チーム会、1 on 1 ミーティング、毎日の進捗会議、週 1 の定例会、隔週のよもやま会議、さらには「ブレスト」まで。 カレンダーが会議や打ち合わせで埋めつくされていると、仕事のための会議なのに仕事を邪魔されている気分になります。
Slack ではこの 2 年ほど、毎日使うツールから連携方法に影響する習慣まで、デジタルファーストな働き方を社内で実験してきました。目指したのは、柔軟かつインクルーシブで、つながりを感じられる働き方を通して、ユーザー企業の皆さまに最高の成果を届けることです。
その過程で、何が妨げとなっているかを従業員に聞いたところ、会議の負荷が大きいという声がさまざまな職位や部門のメンバーから挙がりました。会議が多すぎるために、それ以外の仕事に取り組む時間が制限されているというのです。実際、これは世界的にも問題になっています。Future Forum の調査によると、働く時間の柔軟性を求める人は 9 割を超え、場所の柔軟性を求める人の数を大きく上回りました。
週 5 日の 9 時 5 時勤務が抱える問題の 1 つは、そのうち何時間か(下手をすると丸 1 日)が会議でつぶれてしまうことです。会議がびっしりのカレンダーはまるでテトリスです。休憩に十分な時間(30 分が数回、または 1 時間)を取れても、仕事に本腰を入れるには中途半端な時間しか残りません。その結果、やるべき「仕事」に取り組めるのは、朝食前や夕飯後などの業務時間外になってしまいます。
Slack ではこの 2 年間、ハドルミーティングやクリップといった新製品の開発から、社内の働き方を変えるプログラムの試験運用まで、働き方を再定義するためのイノベーションを加速させてきました。そこで今回は、試験運用を経て公式に導入した Slack の新プログラムを詳しくご紹介します。このプログラムでは、全社的に社内会議を減らして、従業員がカレンダーの手綱を握れるよう、平日の就業時間を再設計しました。それが、Focus Fridays と Maker Weeks です。
「ほぼすべての企業で、会議をうまく制御できていません。このことは従業員の声からも、Future Forum の調査でも明らかです。そこで私たちは全社的に会議から解放される時間を生み出し、会議による燃え尽きを避けるための試みを始めました。すると会議の目的をより意識するようになり、その目的を達成する別の手段を模索できるようになったんです。非同期的にプロジェクトの最新情報を共有したり、キャンペーンのフィードバックを依頼したりするなどがその例です」
「この取り組みは、時間という最も貴重でかけがえのない資産を、従業員が自らの意思で活用できるようにする大きな一歩です。私たちは企業として、引き続き仕事をより快適に、より有意義にするプログラムに力を注いでいきます。Focus Fridays と Maker Weeks によって、非同期的なコラボレーションや効果的な会議管理が実現しやすくなり、成果を出すための時間が増えるでしょう」
金曜日は集中する日
Focus Fridays では、社内の会議をすべてキャンセルし、通知をオフにすることを推奨しています。これにより、従業員は何にも邪魔されることなく仕事を進められるでしょう(ちなみに、集中したい時はいつでも通知をオフできます)。 チームによっては、ユーザー企業の皆さまの都合を優先して金曜日に会議を行う場合もありますが、社内の会議をなくすだけでも大きな効果があります。実際に試験プログラムでは、Slack 従業員の 84% が Focus Fridays にメリットを感じているという結果が出ました。
Slack のマネージャーに至っては、その約半数が Focus Fridays に「かなりの」メリットがあると答えています。このデータは重要です。というのも、2021 年 12 月に集中する時間と会議に関する調査を初めて行った際、仕事に集中する時間を十分確保できないと答えたマネージャーの割合が、一般従業員の 2 倍以上だったからです。さらに会議の負荷に関する自己評価でも、このデータとほぼ一致する相関関係が見られました。一般従業員の 22% が会議に時間を取られすぎていると答えたのに対して、マネージャーでは 48% だったのです。これが偶然の一致とは思えません。
