業務を滞りなく進めていくには、適切なスケジュール管理が必要です。スケジュール管理と聞くと、従業員ごとの課題というイメージがあるかもしれません。しかし、組織全体として改善すべき課題も少なからず潜んでいるものです。
今回は、組織レベルで適切にスケジュール管理を行うメリットや改善ポイントについて解説します。スケジュール管理に役立つ具体的な取り組みもご紹介しますので、ぜひ自社の課題把握と改善に役立ててください。
従業員がスケジュール管理をできない理由
始めに、従業員が立てられたスケジュールを遵守できないケースを考えてみましょう。従業員のスケジュール管理が適切にできない主な理由として、次の 4 点が挙げられます。
タスクを正しく把握していない
取り組むべき業務の中にどのようなタスクがあるのかが把握できていなければ、適切なスケジュール管理ができません。最終的な到達目標だけでなく、そこに至るまでのプロセスを細分化し、タスクに落とし込んでおく必要があります。しかし、タスクは従業員各自の頭の中にあるだけでは、把握できているとはいえません。タスクの一覧を書き出し、全体を俯瞰できる状態にしておくことが重要です。
業務の優先順位を正しくつけていない
業務の優先順位が正しくつけられていない点も、スケジュール管理が適切にできない原因のひとつです。重要度や緊急度が高いタスクから順に取り組めば、業務全体が滞りなく進んでいきます。優先順位が混乱していると、新たに入ってきた仕事や目の前にある仕事から取り組んでしまい、重要なタスクが放置されがちです。
スケジュールが適切ではない
そもそもスケジュール自体が適切でない可能性もあります。例えば、タスクごとに必要な時間を正しく見積もられていなかったり、タスクをこなす段取りが間違っていたりすると、スケジュールどおりに進めているにもかかわらず、仕事が滞るという事態に陥りがちです。スケジュールを策定する立場の従業員が実務に精通していなかったり、自身が担当外の業務に関心が薄かったりすると、このような事態が生じやすくなります。
周囲とコミュニケーションがとれていない
業務スケジュールは作成自体が目的ではなく、適切に進捗管理していくことで真価を発揮します。進捗管理をするには、どのタスクがいつ完了したのか、現状でどのタスクが未完の状態になっているかを把握しなくてはなりません。周囲とコミュニケーションが十分にとれていないと、進捗状況の実態が把握できなくなりスケジュール管理に失敗がちです。
スケジュール管理ができない企業・部署の共通点
次に、企業・部署単位で捉えた場合の、スケジュール管理ができない理由を探っていきましょう。企業・部署単位でスケジュール管理がうまくいかない組織の共通点は、具体的に次の 5 点が挙げられます。
スケジュールの共有を重要視していない
スケジュールを社内・部署内で共有し、随時管理していく重要性を十分に認識していない可能性があります。業務の進捗管理を個々の担当者任せにしていると、組織全体としての業務の実態を把握できません。スケジュール管理は従業員各自が行うだけでなく、情報を共有して組織単位で取り組むべき課題だと認識しましょう。
スケジュールを共有する方法がない
スケジュールを共有したくても、そのための適切な手段が用意されていない可能性もあります。このような状況では、スケジュールに遅れが生じていても感知できず、事態が深刻化してから気づくケースもあります。進捗状況は常に変化しているので、現状をリアルタイムで把握するための共有方法を確立しておくと良いでしょ。
スケジュールの共有範囲が限定されている
スケジュールの共有範囲が一部の従業員に限られており、情報に偏りが生じている場合も考えられます。例えば、チームリーダーや管理職だけが進行会議などに参加していて状況を把握しているが、現場の担当者は各自の業務に追われて全体のスケジュールを把握していないといったパターンが典型的です。全体のスケジュールに遅れが生じている兆候が表れていても、気づくのが遅れる原因となりやすい状況といえます。
情報共有のルールが決まっていない
担当者各自の進捗状況を報告するタイミングや報告手段が決まっていないケースも、スケジュール管理ができない組織に共通する特徴です。進捗状況を口頭で報告する従業員もいれば、日報に記載するだけの従業員もいるなど、スケジュールに関する情報が集約しにくい状況となり、管理がしにくくなってしまいます。スケジュール管理に必要な情報に到達するまでに時間と労力を費やし、適切なスケジュール管理ができなくなってしまうのです。
プロジェクトのリーダーや上司がチームメンバーのスキルを正しく把握していない
業務を割り振る立場の人材が各メンバーのスキルを正確に把握していないと、特定の従業員に業務が集中したり、スキルに見合わない過大な業務を与えたりする原因となります。ほかの担当業務との兼ね合いや各自の処理能力を鑑みて、適切に業務を割り振ることはスケジュール管理を適切に行ううえで重要な要素です。メンバー各自の得意・不得意やスキルレベルが把握できているか、今一度振り返っておく必要があるでしょう。
スケジュール管理ができないデメリット
スケジュール管理に失敗すれば、問題が生じます。では、スケジュール管理が適切にできていないと、具体的にどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
業務効率や生産性が下がる
スケジュール管理ができていないと特定の時期に作業が集中し、業務の負担が必要以上に重くなりがちです。結果的に残業時間が増え、従業員の精神的・時間的なゆとりがなくなる原因になります。その結果、業務効率や生産性が下がり、組織のポテンシャルを活かしきれない原因にもなるでしょう。さらに、従業員のモチベーションやエンゲージメントが低下しやすく、退職者が増加する理由にもなります。
