Salesforce は Agentforce の一般提供を開始したことを発表しました。Agentforce は、企業が営業、カスタマーサービス、マーケティング、IT、財務、コマースなど、あらゆるビジネス分野で、自律型の AI エージェントを構築・展開できるプラットフォームです。
Agentforce のエージェントは、データやインサイトを取得するだけではありません。完全にカスタマイズ可能な自律型の AI 機能により、企業のさまざまなデータに接続して、ユーザーに代わってアクションを実行します。また、高度な推論能力をもとに意思決定を行い、顧客の問題解決や、見込み客の評価、マーケティングキャンペーンの最適化といったタスクも遂行できます。
すでに Adecco Group、BACA Systems、OpenTable、Saks Fifth Avenue、Wiley などの企業が Agentforce Service Agent を試験的に導入。その結果、顧客に対してより迅速かつパーソナライズされた対応が可能になり、ビジネス全体の効率化がみられています。例えば、Wiley では、エージェントを利用することで問題解決率が 40% 以上向上しています。
私たちは未来の働き方に向かって全力で進んでいます。それはエージェントが、今の私たちには想像できないようなことも含めた、あらゆるビジネスニーズに応えていく世界です。エージェントが活躍するのに、Slack ほどふさわしい場所はありません。今や Slack は、人、アプリ、データ、そしてエージェントの間での相互運用を実現するプラットフォームになっています。
Slack で AI エージェントを利用することで生産性がさらに高まる
Slack は 10 年以上にわたって、人、プロジェクト、アプリ、データをまとめて仕事を前に進めるビジネスの基本システムとして多くの組織に利用され、従業員の生産性を最大 47% 向上させてきました。そして今 Agentforce により、インテリジェントなエージェントが強力なチームメンバーとして加わります。
Slack で AI エージェントが利用可能となることで、いまだかつてないほどの規模で従業員の生産性が飛躍する可能性があります。エージェントが日々の仕事や役割を支援し、やがて私たちに代わって検索やコラボレーションをしたり、アクションを起こしてくれたりようになるかもしれません。
従業員がエージェントを利用する場所として Slack が最適である理由を 3 つご紹介します。
1. Slack 内の会話の文脈を活用することで、エージェントがさらにインテリジェントになる
人間とエージェントは異なる存在ですが、ある 1 つの基本的なことが共通しています。それはどちらも会話を通して知性を高めるという点です。
Slack では毎日 7 億件以上のメッセージが送信されています。単体のアプリやシステムのデータだけでなく、チームでの会話のような非構造化データを含めたシステム全体のデータにアクセスできれば、AI は最大限に効果を発揮できます。AI が高品質で関連性の高い出力を提供し、新しい動きにリアルタイムで対応していくには、このような文脈のある会話データが不可欠です。
ユーザー生成コンテンツ、自然言語のテキスト、音声・動画のファイルなど、これまで使われてこなかった非構造化データを活用することで、AI エージェントの推論や意思決定の能力が高まり、より適切な対応が可能になります。具体的には、Slack 内のエージェントに対し、ユーザーが組織の Slack インスタンス内にあるパブリックの会話データへのアクセス権を与えることで、エージェントの精度と能力が高まります。ただ、皆さまのデータは決して Slack のプロダクトではありません。Slack 内でエージェントがどのデータにアクセスできるかは、ユーザーの皆さまがコントロールできます。また、Slack は大規模言語モデル(LLM)のトレーニングにユーザーのデータを使用することはありません。代わりに、非構造化会話データに対して高度な検索拡張生成(RAG)手法を用い、必要な背景情報を必要な時のみエージェントに提供します。
新メンバーの導入研修は、すぐれた活用事例のひとつです。新しく入ったメンバーは、組織についての知識が十分でないために、力を発揮するまでに時間がかかることがあります。そこで役立つのが、Agentforce エージェントの Ember です。Ember は、新規メンバーが人脈を築き、重要な情報を集めるのを支援するようトレーニングされています。
