアーカイブされて、ユーザーが見つけ出せるような方法で整理されるという意味で。」彼はそう付け加えます。
McAmis さんは、段階的に重要なリソースを紹介したり、新しいチャンネルを提案、さらにアンケートで意見を収集するなど、Splunk の新入社員のオリエンテーションにも Slack を利用しています。こうすることで、新入社員は進行中のプロジェクトに馴染みやすくなり、Splunk でのキャリアを通じて役立つ同社のコミュニケーションマナーを学ぶことができます。Kitagawa さんは、Slack の導入で Splunk 社内のメンバーが相互につながりやすくなったと指摘します。「社内の誰かに連絡を取る必要があるときには、簡単につながることができます。Slack で、他の部門のメンバーやリモート勤務のメンバーを含め、みんながひとつにつながるコミュニティの感覚が生まれたと思います。」
Donut ボット経由で新入社員とつながったり、従業員のリソースグループに参加したり、リーダーシップコースに参加したりなど、4,000人を超える Splunk 従業員がお互いにつながりを深めるため、Slack はさまざまな形で役立っています。
「Slack がきっかけで、当社のコミュニケーション文化が大きく変革しつつあります。」
Slack でプロジェクトを推進
Slack 導入以前、Splunk 社内ではさまざまなコミュニケーションツールが使われていました。マーケティング部門では Skype、製品部門やエンジニアリング部門では HipChat という状態で、担当業務が複数の部門にまたがる場合には、「どこをチェックしてよいのか分からず、機能していない」状態だったと Dupuis さんは振り返ります。混乱や誤解が生まれやすい環境でした。業務中に頻繁にメールチェックが必要で、長々としたメールのスレッドを読み解かねばならないこともしばしばでした。「そんなメールはどれもこれも、ちょっとした研究プロジェクト並みの労力を要するものです。」とMcAmis さんはこう語ります。
新しく着任した Splunk の CTO は、エンジニアリング部門での Slack 導入を決めました。「試験的な導入でしたが、あっという間に全社に拡大しました。」McAmis さんは振り返ります。
テーマを絞った短い Slack メッセージを使うことで、チームのプロジェクトが前進したと McAmis さんは説明します。「Slack ではメッセージが非常に効率的に処理できるので、メッセージの山に埋もれてしまうようなことはありません。」例えば、McAmis さんは毎日、直属の部下から Slack で状況報告を受けていますが、「いいね!」の絵文字で了解のリアクションをすればプロジェクトが進みます。「リアルタイムで対処でき、かなりフォーマルなメールとは対照的ですね。」
業務をスタートするとき、リモート勤務のとき、国境を超えてコラボレーションするときなど、Splunk の従業員はさまざまなタイミングで Slack を活用し、日々の業務を効率的に進めています。急速に変化するビッグデータ業界で、同社のチームは Slack を効果的なコミュニケーションツールと検索可能なナレッジネットワークとして駆使しながら、機敏に進化を続けています。