トラブルや失敗が増える
スケジュール管理が曖昧な状況が続くと、タスクの漏れ・重複や未着手のタスクが放置される原因となり、トラブルや失敗が増えます。最悪のケースでは、最終的な納期を守れない・業務が完遂できないといった事態にも発展しかねません。作業の手戻りや修正など、無駄な業務が発生しやすく、従業員が疲弊する原因にもなるでしょう。トラブルや失敗を回避するためにも、スケジュール管理を適切に行うことは重要な意味を持っているのです。
スケジュール管理をできるようにするためのポイント
スケジュール管理ができない原因を解消し、適切に実施していくにはどのような点を意識すれば良いのでしょうか。適切なスケジュール管理を行うためのポイントについて解説します。
タスクを可視化する
取り組むべきタスクを漏れなく書き出し、可視化するのは、スケジュール管理を行ううえで必須といえます。担当者や管理者の頭の中にだけスケジュールが存在しているのであれば、すべてのタスクを書き出して一覧化しておきましょう。進捗管理表やガントチャートを活用し、視覚的にわかりやすくまとめておくことが大切です。
タスクの進捗を可視化する
スケジュールは作成して終わりではなく、作業が始まってから進捗管理を随時行っていくことが大切です。タスクの進捗状況を色分けするなどして可視化し、ひと目で確認できるようにしておく必要があります。進捗状況は随時更新し、現状が把握できる状態にしておきましょう。現状を把握するための報告手段や、各担当者へのヒアリング方法も確立します。
フォローがしやすい環境を作る
実際の業務は、必ずしもスケジュールどおりに進むとは限りません。タスクの遅れやミスが発生した際に放置するのではなく、お互いにフォローし合える環境を整えていくことも大切です。上司から部下へのフォローはもちろんですが、従業員同士や部署同士の連携を図っていく必要があります。また、各自の担当業務にだけ目を向けるのではなく、全体のスケジュールを意識してもらうための情報共有を促進するのも重要なポイントです。
ビジネスツールを導入する
スケジュール管理や情報共有に役立つビジネスツールの導入も、スケジュール管理を改善するための有効な方法といえます。各種ツールには進捗管理や情報共有に必要な要素が備わっているため、ツールに合わせてスケジュールを立てていけば、基本的な管理方法を確立できるのです。また、情報の偏りや断絶を防ぎ、誰もがアクセスしやすい環境を整える意味でも、ビジネスツールの導入は効果的な対策といえるでしょう。
スケジュール管理に役立つビジネスツール
続いては、スケジュール管理に役立つビジネスツールを、用途別にご紹介します。複数のツールを並行して利用したり、ツール同士を連携させたりすると、いっそう効果を高めることも可能です。
プロジェクトやタスクを管理するツール
プロジェクトやタスクを管理できるビジネスツールには、さまざまなものがあります。ガントチャートを活用したり、クラウドで共有できるツールを活用したりすることで、スケジュールの共有化にも役立つでしょう。
プロジェクトやタスクを管理するための代表的なツールは、下記のとおりです。
スケジュール共有・連携ツール
スケジュール管理に役立つビジネスツールには、スケジュールを共有するだけでなく、ほかのツールと連携してリマインドなどを通知してくれるツールもあります。代表的なものとして、 Google カレンダーが挙げられます。タスクの漏れや未着手を防ぎ、期日を遵守した進行管理がしやすくなるでしょう。チームや部署内で共有アカウントを作成すれば、スケジュールを常に共有するのに役立ちます。
コミュニケーションツール
タスクの進捗状況や完了状況を報告するうえで、こまめにコミュニケーションをとっていくことは非常に重要です。ビジネスチャットとしても知られる Slack など、チャットツールを活用すれば、コミュニケーションのハードルを下げ、タイムリーなやりとりがしやすくなります。進捗状況の報告手段をチャットに統一できれば、一覧性・保管性・検索性が高まるので、情報の散逸を防ぐ意味でも効果的です。
Slack を活用してスケジュール管理を簡単に
Slack には、スケジュール管理を適切に行うための機能が備わっています。一例として、次の機能を活用すれば、スケジュール管理方法の改善に役立てられるでしょう。
To-Do リストの作成ができる
Slack 上で To-Do リストを作成し、共有できます。メンバーが自分の確認用に To-Do リストを用意するだけでなく、チーム内で共有すれば、各自がやるべきタスクが一覧化されるのです。
作成した To-Do リストはピン留めできるため、必要な時期に To-Do リストがヘッダーに表示されます。これで、メンバーが常にやるべき作業を意識して業務を進めやすくなるでしょう。
外部のサービスと連携ができる
Slack は、スケジュール管理に役立つさまざまなツールと連携可能です。 Asana や Trello 、Google カレンダーといった外部サービスと連携すれば、チャットから各種ツールへとダイレクトにアクセスできます。外部サービスを活用すれば、スケジュールの一元管理がしやすくなり、必要な情報に素早くアクセスするための環境を整えることができるのです。
正しくスケジュール管理をして業務効率を上げよう
個人レベルだけでなく組織レベルで正しくスケジュール管理をしていくことは、業務効率を高めるうえで重要な要素といえます。今回ご紹介してきたポイントを参考に、自社で取り組めるスケジュール管理方法の改善を模索してみてください。
スケジュール管理の精度が向上することで業務の質や従業員のパフォーマンスも向上し、改善の効果を十分に実感できるはずです。
よくある質問
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