変革

鍵は「ハイブリッド」: 柔軟な働き方のための新たな戦略が明らかに

Future Forum による「リモートでの従業員体験レポート」第 4 四半期の結果を発表

執筆者 : Brian Elliott, VP of Future Forum2021年1月28日

世界的なパンデミックの発生から 1 年が経ちました。この間にわかってきたことは、勤務地や時間帯を柔軟に選ぶフレキシブルな働き方が想像していたよりもよく、生産性も高まるということです。これはもうほぼ誰もが認めることでしょう。ナレッジワーカー(知識労働者)がパンデミック収束後も柔軟な働き方を続けたいと考えていることはデータからも明らかです。また多くの企業が分散型や非同期型の働き方をすばやく取り入れ、今後新たな世界を勝ち抜くための戦略作りを進めています。

Future Forum による「リモートでの従業員体験レポート」第 2 版のデータでは、従業員のリモートワークに対する認識が変わりつつあることが見えてきました。これはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、オーストラリアのナレッジワーカー(知識労働者)のデータをもとにしています。調査では、次の 5 つを軸にデータを追っています。

  • 生産性 : タスクを効率的に実行しながら質の高い仕事をする能力
  • ワークライフバランス : 仕事とプライベートの間で優先順位を切り替えられる柔軟性
  • 仕事のストレスや不安への対処 : 日々の仕事から受けるプレッシャーや不安に対処する能力
  • 帰属意識 : ナレッジワーカーがチームのメンバーに受け入れられ評価されていると感じているかを表す尺度
  • 勤務環境に対する満足度 : リモートワーク体験を支えるインフラやサポートの捉え方

2020 年の第 3 四半期と第 4 四半期の結果を比べるとこうなりました。

2020 年、第 3、第 4 四半期の比較

注意 : スコアの最高点は +100 点、最低点は -100 点です。スコアが高いほどリモートワークの満足度がオフィスでの勤務より高いことを示し、スコアが低いほど満足度が低いことを示しています。詳細については、本文下部の「調査方法」を参照してください。

柔軟でハイブリッドな働き方が依然人気

項目によって差はあるものの、ナレッジワーカーはオフィスでの勤務よりリモートワークにより満足している状態が続いています(+10.9)。そのため、大半がオフィスでの週 5 勤務に戻りたいとは考えていません(83%)。

  • 63% がリモートワークとオフィス勤務を組み合わせた柔軟なハイブリッドな働き方を好み、20% がフルタイムのリモートワークを希望。フルタイムのオフィス勤務に戻りたい人は 17%
  • 第 3 四半期と比較すると、ハイブリッドな働き方を好む割合は下がり、完全リモートあるいはオフィス勤務を望む傾向がわずかに増加(第 3 四半期では、72% がハイブリッドな働き方を、16% がフルタイムのリモートワークを、さらに 12% がフルタイムのオフィス勤務を望むと回答)。

ハイブリッドな働き方またはフルタイムのリモートワークを好む人に注目すると、若手や在籍期間の短い人にその傾向が強いようです。

  • 在籍期間が 3 か月~1 年の従業員の 81% がハイブリッドまたはフルタイムのリモートワークを希望する一方、在籍期間が 2 年~5 年の従業員では 58% にとどまる
  • 25 歳~34 歳の 82% がハイブリッドまたはフルタイムのリモートワークを希望する一方、55 歳~ 64 歳では 75%

今回のデータからは、リモートワークをポジティブな体験にし、ハイブリッドな働き方を長期的に望ましいモデルにする鍵は柔軟性だということが見えてきました。柔軟性は従業員体験のさまざまな面に影響します。それはワークライフバランスというカテゴリーだけにとどまりません。柔軟なスケジュールで働くことのできる人は、そうでない人に比べていくつかの項目で高いスコアをつけました。例えば、ストレスや不安(+12.8 vs. +8.1)、勤務環境に対する満足度(+15.7 vs. +10.8)、生産性(+11.6 vs. +8.1)などです。

コロナ禍でも生産性は安定

ナレッジワーカーはパソコンと高速 Wi-Fi さえあれば仕事ができるため、パンデミックのなかでもほかの職種に比べて生産性を保ちやすいと言えます。それでも今回のレポートで、パンデミックが続くなかでもリモートワーカーの生産性が第 3 四半期から向上したことは注目すべきことです。リモートワーカーにはオフィスワーカーと比べて次のような傾向があります。

  • 達成した仕事量に満足している(リモートワーカー 61% vs. オフィスワーカー 53%)
  • 仕事の量が適正だと感じる(62% vs. 51%)
  • 仕事で燃え尽きたと感じることが少ない(27% vs. 33%)

また従業員が働く場所だけでなく、時間も柔軟に決められることが生産性に特に影響することも見えてきました。

  • 勤務地が柔軟な企業で働く人は、そうでない企業で働く人に比べて生産性のスコアが 43% 高い(+11.6 vs. +8.1)
  • 勤務時間が柔軟な企業で働く人は、そうでない企業で働く人に比べて生産性のスコアが 53% 高い(+11.5 vs. +7.5)

一方、注目すべきポイントが 1 つあります。小規模チーム(1 ~ 6 人のメンバー)のリモートマネージャーは、大規模チーム(15 人以上のメンバー)のリモートマネージャーに比べて、自分の仕事量に対する満足感が低いことがわかったのです。

  • 大規模チームのマネージャーの 67% が「週に達成した仕事量に満足している」と回答した一方、小規模チームのマネージャーでは 57%
  • 小規模チームのマネージャーは、チームが健康で幸せでいることや、チームの方向性を揃えることをより重視する
  • 大規模チームのマネージャーは、チームの生産性を保ち、目標達成に向けた進捗を把握することをより重視する

