従業員が職場を去るとき、かけがえのない資産、つまりナレッジも、その人とともに失われてしまうことがあります。従来型の職場では往々にして、組織のナレッジがメールの受信トレイやダイレクトメッセージ、各種ツールに閉じ込められています。その結果、残ったメンバーは、必要な情報を探し回ることになり、仕事のスムーズな進行が妨げられてしまいます。
Slack は、単に仕事をするだけの場所ではありません。会話、アプリ、人、エージェントを 1 か所に集め、蓄積されたナレッジを検索可能で共有可能なリソースに変える、AI 搭載のプラットフォームが Slack です。 Slack を使っていれば、たとえ誰かが退職しても、チームは引き続きスムーズに仕事を前に進められます。
そこでこの記事では、なぜナレッジは埋もれがちなのかを解説し、Slack でナレッジを保持し、そのナレッジからすばやくアクションを起こすための 5 つの方法を紹介します。
ナレッジはどうして埋もれてしまうのか
今日の働き方の多くは、社内ナレッジの保存に十分に対応した仕組みになっていません。成果を上げているチームでさえ、次のような課題に直面しています。
- 重要な決定事項が、プライベートメッセージやリアルタイムの会話の中に埋もれている
- 専門知識がバラバラのツールやアプリに分散している
- 重要な背景情報が、ダイレクトメッセージやオフラインでの会話の中にとどまっている
- ツールが多すぎて、どこに何があるのかわからない
- ナレッジの獲得や利用についての拡張性のあるアプローチがない
こうした理由でナレッジが失われることによって、大企業は年間数千万ドルを無駄にしています。主力の従業員が職場を去った後に、そのナレッジを効果的に引き継ぐ方法がなければ、損失はさらに大きくなるでしょう。Slack の Workforce Lab の調査によると、働く人は情報の検索に平均で業務時間の 33% を費やしており、それが意思決定の遅れや効率の低下につながっています。
でも、このような状況は変えられます。
Slack でナレッジを保持する 5 つの方法
Slack はナレッジを取得・共有・保存できる場所です。だから、誰かが職場を去っても、チームは引き続きスムーズに仕事を前に進められます。
Slack なら、従業員の退職に伴うナレッジの流出を簡単に防げます。以下のシンプルなベストプラクティスに沿うだけで、大きな効果が得られるでしょう。
1. DM ではなくチャンネルの使用をデフォルトにして、仕事を可視化する
プライベートメッセージでやり取りされた情報は埋もれてしまいますが、チャンネルを使えば、チームの共有の記録が作成されます。つまり「Working Out Loud(仕事のプロセスをオープンにすること)」を実現できます。
新機能のリリースでも、顧客の問題の解決でも、取締役会の準備でも、チャンネルで仕事をしていれば、全員が同じナレッジにアクセスできます。AI を活用した検索により、メッセージやファイル、会話から関連する情報がすぐに見つかります。過去のプロジェクトや議論の内容を調べるのも簡単です。AI は背景情報をもとに、必要なリソースやエキスパート、次のステップも提案してくれます。このような仕組みにより、従業員が退職してもナレッジは残るのです。
2. あらゆるパートナーを Slack に招待する
パートナーやベンダーなど、外部の協力者と連携して仕事を進めることもよくあるでしょう。そのようなパートナーが Slack を使っていなければ、重要な情報がメールや 1 回限りのメッセージに埋もれてしまいます。
Slack コネクトを使えば、外部のパートナーを共有チャンネルに招待して、全員でプロジェクトの情報を共有できます。ツールを切り替えたり、分散した情報を探し回ったりする必要はもうありません。関係者みんなが 1 か所で作業を行って、同じ情報、会話、決定事項にアクセスできます。AI や Agentforce の利用も外部のパートナーにまで拡張されるため、誰もが必要なナレッジにすばやくアクセスして、スムーズにコラボレーションを進められます。
3. 仕事の流れの中でナレッジを取得する
ローコードで自動化を実現できるワークフロービルダーを活用すれば、チームの仕事の流れの中から重要な情報を自動的に獲得できるようになります。さらに Slack の AI への対応により、求めていることを入力するだけで、ワークフローが自動的に構築されるように。チームは浮いた時間でさらに仕事を前進させることができます。
ワークフロービルダーは、チームの記憶を助けてくれる存在です。たとえば、案件が成立したらプロジェクトのまとめを作成するよう担当者に自動的に依頼したり、キャンペーンの開始後にフィードバックを自動収集したり、退職時のチェックリストを自動送信したりするワークフローを作成できます。
何より、ワークフロービルダーが仕事の流れの中からナレッジを獲得することで、個別に文書化を行う手間なく、重要な情報を保存できます。
4. Slack の AI を使ってナレッジを簡単に文書化する
