企業で働いていると、異動や前任者の退職などにより、新たな仕事を引き継ぐ場面が発生します。その際、仕事の引継ぎが十分に行われていないとスムーズに仕事の移行が行えず、日々の業務に支障をきたすことにもなりかねません。
今回は、そうした「仕事の引継ぎあるある」をテーマに、仕事の引継ぎが必要な場面や、仕事の引継ぎの失敗による影響、仕事の引継ぎ失敗を回避する方法について解説します。
仕事の引継ぎとは、ほかの人から仕事を引き継ぐこと
仕事の引継ぎとは、その言葉のとおり、前任の担当者から後任者が仕事を引き継ぐことを意味します。
例えば、前任者が何らかの都合で退職する場合、総合職であれば定期的な異動など、仕事の引継ぎが発生する理由はさまざまです。
仕事の引継ぎでは、仕事の内容はもちろん、仕事の進め方、関わる顧客の詳細、業務進行にあたっての注意点、過去の事例といったさまざまな情報を受け継ぎ、できるだけスムーズにバトンタッチできるようにはからっていきます。
仕事の引継ぎが必要となるシーン
仕事の引継ぎは、さまざまな理由で発生します。続いては、仕事の引継ぎが生じるシーンについて、具体的にご説明します。
人事異動
前任者の人事異動、または人事異動による業務の担当の交代などの際に、仕事を引き継ぐ状況が発生します。ある程度大きな企業であれば、部署間の異動だけではなく、異なる事業拠点からの異動などもありうるでしょう。
前任者の退職や休職
前任者が何らかの理由で退職した場合にも、仕事を引き継ぐ状況が生まれます。退職以外にも、病気などで一定期間会社を離れて休職する場合も、退職同様に仕事を引き継ぐ必要があります。
前任者の昇格
前任者が管理職へと昇格するなどした場合も、仕事の引継ぎが必要です。例えば、前任者が昇格し、マネジメント中心の業務へシフトすることで、それまで担当していた仕事を部下などに任せるような場面にも仕事の引継ぎが行われます。
進行中のプロジェクトへの合流・離脱
システム開発などのような、チームでものづくりを行うような仕事でも仕事の引継ぎが発生します。例えば、新たなメンバーが合流したり、何らかの事情でメンバーが途中でプロジェクトから離脱したりするなど、その要因はさまざまなものが考えられるでしょう。
前任者の失敗によるリカバリー
前任者が何らかの理由で担当業務を放棄した、失敗によって異動となったような場合も後任者が仕事を引き継ぐ状況が発生します。
仕事の引継ぎに際しての困ったあるあるとは?
仕事の引継ぎは、前任者から後任者へと業務のバトンタッチを行う「人から人」への伝達であるため、何らかの問題が発生しがちです。仕事の引継ぎの当事者になる際は、あらかじめ発生しそうな問題を想定した上で行動すると、深刻な問題を回避できる可能性が高くなります。
仕事の引継ぎに際して起こりがちな困ったあるあるにはどのようなことが想定されるのか、対処法と併せてご説明します。
必要な資料や情報が不十分
前任者が後任者に仕事を託す場合は、仕事の手順や情報を詳細に記した資料を作成し、それをベースに口頭説明を行っていくことが基本です。しかし、この資料が用意されていなかったり、重要な情報が記載されていなかったりすると、後任者は大きく苦労することになります。仕事を引き継ぐ側が、できるだけ客観的に、誰もがわかりやすいようにマニュアルを作成し、後任者も、そのマニュアルを補足していくようにすれば、後々もスムーズに仕事の引継ぎが可能になるでしょう。
引継ぎ資料の内容が理解できない
「引継ぎ資料は用意されているけど、いい加減にまとめられていて何が何だかわからない」というのも、引継ぎにおけるあるあるです。場合によっては一から業務を再考していく必要があったり、当該部署の上司などにヘルプを求める必要が生じたりするかもしれません。さらには、顧客やパートナー企業などから必要な情報をヒアリングしなければならないなどの手間が発生します。
引継ぎ資料を作成する際には、できるだけ順序立てて、誰が見てもわかるように作る必要があります。参照するべき別の資料などがある場合は、その資料がどこにあるのか保管場所などについても明確に示しておきましょう。
引継ぎ情報と実際の業務内容が異なる
「引継ぎ情報をまとめた資料はあるけど、それに従って仕事をしてみたら実際は全く違っていた」というのもよくある話です。これは、複数のタスクを並行して進めていったり、複雑なプロセスが必要だったりする仕事の引継ぎにおいて起こりがちな問題です。あるタスクについては詳しく情報が記載されているのに、そのほかについてはごく軽くふれる程度といった、バランスを欠いた情報共有が原因のひとつです。
タスクごとにわかりやすいマニュアルを作成するのは難しい場面もあるかもしれませんが、できるだけ客観的に、時にはチームのメンバーや上司にアドバイスをもらいながら作ることで、バランスの悪さを回避することができるでしょう。
情報共有が不十分で前任以外の誰も引継ぎ内容を理解していない
仕事の引継ぎに関する資料や、口頭による説明も不十分な状態で前任者が職場を去ってしまったような場合は、もはや引継ぎが行われていないのと同じ状況だといえます。さらに、その前任者以外の誰も仕事の内容を把握していない場合は、一から業務を再構築していくような状況へと発展してしまいます。
こうした事態にならないよう、日頃から社内や部署内、チーム内で情報を共有しておくことが重要です。
仕事の引継ぎを成功させるには?
