さらなる飛躍へ、Cebu Pacific Air は Slack を活用してフライトオペレーションを変革

「Slack のおかげでオペレーションチームの効率が格段に上がり、生産性の向上で年間約 11 万 4,000 時間を節約できています」

Cebu Pacific AirIT DirectorAngelo Maria Berbano 氏

航空会社の運営は、トランプでタワーを組み立てるようなもの。たったひとつの判断や連絡のミスが、すべてのバランスを崩してしまうことがあります。それぞれのチームが正確に連携しコミュニケーションを取ってはじめて、スムーズな運営が可能になるのです。1 か所でも乱れると、連鎖反応が起こりかねません。

国内 60 か所、海外 14 か国に毎日 400 便以上を運航し、フィリピンの航空業界をリードする Cebu Pacific Air にとって、そのような事態による影響は計り知れません。

そのため航空機の操縦や地上でのオペレーションはもちろん、中枢部によるスケジュール管理や予期せぬインシデントへの対応まで、すべてを時計の針のように正確に進める必要があります。

ところが、以前はその連携が十分でなかったこともあったと、スタッフは話します。

かつて同社では、コミュニケーションに複数のプラットフォームを使っていました。そのため、例えばパイロットは、旧型のシステムと最新のフライトツールとの連携に苦労し、地上スタッフとのやり取りの際に無線の電波が届かなくなることもありました。

「統一されたプラットフォームがないことで、コミュニケーションの行き違いが生じる可能性が高い状態でした」と話すのは、Cebu Pacific Air で機長を務める Chaitanya Patel 氏です。「こちらからの問い合わせが関連部門にすぐに届かなかったり、回答や解決策を受け取れなかったりすることが原因で、フライトが遅れることがありました」

運航スケジュールの設定やゲートの割り振りから、乗客の追跡、給油、気象状況の確認、飛行のモニタリングまで幅広い業務を担当している Network Control Manager の Macy Lukban-Tan 氏も、コミュニケーション方法が十分に整備されていなかったと振り返ります。

「連絡をとりあうのに、トランシーバーや電子メール、SMS、WhatsApp や Viber のようなアプリとさまざまなツールを使っていて、時には大声で叫ぶようなこともありました。すぐに連絡でき、情報にもとづいた決定を下して、全フライトを定刻どおりに出発させられる、そんなプラットフォームが必要だったのです」

「飛行機を離陸させるのに 7 つほどの航空システムを使う必要がありますが、それらは基本的にほかのシステムとの相性がよくありません。それが Slack の強力な API のおかげで、レガシーシステムの更新情報を直接 Slack へ送れるようになりました」

Cebu Pacific AirDirector of Operations SystemsAngelo Maria Berbano 氏

情報とコミュニケーションを一元化するハブを構築

コミュニケーションを一元化するため、Cebu Pacific Air は 3 年前に Slack を導入。集約したナレッジをリアルタイムで利用できる、プロダクティビティプラットフォームとして Slack を活用しています。

同社で Director of Operations Systems を務める Angelo Maria Berbano 氏は、Slack の使いやすさが導入の決め手になったと語ります。

「飛行機を離陸させるのに 7 つほどの航空システムを使う必要がありますが、それらは基本的にほかのシステムとの相性がよくありません。それが Slack の強力な API のおかげで、レガシーシステムの更新情報を直接 Slack へ送れるようになりました」

「これにより、乗客のチェックイン状況からクルーのスケジュール、気象情報まで、あらゆる情報を全員で共有できるようになりました」

そして、Cebu Pacific Air の IT 部門と Slack のアーキテクトが協力して、同社のシステムを Slack と連携させました。

業務プロセスをワークフロー化して、適切なタイミングで起動するようにしました。研修プログラムの構築も実現できました」

部門やフライトごとに専用の Slack チャンネルを作成

同社では各部門専用の Slack チャンネルが用意され、地上スタッフから給油・整備担当者まで、あらゆるメンバーが各自の業務を遂行するために活用しています。また、出発予定時刻の少なくとも 3 時間前には、フライトごとの専用のチャンネルも自動生成される仕組みになっています。

こうしたチャンネルにより、客室乗務員は業務につく前に、基本的なフライト情報や燃料量、整備・保安の状況、スタッフの氏名、搭乗ゲートの情報などをチェックできます。

パイロットも、乗客の搭乗状況をリアルタイムで確認できます。

「Slack を導入する前は、自分で客室乗務員に電話して、搭乗の状況を把握しなければなりませんでした。それが今では、搭乗した乗客のパーセンテージを Slack が自動的に知らせてくれます」と Patel 氏は語ります。

「Slack はチームのストレスを大幅に軽減してくれました。Slack によって節約できた時間で、翌日の計画も立てられます」

Cebu Pacific AirNetwork Control ManagerMacy Lukban-Tan 氏

Slack で、あらゆる事態に備える

航空会社は、フライトの遅延や整備の問題、悪天候といった予期せぬ事態に常に備えておかなければなりません。その点でも活躍するのが Slack です。

「もし目的地の空港で地上オペレーションが一次的に停止したとしても、すべてのチームにリアルタイムで情報を提供して、全員が Slack ですぐに最新情報を得られます」と話すのは Lukban-Tan 氏です。

「例えば、マニラの天候が回復しない場合、運航管理者があらゆる関連情報を Slack に投稿します。そして私がフライトの欠航を決めると、その便名と行き先を Slack チャンネルに投稿し、関係者 50~100 名に同時にアラートを出します。それを受け取ったメンバーは、別のチャンネルで各部署に連絡します」

「Slack はチームのストレスを大幅に軽減してくれました。Slack によって節約できた時間で、翌日の計画も立てられます」

多くの空港が郊外に位置するフィリピンは、航空機がバードストライクに遭遇する可能性の高い地域です。以前は、その対応にも貴重な時間が費やされていました。

「Slack を導入する前は、リモートで運航管理者からフライト継続の承認を得るのに 2 時間もかかっていました」と Patel 氏。

「今ではサポートチャンネルで検査や写真の投稿ができ、整備部門がすぐにこちらの要望を処理してくれます。所要時間はわずか 20~30 分になりました」

飛躍的な業務効率化を実現

絵文字リアクションも、同社での時間節約に大きく役立っています。定型的な問い合わせや情報更新に返信するためだけに、貴重な時間を使わずに済むからです。

「”両目”の絵文字を使って確認中であることを伝えたり、ハートの絵文字で解決策が見つかったことを知らせたりしています」

地上スタッフやネットワーク管理者、パイロットが Cebu Pacific Air というパズルの「ピース」だとしたら、それらをつなぎ合わせる「接着剤」が Slack だと言えるでしょう。

「Slack のおかげでオペレーションチームの効率が格段に上がり、生産性の向上で年間約 11 万 4,000 時間を節約できています」と、Berbano 氏は見積もります。

「Slack は、まさにゲームチェンジャーですね」