早朝にコーヒーを買おうとして列に並んでいると想像してみてください。大事なカフェイン摂取を阻むのは 1 回の決済ですが、クレジットカード決済端末が動きません。しかも現金を持っていないとします。あなたは時間を(そしてコーヒーも!)失い、カフェも売上を失います。
そんな事態を起こさないために、オーストラリアの 32,000 社を超える中小企業にとっては Tyro が頼れる味方です。Tyro は統合型の店舗内 / オンライン決済ソリューションや、ビジネスローン、取引口座などの銀行商品を提供している、急成長中の商業銀行です。オーストラリアで 5 番目の規模を誇る加盟店契約会社であり、2019 年の決済取引高は 175 億ドル以上にのぼりました。Tyro の決済ソリューションでは顧客がすばやく確実に決済できるため、コーヒーの支払いもスムーズにできます。
オーストラリアでは非接触型電子決済を利用する人が増え、多くの企業が Tyro を信頼して利用しているため、Tyro にとってサービスを 24 時間 365 日稼働させることがきわめて重要です。Slack を利用する前は、Tyro のインシデントチームは直接会って話し合ったり、メールを使ったりして問題に当たっていました。「人がすぐ話しかけにやってくるので、いつも作業が遮られるような文化でした」と Tyro の Chief People Officer である Yvette Mandanas 氏は言います。席にいない場合は、電話やメールで連絡がきます。「でも業務時間外でメールを確認しない人がいるかもしれません」と Tyro の IT Operations Manager である Timothy Kersten 氏は言います。「Slack に比べるとスピードがはるかに遅く、とても非効率的でした」。
Kersten 氏がインシデント管理プロセスを Slack に移行した 2018 年中頃の時点で、会社の 500 人の従業員のほぼ半数にあたるエンジニアのなかで、すでに Slack を利用する動きが出ていました。「インシデントが発生したときに全員に連絡できるツールだと思いました」と Kersten 氏は言います。「メールと比べると Slack はとても簡単で、重要インシデントチームの対応のスピードに変革が起こりました」。
Slack はインシデント管理だけでなく、部門間の認識の統一にも役立ち、不確かな時代のなかでも俊敏であり続けながら、オーストラリアの中小企業に決済機能を提供する一助となっています。
「メールと比べると Slack はとても簡単で、重要インシデントチームの対応のスピードに変革が起こりました」。
チャンネルと自動化を活用して問題解決をスピードアップ
Tyro で重要インシデントへの対応を担当している Kersten 氏のチームにとって、スピードが命です。すばやく解決に至るために、チームは Slack での自動化を活用しています。「一番大事なのは時間を短縮することです」と Kersten 氏は言います。「自動化できる手順を見つけたら、労力を注いで Slack で自動化してきました」。
まず最初に、Kersten 氏のチームでは Slack スラッシュコマンドでインシデントを報告するプロセスを導入しました。会社の誰でもこのコマンドを入力して、アラートを発することができます。「インシデントを報告するのはほとんどエンジニアで、彼らはいつも Slack を使っています」と Kersten 氏は言います。「仕事で使っているところにこのトリガーを持ってくることがとても重要でした」。
インシデントが発見されると、Slack インテグレーションが作動します。PagerDuty がアラートを発行し、Zapier が専用の Slack チャンネルを作成します。このチャンネルは、チームが情報共有と共同作業を行うバーチャルスペースとなります。主な関係者がチャンネルに集められ、関係者がそのチャンネルでインシデント情報を確認し、協力しながら対応します。
インシデントチャンネルでは、チームメンバーがすばやく対応でき、情報量に圧倒されずに状況を常に見通せます。「Slack のおかげで情報を区分化して、適切なレベルの詳細度で提供できます」と Kersten 氏は言います。「インシデント管理で達成するべき目標はスピードです。対応のスピードであり、解決のスピードです。それを実現するためには Slack が欠かせません」。
このプロセスの間ずっと、解決責任者は CAN(Condition, Action, Need: 状況、アクション、必要性)報告書を作成し、インシデントの状況についての最新情報を全員に周知します。これまでは、あちこちからコピーしては貼り付ける作業を何度もする必要がありました。Kersten 氏は定型的なプロセスを自動化できる使いやすいツールであるワークフロービルダーを使って、解決責任者が Slack で記入できるフォームを作りました。「ワークフローのおかげで、インシデントの全体にわたって一貫性のある報告ができる簡潔な方法を構築でき、解決責任者全体で標準化されました」と Kersten 氏は言います。
Slack で定型的なプロセスを簡素化
Tyro のオンプレミス運用を監督している Delivery Lead の Andrew Cunningham 氏もワークフローを Slack に移行し、可視化と効率化を実現しました。チームが Tyro の本番環境に新しいデプロイやパッチをリリースすると、専用チャンネル #active_prod_changes に自動通知が表示されます。この通知で、関係者はいつ何が起こったのかを把握でき、詳しい情報が知りたいときに誰に連絡すればよいかもわかります。「チャンネルに投稿するプロセスを自動化したことで、チャンネルさえ見ればいつでも、どのような変更が行われているのか把握できます」と Cunningham 氏は言います。「チームに最新情報を伝えるために会社全体にメールを送り続けなくてすむようになりました」。
