コロナ禍で働き方の前提は大きく変わりました。チームが分散した状態で、エンゲージメントを保ちながらビジネスを前へ進めるにはどうすればよいのでしょうか?中小企業から巨大な多国籍企業まで、あらゆるビジネスリーダーがこの問いに直面しているでしょう。この状況のなかビジネスを軌道に乗せるには、組織の規模に関係なく従業員を第一に考えなくてはなりません。そのために必要なのは、従業員を支えながらリードすること、そして生産性を保つツールです。
今回、従業員体験賞が贈られるのは Nike です。デジタルトランスフォーメーションと従業員体験を絶えず重視してきたことが評価されました。
2020 年初頭にコロナ禍が広がり始めた頃、Nike は新たな市場状況に合わせてただちに方向転換し、オフィスの大半を閉鎖しました。その一方で、Slack の活用を広げてチームのつながりを保ち、従来のスケジュールどおり製品を積極的にリリースしていったのです。その結果、2020 年にもペースを緩めることなく Air Jordan XI Jubilee や Air Jordan XI Adapt といった何百もの新製品を送り出しました。
Nike では顧客間・従業員間における人間同士のつながりを重視しています。そしてそれこそが現在進めている成長戦略の中核です。
同社では、従業員がチームで一緒に仕事を進める新たな方法を受け入れ、デジタルトランスフォーメーションの成功を加速させています。この動きを支えているツールの 1 つが Slack です。Nike 社内の Slack ユーザー数は 1 万 4,000 人から 3 万人へと 2 倍以上に増え、従業員は Slack で仕事を整理し、プライベートとパブリック両方のチャンネルでやり取りしています。1 か月に送信される Slack メッセージは 100 万件以上です。Slack 上でクリエイティブな仕事やアイデアを共有すると、Slack がそのままインスピレーションの貯蔵庫となるため、誰でもあとから検索することができます。これは、関係者しか見えないサイロ化したメールのやり取りでは実現しなかったことです。
このチャンネルベースのプラットフォームで働くメリットは、組織の枠を越えて広がっています。従業員は、広告代理店や請負業者、ベンダーなど社外のパートナーとも多数のチャンネルを共有して Slack でつながり、仕事を一緒に進めています。
Nike 社内のデジタル化をさらに加速させ、競争力を高めているのが、2,000 種類を超えるカスタムアプリとボットです。その例の 1 つが、Nike.com へのアクセスが急増すると担当者のもとに自動アラートを届ける Slack ボットです。こうしたワークフローやインテグレーションのおかげで、チームはアプリを切り替える時間を節約し、トラフィック負荷が急上昇しても優れた顧客体験を維持することができ、結果的に本当に重要な仕事を速やかに進められるようになりました。さらに同社では、従業員同士が Slack 上で「ハイタッチ」ができるようにもしています。これは、従業員が場所を問わずつながり、成功を祝う大事な方法です。
Nike の挑戦は始まったばかりです。イノベーションが DNA レベルで染み込んでいる同社は今後も業界の先頭を走り続け、どんな課題に直面しようと期待を上回る成果を上げていくことでしょう。