Slack 上で有意義なブレインストーミングを行って、決定が下されました。それはよかったのですが、あとから誰かに「あの件、どうなったの?」と尋ねられたら、またメッセージを掘り起こして、話し合われた内容を手作業でまとめなければなりません。
まもなくリリース*される、canvas に組み込まれた AI 文書作成支援機能を使えば、AI が Slack 上のあらゆる会話から瞬時に重要ポイントをまとめ、実施項目を抽出し、草稿を生成してくれます。会話のスレッドを手作業で探し回る必要はもうありません。カジュアルかフォーマルかのトーンを調整したり、内容を再構築したり、次のステップを強調したりすることも可能。ハドルミーティングでプランニングについての話し合いをした後は、AI に議事録の作成、決定事項の抽出、全文の文字起こしを提供してもらいましょう。このような機能により、誰もが集中力を保て、チームで認識を共有できます。
チームのナレッジが会話の履歴の中に埋もれたり、ミーティング後に消え去ったりすることはもうなくなります。ブレインストーミング後に企画書をまとめる時にも、チャンネルでの議論を経て手順書を作成する時にも、重要な会話のすべてを検索して利用できるようになります。
5. 検索バーを自社の AI エンジンにする
デジタル化された今日の仕事環境では、情報があらゆる場所に散在し、見つけ出すのが驚くほど難しいことがあります。エンタープライズ検索は、これまでは分断されていたシステムの検索の仕組みを一元化し、組織におけるナレッジの管理と保持を変革します。
Google ドライブ、Microsoft Teams、Confluence などのプラットフォームにある情報がすぐに見つかるようになれば、求めている答えを探すのに費やす時間が減り、インサイトをさらに活かせるようになります。これにより生産性が向上するとともに、組織内にナレッジを保存する方法が根本から変わります。
従業員が役割を変えたり、退職したりしても、その人が残してくれたものをいつでも見つけ出せます。エンタープライズ検索を使って、現在のチームメンバーが過去の会話、決定事項、背景情報を参照できるようになることで、貴重な集合知を保てます。新しく入った従業員も、組織の情報にすぐにアクセスできるため、何度も同じような質問をする必要がなくなります。
エンタープライズ検索は、外部のリポジトリと社内のコミュニケーションを結びつけることで、既存のセキュリティ権限とコンプライアンス要件を反映させた、包括的なナレッジのエコシステムを構築します。「まず検索する」文化が根づいた組織では、ナレッジの流れがますます円滑になり、コミュニケーションの効率がさらに高まります。
エンタープライズ検索の真の価値は、ただ便利だというだけでなく、散在した情報を、整理されたアクセスしやすいナレッジベースに変換することにあります。組織とともに成長するこのナレッジベースにより、重要な知見が失われることなく、つねに利用可能な状態を保てます。
日々の仕事がチームのナレッジベースに変わっていく
メンバーがチームを去るときに、そのナレッジも失われるようなことがあってはなりません。Slack のチャンネルで仕事をすれば、チームの作業内容が記録され、消えることのない検索可能な履歴が作成されます。
そうした履歴データの力をさらに引き出すのが、Slack の AI です。回答を瞬時に得たり、情報を簡単に整理したりできるようになることで、チームはさらにスマートで生産的な仕事環境を整えられます。
現在、Slack のすべての有料プランに基本的な AI 機能が含まれています。さらなる機能を活用したいチームのために、プランごとにより高度な AI 機能が用意されています。どれも組織全体にわたる業務の自動化、意思決定のスピードアップ、生産性の向上を後押しする機能です。
- プロプランは、Slack の組み込み AI を体験するのに最適なプランです。チャンネルやスレッド、ハドルミーティング向けの基礎的な要約機能を利用することで、会話にすぐにキャッチアップできます。
- プロプランをすでにご利用で、もっと高度な機能を使ってみたいと思ったら、ビジネスプラスプランでより幅広い AI ツールを利用できます。まとめ、翻訳、ワークフロー生成、AI を活用した検索といった機能により、チームは手作業を減らして、仕事にさらに集中できます。
- 会社全体に AI 機能を広げたい場合は、Enterprise+ を。エンタープライズ検索、進化したタスク管理、エンタープライズグレードのセキュリティとガバナンス制御などにより、Slack の AI をフル活用できます。大規模な運用を安全に行いながら、行動のスピードを上げたい組織のためのこのプランでは、チームのさまざまな働き方に応じて、仕事のあらゆる側面に AI を組み込めます。
使い始めたばかりのチームから、さらに高度な利用を求める組織まで、あらゆるチームにぴったり合い、チームとともに成長するよう設計された Slack プランが用意されています。
* 「まもなくリリース」とされている機能は、将来予測に基づくものであり、年間を通してリリースされる可能性があります。これらの機能の日付や動作はすべて変更される可能性があります。