机の上にきちんと並べられた文房具、ホッチキス、鉛筆

コクヨ、Slack を活用して売上前年比 138% 増を達成

「Slack を使って各職種の知識やノウハウを共有することで、よりイノベーティブな環境が構築され、人材の能力を最大限に引き出せるようになりました」

KOKUYOグローバルステーショナリー事業本部 事業推進室 事業推進ユニット エキスパート清田 広太郎 氏

1 世紀以上にわたり日本の文具、オフィス家具、事務用品分野のトップメーカーであるコクヨ株式会社が、組織横断型のプロジェクト「100 均 PJ」の業務を Slack の導入によって効率化し、〝倍速運営〟を実現したことで、プロダクティビティ賞(日本)に選ばれました。

2021 年 11 月、コクヨは業務プロセスのアップデート、新規ビジネスベンチャーの創設、カスタマーエクスペリエンスの改善に向けた計画を策定しました。グローバルステーショナリー事業本部はその改革の一環として位置づけられ、事業推進室 事業推進ユニット エキスパートでプロジェクトリーダーの清田 広太郎さんが率いる「100 均 PJ」も一翼を担っています。

2020 年 1 月にスタートした「100 均 PJ」について、清田さんは「長い歴史と文化を持ち、形式を重んじる当社において、実験的でベンチャー感のあるプロジェクト」と評します。これまで同社では、新規プロジェクトを立ち上げ、企画から販売まで至るのに、半年から 1 年ほどかかっていました。それに対し「100 均 PJ」では〝倍速運営〟を目標にしました。具体的には、企画をたててバイヤーに提案し、採用されれば即商品化、ダメならすぐ次の企画に取りかかる、というアプローチです。それを実現するため、同チームは全社に先駆けて Slack の導入を決定。プロダクティビティプラットフォームである Slack の活用により、営業、製造、開発といった部門やタイムゾーンを超えた円滑なコミュニケーションが可能になりました。

「100 均 PJ」では、さまざまなフェーズのプロジェクトが常時 30 件以上動いています。リーダーの清田さんはプロジェクトを管理するのに、これまではメールや SNS を使って担当者とやり取りしていましたが、十分に効率的とはいえず、サイロ化した情報を見失うこともありました。そこで、Slack チャンネルを導入し、プロジェクトごとにスレッドを立ち上げてやり取りをすることにしました。それにより清田さんは各プロジェクトの管理をスムーズに行えるようになり、新たに加わったメンバーも、スレッドをさかのぼることで、すばやく経緯や現状を把握できるようになりました。

「Slack には、縦割り組織の壁を取り払う力があると感じています」

コクヨ株式会社グローバルステーショナリー事業本部 事業推進室 事業推進ユニット エキスパート清田 広太郎 氏

コクヨでは、Slack を知識や情報のハブとしても活用しています。例えば、競合についての情報の収集と共有は、これまでは営業メンバーのみで行われていました。そこで清田さんは、営業担当者だけでなく、チームのメンバー全員に月に 1 度は店頭に足を運んでもらい、そこで撮った写真や気づいたことを専用の Slack チャンネルに投稿してもらうようにしました。これによって、多様な視点で現場からの情報を集められ、これまでなら見落としていたような点にも気づけるようになりました。

このようにコクヨでは、Slack の利点を効果的に活用することで、商品開発にかかる時間が半減するという優れた成果が出ています。業績の面でも「100 均 PJ」の売上は前年比で 138% 上昇。2 年前と比べると 388% 増という大幅な伸びを見せています。数値に表れる成長に加えて、メンバー全員の能力を引き出すという点でも、清田さんは Slack の力を実感しています。「組織横断的なプロジェクトでさまざまな職種の人たちが専門的な知見を Slack 上で共有し合うことで、よりイノベーティブな環境が構築され、個々人の能力を最大限に引き出せるようになりました」

当初はそれほど変化に積極的ではなかった同社においても、清田さんのチームでは Slack が着実に認知され、メンバーは使い方に習熟していきました。部門を横断したメンバーが Slack に集まって気軽にコミュニケーションすることで、お互いの理解が深まり、より有意義なアドバイスをし合えるようにもなりました。その結果、チームの運営効率と生産性が高まり、全員のスキルも磨かれています。このような取り組みが経営幹部にも認められ、メンバーが「コクヨ メリハリアワード」という社内表彰も受けました。

「昨今、アジャイルとよくいわれますが、本当にそうしたいなら、Slack のようなツールを使ってまずコミュニケーションをアジャイルにするところから始めなければなりません」と清田さん。「Slack の導入を迷っている方には、『まず実験的に導入してみたらいかがでしょうか』とアドバイスしたいですね」