以下のデモでは、オーディエンスのセグメンテーション計画を立てようとしている Ben に対し、チームメンバーの Sara が、自分がやった時にうまくいった手法を伝えています。そして同じくチームメンバーの Bryan が、AI エージェントの Ember に、その手法をチームで学ぶのに役立つ資料がないか尋ねています。
エージェントの Ember は会話の文脈を理解し、Slack 内の非構造化データから情報を引き出すことができます。ここでも、この先予定されているイベントへの招待、マーケティング関係者の連絡先、ディスカッション用の Slack チャンネルを含めた、的確な回答を返しています。
2. Slack 上でエージェントと力を合わせて働ける
他の AI アプリにログインする必要はもうありません。Slack にエージェントを組み込むことで、チームは今行っている仕事の流れのなかで、同僚と連携するのと同じように AI エージェントとともに働くことができます。現在、Slack Marketplace には 2,600 以上のエンタープライズアプリが掲載されています。Slack は従業員に向けてアプリを展開するのに適したプラットフォームです。実際に大企業の 94% がエンタープライズアプリを Slack に展開して、従業員が利用できるようにしています。
Slack 上で、エージェントは人間のチームメンバーと同じように表示され、同じように関わり合えます。エージェントがどのようなスキルを持っているか、どのようなアクションが可能かといった情報も確認でき、他のメンバーと同じようにメンションしたり、チャンネルや DM に招いたりも可能。エージェントディレクトリとして、Slack 内で利用できるすべてのエージェントを一覧表示することもできます。
使い方の例として、Dreamforce では、営業チームが RFP エージェントに相談することで、営業サイクルを短縮する方法をご紹介しました。以下では、Salesforce の CRM に接続された Slack チャンネルである Salesforce チャンネルを使って、新規開拓営業(BDR)チームがコラボレーションする方法を説明しています。チームがこのチャンネルで Salesforce の商談を直接作成すると、RFP エージェントは、新しい商談についてチームに通知するだけでなく、適切な関係者グループの特定と招待、競合他社の調査、過去の成約率に基づいた価格戦略の策定といったアクションも実行してくれます。このように Slack で Agentforce を利用することで、営業担当者は管理業務の負担を減らし、顧客との関係づくりや案件の成約に注力できるようになります。
3. エージェントが Slack のアクションを実行してくれる
canvas を作成する、プロジェクト用のリストを用意する、新しいチャンネルを立ち上げる……Agentforce を利用すれば、AI エージェントがこのような Slack 固有のアクションを実行できるようになります。従業員が Slack で行うのと同じことをエージェントが自律的に行えるようになるとは、つまり労働力が大幅に増えるということです。組織の生産性が高まり、従業員はより価値の高いタスクに集中できるようになります。
例えば、Slack における Agentforce のパーソナルアシスタントは、仕事の内容や、一緒に働いている人、優先事項といった背景情報を把握して、ユーザーを支援します。
以下のデモで紹介されているのは、チームミーティングを終えたばかりの営業マネージャーの例です。彼女は、見込み客に関するミーティングで得た情報を自分のチームに伝える必要があります。そこで Slack で「(月曜日に)エグゼクティブサマリーを作成し、火曜日にチームで提案書をレビューする時間を確保する、というリマインダーを作成して」というダイレクトメッセージを Agentforce に送ります。エージェントは、このタスクを彼女の ToDo リストに追加し、チームへのミーティングの招待を作成して、エグゼクティブサマリーのテンプレートを用意します。このすべてが数秒で完了します。
Slack は人間とエージェントが力を合わせて働く場所
人間とあらゆるエージェントが安全な方法で協力し、お互いをカバーし合い、働く人が最も重要な仕事に専念できる――そんな未来を Slack は築いていきます。
Agentforce を Slack で利用する方法について、詳しくは担当者にお問い合わせいただくか、Salesforce+ にて Agentforce に関する情報をご覧ください。