編集者注 : 私たちは顧客データの保護に真剣に取り組んでいます。セキュリティとプライバシーの保護に配慮した Slack AI の構築方法をご覧ください。
現代の仕事環境には、従業員同士がお互いの考えを伝えるためのツールや方法が無数にあります。ただ、それらすべてを把握しきれず、情報がサイロ化してしまうと、大きな代償を払うことになります。実際に Gartner のレポートでは、デジタルワーカーの 47% は必要な情報を見つけるのに苦労しており、32% の従業員が認識不足から誤った判断を下したことがあると報告されています。
そのような状況に対応するために、Slack は本日より、Slack AI の提供を開始します。安全で信頼性が高く、直感的に利用できる AI によって、皆さまの日々の仕事を新しい次元へと導きます。まずは第一段階として、以下のような生成 AI を用いた基本的な機能をリリースします。
- 質問に対してパーソナライズされた回答を提示する、回答の検索
- アクセス可能なチャンネルから要点をまとめたハイライトを生成する、チャンネルの要約
- 長い会話でもクリックひとつで状況を把握できる、スレッドの要約
必要な時に必要なことを AI が教えてくれるこれらの Slack ネイティブの新機能は、特別なトレーニングなしで簡単に使用できます。また、安全で信頼できる Slack のインフラ上に構築されているため、自社のデータを完全に管理できます。
あらゆることに AI が利用されようとしている今、Slack が他と一線を画しているのは、ユーザーの皆さまが長い時間をかけてプラットフォーム上で同僚とともに積み重ねてきた情報の履歴を活用できることです。10 年前にローンチされた Slack は、あらゆるプロジェクト、データ、会話のハブとなり、働く人々がナレッジを共有して最高の仕事ができるよう設計されました。そして今、Slack AI により、必要な情報がすぐに見つかるようになることで、これまでに社内に蓄積されてきた独自の情報から、さらに多くの価値を引き出せるようになります。
パイロット運用中に内部で行った分析から、SpotOn、Uber、Anthropic といったユーザー企業では、Slack AI を使って回答を検索し、ナレッジを抽出し、アイデアを発想することで、ユーザー 1 人あたり毎週平均で 97 分の時間を節約できることがわかりました。以下では、Slack の新しい AI が、どのように働く人の集中力を高め、仕事の生産性向上に役立つのかを 5 つのポイントで説明します。
「この 10 年間、Slack は人、アプリ、システムを 1 つの場所にまとめることで、働き方に革命を起こしてきました。その変革を次のレベルに引き上げるのが Slack AI です。新しい AI 機能により、ユーザーは Slack 内の集合知にアクセスして、よりスマートに働き、より速く行動を起こせるようになります。真のイノベーションと成長をもたらす仕事に、より多くの時間を使えるようになるのです。生成 AI の時代において、Slack は信頼性の高い会話型のプラットフォームとして、ビジネスのあらゆる部分をつなぎ、チームの生産性向上に貢献していきます」
パーソナライズされた検索結果がすぐに
大規模な組織でとくに力を発揮するのが「回答の検索」機能です。質問に対して個別にカスタマイズされた回答がすぐに得られるため、貴重な時間を費やしてさまざまな検索結果を精査する必要がなくなります。
AI を活用したこの検索機能により、パーソナライズされた明確で簡潔な回答が得られ、関連する Slack メッセージも直接確認できます。たとえば、新しいプロジェクトについて知りたい時にこの検索を利用すれば、プロジェクトの目標や主な関係者をすばやく把握できるでしょう。検索結果は、社内で公開されている会話、およびユーザー本人の会話の内容に基づいて提示されます。
検索語をあれこれ試行錯誤する必要はありません。自分が何を探しているのか正確にわからない時でも、AI がスマートな提案をしてくれます。物知りの親切な同僚に尋ねるように、ただ会話的に質問すれば OK です。
回答の検索は、次のような場面で役立ちます。
- 新しいプロジェクトやマーケティングキャンペーンについて知る
- 案件の承認手続きなど、会社で定められたプロセスを把握する
- エンジニアリングのインシデントを解決するために社内のエキスパートを探す
- 過去の決定についての情報を履歴から探す
- 聞きなじみのない略語の意味を知る
「Slack AI は生産性を大幅に向上させるのはもちろん、すでに仕事の場になっている Slack 内で簡単に使えることもポイントです。私たちのチームでは、すばやく回答が見つかる機能が好評です。それは意思決定のスピードアップや、有意義な仕事により集中することにつながります」
チャンネルとスレッドから要点を抽出
長い時間をかけて未読のメッセージを確認している時に、この中から重要なエッセンスだけを抜き出すことができたら……と思ったことはありませんか?
