フー・ファイターズを追いかけている人から、カーディ・B のファンまで、Spotify のプレイリストにはユーザーの個性が表れるものです。でも、Stephen Satzberg 氏のプレイリストはほかの誰とも違います。Spotify でビジネス戦略・運営ディレクターを務める同氏が耳を澄ませているのは、曲と曲の間に起こるマジックです。
「音楽やポッドキャストの合間に流す広告を販売するのが、私たちの仕事です」と Satzberg 氏は話します。「だから、自分で Spotify を聴いている時にもつい広告に耳を傾けてしまいますね。自分たちが力を合わせて取り組んできた仕事の成果ですから」
音楽の合間に流す広告のビジネスを成功させるため、Spotify Advertising では Slack とSalesforce Sales Cloud を組み合わせて、コミュニケーションの課題を乗り越え、成約までの時間を短縮し、あらゆる営業プロセスを効率化しています。Spotify Advertising のチームは、Slack の活用によって仕事の進め方を変革し、生産性を高めたことで、Slack 営業部門賞に選ばれました。
Spotify Advertising は、具体的にどのようにしてこのような成果を収めたのでしょうか。その内容にぴったりの曲に合わせてご紹介していきましょう!
運用をシンプルにして、チームの生産性と効率を向上
より良いサービス提供に向けた、コミュニケーション効率化の課題
BGM : ロイ・オービソン『Communication Breakdown』
2006 年の創業以来、ストリーミングサービスの最先端を走り続けてきた Spotify は、今では多彩な楽曲やプレイリスト、ポッドキャストを楽しめる定番のサービスになっています。しかしながら、社内の営業プロセスは最近まで手作業が多く、決して効率がよいとは言えないものでした。管理タスクに手間がかかり、顧客中心というより報告書中心の仕事になっていて、チームにフラストレーションがたまっていたのです。Spotify Advertising でビジネス自動化チームを率いる Alexis Lopezは、コミュニケーションが最大の課題のひとつだったと振り返ります。
「チームの規模が大きく、しかもグローバルに展開しています。使っているツールが多岐にわたっていたことも問題でした」
同社は営業チーム、キャンペーン管理チーム、顧客管理チームからなるビジネスユニット Spotify Advertising を組織していました。そこでのプロジェクトを成功させるには全体で認識を共有することが重要でしたが、当初はキャンペーンや商談、戦略をめぐる議論や情報が、メール、Gchat、Salesforce にバラバラに散らばり、サイロ化しがちでした。メールの宛先からうっかり重要なメンバーが抜け落ちていたり、一方通行のやり取りによって経緯がたどりづらかったりといった問題もありました。
Salesforce から Slack への自動化ワークフローを広告営業チームに導入
BGM : リアーナ『Work』
このようなコミュニケーションの課題を乗り越えるために Spotify Advertising が採用した方法のひとつが、Slack と Salesforce Sales Cloud のインテグレーションを活用したワークフローの構築です。例えば、実施するキャンペーンごとに専用のチャンネルを作成するワークフローによって、広告営業チームは多くの時間を節約できるようになりました。現在の運用では、Sales Cloud 内で商談が成約まで 25% の段階に達すると、Slack 内にチャンネルが自動作成され、チーム全員がただちにチャンネルに加えられて、透明性を保ってコラボレーションができるようになっています。
Lopez 氏によると、当初は多数のチャンネルを管理できるかどうか不安に感じていたチームもあったといいます。でも、そのようなチームも数週間もすれば新しいプロセスを絶賛するようになりました。必要な情報が簡単に手に入ること、疑問点がある時には、誰に尋ねるべきかわからなくても、全員がそろっているチャンネルに投稿しさえすれば答えが得られる便利さが、好評を博しました。
現在、Spotify Advertising では 20 件を超えるワークフローを運用し、最初の売り込み営業からキャンペーンの完了まで、プロセスのあらゆる段階を効率化しています。その結果、チームでは会議の回数とメールのトラフィックが減る一方、広告営業の収益が増え、年間のキャンペーン配信率が 97% から過去最高の 99% へと上昇しました。なにより、コミュニケーションが集約されてナレッジ共有が進んだ結果、チームの能力や連携力がこれまで以上に高まりました。
「自動化によりチームのパフォーマンスと生産性が向上し、価値を生み出さない手作業から解放されたことで、多くの時間を節約できました。その結果、イノベーションとお客様に集中できるようになっています」
