食品や日用品をオンラインで買うことは、手を消毒するのと同じくらい一般的になりました。でも前からこうだったわけではありません。アメリカではコロナ禍で買い物の仕方が変わりました。実際、即日配送サービスの Shipt ではパンデミックが始まって最初の数か月で、注文が約 3 倍まで増えました。「需要を満たすためには、アジリティ(俊敏性)と柔軟性を発揮してすばやく対応しなければいけないとわかっていました」と、同社 CEO の Kelly Caruso 氏は CNBC で語っています。
その言葉どおり、Shipt ではほんの数週間のうちに非接触デリバリーサービスを開始。また「Shipt ショッパー」と呼ばれる買い物代行スタッフに個人用保護具を配布し、高まる需要に対応できるようショッパーのネットワークを拡大しました。この成長の中心にあったのが、安全なチャンネルベースのメッセージプラットフォームの Slack です。
Shipt が Slack を使い始めたのは 2014 年のことです。その後 2017 年になって、サービスのユーザーやショッパー、小売店からなる複雑なエコシステムをうまく回すために本格的に Slack を活用し始めました。サービス提供地域が 5,000 都市にまで拡大し、その数がますます増えているなか、それに合わせて Slack の活用も広がっています。
- 従業員が 1 日にやり取りする Slack メッセージは約 10 万件
- Shipt の Slack 利用者の 78% は、Google ドライブ、Zapier、Polly などの Slack アプリとインテグレーションを利用
- プロセスを効率化するために設計された自動化ツールであるワークフロービルダーを利用して 100 件ものワークフローを作成し、500 人を超える従業員がそのいずれかを Slack で使用しています。Shipt のワークフローは各部門のニーズに合わせてカスタム構築されています。
「Slack が会社全体、そして私自身やチームにもたらした価値はどれだけ言っても大げさではありません」と話すのは、Shipt で Senior Director of IT を務める Chayse Porter 氏です。「Slack がなければここまで来られなかったでしょう。これまではあまり大きくない問題でも、受け付けてから対応完了まで 3 時間かかっていました。今は Slack で 30 分で終わります」。
「Slack で管理タスクを効率化したことで回答時間を大幅に短縮でき、高い成果をすばやく出せるようになりました。さらに、重要な問題に集中できるようにもなったのです」
Slack を使ってユーザー、ショッパー、小売店に質の高いサポートをすばやく提供
Shipt の Director of Customer Service である Brian Malone 氏は、ユーザー、ショッパー、小売店向けのサポートを提供する Experience Team(通称「X チーム」)を率いています。Malone 氏のチームは 2020 年のパンデミックの間に 85% も拡大しました。このチームでは、電話やオンラインチャット、メールの形で寄せられるサポートリクエストに次々と対応しています。
ショッパーからのよくある質問は、注文の処理エラーや、注文をキャンセルしないといけない場合の手続きなどです。またユーザーからは、請求に関する問い合わせが来ることもあります。Malone 氏のチームでは、Slack チャンネルにあらゆるメッセージやデジタルツール、ファイルを集めることで、社内ナレッジにさっとアクセスできる状態にしているほか、社内のエキスパートをすぐに見つけて質問できるようにしています。こうすることでサポート担当者はリクエストにすばやく対応できるのです。
「コミュニケーションの観点で、Slack はチームに欠かせません」と、Malone 氏は話します。「Slack チャンネルは、回答を探したりスーパーバイザーとやり取りしたりするためのナレッジベースとなっています。それは KPI の達成にも役立っているんです」。
また X チームではチャンネルでサポートのリクエスト記録を自動化しているのですが、それがサポート担当者にとって学びの機会にもつながっています。例えば #x-team
チャンネルでは、サポート担当者が社内のエキスパートに、特定のリクエストに応える方法を尋ねることができます。サポート担当者が対応に悩む場合は、さっとリクエストにフラグを立ててスーパーバイザーにヘルプを求めます。
「重要なサポートのリクエストがチャンネルに自動で記録されるため、サポートの品質管理を強化できるうえ、スーパーバイザーも内容を把握できます」と、Malone 氏は続けます。「こうした見える化によって、スーパーバイザーはコーチングが必要なサービス担当者を見つけることができ、それによって担当者はレベルアップする機会を得られるようになりました」。