チャンネルの要約を使えば、どのチャンネルからでも、クリックするだけでハイライトを生成して、重要な内容だけをすぐに確認できます。未読のメッセージの内容をキャッチアップする、過去 7 日間のやり取りをまとめる、日付範囲を指定して調べる、などの使い方が可能で、物事の状況をすばやく把握できます。
チャンネルの要約では、活発に動いているチャンネル内で、情報を探し回る手間を省けます。一方、スレッドの要約を使えば、一連の長い会話の要点をクリックひとつで表示できます。引用元もわかりやすく提示されるため、そこからさらに掘り下げた情報にあたることも簡単です。
これらの強力な機能を組み合わせることで、会話の中から重要な内容が浮かび上がります。たとえば、ある営業プロジェクトに新しいメンバーが参加する場合、それまでの経緯がよくわからないことがあるでしょう。チャンネルの要約を使えば、取引先専用チャンネルの要点を簡単につかんで、ミーティングに向けて効果的に準備を整えられます。
また、エンジニアリングのインシデントに対応する場合なら、AI 検索で適切なエキスパートをすばやく見つけた後、スレッドの要約を利用して、その人に状況を簡潔に伝えられます。時間をかけて会話の経緯を細かく確認する必要はありません。
会話の要約は、次のような場面で役立ちます。
- 仕事を離れていた期間の状況をキャッチアップする
- 新規プロジェクトへの参加時に経緯をすばやく把握する
- 営業の取引先別チャンネルで顧客に関する最新情報を入手する
- インシデント対応チャンネルから根本原因分析をまとめる
- デザインへのフィードバックを集めたチャンネルから要点を抽出する
「パイロットプログラムを通じて、生産性を大きく高める Slack AI の可能性を身をもって体験しました。Slack AI は従業員の仕事のスピードを飛躍的に向上させてくれます」
データは自社でコントロール
Slack と Salesforce が最も重視しているのは信頼です。ユーザー企業の皆さまからは、AI ツールの導入にあたってはセキュリティが何よりも重要であるとの声を、繰り返しいただいています。そのため Slack は、安全で倫理的な、責任ある AI サービスの構築に尽力しています。
Slack がユーザー企業の皆さまのデータを、大規模言語モデル(LLM)プロバイダと共有したり、LLM のトレーニングに使用したりすることはありません。Slack AI は Slack のインフラストラクチャで実行され、Slack 本体と同様のセキュリティプラクティスとコンプライアンス基準に対応しています。また、Slack の LLM は直接 Slack 内にホストされ、皆さまのデータが外部に出ることはありません。
私たちは、仕事のための安全なコミュニケーションプラットフォームであるという Slack のプロダクトバリューを Slack AI の設計にも反映し、あらゆる側面で皆さまからの信頼を得られるよう取り組んでいます。
「Slack AI は、社内のナレッジを Slack で最大限に活用するのに役立ちます。それをすでに確立されたセキュリティ、プライバシー、コンプライアンス管理のもとで行えるのです」
お気に入りの AI ツールを Slack と連携
利用できる AI は、Slack にネイティブに組み込まれているものだけではありません。AI を活用した仕事を行う場所として、Slack を利用する動きもみられています。実際、ユーザー企業によって構築された Slack 用の社内向け AI カスタムアプリは 13,400 件を超えています。また、スタートアップから大企業までを含む Slack のパートナーエコシステムでも Slack アプリへの AI の導入が進んでいます。
たとえば、以下のような AI アプリを利用できます。
- PagerDuty : PagerDuty Copilot を Slack と連携させることで、インサイトを浮かび上がらせ、復旧方法を提案し、チームのインシデント対応を効率化します。
- Notion : Slack でリンクが共有されると、Notion AI による要約が即座に表示され、ドキュメントや Wiki の情報を会話に取り込めます。
- Perplexity : 購読したトピックの最新情報が自動的に Slack に取り込まれるため、それをチャンネルで共有して、チームのディスカッションを活性化できます。
「Perplexity は、最先端の LLM を応用して、即座にナレッジにアクセスできる次世代の回答エンジンを構築しています。そしてこのたび Perplexity Push により、エンタープライズ向けのインテグレーションとして、AI で得られたインサイトを Slack に直接取り込めるようになります。すでにチームで会話やコラボレーションを行っている場所で、関心あるトピックについての最新情報が常に得られるようになるのです」
AI の活用は始まったばかり
大量の情報から必要なものをすばやく見つけ、その意味を理解すること。それが Slack の価値をさらに引き出すための鍵になります。そのため私たちは、AI を使った検索と要約の機能を開発しました。ただ、これは序章に過ぎません。皆さまにさらなる価値を提供できるよう、私たちはイノベーションを続けていきます。
今後、さらなる機能が登場を待っています。たとえば、常に注目するほどではないものの主な情報は押さえておきたいチャンネルについて、Slack AI でハイライトをまとめたダイジェストを作成できるようになる予定です。見逃しがちな情報を Slack AI で簡単にチェックできるようになれば、優先度の高い仕事にさらに時間と集中力を振り向けられるようになるでしょう。ユーザーはチャンネルを指定するだけで、あとは Slack AI がその要約をまとめてくれます。
また、Slack は、Salesforce CRM 向けの新しい会話型 AI アシスタントである Einstein Copilot とのネイティブ AI インテグレーションも開発中です。信頼できる顧客データに基づいた回答を Slack 内から直接得られるようになれば、業務のスピードがさらに上がるでしょう。
Slack が人、データ、アプリケーションのすべてをシームレスにつなぎ、インサイトとアクションを結びつけ、仕事のための AI を活用した会話型インターフェイスとなることを私たちは構想しています。手間のかかる作業を Slack の AI に任せ、より有意義な仕事に集中できるようになることで、皆さまの働き方がよりシンプルに、快適に、生産的になるよう取り組みを進めていきます。
Slack AI の利用を始める
Slack AI は、Enterprise プランの有料アドオンとして、本日より英語での提供を開始します。その他のプランや言語もまもなくサポートされる予定です。
営業担当者へのお問い合わせ、または待機リストへのご登録について、Slack AI にアクセスしてください。その他のプランや言語での利用が可能になった際には、すぐにお知らせいたします。