情報共有という言葉はビジネスの現場で度々目にし、耳にします。しかし、その意味はどこか漠然としているようにも感じられないでしょうか。それは、情報共有のためのツールが多く登場し、できることが増えてきているからかもしれません。
そこで、あらためて情報共有の本来の意味やメリットを見直し、情報共有の基本について確認していきましょう。
併せて、ビジネスシーンでよく見る情報共有の失敗例をご紹介します。自社の状況と比較して、改善点を探る手助けとしてください。
情報共有とは?
ビジネスにおける情報共有とは、個々のメンバーが得た情報を、複数のメンバー間や組織間で共有・蓄積し、活用することといえるでしょう。
企業という組織内で考えても、一人の社員が収集できる情報量には限りがあります。また、情報の中にはごくささいなものもあれば重要なものもあります。しかし、どのような情報であれ、社員それぞれが持つ情報を組み合わせれば、有益な知識や知見になる可能性があるのです。一人ひとりが収集する情報を蓄積し、共有すれば、営業、マーケティング、企画立案などに活用することができます。
近年、社外の組織や人との連携・交流・情報共有によって新たなビジネスチャンスが生まれ、イノベーションが促進されるというシナジー効果が注目されています。部署内など小さなグループ内だけではなく、企業全体、さらには企業という垣根を越えた社外との情報共有も重要なテーマとなっています。
情報共有のメリット
情報共有にはどのようなメリットがあるのか、整理してみましょう。ここでは、情報共有の 7 つのメリットをご紹介します。
1. 業務効率化を実現できる
情報を各人でバラバラに所有していたり、情報が各部署に散在していたりすると、必要な情報にたどり着くまでに余計な時間や手間を費やすことになります。必要な情報には、組織内の誰もが迅速にアクセスできるのが理想です。そうなれば業務効率化が進み、生産性も向上することが期待できます。
あるいは、欲しい情報をリクエストすれば、すぐに誰かがそれを用意してくれるような企業カルチャーがあることも大きな助けになります。情報共有によって必要な情報を必要なときに活用できる状態にあることが、業務のスピードを高め、効率アップに結びつきます。
2. 組織のサイロ化、業務の属人化の防止
情報が分断されて特定の部署や人に偏って集まるようになると、組織のサイロ化や業務の属人化が生じるようになります。
サイロ化は、企業組織が縦割り構造となり、部署同士の連携がとれていない状況のことです。属人化は特定の担当者にしかわからない業務が生まれている状態のことをいいます。
組織がサイロ化、業務が属人化することで、特定の部署や人にしかわからないこと、進められない業務ができてしまうのです。いずれも、業務効率化や企業の成長の妨げとなります。
情報共有の推進は情報の円滑な流れ、行き来を作り出します。異なる組織間やメンバー間に情報が行き渡れば、組織のサイロ化や業務の属人化を防ぎ、部署間の連携が生まれ、業務の標準化も進むでしょう。
3. 業務品質の維持が可能になる
情報を共有することで、業務の品質を一定に維持することが可能です。例えば、業務マニュアルを作成して共有するとします。すると、誰でもマニュアルに沿って仕事を覚え、マニュアルを参照しながら仕事を進めることで、業務の品質が一定に維持できるようになります。
そのためには、マニュアル自体のクオリティを上げることも大事です。複数人で情報共有しながら、マニュアルを改善し続けることでクオリティアップも可能になります。
業務マニュアルの共有は業務の属人化防止にもつながり、仕事のやり方を最新のものにアップデートしていく土台にもなります。さらに、業務や業務マニュアルの内容について複数人で情報交換し話し合えるような場も作れば、より深い理解が得られるでしょう。
4. 人材育成や引き継ぎに活かせる
業務マニュアルの共有は、人材育成や業務の引き継ぎにも役立ちます。マンツーマンによる指導や引き継ぎの指示も大切ですが、その際もマニュアルがあれば、業務内容のスムーズな理解の助けとなります。
ほかに、顧客情報の共有なども同じような効果をもたらします。これまでの取引履歴などはもちろん、先方担当者のプロフィール、営業担当による所感なども含むような詳細な顧客情報が共有されていれば、新人や新しい営業担当にとって大いに参考になるはずです。
5. 情報を組み合わせられる
情報共有を進めていくと、情報の組み合わせによって新たな発見を得ることができます。異なる部署が持つ情報、あるいは自社と外部パートナーなど社外の情報とを組み合わせることで、これまでとはまったく違うアイディアが生まれることもあるでしょう。
