カリフォルニア州サンマテオを拠点とするクラウドデータプラットフォーム企業 Snowflake は「効率化」を軸にビジネスを展開し、顧客にはデータ分析、データウェアハウス、データツール、クラウドをすべて 1 つにまとめられるプラットフォームを提供しています。
同社の成功には、IT サポートからベンダーとの関係まであらゆる点で、社内外との効果的なコラボレーションが欠かせません。そのため、Snowflake ではパートナーとメッセージやファイルのやり取りを行う手段として Slack コネクトを採用しました。現在は 360 件のオーガナイゼーションと 580 の 件Slack チャンネルを共有していて、その数はどんどん増えています。そして、メールはあまり使わなくなりました。
「Slack で社外ベンダーにメッセージを送信できると、サポートのレベルが上がります。チャンネルなら、メールのようにたらい回しになることもないからです」
パートナーやベンダーとの関係を強化
当初 Snowflake では、データ分析ソフトウェア会社 Looker や Lumaなどの社外パートナーと連携するために、Slack でマルチチャンネルやシングルチャンネルのゲストアクセスを利用していました。どちらも社内でいつも使っているデータプラットフォームやカスタマーネットワークを提供する企業です。しかしゲストアクセスでは、社外パートナーがアクセスできるのは一部の Snowflake の Slack ワークスペースに限定されます。
次第にパートナーとのコラボレーションがどんどん活発になってくると、パートナーをその都度チャンネルに招待していては IT 部門の負担がとても大きくなることがわかりました。
「こうしたパートナーとの関係が(チャンネルの共有を)始めるきっかけになりました」と、Snowflake の IT Systems Engineer である Marisa Guarino 氏は語ります。「1 人 1 人を個別にゲスト招待しなくてはならず、そのことが IT チームの負担になっていたのです。現在チャンネルに参加している Looker のメンバーは 250 人ほどいます。Slack なら、そのくらいの規模のパートナーともコミュニケーションできるのです」。
チャンネルを共有することで、社内サービスに利用しているベンダーとの関係も大きく広がりました。その 1 つがインシデント対応プラットフォームの PagerDuty です。以前はエンジニアチームだけが PagerDuty と連携していたのですが、コミュニケーションを 1 つのチャンネルにまとめた今では、エンジニアに限らず社内で広く利用されるようになりました。
「チャンネルなら、PagerDuty に直接『こんなことはできますか?』『ライセンスを増やしたほうがいいですか?』など何でも聞けます」と、Guarino 氏は続けます。「Slack で社外ベンダーにメッセージを送信できることで、サポートのレベルが上がります。チャンネルなら、メールのようにたらい回しになることもありませんから」。
Guarino 氏はまた、Snowflake の IT 部門ではチャンネルの共有が業務上欠かせなくなったと言います。「社外ベンダーとの仕事が始まるたびに、Slack が必要だなと思うんです。メールのやり取りにはもううんざりですから」と、Guarino 氏は話します。「Slack のおかげで大量のメールをやり取りしなくても、社外のメンバーとスムーズなコミュニケーションができています」。
Slack コネクトで販売サイクルがスピードアップ
Cedric Dageville 氏と Michael Westra 氏は Snowflake の Corporate Account Executive(AE)です。見込み客に接触する時から、新規顧客が自社に最適な Snowflake プランを選べる際のサポートまで、Dageville 氏と Westra 氏は営業サイクル全体を通して顧客とやり取りしています。
そのなかで見込み客とのコミュニケーション を Slack コネクトのチャンネルで行うようになってから、成約スピードが上がり、数もぐっと増えました。実際に Westra 氏は、商談の規模が前年比で 3 倍にまでなったのは Slack コネクトのおかげだと言います。
「見込み客や顧客とやり取りする Slack チャンネルを作ったことで、顧客が最優先だということをわかってもらうことができ、際立つ存在になれました」
「Snowflake では最上級のサポートで優位に立ち、それを提供できているという自負があります」と Westra 氏は話します。
Dageville 氏と Westra 氏によると、実際のプロセスは次の通りです。まず Snowflake の AE がリードと関係を築けたら、共有の Slack チャンネルを作成し、Snowflake と顧客側の重要なメンバーをチャンネルに招待します。その後、Snowflake の AE がこのチャンネルで Snowflake プラットフォームに関する質問に答えていきます。
