社内コミュニケーションが活発な職場と活発でない職場の、どちらが良いかと問われたら、おそらく多くの人は「活発なほうが良い」と答えるでしょう。コミュニケーションが活発に行われている職場は、働きやすいイメージがあるはずです。
では、なぜ社内コミュニケーションが重要なのか、活発だと「どのようなメリットがあるのか?」と聞かれても、明確に答えるのは簡単ではないかもしれません。
今回は、社内コミュニケーションの重要性とメリットについて解説します。社内コミュニケーションを活発化するための具体的な方策についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
社内コミュニケーションとは?
コミュニケーションの意味は「意思疎通」です。人と人が言葉や文字を通じて情報を伝え合うだけでなく、言葉のトーンや表情、しぐさなども含めて感情が伝わります。
また、企業内で行われるコミュニケーションは、社内コミュニケーションと呼ばれます。従業員同士がお互いに情報を伝え合い、知識やノウハウを社内のリソースとして蓄積していく手段と表現してもいいでしょう。社内コミュニケーションを円滑に図りやすい環境は、情報の伝達や知識・ノウハウの共有化を促進するうえで重要なポイントといえます。
しかし、社内コミュニケーションの重要性を認識しつつも、コミュニケーションが円滑に図れていないと感じている経営者が少なくないのが実情です。
社内コミュニケーションが滞る理由
社内コミュニケーションが滞ってしまう背景には、さまざまな理由があります。原因は 1 つだけとは限らないため、どこに原因があるのかを探っていくことが大切です。社内コミュニケーションが滞る原因となりやすい要素として、次の 4 つが挙げられます。
従業員と経営陣が接する機会がない・少ない
社内コミュニケーションは、立場が異なる場合に滞りやすい傾向があります。企業内でいえば、従業員と経営陣といった立場の違いが、社内コミュニケーションを阻害する要因となりがちです。従業員と経営陣が日頃からコミュニケーションをとる機会があまり設けられていなかったりすると、お互いの考えや意見がわからない・理解できないと感じやすくなります。
異なるチームや部署間の情報共有がなされていない・不足している
異なるチームや部署間での情報共有が不足していると、コミュニケーションが滞る原因となりえます。例えば、ある部署内ではごく普通に成立している会話でも、別の部署では同じ説明では理解されず、噛み砕いて説明するケースが想定できるでしょう。
口頭での指示が多い
業務中に上司から部下への口頭での指示が多い場合、一見するとコミュニケーションが図られているように思えます。しかし、口頭で伝えた内容はその場限りのものとなり、たとえ有益な情報やノウハウであっても全体に共有化されません。
結果的に有益な情報を受け取る従業員とそうでない従業員の差が広がり、不満を抱えたりする原因になります。
コミュニケーションツールの使い方に問題がある
社内コミュニケーションを活発化させるために、すでにコミュニケーション系のツールを導入している企業もあります。しかし、ツールの使い方によっては、十分な効果が得られているとは言い難いケースがあるのです。
例えば、ツールの運用方法がシェアされていなければ、有効活用できている従業員とそうでない従業員が出てきます。コミュニケーションツールをどのような場面で、どのように活用するのか、運用面をしっかりと検討しておきましょう。
社内コミュニケーションはなぜ重要?