大規模チームのリーダーは、プロセスやコラボレーションツールへの投資から大きなメリットが得られるでしょう。一方で、中間管理職は見える範囲が限られているうえ横のつながりが形式的なものにとどまるため、依然として窮屈な状態です。リーダーが決定事項を組織のあらゆるレベルにしっかり伝え、次世代の有望なリーダーのマネジメントをサポートする余地はまだまだありそうです。

オフィスがなくても育つ帰属意識

メンバー同士のつながりや絆は、あらゆる組織の成功を支える基盤です。そういう意味で、今回のレポートの「帰属意識」のスコアはとても勇気づけられるものでした。第 3 四半期のレポートではマイナス(-5.0)だったのが、第 4 四半期のレポートではプラス(+1.1)に転じたのです。

データからは、多くの組織がリモートファーストの世界でチームの結束を強めるために必要な投資を行っていることがわかります。調査ではほぼ半数(46%)が、自分の会社やチームが「リモートで仕事をするようになってから、コラボレーションの方法を意図的に変えた」と回答しました。 これらの企業で働く人には、次のような傾向があります。

  • リモートワークをする人は、オフィスで働く人よりも強い帰属意識を持つ傾向が 27% 高い
  • 「自社に帰属していると感じる」と回答したリモートワーカー(58%)は、オフィスワーカー(55.4%)と比べてわずかに多い

新しいテクノロジーへの投資も重要な要素です。「帰属意識」について見ると、自社の雇用主がテクノロジーのリーダーであると考える人のスコアは、テクノロジーに関して後れをとっていると考える人に比べて非常に高いことがわかりました(+11.8 vs. -4.1)。さらに、両者の溝はますます大きくなっています。後れをとっている企業の従業員は、第 3 四半期と比べて帰属意識のスコアが下がった(-4.4)だけでなく、ワークライフバランス(-13.8)と生産性(-2.6)も低下しました。

ポジティブさの裏に潜む「燃え尽き」のサイン

パンデミックが 2 年目に入った今、データからはナレッジワーカーが柔軟な働き方を好むことがわかる一方で、負担を感じていることもまた見えています。実際、ワークライフバランス(-9.2)、ストレスや不安(-6.2)、勤務環境に対する満足度(-6.0)のスコアが大幅に低下しており、雇用主は早急に手を打つ必要があるでしょう。

仕事のストレスや不安

「明るく元気に過ごしている」(34%)、「落ち着いてリラックスしている」(36%)、「十分な睡眠をとり朝はリフレッシュできている」(32%)と回答した人は約 3 分の 1 にとどまっており、いずれも第 3 四半期のレポートから減少傾向にあります。

ストレスが増えている原因の 1 つが、生産性を発揮することへのプレッシャーです。リモートワーカーの 3 分の 1(33%)が、自分の仕事ぶりをマネージャーにわかってもらうためのプレッシャーを感じています。一方、同じようなプレッシャーを感じるオフィスワーカーは 22% しかいません。

勤務環境に対する満足度

この項目では、特定の層でスコアが大幅に低下しました。例えば子供のいる人のスコアは +14.4 から +8.9 に低下しています。世界中で学校が再開したあと再び休校となったのに伴い、9 時 5 時で働く親が家で子供の勉強をみなければならず、そのストレスが非常に大きくなっています。

ワークライフバランス

ほぼ半数(49%)のリモートワーカーが、無駄な会議に時間をかけすぎていると感じているのに対し、オフィスで働く人ではわずか 37% です。またリモートワーカー(39%)はオフィスワーカー(31%)に比べて、毎日の労働時間が長いと感じる傾向があります。

投資のほかにリーダーが取り組むべきこと

この 1 年間、多くの企業のリーダーがオフィスに代わる新しいプロセスへの投資を進めてきました。その取り組みはテクノロジーの導入から帰属意識を高める施策まで多岐にわたりますが、その成果が出始めています。

リモートワークが普及して 2 年目に入った今、もっと柔軟な働き方を取り入れることで従業員の負担を減らせるでしょう。非同期的に仕事を進めたり、成果をはかる基準を変えてみたりするというのもその一例です。

私たちはこれらの要素をさらに掘り下げ、リモートワークへの転換がさまざまなグループに与える影響を 2 月に調査する予定です。この調査は複数の国や地域で行い、働きながら子育てする人や歴史的に不利な立場に置かれたグループへの影響も明らかにします。でも現時点のデータからはっきり言えることが 1 つあります。従業員がポジティブに働くために企業ができることのうち、一番重要なのは柔軟性を備えているということです。

調査方法

「リモートでの従業員体験レポート」は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、オーストラリアの「熟練したオフィスワーカー」である 9,032 人のナレッジワーカーに対する調査のデータに基づいています。調査対象者のうち、主にリモートで働く 3,480 人に対して、働き方の体験を構成する 5 つの要素に対する認識を分析しています。この調査は、Slack の委託により、サードパーティのオンライン調査会社である GlobalWebIndex を通して 2020 年 11 月 25 日から 12 月 30 日にかけて実施されました。結果には業種や人口にもとづいてウェイトをつけています。

回答者にはこれらの要素について、オフィスで働いていた頃と比べて「とてもよくなった」から「とても悪くなった」までの 5 段階でスコアをつけてもらいました。中間は「オフィスで働いていた頃と変わらない」です。 合計スコアの最高点は +100 点です。これはリモートナレッジワーカーの全員がすべての要素で「とてもよくなった」と感じているということです。中間は 0 点で、実質的に何も変わらなかったことになります。-100 点は在宅勤務によっていずれの要素でも「とても悪くなった」と感じていることを示します。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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