職場の人間関係に悩む人は少なくありません。職場に「苦手な人」がいるためにストレスが溜まり、それを理由に転職を考えることも珍しくないようです。
職場にはさまざまな人が集まっていますから、同僚や上司全員とスムーズな人間関係を築くことが難しい場合もあります。その一方で、自分とは異なる意見や見解を持つ人と話し合うことで、物事を多角的に見ることができるため、ビジネスにとってはむしろメリットになる場合もあるでしょう。しかし、実際にチームで人間関係の問題があるなら、原因を把握し、何かしらの対策をとることが求められます。「職場に苦手な人がいる」という悩みが原因で、チーム内のコミュニケーションが滞ったり、悪化したりする状況は避ける必要があるからです。
コミュニケーション方法を工夫すれば、職場にいる苦手な人は「自分にないもの」を持っている強力な仲間に変わるかもしれません。あなたのチームのメンバーが、職場の苦手な人で悩んでいる場合、まずはその相手を苦手に思う理由を具体的に掘り下げてみると、解決策が浮かび上がってくる可能性があります。
ここでは、コミュニケーションを苦手としている従業員がいる場合に、どのような対策をとるべきか、具体的な改善方法やアイデアをご紹介します。
「コミュニケーションが苦手」は特別ではない
コミュニケーションは 1 人ではなく、複数人でするものです。やりとりする相手やコミュニティの文化が変われば、同じ人でも、他人への対応は大きく変わるはずです。
厚生労働省が 2022 年 6 月に発表した「能力開発基本調査」によると、企業が自社の発展にとって最も重要と考える労働者( 50 歳以下)の能力・スキルは「チームワーク、協調性・周囲との協働力」が 55.7% 、「コミュニケーション能力・説得力」が 33.2% となっています。多くの企業がコミュニケーション能力を備えている人材は貴重だと認識しているといえるでしょう。
さらに、労働者自身が向上させたいスキルとして、「マネジメント能力・リーダーシップ」の 41.5% 、「課題解決スキル」の 34.8% 、「 IT を使いこなす一般的な知識・能力」の 34.3% に続いて、「コミュニケーション能力・説得力」が 28.1% となっています。労働者自身も企業で働く上で、コミュニケーションスキルが重要と考えているということではないでしょうか。
企業側としては、コミュニケーションに苦手意識を持つ人がいる前提で、意思疎通しやすい環境づくりをすることが重要だと考えられます。
また、自分はコミュニケーションが苦手と思っていた人も、実はチームでのコミュニケーションの在り方や職場文化に苦手意識を持っていることが原因かもしれません。
オンラインによるコミュニケーションの現状と役割
総務省情報通信政策研究所が 2020 年に発表した「令和 2 年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、ソーシャルメディアの利用時間は 20 代が最も長く、平日で 84.6 分、休日では 110.8 分です。次いで 10 代では平日が 72.3 分、休日で 85.4 分となっています。
さらに、一般社団法人日本経済団体連合会の「 2021 年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート結果 ーコロナ禍における採用活動の状況と今後の見込みー」( 2020 年 9 月 15 日)を見ると、新卒採用の際の面接でウェブ面接を導入した企業は、応募者の「細やかな表情等が把握しにくい( 83.7% )」ことをデメリットとしています。その一方で、「学生の緊張が和らいだ印象がある( 27.2% )」ことをメリットとして挙げている企業も少なくありません。
10 代や 20 代の人にとってオンラインでのコミュニケーションは当たり前で、むしろオンラインのほうが余計な緊張をせず、リラックスしやすい傾向があるようです。今後、そうしたデジタルネイティブ世代が社会の中心になるにつれて、ビジネスにおいての理想的な、また標準的なコミュニケーションの在り方自体も変化していくといえるでしょう。
コミュニケーションを苦手としている従業員を巻き込む方法
コミュニケーションを苦手としている人は少なくありません。しかし、チームで業務を進めていく上では、トラブル発生の原因となる可能性もあります。
ここでは、コミュニケーションが苦手な人を巻き込むためにチームで見直すべきことや、コミュニケーションを促すためにチームで変えていけることについてご紹介します。
オンラインでコミュニケーションのハードルを下げる
コミュニケーションが苦手な人も巻き込んだチームづくりで積極的に取り入れたいのが、オンラインでのコミュニケーションです。同じオフィスで働いていても、忙しそうにしていて話しかけづらい、打ち合わせで離席が続いているといった理由で、話すタイミングがなかなか見つからないのはよくあることです。
コミュニケーションが苦手と感じている人に、このような状況であっても、相手をなんとかつかまえて話をするという行動を期待するのは、現実的とはいえません。必要な報告や相談を、面と向かって話すのが難しい状況なら、アイデアを共有するのはもっとハードルが高く感じるでしょう。
しかし、チームでのコミュニケーション手段の中心としてオンラインツールを使えば、コミュニケーションに苦手意識があっても、必要なときに随時、報告や相談をしやすくなります。報告や相談を受ける側にとっても、時間があるときに対応できるため、双方にとってメリットがあります。
さらに、プロジェクト管理ツールを活用すれば、ステータスを変えておくだけで進捗報告のステップ自体を省くこともできます。コミュニケーションを簡単にすることが、業務効率化にもつながるのです。
職場文化が偏っていないか見直す
人は、環境によってコミュニケーションが苦手になることもあります。しかし、社風や職場文化は、その会社で働いてみるまでわからない部分が大きいでしょう。