社内コミュニケーションを活発化することは、なぜ企業経営において重要な課題のひとつとなりうるのでしょうか。社内コミュニケーションの重要性をまとめるとすれば、次の 3 点に集約されます。
情報共有の迅速化
日頃からコミュニケーションが活発な職場には、情報がスムーズに伝達されやすい素地があります。お互いが気軽に考えを述べ合い、話し合える雰囲気があれば、異なる部署や事業所間の連携も図りやすい傾向があるのです。
また、業務に関する質問や相談がしやすく、疑問点を残さずに仕事を進められるでしょう。このように、社内コミュニケーションが活発化すれば情報共有が迅速になり、情報がしっかり浸透しやすくなるのです。
業務へのモチベーション維持
社内コミュニケーションが活発な職場は、従業員が各自の考えやアイデアを積極的に発信しやすい傾向があります。各自が担当業務に創意工夫を凝らし、より良い仕事の進め方を主体的に考えていく雰囲気が醸成されやすいのです。
また、コミュニケーションが十分に図られていれば、従業員の特徴や性格が把握しやすくなり、人員を適材適所に配置しやすくなります。結果的に成果を出しやすい環境が作られますし、従業員が業務へのモチベーションを維持できるのです。
リモートワーク環境への対応
近年では、リモートワーク(テレワーク)を導入する企業も増えています。オフィスで顔を合わせて仕事をする場合と比べると、リモートワーク環境下ではお互いが仕事をしている様子が見えにくくなるでしょう。管理者にとって業務の進捗状況がわかりにくくなりますし、部下にとっては業務に関する質問がしにくくなるなど、コミュニケーションに時間と労力がかかる傾向があります。
コミュニケーションコストが増大しやすいリモート環境に対応するためにも、社内コミュニケーションを活発化しておくことが重要なポイントとなっているのです。
社内コミュニケーションを活発にする 7 つのメリット
社内コミュニケ−ションを活発にすると、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。社内コミュニケーションの活発化がもたらす 7 つのメリットについて見ていきましょう。
情報共有が活発になる
社内コミュニケーションを図るハードルが下がるので、やりとりされる情報量が多くなり、共有・蓄積される情報が増えていきます。特定の担当者だけが把握しているような情報比率が下がっていき、組織全体で活用できる情報が多くなるのです。異動者や新規採用者が部署やチーム内での仕事の進め方に慣れるまでの期間も短縮され、人材育成コストの削減にもつながります。
コミュニケーションが日常的に図られている組織では、各自が情報を発信する動きも活性化していきます。従業員同士が自発的に FAQ を作成して情報共有を促進したり、マニュアルを充実させたりする動きも出てくるでしょう。情報共有がますます盛んになり、従業員にとっていっそう働きやすい環境が整備されていくのです。
生産性が向上する
社内コミュニケーションが活発な組織では、各自が疑問を解消するための時間や手間が短縮されます。業務で不明点が出てきた場合は、周囲の従業員へ気軽に質問できるでしょう。そのため、業務が滞ったり、思い違いによるミスが発生したりするリスクを下げられます。
小さな疑問を解決するプロセスに要する時間は、わずかなものかもしれません。しかし、小さな問題解決が年単位で積み上がっていくと、組織全体の生産性に大きな影響を及ぼすことも十分にあるのです。社内コミュニケ−ションを活発にすれば、組織としての生産性を向上させる効果が期待できます。
従業員のモチベーションが向上する
社内でのコミュニケーションに対する心理的な負担感が軽減されれば、従業員のストレスが大きく緩和されるでしょう。各自が意見を表明しやすく尊重される風土が築かれれば、従業員にとって自分の担当する仕事をコントロールしやすくなります。自身が関わる業務に当事者意識を持ち、責任を持って遂行する従業員が自然と増えていくはずです。
こうした仕事への取り組み方は、従業員のモチベーションに大きく影響します。社内コミュニケーションの活発化は、従業員のモチベーションを高い状態で維持するうえで重要な要素といえるのです。
離職率が低下し、ノウハウの共有や蓄積が促進する
社内コミュニケーションが活発な職場は、従業員にとって居心地が良く働きやすい環境といえます。職場の人間関係や上司との関係性を理由に退職を希望する従業員が減り、離職率を低下させる効果が期待できるのです。
社員の定着度が高まれば、業務の効率化や生産性向上がいっそう図りやすくなります。ノウハウの共有や蓄積も促進されるので、業務の質が向上していくでしょう。社内コミュニケーションの活発化は人材の定着を促すだけでなく、共有される情報の質と量を改善する効果をもたらすのです。
企業のポリシーや方針が共有されやすい
社内コミュニケーションが活発になっていくと、立場や役職を超えたコミュニケーションもとりやすくなり、企業としてのポリシーや方針を共有することで浸透しやすくなるというメリットがあります。
経営理念や事業方針は、ともすればトップダウンで一方的に伝えられがちです。しかし、「伝えた」と「伝わった」との間には大きな隔たりがあります。経営陣と現場の従業員が双方向のやりとりを交わす中で相互理解を深め、理念や方針を自分事として捉えられるのです。
