優秀な従業員を惹きつけ、つなぎ留めたいと考える企業にとって、職場文化はこれまでずっと極めて重要なものでした。Society for Human Resource Management が実施した 2019 年の調査によると、5 人に 1 人の従業員が、ストレスがたまる職場文化を理由に会社を辞めています。そして、驚いたことに、2 人に 1 人の従業員が同様の理由で今の会社を辞めようと思ったことがあると回答しています。大転職時代の真っ只中にある今、この数字はさらに増えていると思われます。
しかも、リモートで仕事をする人はかつてないほど多くなっています。2021 年の PwC 調査によると、コロナ禍以前のオフィス環境に戻そうと考えている雇用主の数は 5 分の 1 を下回ります。最も一般的なのは一部オフィス勤務、一部在宅勤務のハイブリッド形態のチームですが、雇用主の 13% はこのまま完全リモートを続けようと考えています。ハイブリッド形態のチームでも完全リモートのチームでも 1 つの疑問が残ります。リモート勤務の従業員とともにすばらしい企業文化を創り出すには、どうすればよいのでしょうか?
優れたリモート企業文化とは
優れた企業文化の基本は、従業員の勤務場所にかかわらず同じです。その一部を見ていきましょう。
- 従業員エンゲージメント : 従業員が熱意を持って会社に関わり、コミットしています。仕事がうまくいかない日もたまにはあるでしょう。でも、全体的に見れば、出社(ログイン)して働くことを楽しんでいます。
- チームワークとコラボレーション : チームの業務がスムーズに進み、波風がほとんど立ちません。チームメンバーはコミュニケーションがよくとれているだけでなく、必要に応じて、部門を越えたほかのグループや個人と気兼ねなく協力しながら仕事しています。
- 個人の成長 : 従業員それぞれが、長所、短所、個人的な目標を持つ個人として認められ、成長の機会に恵まれた道を歩んでいます。
優れたリモート文化を築く方法
まずは、優れたリモート文化の見極め方を把握しましょう。これが重要な第一歩となります。しかし、そうした文化を見極めるには積極的に行動する必要があります。
チームビルディング
リモートでのチームビルディング方法は非リモートチームとは少し異なりますが、企業文化を高めるベストな方法の 1 つです。次のようなテクノロジーを活用してみましょう。
- バーチャル井戸端会議 : Slack のようなコラボレーションプラットフォームを使用すると、仕事の本題とは関係のない会話をするためのチャンネルを別に作成できます。ここに楽しい投稿、例えば、猫のショートビデオや、「お互いを知る」ための会話のきっかけになる内容を投稿するよう促しましょう。
- リモートワークショップ : 任意で受講可能なクラスを実施することを検討します。仕事に関連したクラス、仕事とはまったく関係ないクラス、1 回限りのクラス、複数回のクラスをマネージャー、従業員、社外の専門家に主催してもらいましょう。
- オンラインゲーム : 従業員が夢中になっているのがファンタジースポーツでも RPG でも、ゲームは絆を育むうえで非常に効果的です。既存のオンラインゲーム環境を利用して、ゲーム好きの従業員に一緒にプレイするよう促してください。ビジネス目標に関連する賞を設けて従業員のチームにインセンティブを与えることもできます。
- 発表会 : 小学生の時に発表会がどれほど楽しみだったか、覚えていますか?自分の「とっておき」を見せる、あるいは自分の生きがいについて語るショートビデオを、従業員に投稿してもらいましょう。
テクノロジーツール
適切なツールを使ってチームを成功に導きます。最新のソリューションについて IT チームに相談し、組織にとって最も有用なものを導入してください。以下のツールは、ほとんどのリモートチームに最低限必要なものです。
- ビデオ会議ソフトウェア
- ドキュメント共有システム
- プロジェクト管理ツール
- Slack などのカスタマイズ可能なコラボレーションプラットフォーム
非同期型コミュニケーション
新型コロナウイルスによってリモートワークに移行した当初は、多くの雇用主がオフィスでの業務を単純に再現しようとしました。しかし残念ながら、技術的な問題や会議のスケジュール調整のせいで徒労に終わりました。今後長期的にリモート体制を続けるつもりであれば、非同期型コミュニケーションチャンネルが、生産性と企業文化の両方を向上させるうえで役に立ちます。
非同期型コミュニケーションとは、リアルタイムで行わない以下のような会話のことです。
- メール
- テキストメッセージ
- 指示や説明を加えたスクリーンショット
- 録画された動画
- ファイルの共有
状況によっては、対面ミーティングや、少なくとも電話でのやり取りも必要になるでしょう。例えば、採用や解雇、機密事項を伝える場合です。それでもやはり、オフィスでのコミュニケーションは、ほとんどの場合、リアルタイムで行う必要はありません。リモートワークの最大のメリットの 1 つが柔軟性です。その柔軟性を実現するのが非同期型コミュニケーションです。メッセージに返信するまでの時間など、基本ルールを決める必要があるかもしれませんが、柔軟性を持つことは、優れたリモート文化を創出するのに大いに役立ちます。
すべてを 1 つにまとめる
リモートチームに合った優れた企業文化を構築するにはマネージャーの積極的な姿勢が求められます。しかし事前に計画を立て、シンプルなテクノロジーをいくつか活用すれば、優秀な人材を惹きつけ、つなぎ留められる文化を育むことができます。