Focus Fridays の目的は、従業員のスケジュールに柔軟性を持たせることです。かといって、金曜日に予定していた会議をすべて月曜日から木曜日までの 4 日間に詰め込むようでは意味がありません。だからこそ、私たちは社内会議や関連する文化・慣習を全体的に見直す取り組みを進めており、このプログラムはその一部です。Slack では従業員が非同期的に仕事を進められるようにしてきました。週に 1 度のスタンドアップ・ミーティングをチャンネルで開催することで、メンバー全員が(勤務時間に関係なく)十分な背景情報を得られるようにしたり、30 分の会議をカレンダーに入れる代わりに、数人のメンバーとハドルミーティングをさっと始めて疑問を素早く解決したりすることもその例です。Focus Fridays を導入してからというもの、会議の開き方やタイミングが大きく改善しました。引き続き、私たちは従業員やチームと直接連携し、ベストプラクティスを特定・共有し続ける予定です。
「社内では、状況が改善したという声が上がっています。マネージャーをトレーニングし、同僚からのスマートな戦略を共有することで、非同期的に仕事を進めて時間を最大活用できるようになりました。そうしたメンバー間のフィードバックが、チームの生産性と意欲の向上につながっています」
四半期ごとに 2 週間を「作り出し」、ユーザーの皆さまに意識を集中
大きなプロジェクトで流れをつかむには、週に 1 日では足りない場合があります。Slack では、四半期に 2 回実施する Maker Weeks の期間中、社内の定例会議をすべてキャンセルすることにしました。進行中のプロジェクトに関する進捗確認など、非同期で打ち合わせる場合もあれば、単に 1 週間スキップする場合もあります。
Maker Weeks は、より集中する時間を設けたり、徹底的にリセットしたりする機会です。これは、従業員が何かを「作り出す」ためにまとまった時間を確保できるようにする取り組みです。デザイン、ユーザー企業向けのプレゼン作成、集中的な開発、あるいは管理上のバックログ処理などがこれに当たります。
Maker Week のコンセプトは製品の世界からヒントを得ました(Paul Graham に感謝します)。実はこのコンセプトは、数年前に Slack の製品部門で始まったものです。今では、このコンセプトを全社的に採用し、各部門のチームのニーズに合わせてカスタマイズしています。例えば営業チームでは、四半期に 2 度、社内会議を休止する週を設け、ユーザー企業の皆さまに完全集中することにしました。週の名前はそのまま Customer Week です。
Maker Week には、集中する時間の確保のほかにも目的があります。それは、カレンダーにある会議を見直し、当初の目的を今なお効果的に果たしているかどうかを従業員に判断してもらうことです。私たちは、ただカレンダーにある通り次から次へと会議をこなしていきがちです。そのすべてに意味があるかどうか、立ち止まって考え直すことはありません。だからこそ、Maker Week は一歩引いて次のように自問する機会になるでしょう。
- この会議の目的は?何かについて議論し、話し合い、決定するため?それとも自分自身やメンバーの能力を高めるため?それ以外の目的なら、非同期で実施できないか?
- この会議の適切な頻度は?毎週実施する必要はあるのか?
- 出席すべきメンバーは誰か?この会議がカレンダーに入っている人は、全員が本当に出席する必要があるのか?
会議の文化は一夜で変えられるものではありません。正しい方向に進むためには反復的なプロセスが求められます。だからこそ、私たちは単に新たなポリシーを示すだけではなく、今年の頭から Focus Fridays と Maker Weeks の試験プログラムを開始して、両プログラムが従業員のウェルビーイングと生産性に与える効果を測るための調査も毎月行ってきたのです。そして各プロジェクトや職責を取り巻く状況によってプログラムの効果が見られない場合は、部門レベルでのサポートに注力し、そのニーズを満たせるよう調整しました。
社内の大半がプログラムの効果を実感
社内アンケートの結果によると、あらゆる部門の従業員が Maker Week を重ねるごとに生産性の向上を感じています。また繰り返しになりますが、Slack 従業員の大半と言える 84% が Focus Fridays にメリットがあると回答しました。なかには、Focus Fridays によって働き方が大きく変わった人もいるようで、同様の制度がない企業で働くことなど考えられないという声まで上がっています。
もちろん、これで終わりではありません。Slack では、引き続きこれらのプログラムが従業員に及ぼす影響を評価し、ベストプラクティスやサクセスストーリーを全社で共有していく予定です。私たちがデジタルファーストな企業になると宣言した際、「完璧よりも前進」を目指していました。この方針は今も私たちの行く先を照らしています。