アラスカ州の信用組合が Slack で働き方を変革した方法とは

「Slack は組織内の重要な連絡に欠かせない存在です。Slack のチャンネルを通じて、リアルタイムであらゆるメンバーとコミュニケーションを取ることができます」

Credit Union 1Chief Technology OfficerKeith Bennett 氏

1952 年に設立された Credit Union 1 は、人々を尊重し、力づけ、変化を導くことを使命とする金融機関です。地域社会に深く根ざした同組合は、「ラストフロンティア」と呼ばれる米国アラスカ州で暮らす人や働く人の、お金に関するニーズに応えるために尽力しています。州内に 12 支店(まもなく 13 支店に増える予定)を展開し、10 万人近くの組合員を擁する同組合では、400 人を超える従業員の約 10% が在宅勤務をしています。

ほかの多くの組織と同じく Credit Union 1 も、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、急きょリモートワークに移行しました。Chief Technology Officer から CEO になった Mark Burgess 氏は、離れた場所で仕事をするメンバーを団結させられるようなプラットフォームが必要だと考えていました。

「実際に隣に座っているかのように情報を共有したり、質問したりできるようなコミュニケーションを育てるには、どうしたらいいのだろう?」と Burgess 氏は自問しました。 そこで目に留まったのが Slack です。Burgess 氏は、すぐに導入できること、管理の負担をかけずに Okta や Zoom といった主要なツールとシームレスに連携できることから、Slack を選びました。その結果、Slack はすぐに企業文化の構築に役立つプラットフォームになりました。それだけでなく、主要な業務プロセスで成果を導き、自動化によって組織全体の生産性を高めるものともなったのです。

重要で複雑な移行プロセスがスムーズに

「コアコンバージョン」とは、金融機関の中核をなす「コアバンキングシステム」を、あるプラットフォームから別のプラットフォームに移行する、重要かつ複雑なプロセスです。コアバンキングシステムでは、組合員の口座、取引、預金、融資、その他の財務業務といった、金融機関にとっての基幹機能すべてを管理しています。Credit Union 1 の場合、そのプラットフォームに 2,700 件の内部プロセス、80 種類の API、十数種類のアプリが接続されているため、アップグレードは容易なことではありません。

そこで同組合は、Slack のプロジェクト用チャンネルと自動化ワークフローを活用して、コアコンバージョンのプロセス全体を効率化しました。チームメンバーは Slack を使ってさまざまな調整を行い、#updates チャンネルで簡単なテンプレートを使って 30 分ごとに最新情報を共有することで、リーダーがリアルタイムに進捗を把握できるようにしました。

また、コアコンバージョンチームは、#issues チャンネルを使ってエラーを報告。IT 部門と製品サポート部門のメンバーがこのチャンネルを監視することで、インシデント発生時にも、すぐに解決を目指して協力できます。

組合員に直接対応する最前線のスタッフから CEO まで、全員が今何が起こっているかを把握することで、すべてが円滑に進みます」と、Credit Union 1 の Chief Technology Officer である Keith Bennett 氏は説明します。

「Slack を使わずに行った最終テストでは、サポートデスクの待ち時間が終日 1 時間を超えていました。実際のコアコンバージョンは Slack で常にコミュニケーションを取りながら行ったのですが、その時は待ち時間は発生しなかったのです」。

「Slack によって最新情報がリアルタイムで配信されるようになったことで、サポート部門への問い合わせが大幅に減りました」

Credit Union 1Chief Technology OfficerKeith Bennett 氏

自動化とリアルタイムデータの活用で、優れた顧客体験を創出

競争の激しい業界で差別化を図るため、Credit Union 1 は、組合員に対して優れたエクスペリエンスを提供することに力を入れています。その一環として、Slack のワークフロービルダーを活用して、提供するサービスの品質とスピードを向上させています。

例えば、窓口対応チームは、来店した組合員からニーズを聞き取ると、ワークフローを使って、その見込み客に関する情報をリレーションシップマネージャーに送ります。組合員から自動車ローンの申し込みや、署名者の追加といったリクエストがあった時に、専門のスタッフに引き継ぐためのワークフローも用意されています。ワークフローは依頼者に、組合員の名前、電話番号、リクエストの種類、ステータス、その他の詳細を入力するよう促します。それにより、依頼を受けたメンバーは、組合員の情報やニーズを正確に知ることができ、より的確なサポートをタイムリーに提供できます。

「ワークフローはコミュニケーションの標準化に役立ちます」と Burgess 氏は言います。「支店にいる 150 人の従業員が、みんなそれぞれのやり方でアポイントを取っていたら、時間がどこまでもかかるし、重要な情報も見落としてしまいます。ワークフロービルダーを使ってこのプロセスを自動化したことで、時間を 20% 節約できました」。

「支店にいる 150 人の従業員が、みんなそれぞれのやり方でアポイントを取っていたら、時間がどこまでもかかるし、重要な情報も見落としてしまいます。ワークフロービルダーを使ってこのプロセスを自動化したことで、時間を 20% 節約できました」

Credit Union 1CEOMark Burgess 氏

また、Credit Union 1 では、Slack によってリアルタイムのデータを活用することで、組合員といっそう強固な関係を構築できるようになりました。すべての履歴データが Slack チャンネルに保存されているため、サービス部門のメンバーは過去の議論や決定を簡単に検索して、解決時間を短縮できます。さまざまなデータにアクセスできることで、全体像を見渡せ、より一人ひとりに合わせたサービスの提供にもつながります。