仕事の引継ぎについての困ったあるあるのすべてに共通しているのは、引継ぎの影響を受けるのは、引き継ぐ側、すなわち後任者だということです。
引き継いでもらう側(前任者)は担当業務を手放せば終わりですが、仕事の引継ぎが不十分だった場合、後任者は影響を直接受けることになります。結果として、業績が悪くなったり、社外のパートナーとの折り合いが悪くなったりする可能性も十分に考えられます。こうした事態を起こさないためにも、前任者はしっかりと仕事の引継ぎの準備を行うべきなのです。
続いては、仕事の引継ぎを成功させるために、すぐに実践できる手軽な方法やビジネスツールなどを用いた方法をご紹介します。
仕事の引継ぎに十分な時間をとる
仕事の引継ぎに関して、最も基本的な方法が引継ぎに十分な時間をとることです。
退職や異動などで仕事の引継ぎが発生するとわかった時点で、上司に相談の上、引継ぎのための時間を十分に確保するようにしましょう。その際、後任者への説明期間も含めたスケジュールを組み立てるのが理想です。
仕事の引継ぎに関する資料を上司が精査する
仕事の引継ぎ資料を作成したら、それを上司に査読してもらうことも有効な方法です。
査読してもらうことによって、引継ぎ資料の不足している部分や不要な部分が明確となると同時に、後任者が理解しやすい内容・構成・手順へとブラッシュアップしていくことができます。
チーム内での情報共有を徹底し、属人化を防ぐ
引継ぎ失敗を回避するためには、常日頃からチームや組織内で業務に関する情報共有を徹底することも重要な手段のひとつです。情報共有の徹底は、この仕事はこの人にしかわからないというような業務の属人化を防ぐことにもつながります。
こうした情報共有を行う上で強い味方となるのが、ビジネスツールです。例えば、ビジネスチャットツールとしても人気の Slack には、定型的な業務をノーコードで構築し自動化する「ワークフロービルダー」という機能があります。この機能を活用することで、定型化できる仕事の引継ぎをスムーズに行うことが可能です。
引継ぎ資料の管理をする
定型化業務など、決まったワークフローに則って進めていけるような仕事は、マニュアル化を行い、資料として管理の上、各メンバーが自由に閲覧・編集できるようにしておくといいでしょう。
マニュアル化しておくことで、仕事の引継ぎの手間を大きく省くことができ、仕事の引継ぎ失敗を回避できる確率を高めることにつながります。
コミュニケーションツールを活用する
仕事の引継ぎがスムーズにいったとしても、その後、後任者が仕事を進めていく上で、不明点が発生することは珍しくありません。その仕事が属人性の強いものだった場合、前任者に聞くしか解決法がないこともありえます。異動などによる仕事の引継ぎであれば、前任者と簡単に連絡をとり合えるようなツールなどを設けておくといいでしょう。
このような場合、 Slack のようなビジネスチャット機能をもったツールを使い、社内でもオープンなコミュニケーションを図ることのできる環境を整えておくのもひとつの方法です。特に Slack は、誰でも参加できる透明性の高いパブリックチャンネルを使うことができる点で、こうしたオープンなコミュニケーションを行う上で最適なツールといえます。
ビジネスツールを活用して仕事の引継ぎもスムーズに進めよう
今や、あらゆる仕事においてITを活用することが当たり前の時代ですが、引継ぎはあくまでも「人と人」で行うものです。それだけに、さまざまな問題が発生し、場合によっては、業務を停滞させてしまう可能性もあります。
そのような事態に陥らないよう、仕事の引継ぎをスムーズに進めるためにも、「普段から仕事のマニュアルを作成して関係者で随時更新していく」「チーム内で情報の共有を徹底して業務の属人化を防ぐ」といった対策が必要です。
常日頃から周囲とコミュニケーションをとることで、マニュアルの更新や仕事の属人化の防止がしやすくなります。そのためには、 Slack などのビジネスツールを大いに活用していきましょう。
よくある質問
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