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調査で明らかになった、残業と生産性の関係についての最新の知見

仕事時間をどのように使えば、従業員の生産性やウェルビーイング、職場での満足度を最大限に高められるのか――Slack の「Workforce Index」調査でわかった最新の知見をご紹介

Slack チーム一同作成2023年12月5日

まとめ : 仕事の時間をどのように使うのが効果的なのか――世界中の 1 万人以上のデスクワーカーを対象にアンケートを行った Slack の Workforce Index 調査から、従業員の生産性を最大化して、ウェルビーイングや満足度を高めるための時間の使い方について、最新の結果が明らかになりました。

調査でわかったこと :

  • 定時に仕事を終えているデスクワーカーは、義務感から残業をしている人に比べ、生産性スコアが 20% 高い。
  • 仕事中に休憩をとることで生産性やウェルビーイングが向上するにもかかわらず、半数のデスクワーカーが休憩をめったに取らない、あるいはまったく取らないと回答している。
  • 平均的なデスクワーカーにとって、1 日の理想的な「集中タイム」は約 4 時間。また、1 日のうち会議に使う時間が 2 時間を超えると、会議を負担に感じるようになる。
  • デスクワーカーの 4 人に 3 人が 15 時〜18 時に仕事をしているものの、この時間帯に生産性が高まると考えているのは 4 人に 1 人にすぎない。

これまで数十年にわたり、残業は勤勉さの象徴とされ、生産力の向上に寄与するものだと考えられてきました。しかし、その長年の「常識」に反し、Slack が行った最新の調査では、こうした残業は多くの場合、生産性の低下に結びついていることが明らかになりました。残業は、従業員が仕事を抱えすぎており、優先順位をつけて時間を適切に管理するための支援が必要であることを示すサインだとも言えます。

Slack が 1 万人以上のデスクワーカーを対象に行った最新の調査「Workforce Index」では、従業員に夜遅くまで(または朝早くから)働くことを余儀なくさせている状況が、生産性に影響を与えている様子が見えてきました。まず、デスクワーカーの 5 人に 2 人(37%)が週 1 日以上、会社の標準の勤務時間外に仕事をしており、半数以上(54%)が、自ら進んでではなく、プレッシャーを感じて残業をしていると回答しています。

そして、義務感から残業をしている従業員は、定められた勤務時間で仕事を終える従業員に比べて、生産性スコアが 20% 低くなっています。加えて、以下のような違いもみられています。

  • 仕事関連のストレスが 2.1 倍多い
  • 仕事環境全般に対する満足度が 1.7 倍低い
  • 燃え尽き症候群になる可能性が 2 倍高い
「残業をしなければならない」というプレッシャーを感じると 1 日の生産性が 20% 低下する

残業をするグループも、しないグループも、勤務時間のうち生産的に過ごせる時間は 70% 程度だと回答しており、仕事への取り組み方に違いはないとみられます。ただ、残業をする人は、定時に切り上げる人に比べて、「優先順位が競合していることで生産性が妨げられている」と回答する割合が 50% 高くなっています。

一方、自分のスケジュールを考慮して、あるいは個人的な目標を追い求めるために、自ら進んで残業をしている人には、生産性に対するネガティブな影響はなく、むしろ心身の健康状態や生産性のスコアでわずかながらも上昇がみられています。

「長年、時間の使い方から生産性の定義にいたるまで、仕事のさまざまな側面で、質よりも量が重視されてきました。しかし、遅れずについていかなければならないというプレッシャーを感じていると、働く人自身にも会社の事業にも悪影響が出ます。そうならないためには、仕事に優先順位をつけ、時間をバランスよく配分する必要があります。そのための支援を必要としている従業員が安心して声を上げられるような、信頼関係のある組織文化を育むことが大事になってくるのです」

生産性において重要なのは、働く時間の長さではなく「質」

Workforce Index の調査結果からみえてくるのは、世界中の多くのデスクワーカーが、業務時間をバランスよく配分するのに苦労しているということです。職務レベルや働き方を問わず、多くの人がこの問題に直面しています。