新たな価値の創造は、これまで組み合わせたことのない情報の結合によってもたらされるともいわれます。社外との連携では、お互いが弱点としていた分野の情報を補完し合うことも可能です。そうしたことで、新しいビジネスチャンスを作り出すことができるのです。
6. ナレッジを生み出せる
情報共有が進むと、共有している情報に関して活発な議論や意見交換を進めることができるようになります。業務に関して押さえておくべきポイントやノウハウをブラッシュアップして蓄積していけば、やがてそれらは組織にとって有益で付加価値のある情報(ナレッジ)として活用できるようになります。
独自のナレッジを多く保有している企業ほど、他社との競争においても優位になることはいうまでもありません。
7. 組織力を強化できる
情報共有によって組織のサイロ化や業務の属人化を防ぎ、業務の品質を維持し、人材育成や引き継ぎに活かして新しい価値やナレッジを生み出せるようになれば、企業の組織力は確実に強化されるでしょう。
そして、社員同士が情報共有することによって仕事が容易になり、新しいアイディアを生み出せるという意識を持つこと、それ自体も組織としての力を高めてくれるはずです。
情報共有の失敗例
情報共有を行うことには多くのメリットがありますが、ただ情報を共有すれば良いというわけではありません。情報共有にはさまざまな方法がありますが、適切な方法とタイミングで行うことが重要です。
そこで、情報共有の主な失敗例を、4つご紹介します。自社の状況と比較することで、改善点を探る手助けとなるでしょう。
1. 情報の伝達範囲が限定されている
情報共有は、1つの指揮系統や部門内で完結するものではありません。情報の伝達範囲が限定されている環境下では、実は共有されるべき情報が共有されなかったことで大きなビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねないのです。また、情報の伝達範囲を限定することは、組織のサイロ化や業務の属人化を生むきっかけともなるでしょう。
社外パートナーにも同じことがいえます。他部門や社外パートナーと情報を共有することで、さまざまな情報を組み合わせ、ナレッジを生みだすことができるのです。
ただし、他部門や社外パートナーと適切に情報共有を行うには、同じ情報共有ツールを利用することが大切です。そうすることで、円滑に情報共有ができるようになります。
2. リアルタイムで共有ができていない
さまざまな業務に追われ、時間的にも精神的にも余裕がなくなってしまうと、情報共有の優先順位は下がりやすくなります。情報共有の方法がメールや口頭だと、その順位はさらに下がってしまうでしょう。
メールや口頭での情報共有は、手間も時間もかかります。メールでの情報共有は、相手の理解に合わせて状況をまとめ、文章にし、校正する作業が必要です。口頭で情報共有をするには、相手がいる場所に出向かなければなりません。
このような理由から、情報共有を後回しにすることで、情報の鮮度が落ちるだけではなく、忘れてしまったり、正しい情報を共有できなくなったりしてしまいます。適切なタイミングで適切な情報が共有されないことは、業務の属人化にもつながるでしょう。
3. 情報が整理されていない
似たようなデータが散在していると、参照する情報が人によって異なり、情報に対する認識の統一ができなくなります。部門内であろうと部門間であろうと、情報が整理されていない場合には、こうした状況が起こる可能性があります。
このような状態を放置しておくと、業務効率が下がったり、人材育成や業務の引き継ぎの妨げになったりするでしょう。
4. 上司や経営上層部との共有に時間がかかる
例えば、上司や経営上層部との情報共有を会議で行うような慣例がある場合、共有のスピードは格段に下がります。また、こうした状況は情報共有がしづらく、適切なタイミングを逃すことで、ビジネスチャンスを失うことにもつながります。
ビジネスチャンスを失い続けることで業務の品質維持ができなくなり、組織の弱体化を招くおそれもあるでしょう。
情報共有に有用なツール
情報共有を行うには、どのような手段があるのでしょうか。具体的な情報共有のためのツールを取り上げてご説明します。
ビジネスチャット
チャットによる迅速なコミュニケーションができるツールとして知られるビジネスチャットは、情報共有にも力を発揮します。