X チームではほかにもこんなチャンネルを活用しています。
#x-team-comms
(X チームのコミュニケーション): 休憩や会議時間、スケジュールを調整するチャンネル#x-team-announcements
(X チームのアナウンス): 重要な変更やイベント、プロセスに関する最新情報を共有したり、チームメンバーを公式に称えたりするチャンネル
さらに X チームでは、#member-feedback
(メンバーのフィードバック)でインサイトを積極的に集めて、ユーザーからのフィードバックに対応しています。例えば、あるユーザーの Shipt 体験に対するネットプロモータースコア(NPS)が特定のしきい値よりも低い場合、#nps-closeloop
(NPS 対応)のチャンネルでは ZapierとSlack とのインテグレーションを通して X チームに通知します。Shipt はそれを受けて、次回は優れた体験を提供できるよう、そのユーザーの協力を得てスコアを上げる取り組みを行います。その後、X チームのサポート担当者はリアク字 ✅ を使って対応が終了したことをチームに共有します。
「Slack のおかげで、サポートチームは重要な情報にすばやくアクセス・共有できるため、仕事を効率よく進められるようになりました。担当者はユーザーやショッパー、小売店からのリクエストにすばやく対応できています」
さまざまな部門の専門知識を活用して、ショッパーのスムーズな体験を実現
Shipt の利用者が増えたことで、ショッパーのオペレーションを担当するチームも規模を広げる必要に迫られました。 Shopper Operations Lead である Jake Shackelford 氏とそのチームは、ショッパーのオペレーションをスムーズかつ効率的にする業務を担当しています。実店舗でのスタッフも含めたショッパーが抱える問題の解決をサポートするほか、ショッパー向けプログラムの状況を把握するためにフィードバックも集めます。
パンデミック前は、問題が起こればチームはさっと集まって直接対応を話し合うことができました。しかし全員がリモートワークに移行すると、メンバー間にナレッジのギャップがあることが浮き彫りになったのです。そこで Shackelford 氏は Google スプレッドシートのデータを丁寧にまとめ、Slack でワークフロービルダーを使って Successor というウェルカムボットを作成しました。このカスタムアプリは、利用できるリソースの概要を提供することでメンバーが必要な情報を得られるようサポートします。また、よくある質問に対してチームが Slack 上で直接回答することもできます。さらに問題解決のために、社内のエキスパートをリアルタイムで巻き込むことも可能です。
「ショッパーのフィードバックにできるだけ速やかに対応するために、Slack を使って製品や市場オペレーションを担当する部門などさまざまなチームを巻き込んでいます」と、 Shackelford 氏は説明します。質問に対応できる部門がほかにある場合、Shackelford 氏のチームがそれに対応する絵文字を追加すると、Successor ボットが自動的にユーザーをタグづけして、適切なチームとチャンネルにリダイレクトします。「ワークフロービルダーで作成したこのボットを使うことで、時間を大幅に節約できるようになりました」。
「Slack のメリットのなかでも特に大きいのは、ショッパーのサポートニーズの対応にかかる時間を短縮できたことです。Slack で節約できた時間は計り知れません」
Slack コネクトで小売店と安全に連携し、有意義なパートナーシップを加速
Shipt の Vice President of Partner Success である Kit Naramore 氏は、120 を超える小売店とのパートナーシップを管理しています。提携する小売店の数は 2019 年から 50% も増えました。Naramore 氏が率いる 18 人のチームは、Target、Costco、H-E-B、Petco、CVS などの小売店との共同事業計画や四半期レビューなどを推進しています。
一部の小売店は Slack コネクトを使って Shipt とプライベート Slack チャンネルを共有し、担当する営業と組織の枠を超えたやり取りを安全に進めています。
パートナーとソフトウェアテストを実施している時は特に Slack コネクトが欠かせません。高度な技術を要するプラットフォームのインテグレーションにも対応が可能だからです。「当社のエンジニアは外部パートナーのエンジニアと Slack を使って直接やり取りして、リアルタイムでトラブルシューティングしています」と、Naramore 氏は説明します。「おかげで問題をすばやく解決でき、小売店に対して優れた体験を提供できています」。
