今やオンラインコミュニケーションは、実際に顔を合わせて行う通常のコミュニケーションと同等か、それ以上にビジネスで利用される機会が増えています。では、オンラインコミュニケーションにはどのようなメリットがあり、どのようなデメリットや課題が潜んでいるのでしょうか。
オンラインコミュニケーションに関して、ビジネスでの利用機会が増えている今こそ、把握しておきたいポイントを解説します。
オンラインコミュニケーションとは?
オンラインコミュニケーションとは、インターネットを介したコミュニケーションのことを指します。パソコン、スマートフォン、タブレットなどを端末とし、 1 対 1 、もしくは 1 対複数、複数対複数といった者同士で、情報のやりとりをします。
遠隔地にいる者同士で行うのが基本ですが、現在では同じ社内にいる人間同士でオンラインコミュニケーションを行うケースも珍しくありません。また、オンラインコミュニケーションのツールにはさまざまな種類があり、多様化してきているのが現状です。
オンラインコミュニケーションの分類
オンラインコミュニケーションは、公開型と非公開型、同期型と非同期型という分け方で分類できます。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
公開型と非公開型
公開型は組織内のメンバーであれば、基本的に誰もが見ることができるコミュニケーションです。これに対し、非公開型は一部のメンバーのみしか見ることができないコミュニケーションです。
例えば、社内 SNS は公開型、メールは非公開型のツールです。近年、急速に利用が広まっているビジネスチャットは、公開型にすることも非公開型にすることもできます。
同期型と非同期型
同期型は、自分と相手が同じ時間・タイミングでやりとりをするコミュニケーションです。電話のように、双方が時間を共有することが前提となります。一方、非同期型は、自分と相手が違う時間・タイミングでもやりとりできるコミュニケーションです。
例えば、ウェブ会議は同期型、メールは非同期型です。ビジネスチャットは同期型のようにほぼリアルタイムでやりとりすることもできますが、基本的には非同期型です。
公開型・非公開型、同期型・非同期型を合わせてマトリックスにすると、下記のようになります。
バーチャルオフィスはネット上の仮想空間に設けたオフィスのことで、主にリモートワークの普及に伴って導入され始めています。
オンラインコミュニケーションの手段
オンラインコミュニケーションは、テキストか音声で行うか、映像や音声で行うか、その手段で分けることもできます。それぞれの手段の特徴について詳しくご説明します。
テキストコミュニケーション
テキストコミュニケーションは、文章でやりとりをするコミュニケーションです。メールやビジネスチャット、社内 SNS など、テキストによるオンラインコミュニケーションはバリエーションが豊富です。
テキストコミュニケーションは、やりとりの記録がそのままテキストログとして残すことができるのが特徴です。文章を考える手間、入力する手間はかかりますが、近年は、ほとんどのツールが、スマートフォンなどでも利用できるようになったため、ある程度の手軽さも備えるようになっています。
ボイスコミュニケーション
ボイスコミュニケーションとは、音声によるコミュニケーションです。ボイスチャットやアプリによる音声通話などが該当します。
元々、ビジネスでは電話がよく使われてきたので、ボイスコミュニケーションはその延長と捉えられます。
ビデオコミュニケーション
映像と音声によるコミュニケーションがビデオコミュニケーションです。ウェブ会議ツール(オンライン会議ツール)がその代表です。
ビデオコミュニケーションは、リアルな対面コミュニケーションに近い形で表情や状況を見ながら、声でやりとりができるのが特徴です。ビデオコミュニケーションは近年、急速に普及しています。
オンラインコミュニケーションのメリット
通常のコミュニケーションと比べて、オンラインコミュニケーションにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ポイントはやはり、各種コミュニケーションの使い分けです。
例えば、日常的なコミュニケーションや報連相はビジネスチャットで行い、ミーティングが必要なときはウェブ会議を開くといったやり方で、業務効率向上を図ることができます。
ここでは、オンラインコミュニケーションを利用するメリットについて解説していきましょう。
場所を選ばないコミュニケーションが可能
オンラインコミュニケーションは、遠隔地にいる者同士のコミュニケーションを容易にします。インターネット接続環境と PC やスマートフォンなどの端末があれば、場所を選ばずやりとりができるという点は大きなメリットです。
特に強調したいのは、現在ではメールはもちろん、ビジネスチャットやウェブ会議ツールなど、さまざまな種類のコミュニケーション手段が用意されているという点です。そのため、顧客を含む取引先や外部パートナーなど、社外との商談やコミュニケーションもよくオンラインで行われるようになっています。
多様な働き方に対応できる
在宅勤務やモバイルワークなど、オフィス以外で働くリモートワーク(テレワーク)を始めとする多様な働き方に対応できるのもオンラインコミュニケーションのメリットです。働き方改革の推進にも、各種ツールが役立てられています。近年では、海外に住む外国人を雇用し、オンラインでいっしょに働くといったケースも増えています。
情報共有の徹底、合意形成の迅速化などで効率性が向上
オンラインコミュニケーションを導入すれば、コミュニケーションの活性化や情報共有の徹底が可能です。また、リアルな対面コミュニケーションや会議に比べて、 1 ヵ所に集まる時間や手間を減らすこともできます。