トピックやプロジェクトごとにチャンネルやグループ、スレッドを作り、情報交換、意見交換、議論を行えば、そのこと自体が情報共有につながります。チャットのログは、必要に応じて検索して参照することも可能です。
また、ファイルやドキュメントを共有する機能も利用できます。ドラッグ & ドロップでのファイル添付、もしくはファイル共有サービスにファイルを保存し、外部リンクで共有するといった方法も使えます。チャットで得た情報やナレッジを、社内 Wiki などの情報を集約できるツールに蓄積していくという方法を実践している企業もあります。
ビジネスチャットをうまく活用すれば、業務やビジネスに関するさまざまな情報を共有し、蓄積していくことができるでしょう。
ファイル共有サービス
ファイル共有サービスは、クラウドストレージにファイルをアップロードして、共有できるサービスです。現在、セキュアな環境で大容量のファイルを扱える法人向けのサービスが多数登場しています。
ファイルを共有するには、ほかにもファイルサーバーを使う、ファイル転送サービスを利用するといった方法があります。業務内容や情報共有の目的に適した方法を選ぶといいでしょう。
社内 Wiki
業務マニュアルや FAQ 、会議の議事録、社内資料など、社内のさまざまな情報を集約するツールとして利用されているのが社内 Wiki です。情報やノウハウ、ナレッジを整理して蓄積するのに適しています。
社内 Wiki には、ビジネスチャットと連携できるものもあります。情報の蓄積が進むほど、それらを社内の財産として活用することができるでしょう。
グループウェア
グループウェアは、ファイル共有や文書管理、スケジュール管理、電子会議室といった、さまざまな情報共有機能を搭載した総合的なソフトウェアです。ウェブメールや社内 SNS などの社内コミュニケーションのための機能もそろっています。
このツールもまた、ビジネスチャットなどと併用して活用することが可能です。
情報共有を効率的にできる Slack
適切な情報共有を行うためには、誰もが使いやすく、汎用性の高いツールの利用がおすすめです。 Slack なら、情報共有だけではなく、組織内のコミュニケーションを活発にすることもできます。
ここでは、 Slack を活用するメリットについてご紹介します。
状況に応じた方法で情報共有ができる
Slack は、複数人で情報共有ができるグループチャット、 1 対 1 でやりとりができるダイレクトメッセージはもちろんのこと、音声でやりとりできるハドルミーティングや顔を見ながら話せるビデオ会議といった機能を備えています。
状況に応じて情報共有の方法を選択できるため、適切なタイミングでスムーズな情報共有が可能です。
直感的で使いやすい
Slack の大きな特徴として、直感的に操作しやすいという点が挙げられます。使い方が複雑なツールを導入すると、ツールを使いこなせる従業員が限られてしまいがちです。しかし、 Slack は難しい操作は必要なく、メッセージをやりとりするために必要なアクションが少ないため、従業員のリテラシーに依存しない運用が可能です。
セキュリティが高い
Slack のセキュリティはグローバルスタンダードのため、社内資料などのファイル共有も安全に行えます。また、特定の業界における規制やセキュリティ基準も満たしているため、厳格なコンプライアンス要件が求められる業界においても導入可能です。
新たにツールを導入するにあたり、コンプライアンスやセキュリティガイドラインが障壁となるケースは少なくありません。グローバルスタンダードのセキュリティレベルを備えた Slack であれば、情報漏洩や紛失の不安を最小限に抑えてやりとりできるでしょう。
社内外の情報共有がビジネスチャンスを広げるカギに
社内の情報共有のための環境づくりは、その企業の組織力強化のベースを構築することに直結します。また、今後は社外との情報共有の重要さも、さらに増していくと考えられます。情報共有のためのツールもさまざまなものが登場しており、それらを効果的に組み合わせて活用することが求められているのです。
Slack なら、利用者の状況に合わせてスムーズな情報共有ができるだけではなく、さまざまな外部ツールと連携させることで、業務効率を上げることも可能です。
自社での情報共有にはどのようなシステムやツールが必要なのか十分に検討して、情報共有のための環境を整えていきましょう。
よくある質問
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