小売店に問題が発生すると、Slack コネクトが解決の場となります。「Slack コネクトを使うことでパートナーと一緒に仕事を進めやすくなり、より効果的にやり取りできるようになりました。メールによるサイロ化が起こっていた時と比べるとなおさらです」と、Naramore 氏は続けます。「2 つの組織にまたがるチームが気軽にやり取りしながら、気取らない話もできます。こうすれば、ストレスが溜まりかねない状況も軽くすることができるんです」。
「小売店と電話会議を設定するよりも、Slack コネクトなら簡単に会話できます。それに、電話会議ではすべてに時間がかかります。リアルタイムで会話すれば、コラボレーションプロセスをスピードアップでき、誰にとっても有益です」
Slack で社内の IT サポート速度が 3 倍に
2017 年に、Shipt の IT 責任者として Porter 氏が取締役に就任しました。「Slack は私たちの企業文化を作るのに一役買っています。私たちは Slack とともに成長しているんです」と Porter 氏は話します。Porter 氏のチームでは効率性を何よりも重視しています。2020 年に急成長した時期においては特にそうでした。
Porter 氏が率いる少数精鋭のチームは、社内の IT サポートチケット作成に使う Zendesk を Slack チャンネルに連携させています。「Zendesk と Slack とのインテグレーションを使っているため、すべてのチケットが Slack 上にあり、問題はチャンネルで直接解決できます」と、Porter 氏は説明します。
Porter 氏のチームではほとんどの場合、問題に対して Slack チャンネルのスレッドでコメントしたり解決したりしています。また Slack メッセージの保存設定をカスタマイズしているため、必要に応じて以前のやり取りをさかのぼって参照することも可能です。
この数年間で、Porter 氏とそのチームは Shipt 全体における Slack プロセスを定義しました。ワークフロービルダーを使って問題を直感的な操作で送信できるようにしたのもその 1 つです。
「Slack のワークフロービルダーを使うのはとても簡単です。導入後はよく活用されています」と、Porter 氏は続けます。自動化されたワークフローを通して必要な情報すべてに 1 か所でアクセスできるので、仕事の効率が上がり、成果を生む仕事に多くの時間を割けるようになりました。このプロセスは 2 通りの方法でトリガーされます。
- 新入社員が
#it-happens
(IT サポート)に参加すると、IT 部門へ問題を送信する方法をボットが案内する - IT サポートフォームコマンドで、問題に関する詳細情報を収集するアンケートを呼び出す
問題が送信されると、#it-happens
(IT サポート)に転送され、依頼者には自動応答がダイレクトメッセージで届きます。アプリの障害などの緊急事態は、別のワークフローを通して転送され、Porter 氏の待機チームが 24 時間 365 日監視しているプライベートチャンネルに送信されます。
また絵文字もワークフローのトリガーとして機能しています。その数は 11 あり、その多くはより一般的なリクエスト用です。例えば、ノートパソコンの代替機が必要な人が「代替機」カスタム絵文字を入力すると、ボットがプロセスを案内してくれます。対面で受け取る必要がある場合でも、セキュリティに守られたパンデミック時の手順があるので安心です。
さらに Porter 氏のチームでは、Okta などの社外パートナーとの連携に Slack コネクトを活用しています。「Slack コネクトなら、Okta から迅速なサポートが受けられます」と、Porter 氏は話します。「メールを送ってから 3~4 時間待たなくても、すぐに回答が得られるのです」。
Okta と 1 か所で連携することによって、Porter 氏のチームでは組織の壁の外側での仕事をすばやく安全に進められるようになりました。さらに高いコストやリスクをはらむメール詐欺の脅威も回避できます。こうして社内で実現した効率化は、社外パートナーにも広げられます。
今や Shipt は全米の 80% 以上の世帯が利用でき、その勢いはすぐには衰えそうにはありません。そのスピードを維持するためにも、同社は Slack の活用を続けます。Ship では今後も、食品やオフィス用品、日用品の配達に同社のサービスを利用する家庭のニーズに対応しつつ、ユーザー、ショッパー、小売店をサポートしていく予定です。