コミュニケーションが苦手と思われている人は、職場文化に違和感を抱えていることが、コミュニケーションがうまくいかない原因かもしれません。
そうした事態を避けるためにも、まず、職場文化がメンバーにとってコミュニケーションしやすいものかを見直してみることが大切です。
職場にいる全員にとって、完璧な職場文化の実現は難しいですが、一部のメンバーを中心とした職場文化にチームの雰囲気が飲まれてしまわないようなチームづくりが求められます。
そのためには、仕事とプライベートの境界なく付き合うことを当然とするような、一部の人のためだけの職場文化にならないような配慮が必要です。
チームのコミュニケーション改善のアイデア
コミュニケーションを促す前提として大切なのは、誰に対してもフラットにコミュニケーションをとることです。これを踏まえた上で、具体的なコミュニケーションのアイデアについて見ていきましょう。
「威圧的」に感じるメンバーとはオープンな場でやりとりをする
職場での苦手な人として、威圧的なタイプを挙げる人は多いでしょう。自分の意見を一方的に押し通そうとしたり、意見が否定されると理不尽に怒ったりするような相手では、コミュニケーションもとりづらくなります。そのような相手とは、オープンにコミュニケーションできる場でやりとりしてみましょう。
例えば、関係者全員が参加するオンラインツール上でやりとりすれば、誰もがその会話を確認できるうえ、ほかの人のコミュニケーションスタイルとの違いを見える化でき、自身も相手もコミュニケーションの在り方について、気づきが得られるかもしれません。
ただし、書き言葉でのやりとりは、効率が良い反面、きつい印象を与えてしまうこともあります。適度に絵文字を使うことを普段からチームで促進しておくなど、テキストの場でもポジティブな雰囲気づくりを意識することも大切です。
「言うことが変わる」メンバーとはテキストベースのコミュニケーションを
よく言うことが変わる人も、ほかのメンバーにとって苦手な人になりがちです。「方向性や優先度がよく変わる」「相手によって言うことが違う」などの状況は、メンバーにとってストレスになるだけでなく、仕事を進める上で混乱を招きかねません。
考えや決定が変わることはあっても、それをきちんと周囲に共有し、その背景を説明できるようにしておくことは、周囲が状況を理解するために欠かせないポイントです。
言うことが変わる相手とのコミュニケーションでは、やりとりをすべて文字で残しておくことがおすすめです。いつでもそのやりとりをさかのぼって確認でき、「言った言わない」というような不毛なやりとりを未然に防げます。
テキストベースのコミュニケーションの場としては、チャットツールやプロジェクト管理ツールの活用がおすすめです。
チャットツールでは、相手との会話の記録を残せますし、チームでオープンなコミュニケーションをしていれば、相手とほかのメンバーのやりとりを見ることで、業務の進捗なども確認できます。
プロジェクト管理ツールであれば、締切日やプロジェクトのステータスなど、基本的かつ必要な情報を漏れなく把握できるようにもなります。
意見が対立しがちな状況には考え方のシフトと表現の工夫を
「あの人とは意見が合わない」と言うと、ネガティブな意味合いで使われることが多いかもしれません。しかし、多様な意見があり、多様な人材がいることはチームにさまざまな視点を与え、新しいアイデアを生みやすい状況にしてくれることでもあります。
メンバー同士の意見の対立を単にネガティブなものとして捉えている場合には、別の視点を持つよう働きかけ、そのメリットに目を向けることが大切です。
特に、ブレインストーミングの際などは、枠にとらわれない、さまざまな考えが求められます。自分と異なる意見やアイデアが出た場合には「そういう切り口もあるのだ」と捉えられるような文化をチームで育むことを意識してみましょう。
また、多様な意見をフラットに出しやすい環境を作るには、オンラインで意見やアイデアを書き込める場を作っておくのがおすすめです。打ち合わせでは発言しづらいと感じるメンバーでも、オンラインなら考えを共有しやすくなるうえ、メンバー全員の目にふれやすくなります。意見を聞く側も「誰の発言か」よりも、アイデアそのものにフォーカスして公平な判断をしやすくなるというメリットもあります。
一方で、反対意見や異なるアイデアを伝える際には、表現次第で相手を否定する印象を与えてしまうことも事実です。違う意見を言う場合には、最初に相手のアイデアで賛成できる点を伝えるなど、フェアな視点を持とうとしていることや、相手を尊重していると示すことの大切さもチームで共有することで、誰もが意見しやすい場を作ることができるのです。
このような場面で役に立つのが、コミュニケーションツールの Slack です。
Slack なら、 1 対 1 のダイレクトメッセージやグループチャットといったテキストベースのコミュニケーションが簡単に図れるほか、新しいアイデアに関する資料の添付も可能です。グローバルスタンダードのセキュリティレベルを備えているため、情報漏洩の心配もありません。|
苦手な人と感じたときは、チームのコミュニケーションの在り方を見直そう
チームでいっしょに働いているメンバーには、同じ目標を目指しているという共通点があります。チームのメンバー同士に苦手意識があると感じたら、目標を共有し直すと同時に、あらためてコミュニケーションの在り方を見直してみるのもひとつの方法です。
また、仕事以外のコミュニケーションも取り入れ、メンバー同士の気軽で友好的なつながりを保っておくことも大切です。苦手だと思っていた人の仕事以外の一面を知ることで、苦手意識が減るかもしれません。
「苦手な人」を苦手に感じる理由を分析すれば、コミュニケーションの改善方法をより具体的に考えられます。現状を把握し、的を射たコミュニケーションの工夫を重ねることが、個性豊かなメンバーが協力し合える環境づくりにつながっていくでしょう。
HOME > Slack 日本語ブログTOP > コラボレーション > 苦手な人とのコミュニケーションの改善法は?状況別のアイデアを紹介