とりわけ重要なのは、主要なアラートやサービスデータを Slack チャンネルに一元化できることです。これにより、急を要するリクエストに、チームで対応できるようになります。サービス部門やリレーションシップ部門のマネージャーは、専門分野に詳しいスタッフをすぐにチャンネルに招いて、力を結集して問題解決にあたれます。

導入研修の効果を高めて、従業員の定着率を向上

AI を活用した Slack の検索機能によって、新たに入った従業員も、業務に関する情報をすぐに見つけることができます。これにより新人研修のプロセスがスピードアップし、新しいメンバーは早い段階から、優れた生産性を発揮できるようになります。

Credit Union 1 の従業員は、Slack を通じて、組合のミッションや価値観をより早く、より深く理解できます。チャンネル内を検索して情報を探せるだけでなく、Burgess 氏らリーダーシップチームとも簡単にコミュニケーションをとることができます。

「ハイブリッドな働き方では、CEO の部屋をノックする機会がそれほどあるわけではないでしょう。でも、Mark は Slack を使って、オンラインでの会話に積極的に参加しています」と、同社で Director of Corporate Communications を務める Jessica Gallagher 氏は話します。「そのようにリーダーシップチームと接触でき、意見を聞いてもらえることは、どの従業員にとっても大きな助けになります」

Slack を使ってリーダーがリモートでも働けるようになったことは、従業員の定着率の向上にもつながっています。パンデミック以前は、リモートで働く従業員がリーダー職に就くことは困難でした。しかし、現在の Credit Union 1 では、従業員の住んでいる場所が「アラスカでもコロラドでも、チームとしっかりつながり、物理的な場所を超えて関係を構築できるようになっています」と、Gallagher 氏は話します。「住む場所のせいでキャリアが制限されてしまうと感じずに済むのです。これは長い目で見て、従業員の定着率に影響します」。

「人々に関する重要な情報をすばやく得られるという点で、Slack はほかのものに代えられない存在です」

Credit Union 1Director of Corporate CommunicationsJessica Gallagher 氏

前向きなつながりと組織文化を構築

州内に 12 か所の支店を持ち、異なるタイムゾーンからリモートで働く人もいる中で、従業員同士の良好なつながりや、前向きな組織文化を築くのは容易ではありません。そこに Slack のチャンネルを使うことで、Credit Union 1 の従業員は、自然な形で関わり合いを深めています。

「みんなお互いをお祝いするのが好きなんです」と Burgess 氏は言います。「『シャウトアウト(感謝の表明)』というチャンネルを作っていて、そこでは誰もがほかのメンバーへの賛辞を投稿できます。効果は絶大です。このように、ほかの手段を使うことなく、ただ家で仕事をしているだけでは得られない仲間意識を築ければと思っています」。

同組合では、会社のニュースを発信する「#headlines」、IT サービスがダウンした際に連絡する「#isitdown」といったチャンネルも 運用されています。

大事な会社の情報やシステム障害情報を Slack で送信することで、従業員全員がすぐに状況を把握できます。チャンネルは検索が可能なので、ランチに出ていたりオフィスから離れていたりして投稿を見逃したとしても、あとから簡単に目的の情報を見つけられます。

Slack によって、Credit Union 1 では支店間のコミュニケーションも向上しました。同組合では州内 12 の支店それぞれに、専用の Slack チャンネルを設けています。これらのチャンネルは、支店の予定外の休業の連絡や、自支店で経験した詐欺行為の情報共有などに使われています。

Bennett 氏はこう話します。「営業時間を通じて、Slack は組織内の重要な連絡に欠かせない存在です。例えば、大雪の影響で支店が休業を余儀なくされる、へき地の支店が人手不足により昼休み中の業務を停止する、ソフトウェアやネットワークの問題が発生して IT サポートデスクに電話が殺到している……そんな時に Slack のチャンネルを使って、全員にリアルタイムで情報を提供できるのです」。

Slack チャンネルは、従来の電子メールでは難しかった、従業員同士のつながりの形成にも貢献しています。例えば、同組合はこの夏、全員に Credit Union 1 ブランドのダッフルバッグを配布。夏休みにそれを持って写真を撮り、指定のチャンネルに投稿するよう促しました。従業員は、シックスフラッグスでの楽しい 1 日や、生まれて間もない赤ちゃんを病院から連れて帰る様子、狩りや釣りのワンシーンなど、さまざまな写真を共有しました。

このようなつながりは、従業員にとってかけがえのないきずなを生み出します。それが、どんな話題についても従業員同士が Slack を通じて簡単に連絡を取り合える文化につながっていきます。

「ちょっとした情報が必要になった時に、メールで尋ねたら、数日間返事がないということもあるかもしれません。それを Slack の DM で連絡すれば、ずっと早く情報が返ってきますし、お互いに協力し合う関係も築けます」 と、Gallagher 氏は言います。

Credit Union 1 は、プロダクティビティプラットフォームとして Slack を活用して、デジタル変革を進め、組合員にさらに優れたエクスペリエンスを提供できるよう、新しい時代を切り拓いています。