昨年 3 月、パンデミック宣言による戸惑いと混乱が広がるなかで、多くのナレッジワーカーが仕事で使うツールや資料を手にオフィス勤務から在宅勤務に移行しました。その頃は、プライベートでも仕事の面でもどんな困難が待っているか見当もつきませんでした。
当時、私は在宅勤務が数週間で終わると思っていました。そこでまずはチームメンバーの健康と生産性を保つことに意識を向けました。製品開発にはコラボレーションや労力を要するクリエイティブな仕事がつきものだからです。しかし 4 月の終わりごろには、この働き方が新しい日常になっていくことに気づいていました。
振り返ってみて感心するのは、チームがあっという間に変化に適応した点です。私たちは皆さんと同じ問題に直面し、変化に適応していきました。ただすでに全員が Slack であらゆる仕事を進めていたため、それがスムーズに進んだのです。多くの業界が致命的な打撃を受ける一方で、変化に適応し、成長を加速させるチャンスをつかんだ業界もありました。当社の「リモートでの従業員体験レポート」によると、ナレッジワーカーの生産性はここ 1 年で向上しています。また、仕事関連のストレスにも以前よりうまく対応し、勤務環境に対する満足度も上がり、ワークライフバランスが改善したとも感じていることがわかりました。そしてナレッジワーカーの 10 人に 8 人以上が、フルタイムのオフィス勤務に戻りたくないと回答しています。この結果を見ても、働き方の未来は明らかです。これからはハイブリッド型で非同期型の働き方が中心になっていくに違いありません。
「パンデミック発生から 1 年経った今、世界中でほぼ共通認識となったことがあります。それは、さまざまな場所やスケジュールに対応する柔軟な働き方モデルが、思っていたよりも生産的でよいものだとわかったということです」
83% の人が、オフィス勤務とリモートワークの組み合わせ、あるいはフルタイムのリモートワークを希望。
一方、柔軟な分散型の働き方による最大の課題は、帰属意識や同僚とのつながりが弱くなることです。これは誰もが感じていることでしょう。
延々と続くビデオ会議や厳しいスケジュール。同僚とつながる機会が減り、仕事に集中する時間が確保できないこと。これらがその課題を生み出しているのです。私の場合は、毎日仕事を終えると以前よりもクタクタになっているように思います。
Slack はこれまで、多くの企業のリモートワーク移行を支えてきました。けれど実際に働く人たちは、コミュニケーションのタイミングや方法をもっと柔軟にしたいと考えています。今必要とされているのは、社内の同僚に加え、組織の「壁」の外側にいるパートナーともこまめにやり取りできるようなツールです。
こうして私たちは、Slack がすべきことはオフィスでの働き方を再現することではなく、新しい働き方を可能にするツールを作ることだと気がつきました。
気軽な音声のやり取りでセレンディピティを促進
昨年、私たちはその場で自然にさっと始められるような音声コミュニケーションの方法を模索し始め、プロトタイプ作りを始めました。そしてすぐにパイロット版を作り、ユーザー企業の皆さんの協力を得て廊下での立ち話のような環境を再現できないか試しました。数人で話していたのがチームの議論に発展し、新しいアイデアにつながるような場を生み出したかったのです。Slack ではこのプロジェクトを本格化させ、現在も引き続きユーザー企業の皆さんとともにパイロット試験を続けています。
私たちはこの機能によって、仕事の会話にもっと人間らしい温かみが加わり、チームのイノベーションが加速し、よりよい働き方を実現できると確信しています。
「会議を設定するよりもはるかに簡単で、気軽に始められるんです!」
会議に代わる非同期型のビデオ
その場で始められる音声コミュニケーションが廊下での会話の未来版だとすれば、従来の会議に代わるものも必要です。その答えが、スケジュールを設定する必要のないビデオです。私たちは帰属意識を高める一方で、チームの負担は抑えなければいけません。そこで会議の代わりになるものとして、Slack 上で自然に始められる非同期型のビデオ体験に取り組んでいます。これを使えば、会議を開かなくてもニュアンスや熱意を伝えることができます。