具体的にはデスクワーカーの 4 人に 1 人以上(27%)、経営幹部の半数以上(55%)が、会議に時間を使いすぎていると回答し、デスクワーカーの 25% 、経営幹部の 43% が、メール対応に時間を使いすぎていると回答しています。

また、同僚と交流する時間が十分でないと回答した人は 5 人に 1 人(20%)で、とくに若手の従業員の間でその割合が高くなっています。

さらに、注目すべきなのが、あらゆる職務レベルの人が休むことなく仕事をしていることです。デスクワーカーの半数(50%)は、勤務中にほとんど、あるいはまったく休憩を取らないと回答しています。このような従業員は、燃え尽きを経験する可能性が 1.7 倍高くなっています。

一方、休憩を取っている人は、取らない人に比べて、ワークライフバランスのスコアが 62%、ストレスや不安に対処する力が 43%、全体的な満足度が 43% 高くなっています。意外かもしれませんが、生産性のスコアも 13% 高くなっています。

「なぜ私たちは、休まずに働けば生産性が上がる、成功のためには燃え尽きもやむなし、と考えるようになったのでしょう。それは機械化が始まった第一次産業革命にまでさかのぼります。休むことなく動く機械を使えば、ダウンタイムを最小限にできるという考えです。でも、人間にとって、中断はバグではなく重要な機能のひとつです。一流のアスリートは、最高のパフォーマンスには回復する時間が欠かせないことを知っていますよね。休息をとることで、人は生産性を何倍にも高められるのです」

Thrive GlobalFounder and CEOArianna Huffington
定期的に休憩を取る人は生産性が 13% 高くなる

朝型の人も夜型の人も、誰もが陥る「午後のスランプ」

平均的なデスクワーカーは、勤務時間のうち生産的に過ごせる時間は 70% 程度だと回答しています。どの時間帯に生産性が最も高まるかについては、人によって答えがさまざまで、午前中を好む人もいれば夕刻を挙げる人もいます。ただ、多くの人(71%)で意見が一致したのが、生産性が最も下がるのは午後の遅い時間帯、具体的には 15 時〜18 時だという点です。

デスクワーカーの 4 人に 3 人が 15 時〜18 時に仕事をしていますが、この時間帯に生産性が高まると考えている人は 4 人に 1 人しかいません。

「この結果からわかるのは、生産性とは直線的なものではないということです。1 日の間でも上下し、突発的に高まることもあります。決まった時間帯に変化するとも限らず、8 時間ずっと一定というわけでもありません。“午後のスランプ”も、ネガティブに捉える必要はないでしょう。多くの人にとって、その時間を休憩にあてれば、1 日全体の生産性を高められる可能性があるのですから」

SlackSVP of Research and Analytics and Head of the Workforce LabChristina Janzer

生産性の高い人はタイムマネジメントの考え方を取り入れています。そのような人はそうでない人に比べて、特定のタスクのための時間を確保している割合が 1.6 倍、メールチェックに集中する時間を確保している割合が 1.7 倍、「集中タイマー」をセットしている割合が 2.2 倍、それぞれ高くなっています。

バランスの取れた時間配分の「ゴルディロックス ゾーン」を見つける

あらゆる業界や役職、職務レベルに当てはまるオールマイティな時間管理方法はないものの、調査結果を詳しく見てみると、従業員を成功に導くための方程式が浮かび上がってきます。

調査結果から、職務レベルにかかわらず、作業に集中して取り組む時間、同僚らと協働する時間、交流する時間、休憩する時間を最適に配分した「ゴルディロックス ゾーン」がみえてきました(ゴルディロックスとは英国の童話『3 匹のくま』に出てくる少女の名前で、くまの家で適温のスープを飲んだ話にちなんで、“ちょうどよい”状態にあることを指します)。平均的なデスクワーカーは、1 日の理想的な「集中タイム」は 4 時間程度だと回答しています。また、1 日の会議の時間が 2 時間を超えると、すべての職務レベルで大半の人が会議に「時間を使いすぎている」と感じるようになります。そして、会議に時間を使いすぎているとした人は、「集中タイムが足りない」と回答する割合が 2 倍以上高くなっています。