オンラインコミュニケーションの課題
時間も手間も節約できて、情報共有も徹底しやすいなど、オンラインコミュニケーションにはメリットが多くあります。では、オンラインコミュニケーションに課題や問題点はあるのでしょうか。一般的に指摘されているネガティブなポイントを、 3 つ挙げて紹介します。
話の意図や気持ち、微妙なニュアンスが伝わりにくい
リアルな話し合いに比べて、オンラインコミュニケーションは情報量が少なくなる傾向があるといわれています。テキストで事細かに説明を加えることもできますが、意図や気持ちを伝えるには表情や声、身振り手振りによるニュアンスも大事です。ビデオコミュニケーションであれば、それを補うことが可能なものの、モニター越しの限られたフレームの中ではやはり限界があります。
そのため、オンラインコミュニケーションでは微妙な話の行き違いや、感情的なわだかまりが生じることもあります。多くは、相手の気持ちや感情の変化がわからないままやりとりを続けた結果、誤解を与えてしまったり不快な思いをさせてしまったりするというものです。
リアルと異なり、会話のリズム・テンポがとりづらい
リアルな会話には、リズムやテンポというものがあります。その場の空気や会話の掛け合いから生まれる「ノリ」で、内容がパッと伝わるという側面も無視できません。
オンラインコミュニケーションでは、こうしたリズムやテンポが変わってしまいます。ビデオコミュニケーションでもグループでの話し合いでは発言するタイミングを図りづらいなど、リアルとの細かな違いがあり、むしろストレスが溜まってしまうようなこともあるかもしれません。
ただしこれは、オンラインコミュニケーションに慣れることで解消できる部分もあります。リアルな会話とは違うという自覚があれば、オンラインでの会話に対する違和感も少なくなっていくでしょう。
操作スキルなどによる格差が生まれる
オンラインコミュニケーションはツールを使うため、利用者の操作スキルや、ツールに対する抵抗感が問題になるケースもあります。
中には、新しいツールを十分に使いこなせないために、コミュニケーション自体が面倒に感じてしまう人もいます。一方で、ツールの操作スキルの高い人が高度な機能を使いこなすことにより、コミュニケーションにおいて優位な立場に立つこともあるかもしれません。
こうした事態を発生させないためにも、ツール導入時に操作や機能について十分なラーニングの機会を設けるなどしていく必要があります。
オンラインコミュニケーションのコツ
オンラインコミュニケーションとリアルなコミュニケーションは、周囲の人とコミュニケーションをとるという意味では大きな違いはありません。オンラインコミュニケーションのメリットと課題を踏まえて、オンラインでコミュニケーションをする際のコツについて見てみましょう。
オンラインならでの言い回しや伝え方に配慮する
基本的にテキストコミュニケーションでは、要点をわかりやすく簡潔に伝えることが推奨されます。そのほうが、お互いの時間を消費せずにすむからです。
一方で、事務的な文章が続くと、感情を排したような冷たい印象になってしまうことがあります。
ビジネスチャットはよく、メールと違って冒頭の定型的な挨拶文が必要なく、効率的で端的なコミュニケーションができるといわれます。ただ、それでもときには「お疲れさまです」などの文章を添えたほうが、印象が良くなる場面もあります。特に、議論をする場合は、自分の文章がどのような印象を与えるのかを意識しながら、冷たく強い言い回しになっていないか、考えながら文を作るべきです。
絵文字やスタンプを適度に使用する
テキストコミュニケーションにニュアンスをつけ加えたり、ソフトな印象にしたりするためには、絵文字やスタンプを使うのも効果的です。
ビジネスチャットはメールとは異なり、絵文字で反応を返す方法はごく一般的に活用されています。時と場合にもよりますが、事務的な文章が続きそうなときなどに、適度に活用してみましょう。
アジェンダやファシリテーションを活用する
ビデオコミュニケーションによる会議を開くときは、アジェンダやファシリテーションを活用するのが有効です。アジェンダは会議の目的と目標、議題の順序と時間などの項目を定めた進行プランのこと。ファシリテーションは会議を円滑に進めるためにサポートする技法のことで、会議の流れをまとめたり、進行を促したりするファシリテーターを決めて行うのが一般的です。
ビデオコミュニケーションでは沈黙が多い、結論や成果が曖昧なまま終わる、議論が脇道にそれやすいといったときには、これらの方法を活用してみましょう。
コミュニケーションを盛り上げる工夫も必要
ツールの操作スキルなどによる格差が生じているときは、スキルの高い人が率先してコミュニケーションしやすい空気を作る工夫をするといいでしょう。時には、相手のレベルに合わせながら操作方法を丁寧に教える、あるいは雑談を取り入れながら堅苦しくない雰囲気を作ることも必要です。
オンラインコミュニケーションでは、「今さらこんなことを聞くのは恥ずかしい」といった感情がわいて、発言を控える人がいます。参加者同士で何でも発言しやすい空気感を作り上げるのは、最も重要なポイントといえます。
オンラインコミュニケーションを上手に活用しよう
オンラインコミュニケーションには多くのメリットがある一方、十分活用するには課題について知り、解決法を探ることが求められます。
それぞれのツールの短所を補うために、複数のツールを組み合わせるのも有効です。自社の課題を洗い出してみて、オンラインコミュニケーションの有効活用を進めていきましょう。
よくある質問
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