社内コミュニケーションの活発化は、企業のポリシーや方針を隅々まで浸透させるうえで重要な要素といえます。
顧客の満足度が向上しやすい
顧客満足度を高めるには、顧客のニーズをきめ細かく把握する必要があります。しかし、社内コミュニケーションが不十分な状態では担当者にのみ情報が集約し、有益な情報が共有されない場合も少なくありません。結果的に、顧客のニーズが見えにくくなってしまう可能性があるのです。
社内コミュニケーションが活発になれば、従業員がそれぞれ感じ取っている顧客ニーズをシェアしやすくなります。顧客のニーズがわかれば、改善案を持ち寄り、より良いサービスの提供に向けて知恵を結集しやすくなるでしょう。結果的に顧客の満足度も向上しやすくなり、企業に対する社会的評価も高まっていく可能性があります。
企業ブランドが向上する
企業ブランドを確立するには、企業としての一体感や統一感を打ち出していくことが不可欠ですが、小手先の施策で形成できるものではありません。実際に従業員が自社を正しく理解し、高いレベルで共通理解が図られていなければ、本当の意味での企業ブランドは確立できないでしょう。
社内コミュニケーションの活発化は、企業ブランドの向上にも通じるテーマです。従業員がブランドコンセプトを共有し、同じ目標に向かって事業を成長させていかなければ、強力な企業ブランドを確立するのは難しいといえます。
社内コミュニケーションを活発にする方法
社内コミュニケーションを活発にするには、どのような方法があるのでしょうか。続いては、従業員同士がコミュニケーションを図りやすい環境を整えるための具体的な施策をご紹介します。
フリーアドレス制の導入
従業員の席を特定の場所に限定せず、各自が好きな場所で作業できるワークスタイルが「フリーアドレス制」です。
オフィスの座席が固定されていると、日々顔を合わせる相手や会話を交わす相手が固定されやすくなります。また、管理職と一般社員が座席の位置によって区別されているため、意識するかしないかにかかわらず上下関係が生まれやすく、コミュニケーションの壁を生む原因となりがちです。
フリーアドレス制にすると、所属部署や役職によって席が固定されなくなり、社内のさまざまな場所でコミュニケーションが活発化します。日によって近くで作業している顔ぶれが異なるので、偶発的な会話が生まれやすいワークスタイルといえるでしょう。
フリースペースの設置
社内コミュニケーションを活発にするために、用途を限定しないフリースペースを社内に設ける方法もおすすめです。所属部署や役職にかかわらず自由に活用できるスペースとすることで、フラットなコミュニケーションが生まれやすくなります。飲み物の持ち込みや提供ができる仕組みにすれば、お茶やコーヒーを飲みながらリラックスして会話を交わせるでしょう。
また、フリースペースは、「リフレッシュスペース」としても利用できるようにすることをおすすめします。業務内外を問わず活用できるスペースとして位置付け、ミーティングから雑談まで気軽に活用してもらうのです。オンとオフの区別が曖昧な空間をあえて設けることで、立場を意識しない自然な会話を促せます。
社内イベントやサークル・部活の実施
業務を離れて交流できる社内イベントやサークル・部活を企画することも、社内コミュニケーションを促すうえで有効な方法です。社内イベントと聞くと懇親会や社員旅行をイメージしがちですが、スポーツやゲームなどを通じて交流を深める方法もあります。従業員がお互いに仕事とは異なる一面を発見する機会となり、コミュニケーションが活発化するでしょう。
サークルや部活は共通の趣味や特技を持つ従業員が集まるので、業務以外のつながりが生まれやすいという特徴があります。年齢や役職を超えて参加者を募れば、よりフラットな関係性を築きやすくなるのです。また、業務上の関わりがない従業員とも関係性を築けるため、後々仕事で関わる際に人間関係が築きやすくなります。
社内報の発行
社内の近況や従業員紹介などを掲載する刊行物を定期的に制作するのも、社内コミュニケーションを活発にする方法のひとつです。冊子として制作する以外にも、イントラネット上や社内 SNS 上で公開したり、動画やメルマガで配信したりできます。
従業員数が多い企業では、部門が異なる従業員を知る機会が少ないケースもあります。同じ企業に就業しているにもかかわらず、どの部門にどのような人がいるのか知らないと、部門間でのコミュニケーションは芽生えません。
そこで、社内報などで定期的に社内の様子を発信していけば、従業員同士が顔と名前を一致させていくきっかけとなります。従業員がお互いの存在を認知し、コミュニケーションへの興味関心を維持するうえでも効果的な方法といえるでしょう。
社員食堂の設置
従業員がランチや夕食に活用できる食堂を用意すると、コミュニケーションの活発化に寄与します。厨房などの設備を新たに設けなくても、配達弁当サービスや常駐型社食サービスを利用すれば初期投資を抑えた社員食堂を実現可能です。
食事をとりながら会話を交わすことは、自然なコミュニケーションを促すうえで有効な方法のひとつといわれています。社員食堂であれば、社外の飲食店などを利用する場合と比べて、偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなり、業務を離れた交流の場として認知されていく可能性が高いでしょう。