Slack コネクトを使うことで、Snowflake の営業チームは顧客や見込み客に手厚いサービスを提供できるようになりました。「見込み客が何か質問すると、エンジニアやほかのチームのメンバーからすぐに回答できます。これは他社との大きな差別化になっています」と、Dageville 氏は語ります。「顧客には、みんな一緒のチームであるかのように感じてもらえるのです」。
また、チャンネルなら Slack ワークスペースを離れることなく成約プロセスも簡単です。新規顧客が契約内容を交渉して Snowflake のサービスに登録する段階になったら、Dageville 氏と Westra 氏は顧客側の主な意思決定者に Slack でダイレクトメッセージを送信し、詳細を詰めて文書を取り交わします。
「Corporate Sales チームの全員が常に Slack コネクトを使っているはずです」と、Dageville 氏は言います。
「見込み客や顧客とのコミュニケーションの 99% は、Slack コネクトのチャンネルを通したものです。メールはもうめったに使いません」
IT サポートとナレッジベースの活用が簡単に
Snowflake では従業員が IT サポートに相談したり、社内の充実したナレッジベースにアクセスしたりしやすくするために、カスタム Slack ボットを活用しています。これは技術面でのサポートや個人的な問い合わせなどに対応する、チャットベースのコンシェルジュのようなものです。
「カスタム Slack ボットは、従業員の質問に何でも対応できるちょっとしたワンストップショップになっています」と、Guarino 氏は説明します。「IT チケット作成のような面倒な作業も、『ヘルプが必要です!』とボットに話しかけるだけで OK です」。
またカスタム Slack ボットに質問することで、自社のさまざまなデータベースを照会することもできます。例えばある従業員がどんな人でどの席にいるのかを知りたい場合、Slack ボットに質問すれば、自社で使っている ID・アクセス管理プラットフォームの Okta や職場オペレーションプラットフォームの SpaceIQ に問い合わせて情報を返してくれます。この Slack ボットには機械学習人工知能の MoveWorks が使われており、チームが社内のインフラやチケット発行プロセス、ヘルプ Wiki などをうまく利用できるようにサポートしています。
「実はそれまで、チケット発行のプロセスはなかったんです」と、Guarino 氏は振り返ります。「そこで、(デジタル変革プラットフォームの)ServiceNow を使うことに決めたのですが、何もなかったところから急に ServiceNow を使いこなしてもらおうとするのは、子供に図形を教えてすぐに 50 階建ての高層ビルを設計してもらおうと期待するようなものです。そのため、移行期間には Slack ボットがとても役に立ちました」。
Slack のワークフロービルダーで社内のフィードバックを変革
Snowflake の IT チームでは、Slack でワークフロービルダーを使って新たな自動化を設定しました。この自動化では、IT サポート担当者とのやり取りが終わった時点で従業員に 🏄♂️ 絵文字でリアクションをしてもらいます。すると、従業員のところにはサポート体験を評価してフィードバックを入力するための「surfvey」というアンケートがダイレクトメッセージで届きます。アンケートは自分の都合のよいときに回答でき、コンテキストを切り替える必要はありません。その情報は満足度に関するプライベートのチャンネルに取り込まれ、そこでマネージャーがメンバーの状況を簡単に把握できるようになっています。
「コミュニケーションや生産性にとどまらず、社内の制度作りや部門間のコラボレーションまで、すべて Slack でできるのです」
「IT チームはこれまでその働きを十分にアピールしてこなかったので、イノベーションの多くはなかなか気づいてもらえませんでした」と、Guarino 氏は話します。「Slack なら、アンケートなどもユーザーに負担をかけずに、気軽に楽しんでもらえる形で実施できます。フィードバックがすぐに得られるのは本当にいいですね」。
「surfvey」のようなワークフローが成功したことで、Slack はSnowflake のビジネスに欠かせない要素になったと Guarino 氏は言います。
「Slack の価値は文化的に受け入れられてこそ発揮できると思っています。最初の壁を取り除いたら、まさに水門を開けたように一気に全社に普及するでしょう。コミュニケーションや生産性にとどまらず、社内の制度作りや部門間のコラボレーションまで、すべて Slack でできるのです」。