2 人の友人同士が雨の中、天気アプリを使っている

米国国立気象局、Slack を使ったコミュニケーションシステムで人々の命を守る

「試験導入した Slack ベースの NWSChat 2.0 を、地域で鉄砲水が発生した際に大規模に活用しました。写真を簡単に共有できるため、被害状況の把握など、現場からの報告の信頼性が増しています。プラットフォームの安定性も、気象の予報や、被害予測に基づいた判断支援をするうえで大きな要素となっています」

National Weather Serviceアラバマ州バーミングハム、Warning Coordination MeteorologistJohn DeBlock 氏

国内の気象災害や水害の危険から人々の命や資産を守ることを使命とする米国国立気象局(NWS)。中核となるメッセージサービスを Slack プラットフォームに切り替えて、関連性の高い情報、報告、データをリアルタイムで提供している点が評価され、Slack for Good 賞に選ばれました。

米国の政府機関である NWS のチームは、人々が危険に備えられるよう年中 24 時間体制で荒天に関する情報を提供しています。NWS では 2008 年以来、パートナーと連携するための重要なツールとして、独自のチャットシステム NWSChat を利用してきました。

NWSChat はもともと、現在 NWS の局長を務める Ken Graham 氏が NWS の予報官と放送局の気象予報士をリアルタイムにつなぐシステムとして試験的に導入したものです。やがて、NWS の約 2,300 名の運用スタッフと、緊急事態管理官、警察、救助隊、TV・ラジオ局など、プエルトリコやグアムを含む地域の 1 万以上のパートナーをつなぐシステムになりました。

この独自のチャットシステムでは、当初は数十人だったユーザーが、全国規模の数千人にまで増加。その結果、これまでの仕組みでは、一刻を争う緊急事態の際に予報官とパートナーが十分に信頼できるほどの柔軟性や堅牢性を確保するのが難しくなってきました。そこで NWS は、その代わりとなる信頼性の高い新しいツールを求め、2021 年秋に Slack を試験導入しました。

そして Slack は実際に、竜巻など、影響の大きい気象事象が発生した際の業務に使用されました。利用者からの反応は極めて肯定的なもので、95% の人が Slack は NWSChat の代わりとなるとし、96% の人が現行のシステムと同等かそれ以上のものであると答えました。

「鉄砲水による緊急事態が発生した際に Slack ベースの NWSChat 2.0 を使って対応したのですが、それ以来、これまでの NWS Chat のプラットフォームには戻れなくなりました。Slack はとても直感的で、多くの情報を簡単に共有できるのがいいですね」

アラバマ州ジェファーソン郡、Emergency Management OfficerMelissa Sizemore 氏

NWS は自らの使命を遂行するうえでの最適な方法として、Slack をベースとした NWSChat 2.0 を構築する選択をしました。この拡張性に優れた新しいプラットフォームにより、運用スタッフと主要なパートナーをあらゆるレベルでつなぐことができ、ユーザー需要の増加だけでなく、ソーシャルメディアアカウントとの連携、チャンネル内での協働、ビデオ通話やインスタントメッセージにも対応できます。

また、NWSChat 2.0 の重要なポイントとして、パブリッククラウドで運用されている複数のプラットフォームにわたって、堅牢なサポートを提供できる点も挙げられます。ユーザーはデスクトップでも、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器でもシステムにアクセスでき、どこにいても写真や動画を共有できます。このような柔軟性により、NWS の機動力が高まり、パートナーは現場で十分な情報に基づいた意思決定を行って、緊急情報をできる限り速やかに伝えることができます。現在、米国国立気象局の太平洋地域に導入されている NWSChat 2.0 は、今年のハリケーンシーズンまでに、国内の残りの地域の 150 か所以上の拠点に展開される予定です。

1 世紀以上にわたり、米国に住む人々を危険から守るという重要な役割を担ってきた NWS。そこで働く人たちはみな、気象災害への対応は一刻を争うことを知っています。NWS のネットワークが停止した場合でも動作し続ける NWS Chat 2.0 により、NWS の職員とそのパートナーは、命を守るための最新情報を地域社会の人々に伝え続けることができるのです。