また、社員食堂は福利厚生の一環としても魅力的な従業員サービスとなります。人材採用時に社員食堂の有無が自社のアピールポイントとなるケースも多いため、採用活動を強化する意味でも導入を検討してみてはいかがでしょうか。
1 on 1 の実施
上司と部下とのコミュニケーションを活発化する方法として、二人だけで話す時間を設ける 1 on 1 の実施が挙げられます。 1 on 1 では、業務の報告や指示にとどまらず、仕事で悩んでいることや困っていること、今後挑戦してみたいことなど、自由度の高い発言でも許容される場として設けるべきです。
1 on 1 では上司が部下を「指導」するのではなく、コーチングに徹します。上司からアドバイスをしても、業務上の指示ではなく部下自身が課題に気づき、みずから解決策を導き出せるようにしましょう。
なお、社内コミュニケーションの活発化につながる 1 on 1 にするには、従業員の能力を引き出すという目的を上司・部下の双方に周知しておく必要があります。ただの雑談や説教の場にならないよう、目的の周知徹底を図ることが大切です。
コミュニケーションツールの活用と利用の統一
チャットツールやウェブ会議ツールを、社内コミュニケーションに役立てるのも有効な方法といえます。オフィス内の特定の部門内でのコミュニケーションに限らず、リモートワークの実施時や社外とのコミュニケーションにも活用できるのです。
社内コミュニケーションが阻害される原因の中には、「連絡をとるタイミングがつかめない」「相手にとって迷惑ではないかと感じる」なども含まれています。チャットやウェブ会議であれば気軽に連絡をとり合えるので、コミュニケーションに対する心理的なハードルを下げるための施策として効果的です。
ただし、複数のツールを導入する場合は、使用目的などのルールを決めておく必要があります。各ツールを利用するシーンや目的を明確にし、従業員が目的に合わせて活用できる環境を整えましょう。
Slack なら社内も社外もコミュニケーションが活発に
社内コミュニケーションを促す環境を整えていくうえで、チャットツールの導入を検討している事業者の方も多いでしょう。チャットツールを新たに導入するなら、ビジネスチャットとしても知られる Slack の活用がおすすめです。社内外を問わずコミュニケーションの活発化に役立つ Slack の主な機能をご紹介します。
ダイレクトチャットとグループチャット
Slack には 1 対 1 でメッセージをやりとりできる「ダイレクトメッセージ」と、グループ参加者とメッセージを共有できる「グループチャット」があります。グループチャットを活用すれば、チームや部門内でのコミュニケーションを促せるのです。
グループチャットではメンション機能を利用すれば、どのメンバー宛に届けたいメッセージなのかを明示できます。基本的に 1 対 1 での会話のみ可能な電話とは異なり、グループ内で交わされている会話を参加者全員が閲覧可能です。情報の偏りを防ぎ、メンバーが取り残されにくい形でコミュニケーションを図れます。
ハドルミーティングやビデオ会議
Slack では、チャット以外にもハドルミーティングやビデオ会議機能を活用すれば、「声が聞こえる」「顔が見える」コミュニケーションも可能です。リモートワーク環境下でも、スムーズにコミュニケーションを図れます。
ハドルミーティングは、必要に応じてすぐに開始できる音声ファーストのコミュニケーション方法です。チャットから相手を選択するだけでハドルミーティングを開始できるため、オフィスでのちょっとした会話を Slack 上で再現できます。
また、ビデオ会議機能は Slack 上でそのまま開始できるだけでなく、ほかのウェブ会議ツールと連携して利用することも可能です。チャットのやりとりの中で顔を見て話す必要があると感じた場合や、資料などを画面共有しながら話したい場合に活用するといいでしょう。
セキュリティレベルが高いのでファイル共有や情報共有も安心
Slack ではグローバル基準のセキュリティレベルを採用しているため、ファイル共有や情報共有も安心して行えます。国際標準化機関である ISO/IEC による認証をはじめ、国際的なセキュリティおよびデータプライバシー基準を満たしているのが特徴です。
チャットツールを導入するにあたって、セキュリティガイドラインなどコンプライアンス要件が気がかりなケースもあるでしょう。 Slack の強固なセキュリティレベルであれば安全に情報のやりとりができ、コンプライアンス要件を満たした導入が可能となります。
社内コミュニケーションを活発にして生産性を向上させよう
社内コミュニケーションは情報共有の迅速化をはじめ、従業員のストレス軽減や企業ブランド向上など、数多くの経営課題と紐付いている重要な施策のひとつといえます。社内コミュニケーションを活発化することで生産性が向上し、さまざまな経営課題を解決へと導く糸口が見つかるきっかけとなるでしょう。
今回解説してきた施策のポイントを参考に、ぜひ社内コミュニケーションを活発化するための具体的な対策を講じてみてください。生産性の向上や業務の質の改善を実感する瞬間が、必ず訪れるはずです。
よくある質問
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