一方で、会議に使う時間が少なすぎると回答した人も約 10% います。この割合は、とくに入社 1 年未満および 30 歳未満の従業員で多くなっており、会社への帰属意識の低さや生産性の低下にも関連しています。

「集中タイム、協働する時間、交流する時間、休憩時間――これらは仕事に欠かせない栄養素のようなものです。適切にバランスが取れていることで、仕事で力を最大限に発揮するためのエネルギーが得られます。トータルに考えることが重要です。仕事の効果を最大化するには、他人と協力する時間、1 人で集中して取り組む時間の両方を確保する必要があるのです」

Slack および SalesforceSenior Vice President of Employee SuccessDavid Ard

AI に期待するのは、会議の負担を減らし、使える時間を増やすための支援や自動化

タイムマネジメントに悪戦苦闘するデスクワーカーは、バランスのとれた時間管理を助けてくれる AI ツールに期待を寄せています。

経営幹部の実に 94% が自社への AI の導入を「ある程度緊急性の高い課題」だと考え、半数近くが「極めて緊急性の高い課題」だと考えています。ただ、企業における AI の導入はまだ始まったばかりで、実際に仕事で AI を活用していると答えたデスクワーカーは 5 人に 1 人にとどまります。

このような AI の導入率の低さを考えると、デスクワーカーの多く(80% 以上)が、AI ツールは、まだ仕事の生産性向上につながっていないと答えていることは意外ではありません。にもかかわらず、デスクワーカーたちは仕事上の悩みの種である「会議」の問題を、AI が解消してくれるのではないかと期待しています。調査結果では、AI に期待することのトップ 3 は、1)会議の記録と要約、2)文章作成支援、3)ワークフローの自動化となっています。

「どの職務レベルの人にとっても、1 日に 2 時間以上を会議に費やすと生産性が下がるという結果は衝撃的ではないでしょうか。チームリーダーの多くは、それを今すぐ改善しろと言われても現実的ではないと思うでしょう。そこに役立つ可能性があるのが、最新の AI ツールです。会議のメモを正確に要約し、頻繁に繰り返される作業を自動化してくれる AI アシスタントは、私たちが時間を取り戻し、バランスの取れた働き方を実現するための鍵になる可能性があります」

SlackSVP of Research and Analytics and Head of the Workforce LabChristina Janzer

「勤勉」な働き方から、「スマート」な働き方へ。ウェビナー「最新の調査が明らかにする、1 日の仕事を生産的にするための秘訣」では、データから得られた、勤務時間の最適化についての知見をさらに詳しく解説しています。

調査方法について

この Workforce Index 調査では、2023 年 8 月 24 日〜9 月 15 日に、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国の 10,333 人の労働者を対象にアンケート調査を実施しました。調査の運営は Qualtrics 社が行い、Slack および Salesforce の従業員と顧客は対象に含まれていません。回答者はすべてデスクワーカーです。ここでのデスクワーカーとは、フルタイム(週 30 時間以上)の勤務を行い、「データを扱う仕事、情報を分析する仕事、創造的思考を伴う仕事」のいずれかに従事していると申告した人、または次のいずれかの役職についている人です : 経営幹部(社長 / パートナー、CEO、CFO など)、上級管理職(エグゼクティブ VP、シニア VP)、中級管理職(部長 / グループマネージャー、VP)、下級管理職(マネージャー、チームリーダー)、上級スタッフ(非管理職)、専門職(アナリスト、グラフィックデザイナーなど)。表現を簡潔にするために、上記の調査対象者を「デスクワーカー」と総称しています。

 

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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