1996 年に運航を開始したセブパシフィック航空は、年間 150 万人の乗客が国内外の移動に同航空の格安フライトを利用する、フィリピン最大規模の航空会社です。Slack を導入して従業員、プロセス、システムを 1 か所でつなぎ、生産性を向上させて年間 114,000 時間を節約したそのセブパシフィック航空が、Slack のプロダクティビティ賞(ASEAN)を受賞しました。
セブパシフィック航空では、機体を 1 回離陸させるのに、パイロットや客室乗務員のほか、地上スタッフ、チェックイン担当者、荷物係や航空管制官など、総勢 50~100 人が関わります。また、乗務員とフライトのスケジュール管理、ゲートの割り当て、リアルタイムでの乗客の管理、給油、天候や気流など、さまざまな対応も必要です。飛行中の緊急事態など、不測の事態にも備えておかなければなりません。
それぞれの航空機が定刻に、可能な限り滞りなく離陸できるようにするため、セブパシフィック航空は、統合されたコラボレーションプラットフォームとして Slack を活用し、全社の業務スタッフが重要なデータを共有できるようにしています。具体的には、フライトの 3 時間前になると、専用の Slack チャンネルが自動的に作成され、必要なすべての関係者が参加した状態に設定されます。チェックイン済み乗客の合計数、乗務員のスケジュール、天気予報といった、従来のフライトシステムから抽出された関連情報が、リアルタイムでそのチャンネルに提供されます。この仕組みにより、同社はワークフローを刷新できたと同時に、機体の運用、チェックイン、フライト計画などに使用されてきた従来の航空会社専用ソフトウェアへの投資も無駄にすることなく、最大限に活用できました。
「最近、Slack のワークフローを使って、ジオフェンシングを用いた乗務員向けのサインインシステムを構築しました。システム内で任務の手続きができるようになったことで、乗務員は目的のゲートに直行できるようになり、時間の節約につながりました」と、セブパシフィック航空のネットワーク管理および業務グループディレクターの Michael Brady 氏は述べます。
パイロットも、給油から搭乗情報まで、あらゆる情報をツールを切り替えずに確認できます。例えば、ある乗客の搭乗が遅れているような場合でも、関係者全員がフライト専用の Slack チャンネルに参加しているため、皆がその乗客の状況を簡単に追跡でき、方針を適宜転換するなど、定時出発に向けて必要な意思決定を行うことができます。運航乗務員は緊急時にも、トランシーバーや電話、WhatsApp、Viber といったバラバラの手段ではなく、Slack で連絡を取り合えます。Slackの絵文字も、プロセスの迅速化に役立っています。例えば、👀 という絵文字でリアクションするだけで、リクエストを確認し、対処中であることを示せます。
「記念日や誕生日、祭日を皆でお祝いするのが大好きな私たちは、Slack のソーシャルチャンネルを使って、チーム全員のつながりを築き、みんなが 1 つのセブパシフィック航空ファミリーの一員であると感じられるようにしています」
「今後は Salesforce の Service Cloud for Slack を使ってチケットと連携させることで、業務をさらにスピードアップし、より個々のお客様に合ったサービスを提供していきたいと考えています」と Brady 氏は述べます。また、セブパシフィック航空は、会社の危機管理の指揮統制プラットフォームとして Slack を用いることも検討しています。「Slack を使って、さらにタイムリーなコミュニケーションを実現したいのです」と Brady 氏。つまり、今後、フライト中に乗客に医療的な緊急事態が発生したり、フィリピンに台風が襲来したりといった場合に、業務チームが Slack 内で関係者を速やかに招集し、最も安全でベストなソリューションを見いだせるような仕組みを同社は構想しています。
豊富なデータにアクセスできるフライト専用チャンネルの立ち上げから、重要な業務の自動化まで、セブパシフィック航空は Slack を、リアルタイムのナレッジハブをもつプロダクティビティプラットフォームとして活用しています。各チームが適切な情報を適切なタイミングで入手することで、乗客に最高水準の体験を提供できるのです。