また、ワークフロービルダーを活用して、チームの「ちょっとした質問」に答えてくれる人を明確にしました。その週に質問や問題があるときに聞きに行くべき人です。それまで、ほかのチームのエンジニアはいつも誰に問い合わせれればいいのか尋ねていました。「現在では、Slack のワークフロービルダーがメンバーのリストを繰り返し処理し、毎週月曜日の朝に『ちょっとした質問』の担当者を発表しています」と Cunningham 氏は言います。
Cunningham 氏はほかにも、時間のかかっていた作業を Slack で効率化しました。監査ログの作業です。毎年、Cunningham 氏は過去 365 日間に行われたすべてのデプロイのリストをまとめています。「これまではあちこちのログを見てその情報をすべてまとめるのに 1 週間もかかっていました」と Cunningham 氏は言います。「今では Slack にアクセスして、去年の deployment チャンネルのダンプを取るだけです。それだけで 1 週間分の節約になります」。
「これまではあちこちのログを見てその情報をすべてまとめるのに 1 週間もかかっていました。今では Slack にアクセスして、去年の deployment チャンネルのダンプを取るだけです。それだけで 1 週間分の節約になります」。
Slack でリモートワークにシームレスに移行
Tyro の従業員は Slack を使いこなしていたので、新型コロナウイルスのパンデミック発生後も、仕事を順調に進められています。「Slack があってとても幸運でした」と Kersten 氏は言います。「ほかの多くの企業があわててツールをテストして見つけようとしていたなか、当社の移行は何から何までスムーズでした。プラットフォームと基盤がもうできていたからです」。
Tyro は #general チャンネルを使って、会社全体のお知らせをブロードキャストしたり、従業員の心理状態を読み取ったり、質問に答えたりしています。また、このチャンネルは従業員が質問して、全員がその答えを見ることができるプラットフォームにもなっています。「新型コロナウイルスの影響を受けてから、当社では Slack を利用して、透明性の高い明確なコミュニケーションを定期的にするようになりました。おかげで、全員に情報を周知でき、懸念を解消する助けになっています」と Mandanas 氏は言います。
いきなり会いに行く文化から Slack チャンネルに移行
Tyro ではいきなり会いに行く文化だったので、パンデミックが起こる前は、質問があるときはほかの人に直接聞きに行っていました。しかし会社がリモートワークに移行すると、そういうわけにはいかなくなりました。今では、回答を得たければ Slack チャンネルにアクセスしています。
Cunningham 氏のチームでは、#dtops チャンネルを活用して、会社全体のパートナーをサポートしています。「専用の Slack チャンネルで、今起こっている問題を周知したり、質問に答えたり、サポートを提供したりするのが簡単になりました」と Cunningham 氏は言います。「同じような問題があったほかのチームにも議論に参加してもらえるようになるとわかり、私たちがまったく関与しなくてもチームが自分で解決策を見つけることができます」。
重要インシデントチームも、これまで直接会って行っていた重要な作業の多くを Slack に移行しました。「これまでは、重要インシデントが起こった場合は対策司令室となる物理的な部屋を用意していました」と Kersten 氏は言います。「もうそんなことはできないので、Slack と Zoom に置き換わりました。今では、インシデントが起こった場合、Slack で Zoom コマンドを入力すれば、全員がそこに集まれます」。
会社全体で何が起こっているのかをチームの全員が見えるようにすることがますます必要不可欠になっています。「Slack を活用することで、メンバーは人に聞かなくても何が起こっているのか正確に知ることができ、1 か所ですべてを確認できるようになりました」と Cunningham 氏は言います。
「新型コロナウイルスの影響を受けてから、当社では Slack を利用して、透明性の高い明確なコミュニケーションを定期的にするようになりました。おかげで、全員に情報を周知でき、懸念を解消する助けになっています」。
チャンネルを活用してつながりを築く
リモートワークに移行するなかで、Tyro は自社の文化をいつも最重要に考えていました。「結束が強く積極的にかかわり合うチームを作れているのが、当社最大の強みです」と Mandanas 氏は言います。直接会ったり、チームで出かけたりすることができなくなり、従業員はつながりの場をチャンネルに求めました。
ジェンダー平等に関心がある人は、同じ考えを持つ同僚(男女を問わず)を #women-of-tyro で見つけることができます。多様性に取り組んでいる人は、#inclusion で意見やアイデアをシェアできます。#pets-of-tyro などのチャンネルでは、給湯室でしていたような気軽な雑談をバーチャルでしたい人向けに軽い話題を取り上げています。このようなチャンネルすべてが、Tyro の誇る親密なコミュニティをさらに結束が強いものにしています。
中小企業が決済処理の製品やサービスを利用するときには、スピードと確実に履行できることが重要です。Tyro は Slack を活用したことで、問題解決をスピードアップし、勢いを落とさずに、従業員がいつもつながれるようになりました。それはつまり、オーストラリアの消費者や企業にとっては、よりシームレスな購入体験が得られるようになったということです。