Slack コネクトと Enterprise Grid で、全社的に使うツール数を削減
BGM : ワンリパブリック『Connection』
自動化されたワークフロー、チームの枠を越えた可視性、チャンネルベースのコミュニケーションは、広告営業チームの力を高めたとともに、商談やキャンペーンの遂行に必要なツールや手続きの削減にもつながりました。
メールに代わるツールとして設計された Slack の機能を使えば、仕事の効率がさらにアップします。例えば、Slack コネクトにより、細分化された扱いづらいメールでのやり取りを、メンバーやパートナーが簡単にアクセスできる単一のデジタル空間に移行して、外部との協働においても仕事のスピード、生産性、セキュリティを高められます。
Slack コネクトの導入によって、管理者も時間とコストを節約できます。Slack コネクトにも、Slack のエンタープライズグレードのセキュリティ機能やコンプライアンス基準がすべて適用されるため、外部パートナーと協働する際にもコミュニケーションとデータの安全性を確保できます。
Slack の Enterprise Grid プランには、データのプライバシーやセキュリティといった、企業が重視すべき課題に対応できる機能が組み込まれています。適切な量のコントロールが提供されることで、厳しいルールはできる限り設けずに、ガイドラインにもとづいてチームが自律的に仕事を進められるような環境を整えられます。
Enterprise Grid では、自社のポリシーに沿った単一のグローバルなセーフティネットで安全性を確保しながら、各チームの個性や文化に合った複数のワークスペースを運用できるのです。
自動化で、広告営業とキャンペーン管理を加速
広告の配信率向上でウィンウィンに
BGM : DJ キャレド『All I Do Is Win』
自動化によって効率化を進めた結果、Spotify Advertising ではキャンペーンの配信率が向上し、リリース時期の精度も上がりました。これらは具体的にどのように実現されたのでしょうか。
Slack の導入以前、キャンペーンマネージャーにとって、キャンペーン開始後の動きをすべて追いかけるのは容易ではありませんでした。そこで同社は、Slack の API を活用して「Pacing Bot」を作成。広告サーバー(GAM および Megaphone)からのアラートが、関連する Slack チャンネルに直接送られるようになりました。これにより可視性がよくなり、マネージャーが手作業ですべての情報を監視する必要がなくなって、顧客の期待を超えるサービスの提供に注力できるようになりました。さらに、キャンペーン管理チームが今後の予定やリスクを把握しやすくなったことで、リリース遅れが大幅に減少し、配信率の向上につながっています。
「パフォーマンスが伸びなかったり、遅れが出ているキャンペーンがあった場合にも、成果を最大限に引き出せるよう最適化を図ることができます」と Satzberg 氏は言います。「私たちのビジネスが結果を出せば、パートナーの期待にも応えられ、Spotify の収益が増えて、お客様もより良い結果を得られます」
Satzberg 氏によれば、Spotify の広告ビジネスに Slack を活用するようになってから、 同チームの効率と生産性が 40% 向上したといいます。顧客の側にとっても、予算をムダにせずにキャンペーンでよい成果が得られるため、これほどうれしいことはないでしょう。
柔軟性がさらなる進歩を導く
BGM : バックマン・ターナー・オーヴァードライヴ『Takin’ Care of Business』
Slack を使ってキャンペーンのライフサイクルを自動化することで、Spotify Advertising ではキャンペーンの配信率が上がり、リリース時期の精度が向上したほか、チームの枠を越えて可視性が高まり、チャンネルベースのコミュニケーションが推進されました。広告主にとっても、関連性の高いオーディエンスにリーチして、何百万もの Spotify リスナーとの間に、深く長期的なつながりを築けるようになっています。
「Spotify の広告ビジネスの見通しはきわめて明るいものです。過去 1 年半で収益が初めて 10 億ユーロを超え、Salesforce や Slack の導入によって生産性が 40% 向上しています」
Spotify Advertising は Slack を活用することで、社内において、キャンペーンのさまざまな要素を担当するチームを団結させるという目標を達成しました。Slack のプラットフォームが持つ柔軟性と、Salesforce やサードパーティ製プラグインとの緊密な連携の仕組みにより、同社は既存のプロセスをシームレスに最適化できたのです。今ではチームはリアルタイムのワークフローやダッシュボードを利用して、効率的に仕事を進めることができます。透明性が完全に確保された 1 つの場所で仕事が遂行され、常に適切なコミュニケーションが行われています。