この機能を使うとビデオベースで濃いディスカッションが可能になり、その内容は時差に関係なく共有することができます。多くの人が年に何時間も費やしている無駄な会議は今後なくなっていくでしょう。さまざまなコミュニケーションスタイルを持つ人も議論に参加しやすくなるほか、ビデオはアーカイブ化されます。この柔軟性こそ、世界各地にメンバーが分散しているチームがハイブリッドワークの未来に必要とするものです。
Slack 社内では非同期型のビデオを使って今後リリースされる機能の詳細を営業チームに共有しています。質問があれば同じスレッドにメッセージやビデオを投稿でき、その回答は誰でも見ることができます。世界中に散らばる営業担当者とのライブセッションを 4 回も開いてプロダクトマネージャーが同じ説明を繰り返す必要はありません。
Slack コネクトで複数の企業がコラボレーション
社内の同僚とのつながりを深めることは大切です。けれど、社内だけで仕事を完結できる人はほとんどいません。だからこそ、仕事に関するすべてとつながっておく必要があるのです。昨年リリースした Slack コネクトは、コロナ禍で驚くべき成長を遂げました。その理由は、Slack のユーザー企業だけでなく、その顧客やパートナー、ベンダーの皆さんに価値あるツールだと認められたためです。ユーザー企業の皆さんは、Slack であらゆる仕事関係者と安全で生産的なコラボレーションを進められるようになりました。
現在 74,000 社を超える有料ユーザーが Slack コネクトを利用。前四半期末時点での約 64,000 社から大きく増加。
私のチームでは、Slack コネクトを使ってユーザーの皆さんから新しいリリースや試験段階の機能に対するフィードバックを集めています。社内でのコミュニケーションと同じように社外パートナーとも直接やり取りすると、仕事が早く進んで製品の質も上がるうえ、皆さんとの関係も深まります。
Slack コネクトのエンドポイントが 66 万を超え、昨年比で 245% の増加に。
Slack コネクトを利用する企業には、次のような特徴があります。
- 営業チームの成約スピードが 4 倍に
- カスタマーサポートチームのバックログチケット数を 64% 削減
- 事業開発チームの企業買収スピードが 2 倍に
「他社との関係や商談に勢いがある時は自然とわかるものですが、メールではなかなかつかめません。そのため対面や電話で話したり、SMS を使ったりしていたんです。それが今では Slack コネクトになりました」
Slack コネクト DM で、誰にでも安全にメッセージを送信
新しい働き方をサポートするには、コミュニケーションの摩擦を減らし、もっと簡単に連携できるようにする必要があります。ユーザー企業の皆さんからは、社外とのやり取りに使うメールや SMS をすべて Slack に置き換えたいという声が以前より寄せられていました。本日、私たちは組織の枠を超えて誰にでも安全にダイレクトメッセージを送信できる機能を発表します。これを使うと、まだ Slack を使っていない人ともやり取りできるようになります。
この方法では、メールよりもすばやく気軽にやり取りして関係構築を始めることができます。パートナーとの会話には Slack 上のほかのメンバーも参加できるほか、Slack と連携させているツールの活用も可能です。今後ビジネスの場面で、初めてのあいさつが「Slack でつながりましょう」で終わるようになることを期待しています。
Slack コネクト DM によって、社外パートナーと深く濃く長い関係を作りやすくなるでしょう。
「Slack で誰にでもダイレクトメッセージを送れるようになったことで、商談や重要な会話を以前よりも早く始められるようになり、新しい顧客とのつながりが一気に加速しました」
よりよい働き方へ
Slack では、これほどの規模のパンデミックや、働き方が左右されるような非常事態を想定していませんでした。ここ 1 年は多くの人にとって厳しいものとなりました。だからこそ私たちは、皆さんの仕事環境をよりシンプルに、快適に、そして有意義にするための役に立てると考えています。
Slack コネクトについて、またチームの働き方を見直す方法について詳しくは次の記事も参照してください。